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入浴介助の10の注意点!介護マニュアルと手順のポイントを徹底解説
「入浴介助で注意するポイントは?」
「利用者に安心してもらうための方法は?」
「リスクを防止するためのポイントは?」
介護職の方の中には、このような疑問を抱えている人もいるのではないでしょうか。
利用者との信頼関係を築き、快適な入浴介助を実施するための情報を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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入浴介助を実施する目的

入浴介助の目的は主に以下の3つです。
- 清潔保持と感染症予防
- リラックス効果
- 身体の状態観察
入浴によって汗や皮脂、汚れを落とすことで皮膚を清潔に保ち、感染症のリスクを減らせます。
特に高齢者は肌のバリア機能が弱くなりがちなため、適切な入浴によって肌を清潔に保つことが大切です。
加えて、保湿をすると乾燥やかゆみを防ぎ、皮膚トラブルを防止できます。
また、入浴で身体が温まることで副交感神経が優位になり、心が落ちついてリラックス効果を得られます。
筋肉の緊張が緩むため、肩こりや腰痛を和らげる効果も得られるでしょう。
入浴時には服を脱ぐため、身体の状態をチェックし、異常の早期発見が重要です。
変化を見つけた場合は、記録に残したり看護師や医師に相談したりして、適切な対策を施しましょう。
入浴介助の基本的な手順

入浴介助の手順は主に4つに分かれます。
- 必要な物品の事前準備
- 入浴前に行う手順
- 入浴中の介助手順と洗う順番
- 入浴後に行う手順
入浴介助を安全かつスムーズに行うためには、手順を守ることが重要です。
利用者の負担を軽減し、安心感を与えるために各ステップで適切な対応を行いましょう。
必要な物品の事前準備
入浴介助をする前に準備すべき物品は以下のとおりです。
【利用者用】
- バスタオル・ボディタオル(吸水性が高く肌触りが良いもの)
- 着替えや下着(必要であれば靴下も準備して脱衣所に置く)
- オムツや尿取りパッド(必要に応じて準備)
- ボディーソープまたは石鹸(肌への刺激が弱いもの)
- シャンプーとリンス(刺激が弱く泡立ちやすいもの)
- 入浴用スポンジ(必要に応じて準備)
- 入浴補助用具(転倒防止マットやシャワーチェア)
- 皮膚科処方の保湿剤や軟膏(ある時は事前に準備しておく)
- 爪切りや綿棒(必要に応じて準備)
【介助スタッフ用】
- 手袋(水を弾く素材のもの)
- エプロン(体が濡れないように準備しておく)
- ゴム製の靴やサンダル(滑りにくい靴にする※施設方針による)
- インナーや着替え(汗や濡れた場合にすぐ着替えられるように準備)
入浴介助がスムーズに進むかどうかは、事前準備にかかっています。準備不足は時間のロスや事故の原因となりかねません。
しかし、必要な物品をあらかじめ揃えておくことで、利用者が寒い状態で待たされることがなくなります。
また、事前準備の際、要介護者はもちろん、介助スタッフ自身の物品の準備も大切です。
円滑に入浴介助を行い、入浴後のケアを実施するために、物品の準備が完了しているか必ず確認しましょう。

入浴前に行う手順
入浴介助を始める前に行う手順は以下のとおりです。
- 事前に体調をチェックする
- 滑り止めマットを設置して滑らないようにする
- 空調などを利用して脱衣所と浴室の温度を一定にする
- 浴槽にお湯をはる
- 水分補給をしてもらう
- トイレへ誘導する
- 必要なものを準備する
- 衣服の着脱をして皮膚状態を確認する
入浴前には、利用者の体調確認と安心感の提供が重要です。
体調が悪い場合や不安がある場合には、無理に入浴を進めず、別の方法を提案する必要もあります。
また、空腹時はめまいや貧血を引き起こし、体調不良につながる恐れがあります。
そのため、タイミングには注意し、空腹時や食事直前の入浴は避けるようにしましょう。
加えて、タオルで体を覆うなど、プライバシーの配慮をすると利用者は安心できます。
入浴前の段階で「これなら大丈夫」と安心できる環境づくりが大切なので、漏れのない準備や入浴方法の説明、声かけで信頼関係を築きましょう。
入浴中の介助手順と洗う順番
入浴中の手順は以下のとおりです。
- 肌が触れる場所にお湯をかけて温めておく
- 転倒に注意して手すりにつかまりながら椅子に座ってもらう
- お湯の温度を自分で確認する
- 利用者にお湯の温度を確認してもらう
- 温度が適切であれば声かけをして足元からゆっくりお湯をかける
- 優しく丁寧にしっかりと洗い流す
- 手すりにつかまるか体を支えて、ゆっくりと浴槽に入ってもらう
- 温まったらゆっくりとサポートしながら浴槽から出す
- 浴室内でボディタオルを使って身体を拭く
お湯の温度は38度を目安に調整して体が急に温まらないようにしましょう。
血流の急激な変化を防ぎ、めまいや動機などの体調不良を予防できます。
また、長時間の入浴はめまいの原因となるため、5分程度に留めることが大切です。
身体を洗う順番は「足元→髪→顔→上半身→下半身」が基本ですが、利用者の希望を優先し、柔軟に対応しましょう。

入浴後に行う手順
入浴後の介助手順は以下のとおりです。
- タオルで水分をしっかりと拭き取る
- マットやタオルを使用して足の裏も丁寧に拭く
- 椅子に座ってもらい保湿剤や軟膏を塗布する
- ゆっくりと着替えをする
- 水分補給をしてもらう
- 必要に応じて耳掃除や爪切りを行う
- 最後に体調をチェックする
足の裏を拭くことは、滑りや転倒を防ぐための重要なポイントです。
足の裏が濡れたままでは、脱衣所や浴室内で滑りやすくなるため、柔らかいタオルを使って優しくしっかり水分を拭き取りましょう。
このひと手間で、転倒事故の予防につながります。
また、入浴後に脱衣所に移動する際の温度変化にも注意が必要です。
事前に脱衣所を適温に保つなどの工夫を行い、寒暖差を極力なくしましょう。
さらに、お湯に浸かることで汗をかき、体内の水分が失われているので、水分補給も欠かせません。これにより、脱水症状を防げます。
入浴介助の手順はわかったけど実践しないと不安という方は、単発バイトで介護施設を経験するのがおすすめです。
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入浴介助の10の注意点

入浴介助の留意点は以下のとおりです。
- 血圧・体温・体調不良に異常がないかチェックする
- 浴室と脱衣所を適切な温度に保つ
- 転倒や転落防止のため安全に配慮する
- お湯の温度変化に注意する
- 乾燥や剥離がないか皮膚の観察をする
- 洗い残しがないか注意する
- 長時間の入浴は控える
- 入浴中の身体の異常に注意する
- 介護者のプライバシーに配慮する
- 感染症の予防に努める
入浴介助は、利用者の安全と快適さを守るため、注意して行う必要があります。
特に、利用者が高齢者の場合、少しの油断が大きなトラブルにつながることもあります。
事前準備から入浴後のケアに至るまで、細やかな配慮を欠かさないようにしましょう。
血圧や体温、体調不良がないかチェックする
入浴前には、必ず体調を入念に確認してください。
清潔感の維持は大切ですが、体調が優れない時に無理に入浴すると、容態の急変など、より体調を悪化させる場合があります。
そのため、血圧・体温・脈拍といったバイタル測定をし、問題がない場合のみ入浴させるようにしましょう。
具体的には、以下のようなポイントを確認します。
- 血圧は高すぎないか
- 発熱はないか
- 脈拍数に異常はないか
- 食欲はあるか
- 呼吸に異常はないか
- 普段の表情と変わりはないか
- 何か気になることはないか
合わせて本人にも体調不良がないか聞いておくと良いでしょう。
特に高齢者は血圧が変動しやすいため、発熱や低血圧、めまいがある場合、その日は入浴を控える判断が大切です。
入浴前のバイタル測定は、血圧の変動も考慮して食事から30分以上経ってから行いましょう。
浴室と脱衣所を適切な温度に保つ
入浴時は、浴室と脱衣所の温度差に注意しましょう。温度差が大きいと血圧が急激に変動し、湿疹や心臓発作につながる恐れがあります。
理想的な目安は、脱衣所が20~24度、浴室が30度程度です。
空調や暖房器具を使用して室温を調整し、お湯の蒸気を利用して浴室内を温めるのも効果的です。
また、脱衣所に出る際の温度差にも注意し、タオルやガウンで体を包んで保温してあげることを心がけましょう。
特に冬場は室内外の温度差が激しくなるので、入浴介助が始まる前から浴室を温めておく必要があります。
実際に、消費者庁「高齢者の不慮の事故」では、厚生労働省の調査で65歳以上の浴槽での溺死・溺水が5,097人であり、交通事故2,150人の2倍以上と明らかにしています。
そのうち4,750人が家や居住施設の浴槽で亡くなっているため、入浴介助での事故のリスクを減らすためにも、温度管理には十分気を付けてください。
転倒や転落防止のため安全に配慮する
入浴介助は、転倒や転落の危険性が高いため、安全に配慮しましょう。
浴室は湿気や濡れによって床が滑りやすく、怪我をしてしまう可能性も想定できます。
特に高齢者は筋力やバランス感覚が衰えている場合が多いため、物理的な補助具を使用して安全を確保することが重要です。
具体的には以下のような安全対策がおすすめです。
- 滑り止めマットの設置
- 手すりの設置
- 背もたれがある補助椅子の設置
加えて、転倒しないよう両側から体を支えるのも有効です。足腰が不自由な方に対しては、入浴台を使用するなどの工夫も欠かせません。
また、介護現場では、1人ずつ交代で入浴するため、次の人が入る時には床が濡れています。
転倒のリスクにつながるので、時間がない中でも毎回浴室と脱衣所の床を確認し、滑らないように拭いておきましょう。

お湯の温度変化に注意する
入浴介助では、お湯の温度が適切であるかどうかが重要なポイントです。
一般的には、38~40度が適温とされており、それ以上の高温は心臓や血圧に大きな負担を与えてしまいます。
一方で、低すぎる温度は体が温まりにくく、寒さを感じてしまうため、適度な温度調整が必要です。
また、介護現場での入浴は、次に入る人のお湯がぬるくならないように調整することも大切です。
途中でお湯を足す場合は、急激な温度変化を避けるため、ぬるめのお湯を少しずつ追加して混ぜながら温度を整えます。
シャワー浴を実施する場合は手足からゆっくりかけるなど、利用者に負担をかけない工夫をしましょう。
乾燥や剥離がないか皮膚の観察をする
入浴介助で皮膚の観察をすることは、利用者の状態を直接確認できる貴重な時間です。
皮膚の異常を見つけた場合は、看護師や医師に報告し、無理な入浴は避けましょう。
主に観察するべきポイントは以下です。
- 皮膚剥離(皮膚がはがれる症状)がないか
- 乾燥していないか
- 湿疹がないか
- 赤みがないか
- 内出血がないか
- お尻や腰に褥瘡(体が圧迫されて皮膚の一部に赤みやただれ、傷ができる症状)がないか
また、車椅子に長時間座る方や寝たきりの方、加えて骨が突出している部位は褥瘡(床ずれ)ができやすいので、忘れずチェックしましょう。
皮膚の悪化を早期に見つけることは、早めの治療に直結します。入浴介助の際は皮膚状態を確認し、適切な対応を心がけましょう。
洗い残しがないか注意する
入浴時には、全身をくまなく洗い、洗い残しがないようにすることが重要です。
洗い残しがあると、皮膚に汗や皮脂が溜まり、湿疹やかゆみ、感染症の原因になります。
特に脇の下や耳の後ろ、陰部、手足の指の間などは見落としやすいため、丁寧に確認する必要があります。
基本的な内容ではありますが、忘れがちなポイントの1つです。
肌トラブルを避けるためにも、利用者が届かない部位まで丁寧に優しく洗ってあげましょう。
長時間の入浴は控える
入浴介助では、長時間の入浴を控えることが大切です。
入浴時間が長すぎると、体温の上昇や血圧の変動によって体調を崩すことがあります。
特に高齢者は発汗機能が低下している場合があり、長時間風呂に浸かると脱水症状やのぼせ、立ちくらみの原因になりかねません。
そのため、5~10分程度を目安に入浴を終えるのが安全です。
湯船でリラックスしている利用者の中には、「もう少し浸かっていたい」と希望する方もいます。
その場合は「お体が疲れないよう、少し休みましょうね」と優しく声をかけ、無理なく入浴を切り上げるよう配慮しましょう。
入浴中の身体の異常に注意する
入浴中は、利用者の体調の変化を見逃さないよう細かく観察することが重要です。
異常を発見できずそのままにしてしまうと、体調や皮膚の状態が悪化する恐れがあります。
顔色が青白い、呼吸が浅い、冷や汗をかくなどの症状が見られた場合は、速やかに湯舟から出て横になれる場所を確保して安静にさせましょう。
必要であれば冷たいタオルを当てたり室内の空気を循環させたりして、体温の調整をすることも大切です。
こまめに声かけを行い、利用者が体調の変化を伝えやすい環境づくりも心がけましょう。
要介護者のプライバシーに配慮する
入浴介助時には、利用者の羞恥心やプライバシーに十分配慮する必要があります。
高齢者の中には、体を見られることに対して抵抗を覚える方も多く見受けられます。
そのため、タオルをかけて体の露出を最小限にし、必要な部位だけを少しずつ露出させながら進めると安心感を与えられるでしょう。
もし利用者が自力で歩行でき、入浴できるのであれば、極力浴室には入らないといった柔軟な対応も必要です。
また、入浴中は他の利用者やスタッフから見えないように、カーテンやパーテーションを利用してプライベートな空間を作るのも1つの方法です。
介助者は言動や態度にも注意し、利用者の尊厳を守る姿勢を示しましょう。
感染症の予防に努める
入浴介助では、感染症対策として衛生管理を徹底する必要があります。
管理を怠ると、感染症を患ったり他の方に移したりする可能性があります。
そのため、使用するタオルやスポンジ、ブラシなどは利用者ごとに使い分け、使い回しは避けましょう。
湿気がこもりやすい浴室では、細菌やカビが繁殖しやすいため、使用後の道具はしっかり洗浄して乾燥させることも大切です。
また、皮膚に傷がある利用者の場合は感染のリスクが高まりやすいため、清潔なガーゼを使って優しく拭くなど、傷口に負担をかけないように注意しましょう。
浴槽や床などの設備も定期的に清掃し、洗剤や除菌剤を使って清潔な状態を保つことで、安全な入浴環境を提供できます。
ここまで注意点について解説しましたが、入浴介助を早く終える方法や遅くなる理由が知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

【方法別】入浴介助の実施ポイント

入浴介助には主に6つの方法があり、それぞれで実施する際のポイントは異なります。
以下で紹介するポイントやコツを参考に、利用者の身体状況や健康状態に合わせて正しい方法を選び、安心してリラックスできる時間を提供しましょう。
- 全身浴(一般浴)の入浴介助
- 半身浴の入浴介助
- 部分浴の入浴介助
- シャワー浴の入浴介助
- 機械浴の入浴介助
- ストレッチャー浴の入浴介助
全身浴(一般浴)の入浴介助
全身浴とは、体全体をお湯につける一般的な入浴方法です。
体をしっかり温めて血流を促進する効果があり、筋肉の緊張をほぐすことで疲れの解消やリラックス効果が期待できます。
【実施ポイント】
- 事前に体調を確認し、異常がないか確認する
- お湯の温度は約38~40度に調整して体温が急激に上がらないようにする
- 心臓から遠い足元からお湯をかけて慣らしてから入浴する
- 入浴時間は5~10分程度に抑える
- 浴槽から出る時はゆっくりと体を支えながら誘導する
全身浴では、体温が上昇しやすく血流の流れが一気に加速するため、体調確認は慎重に行いましょう。
体温や血圧が安定しているかを確認し、少しでも異常が見られた場合は無理せず入浴を中止することが大切です。
また、お湯の温度が高すぎると心臓への負担が大きくなるため、適切な温度調整が必要です。
浴槽から出る際は、立ちくらみを防ぐために体をゆっくり起こし、脱衣所で温かいタオルを用意しておくと良いでしょう。
半身浴の入浴介助
半身浴とは、胸の下までお湯に浸かる入浴方法です。
心臓にかかる負担が少なく、血流を安定させる効果があるため、高齢者や病気を持つ方にも適しています。
また、全身浴と比べて長めに入浴できるため、リラックス効果が期待できる点も特徴です。
血行を促進しながらも、体温の上昇をゆるやかにし、冷え性の改善にも効果的です。
【実施ポイント】
- 湯温は37〜39℃のややぬるめに設定する
- 入浴時間は15〜20分程度を目安にする
- 肩や首元が冷えないように、温かいタオルや毛布をかける
- 定期的に水分補給を促し、脱水を防ぐ
- 湯船の中で動きすぎないように声かけを行う
半身浴は持病のある方にも取り入れやすい方法ですが、長時間の入浴になるため上半身が冷えないような工夫が必要です。
特に冬場は、肩にかけるタオルを事前に温めておくと快適さが増します。
また、入浴中は体が冷えていないか確認し、必要に応じてお湯を追加するなどの配慮を行いましょう。
汗をかきやすいため、入浴後には水やお茶を提供し、水分補給を忘れずに行うことが大切です。
部分浴の入浴介助
部分浴とは、手や足など体の一部だけをお湯に浸けて温める入浴方法です。
全身浴や半身浴が難しい場合や、部分的な冷えを改善したい場合に行われます。
足湯や手浴などは血行促進やリラックス効果があり、体温の調整にも効果的です。
また、清拭も含まれ、入浴が難しい方には、温かいタオルで拭く方法も適しています。
【実施ポイント】
- 適温のお湯を準備し、温度は40℃以下に設定する
- 洗面器や専用の容器にお湯を注ぎ、手や足をゆっくり浸ける
- 温める部位が冷えないように、タオルで包んで保温する
- 時間は10〜15分を目安に行う
- 終了後はしっかりと拭き取り、保湿ケアを行う
部分浴は手軽に実施できるため、日常的に取り入れやすい方法です。
特に足湯は体全体の血行を良くし、冷え性の改善やむくみの軽減に役立ちます。
ただし、熱すぎるお湯を使うと皮膚に負担がかかるため、必ず温度を確認しましょう。
また、自身での確認はもちろん、利用者にも温度は適切か声かけを行い、利用者の感覚を確認しながら進めるようにしてください。
部分浴の後は、皮膚の乾燥を防ぐためにタオルで優しく拭き取り、クリームなどを使って保湿ケアを行うと良いでしょう。
シャワー浴の入浴介助
シャワー浴とは、湯船に入らずシャワーを使って体を洗う入浴方法です。
短時間で済ませられ、立ったままや座ったままでも行えるため、体力が低下している方や簡易的な入浴を希望する方に適しています。
また、全身浴に比べて身体への負担が少なく、入浴後の片付けも手軽です。
【実施ポイント】
- シャワーの温度は38〜40℃に設定し、一定の温度を保つ
- お湯をかける前に手の甲で温度を確認し、利用者にも確認する
- シャワーヘッドを体に近づけ、柔らかな水流で洗い流す
- 頭を洗う際は顔にお湯がかからないよう注意する
- 拭き取り後は体を冷やさないよう、素早く保温対策を行う
シャワー浴では、利用者が体に直接水が当たることを不安に思う場合があります。
そのため、「今からお湯を流しますね」「温度はちょうど良いですか」と声をかけながら進めると、安心感を与えられます。
また、強い水流を直接肌に当てると刺激が強すぎるため、シャワーヘッドを体に近づけて柔らかい水流を意識しましょう。
加えて、傷口がある場合は、シャワーを直接当てるのを避けることが大切です。
髪を洗う際は、目に泡が入らないように手で覆いながら洗うと良いでしょう。
入浴後は、タオルで優しく押し拭きし、体を冷やさないように素早く着替えを手伝うようにしてください。
着替えが完了したら、部屋やベッドに移乗介助をしましょう。
機械浴の入浴介助
機械浴とは、リフトや特殊浴槽を使って入浴を行う方法です。
寝たきりの方や体を支える力が弱い方でも全身浴が可能で、介助者の負担も軽減されるため、施設や医療現場などで広く用いられています。
【実施ポイント】
- 事前に機械の動作確認を行い、安全性を確保する
- リフトやチェアの角度を調整し、快適な姿勢を確保する
- 利用者の移動時はゆっくり動かし、声かけを忘れない
- 身体の一部が機械の隙間に挟まらないよう注意する
- 入浴後は素早く体を拭き取り、保温ケアを徹底する
機械浴を行う際は、まず機械が正常に動作するか確認し、安全対策を徹底しましょう。
特に、動作中にガタつきや異音がないかを事前にチェックすることで、事故を未然に防げます。
また、リフトで利用者を移動させる際には、優しく声をかけると不安を軽減できます。
移動時には利用者の体がベルトや機械の隙間に挟まれないよう確認し、入浴後は素早く水分を拭き取りましょう。
温かいタオルを使って体を包むことで体温低下を防ぐことが大切です。
ストレッチャー浴の入浴介助
ストレッチャー浴とは、ベッド型のストレッチャーに利用者を乗せたまま入浴する方法です。
体を起こせない方や寝たきりの方でも負担なく入浴ができるのが特徴です。
ストレッチャーごと浴槽に入れたり、シャワーを使って体を洗い流すことができ、皮膚の清潔を保ちながらリラックス効果も得られます。
【実施ポイント】
- 使用するストレッチャーの固定具や安全バーを事前に確認する
- 体がずれないようにクッションやベルトを使用する
- シャワーの温度は38〜39℃に設定し、体温変化に配慮する
- 柔らかな水流で体全体に均等にお湯をかける
- 背中や腰の部分に湿気が残ってないか確認し、丁寧に拭き取る
ストレッチャー浴は横になったまま行うため、体が動かない分、背中や腰にお湯が溜まることがあります。
特に高齢者は皮膚が薄いため、湿気がこもると皮膚トラブルの原因となるため、入浴後はしっかりと水分を拭き取りましょう。
また、ストレッチャーの柵で皮膚剥離を起こす可能性も考えられるため、柔らかい素材のタオルで柵を覆うなどの配慮も欠かせません。
入浴後は、保湿クリームなどで皮膚のケアを行うと、皮膚の乾燥を防ぎ、心地よい入浴であったと感じてもらえるでしょう。
入浴介助の留意点に関するよくある質問
ここでは、入浴介助に関するよくある質問に答えていきます。
入浴介助を行う際には、利用者の体調管理や心身のケア、負担経験など多くのポイントに気を配る必要があるので、以下の内容をぜひ参考にしてください。
入浴介助の観察項目は?
入浴介助の観察項目は、要介護者の体調や身体の状態です。
具体的には、以下の項目を確認しましょう。
- 体調の変化:発熱や顔色、呼吸、めまいはないか
- 皮膚の状態:発疹や赤み、傷、乾燥の有無
- 表情と反応:普段と変化はないかや、不安や痛みを感じていないか
- 発汗の程度:脱水の兆候や異常な汗がないか
これらを細かく観察し、異常があれば入浴をせず、すぐに報告・対応することが大切です。
立てない人の入浴介助の方法は?
立てない人の入浴介助は、安全な方法を選択することが重要です。
全身浴は難しいため、以下の方法で快適な入浴を実施しましょう。
- シャワー浴
- 部分浴
- 機械浴
- ストレッチャー浴
利用者にとって負担が少ない方法を選び、安心感を与えるよう努めましょう。

入浴を拒否された場合の対応は?
入浴を拒否されるケースもありますが、無理に入浴を促さず理由や気持ちの確認が重要です。
その上で、入浴の大切さを伝えることも大切です。
皮膚疾患や衛生的な面で入浴すべき利用者に対しては、適した方法を提案し、できるだけ入浴する方向で進めましょう。
数回入浴をすれば、徐々に慣れてスムーズに入浴してくれるかもしれません。
入浴介助がきついと感じる時の対策は?
入浴介助がきついと感じる時は、衣類を適したものに変えたり、補助用具を使ったりする方法がおすすめです。
補助用具にはさまざまな種類やタイプがあるので、自分の悩みに合ったものを選ぶと効果的です。
それでも負担が大きく大変な場合は協力を求め、職員間で連携して入浴介助を実施しましょう。

入浴介助は留意点を抑えて安全に行おう
今回は入浴介助を行う際の手順や注意点について解説しました。
入浴介助は、清潔感の維持だけでなく、リラックスや血行促進といった効果もあります。
しかし、身体に負担がかかる場面もあるため安全対策が重要です。
体調確認や浴室の温度管理、転倒防止の工夫を行い、入浴中は表情や呼吸の変化を観察しましょう。
また、入浴後はしっかり体を拭き取り、水分補給を促すことで体調を整えることが大切です。
声かけやプライバシー保護を意識し、利用者が安心して入浴できる環境を整えましょう。
ここまでの内容をもとに、知識と技術を深め、安全第一に快適で心地よい入浴体験を提供してください。
初めて入浴介助をする場合でも、注意点を抑えることで比較的スムーズに実施できるでしょう。
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