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特養と老健はどちらが働きやすい?それぞれの特徴や違いについて徹底解説!
介護施設で働きたい場合に、介護事業所の多くを占める特養と老健への就職を検討することがあると思います。どちらで働くのがいいのか迷ってしまうこともありますよね…
記事を参考に、特養と老健を比較しながら自分に合った介護施設を検討してみてください。
特養と老健どちらが働きやすい?
特養と老健には業務内容や役割に明確な違いがあるため、どちらが働きやすいかは個人差があります。具体的には、特養と老健では以下のような違いがあります。
特養 | 老健 | |
---|---|---|
医師の常駐 | 基本的に不在 | 日中は医師が常駐 |
急変対応 | 看護師の判断が求められる場面が多い | 医師と連携して対応可能 |
主な役割 | 健康管理、服薬、日常生活の見守り | 医療的ケア、リハ支援、在宅復帰支援 |
入所期間 | 長期入所(終末期ケアも含む) | 3~6ヶ月の短期入所が基本 |
チーム構成 | 看護師+介護士中心 | 医師・リハ職・相談員など多職種連携 |
特養は“生活の場”に近く、落ち着いた雰囲気で働けますが、医師不在時の対応や看取りに精神的な負担を感じる人もいます。一方、老健は医療行為が多く、リハビリを中心に回転が早いため、業務はやや慌ただしいものの、医師と連携しながら動ける安心感があります。
働きやすさは、「医療的スキルを活かしたいか」「長く同じ利用者と関わりたいか」など、自身の働き方の志向によって変わります。
特養とは

特養の正式な名称は「特別養護老人ホーム」です。特養では、常時介護が必要で在宅での生活が難しい高齢者に対して、生活全般の介護ケアを行っています。
また、特養の施設形態を細かく種類わけすると以下のようになります。
- 多床室
- 従来型個室
- ユニット型個室的多床室
- ユニット型個室
フロアわけし、10名以下の利用者同士で生活するスタイルが「ユニット型」です。一方「従来型」は、多数の利用者が同じフロアで生活を共にします。
また、従来型とユニット型を組み合わせて運営している介護施設も存在します。それぞれのスタイルにより、介護職員の配置数も異なるのです。
特養の仕事内容や給料
特養での主な仕事内容は以下になります。
- 入浴介助
- 食事介助
- 排せつ介助
- 就寝介助
- 移動や移乗介助
- 見守り
- たん吸引等の介護職員が実施可能な医療行為
介護度の高い利用者へのケアなため、身体介助や移乗、食事介助などが主な業務です。
介護職員が中心となって看護師や相談員と連携しながら、ケアの方向性を決めていきます。また、令和3年時点の特養の介護職員に支給される給料平均額「基本給+手当+一時金(4月~9月支給金額の1/6)」は以下になります。
参照元:厚生労働省-令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要

特養で働くメリット
特養で働くメリットは以下の4つです。
- 介護職員が中心となり目指すケアを実現しやすい
- 長期的なケアができるため利用者に対しての理解を深めることができる
- 認知症ケアや看取りケアが学べる
- ユニット型では、少人数の利用者をケアするため、信頼関係が築きやすい
ポイントは、介護職員が中心となってケアを進めることができる点です。会議なども介護職員主催の場合が多く、やりがいを持って仕事に取り組むことができます!
特養で働くデメリット
特養で働くデメリットは3つあります。
- 介護度が高い利用者が多い傾向にあり、身体介護に負担を感じやすい
- 寝たきりの方や看取りのケアが多く、プレッシャーを感じやすい
- 介護職員の人手不足などが原因で、忙しい場合にも介助量が多く現場が回らないことがある
デメリットの原因の根本は、介護度が高い利用者のケアを行う施設の性質にあります。ただし、それをやりがいと感じる方もいるため、デメリットと感じるかは人それぞれといえます。
老健とは

日常的な身の回りのお世話として介護サービスをただ実施するだけでなく、在宅での生活ができるように自立支援に力を入れ、医療ケアやリハビリを行う施設です。そのため、施設には介護職員だけでなく医師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などが常駐。
多職種のスタッフが協力しながら、利用者の在宅復帰を目指しケアを行っていきます。
老健の仕事内容や給料
老健での介護職員の仕事内容は以下になります。
- 食事介助
- 入浴介助
- 移動介助
- 排せつ介助
- リハビリのサポート
- 医療的ケアのサポート
- 見守り
- 夜間の安否確認
他介護サービスと老健での仕事内容の大きな違いは、リハビリや医療的ケアが多く、そのサポートが業務に入ることです。
リハビリと医療的な知識が多少必要な面もあります。また、令和3年時点の老健の介護職員に支給される給料平均額「基本給+手当+一時金(4月~9月支給金額の1/6)」は以下になります。
参照元:厚生労働省-令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要

老健で働くメリット
老健で働くメリットは以下になります。
- 利用者は比較的介護度が低い傾向にあり、身体介護の際の負担が少ない
- 医療ケアやリハビリに対しての知識が深まる
- 夜勤の際に看護師がいる
在宅復帰を目的としている施設のため、介護度の低い利用者が多く身体介護による負担が少ない傾向にあります。また、他介護サービスとの大きな違いは、夜勤帯でも看護師がいることです。
医師の存在も近いため、安心して仕事ができることがポイントとなります!
老健で働くデメリット
特養で働くデメリットは4つです。
- 医療的ケアの需要が高いため、看護師主体での雰囲気の中仕事をする老健が多い
- 医療が主体のケアになりやすい
- イベントが少ない傾向がある
- 長期にわたるケアができない
老健で感じやすいデメリットの根本は「医療的ケア」が中心となる点です。医療知識がある看護師が中心のケアになりがちで、介護職員がしたいケアの実現が難しい傾向にあります。
特養に向いている人の特徴
特別養護老人ホーム(特養)は、終末期を含む長期入所の高齢者を支える施設です。医療処置は少ない一方で、看護師には観察力や生活支援力、そして精神的な寄り添いが求められます。
以下は、特養で働くことに適性があると考えられる看護師の特徴です。
急変対応に抵抗がない人
特養では医師が常駐していないため、急変時の初期対応を看護師が単独で担う場面が発生します。
例えば、発熱、呼吸苦、意識低下などが起こった際、看護師が状況を判断し、医師への報告・救急搬送の判断です。
このような現場では、プレッシャー下で冷静に行動できる人、ある程度の判断力や経験をもつ人が向いています。救急対応や急性期病棟での経験がある人には、特養でも即戦力として求められる傾向があります。

利用者と長期的な関係を築きたい人
特養は「終の住処」であることが多く、利用者と長い期間をかけて信頼関係を築いていく環境です。同じ方を数年にわたりケアすることも珍しくなく、日常の小さな変化にも気づく力が大切です。
そのため、一人ひとりの人生に寄り添うケアがしたい人、時間をかけた関係性構築に喜びを感じる人には非常に向いています。加えて、ご家族との関わりも多いため、丁寧な対応ができる方は活躍しやすい環境です。
医療行為により介護・生活支援を重視したい人
特養では医療処置よりも、排泄・食事・清潔保持などの生活支援を看護師が介護士と連携して行う場面が多くなります。点滴や吸引といった処置は限定的で、バイタルチェックや服薬管理が主な医療業務です。
そのため、「医療行為で活躍するより、高齢者の生活を支えたい・安心して過ごせる環境を整えたい」という価値観の方には、非常に適した現場です。看護師として、医療だけでなく“介護的な関わり”を重視する方には特におすすめします。

老健に向いている人の特徴
介護老人保健施設(老健)は、医療と介護の中間施設として「在宅復帰」を支援する役割を担っています。医師・看護師・リハビリ職・ケアマネなど多職種と連携し、短期間での支援を集中的に行う現場です。
特に看護師には、医療的判断力とチームワークのバランスが求められます。以下では、老健での勤務に向いている看護師の特徴を解説します。
医療的スキルを活かしたい人
老健では医師が日中常駐しており、バイタル管理・服薬調整・創傷処置・点滴管理・感染症対応など、医療的スキルを活かせる場面が多くあります。特に、慢性期・回復期の医療支援に関心がある看護師には適した環境です。
急性期病院ほど高度な処置はありませんが、高齢者特有の多疾患管理や複雑な状態変化の観察が求められ、臨床経験を活かして働きたい人にとっては非常にやりがいがあります。医療知識を維持したい、スキルを活かして働きたいという方には老健が向いています。
在宅復帰支援にやりがいを感じる人
老健の大きな特徴は、利用者が数ヶ月単位で在宅復帰を目指す“目標のあるケア”を行うことです。リハビリの成果を見ながら、医療的ケア・生活支援・家族指導などを多面的に支援します。
そのため、「少しでも良くなってほしい」「自分の関わりで生活が改善するのを実感したい」といった成果重視・目標志向の高い看護師にぴったりです。
慢性期でも“変化”を感じやすい環境のため、ルーチン業務よりも変化のある支援を好む方に向いています。
多職種と連携して働くのが好きな人
老健では、医師・理学療法士・作業療法士・ケアマネ・介護士・相談員など、さまざまな専門職と日常的に連携する業務が中心です。看護師としても、自分の視点だけでなく、チーム全体の調整役を果たすことが求められます。
報連相(報告・連絡・相談)やカンファレンスでの発言など、協調性・伝達力・柔軟な対応力が求められる場面が多く、チームで成果を出すことに喜びを感じる人に適しています。単独行動よりも、仲間と一緒に目標に向かいたい方には、老健のチーム医療の現場がフィットするでしょう。

特養と老健どちらで働くか迷った時に選ぶポイント

特養と老健のどちらが働きやすいのか迷ってしまうことってありますよね…それぞれにメリット・デメリットが存在し、どちらがいいとは一概にはいえない部分もあります。
そこで、特養と老健のどちらで働くか迷った時に選ぶポイントを以下にまとめました。
- 介護施設で自分がやりたいことを改めて考える
- 実際に就職を検討している介護施設の情報をしっかり調べる
- 1日体験ができるサービスを利用してみる
- 特養と老健以外の介護事業所の就職も検討する
介護施設で自分がやりたいことを改めて考える
特養と老健の特徴は、それぞれ異なります。どちらが働きやすいのか迷っている場合には、改めて「自分がどんな介護ケアをしたいのか」を考えてみることが大切です。
- 「利用者の最期を看取りケアとして一番良い形で送ることに尽力したい」⇨ 特養
- 「在宅復帰を目指し利用者のQOL向上に力を注ぎたい」⇨ 老健
自分のやりたいケアを立ち止まって考えることは、自分自身と向き合うことにも繋がります。時間をかけて決断し、仕事を選ぶことで、施設とのミスマッチが防げる可能性も。
しっかりとした意志を持った形で仕事に取り組むことができるため、就職後も持続的に働くことができます!
実際に就職を検討している介護施設の情報をしっかり調べる
特養と老健、どちらが働きやすいのか迷った時には、就職を検討している介護施設のことを調べてみるのも手です。最近では、利用者家族や働いたことのあるスタッフからの口コミをみることができるサイトなどが存在します。
チェックすれば、施設の内情が調査できる可能性もあります。また、検討している施設の公式HPやブログなどで雰囲気を確かめてみることもおすすめです。
1日体験ができるサービスを利用してみる
特養か老健のどちらで働くか迷う方には1日体験がおすすめです。
1日体験は、就職を検討する方のために介護施設側が設けているシステムです。実際に職場に入って1日業務をしてみることで、施設と就活者、お互いの様子がわかりミスマッチを防ぐことができます。
一方で、1日体験を実施している介護施設は実際に少ない現状もあります。そんな場合には、介護施設の単発バイトも検討してみましょう。
単発バイトに参加できるアプリに登録し、1日だけ出勤してみましょう。そうすることで、1日分のお給料をもらいながら施設の雰囲気を確認することが可能です。
特養と老健以外の介護事業所の就職も検討する
特養と老健のどちらが働きやすいのか考えた時に結論がでなかった場合は、他介護サービスの施設も視野に入れてみましょう。
特養と老健以外の介護サービスは主に以下になります。
- 住宅型有料老人ホーム
- 介護付き有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅
- デイサービス
- グループホーム
- ケアハウス
- 介護療養型医療施設
現在さまざまな介護サービスが存在し、それぞれの特徴に違いがあります。もしかしたらまだ自分が知らない介護事業所に巡り合えるかもしれません。興味のある介護サービスのことを調べてみることもおすすめです。
特養と老健の違いを把握し、自分に合った現場で働こう
特養と老健のどちらが働きやすいかは人それぞれ。
しっかりと特養と老健の特徴を確認して自分に合った職場を探してみましょう。また、特養と老健に限らず視野を広げて、さまざまな介護サービスの中から選択することもおすすめ。
働くことを検討しているこの機会に、今一度自分と向き合い、より良いモチベーションで就職できたらベストです。
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