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【経験の浅い介護職向け】入浴介助時の留意点と4つの手順を紹介!
初めて介護職に就いた方の中には、入浴介助に対する恐怖心や難しさを感じる方もいるかと思います。
入浴前から入浴後までに注意すべき点や知っておくべき情報を一気に理解できる内容となっています。また、入浴介助の手順も紹介しますので、「どのように進めていいのかわからない」という方も、ぜひ最後までお読みください。
入浴介助「前」の留意点
まずは入浴介助「前」の留意点を紹介します。
- バイタル測定をする
- 脱衣所と浴室の温度の差を少なくする
- 温度設定は37℃〜40℃
- 機械浴のベルトがしっかり締まっているか確認する
入浴介助前の準備ポイントを知ることで、介助がスムーズにいきます。
バイタル測定をする
利用者さんのバイタル測定を行い、入浴できる状態か確認しましょう。入浴は身体に良い効果も与えますが、体調が悪い高齢者にとっては体力を奪う原因になります。
バイタルだけではなく、顔色や機嫌などの様子もチェックするのも大切!
脱衣所と浴室の温度環境の差を少なくする
浴室内の温度は約24℃に設定しておきましょう。約24℃に設定しておくと、居室やフロアとの温度差を小さくできます。特に冬場は室内外の温度差が激しくなるので、入浴介助が始まる前から浴室を暖めておく必要があります。
浴室での事故のリスクを減らすためにも、温度管理には気をつけてください。
温度設定は37℃〜40℃
湯の設定温度は37〜40℃程度がベストです。37〜40℃前後の湯温に浸かると、身体にリラックス効果をもたらすと言われています。
「もっと湯船を熱くしてほしい」と言われたら、事情を説明しましょう!
機械浴のベルトがしっかり締まっているか確認する
機械浴に利用者さんを載せる場合は、ベルトが締まっているか確認してから動かしましょう。
ダブルチェックや声出し確認をして、入念にチェックしてください。また、ベルトがきつすぎると、利用者さんの肌を傷つける可能性があります。ベルトが締まりすぎていないか、利用者さんに確認しましょう。
入浴介助「中」の留意点
入浴介助「中」の留意点を紹介します。
- 入浴時間は15分前後にとどめる
- 湯温に注意する
- 利用者に湯をかけるときは、まず自身で確認する
- 洗身は末端から中心にかけて洗う
- 利用者からは絶対に目を離さない
入浴中は事故に直結する出来事が起きやすいので、十分に注意する必要があります。
入浴時間は15分前後にとどめる
長湯をすると利用者さんの身体に負担が生じるので、入浴時間は15〜20分前後にしてください。湯船につかる時間は3〜5分前後が良いとされています。
お風呂が好きな利用者さんでも、湯船に浸かる時間は5分前後を目安にしましょう!
湯温に注意する
湯温が熱すぎると、やけどや血圧の変動に悪影響を与えます。浴槽とシャワーの温度は、40℃前後に設定しましょう。
適度な温度での入浴は、睡眠の質を高めたり、リラックス効果をもたらしたりします。
湯船がぬるくなりすぎないよう注意しながら、温度管理をしてください。
利用者に湯をかけるときは、まず自身で確認する
利用者さんにいきなり湯をかけると、やけどや発作を起こすリスクがありますので、絶対にやめてください。湯をかけるときはまず介護職がチェックし、温度に問題がなければ利用者さんに確認していただきます。
利用者さんに湯温を確認していただく際には、心臓から遠い部分の足先や指先でチェックしていただきましょう。いきなり身体の中心に湯をかけると驚くので、注意が必要です。
洗身は末端から中心に向けて洗う
洗身は利用者さんの末梢から中心に向けて、湯をかけていきましょう。手先から肩、つま先から大腿部と、徐々に心臓の近くを洗っていきます。
末端から中心に向けて洗うことで、血流を心臓の方へ促し、血行不良の改善につながります。
また、身体をミトンやタオルで洗うときは、強く擦らないようにしてください。高齢者の皮膚は薄いので、力を込めて洗うと破れてしまいます。利用者さんの身体は、泡を立てて優しく洗いましょう。
利用者からは絶対に目を離さない
入浴介助中は利用者さんから絶対に目を離さないよう心掛けてください。浴室は滑りやすくなっているため、転倒のリスクが大きいからです。
入浴中は見守りを忘れないようしましょう!
入浴介助「後」の留意点
入浴「後」にも知っておくべきことがあります。
具体的には以下のとおりです。
- 湯冷めしないよう室温を暖かく保つ
- 水分補給をする
- 安静に過ごす
入浴介助が終わっても、利用者さんの様子や浴室環境に気を遣いましょう。
湯冷めしないよう室温を暖かく保つ
利用者さんが湯冷めしないよう、室温は暖かく保っておきましょう。室温は約24℃に設定しておくと、外との気温差を小さくできます。
水分補給をする
利用者さんの身体を拭き終わったら、水分補給を促しましょう。入浴中は水分が失われるので、しっかりと水分を摂取する必要があります。400〜500mlの経口補水液やお茶を用意してください。
介護現場には「ラクーナ」と呼ばれる脱水を防ぐ飲み物もありますので、積極的に提供しましょう。
安静に過ごす
利用者さんによっては、入浴後に低血圧状態が続き、気分不快を訴える方もいます。そのため、入浴後は30〜60分ほどベッドに横になったり、椅子に座ったりして身体を休めてもらうと良いでしょう。
入浴介助の4つの手順
入浴介助の4つの手順を紹介します。
- 利用者の状態を確認
- 脱衣介助
- 入浴介助
- 着衣介助
ケアをおこなう際の参考にしてみてください。
利用者の状態を確認
利用者様を浴室にお連れしたら、まずは状態を確認しましょう。必要であれば、介護職が体温や血圧などのバイタルチェックを行います。
バイタル以外にも顔色や様子を確認してから、入浴を実施します。
脱衣介助
バイタルチェックや顔色の様子に問題がなければ、脱衣介助を行います。衣類を脱がせていく際は、「着患脱健」を意識しましょう。
脱衣介助の場合は、健側から脱がせていきます。患側がない方は自身で脱いでもらい、手の届かないところは手伝う形となります。
自立支援を促すためにも、なるべく自身で脱いでもらいましょう。
入浴介助
脱衣介助を行ったら入浴介助を進めていきます。シャワーの温度を確認して、末端から中心にかけて身体を流していきます。自身で身体を洗える方は、自立支援を促すためにも、届かない部分のみを手伝ってください。
洗髪する際は、目にシャンプーが入らないよう額に手を当てて流します。そして最後に湯船に浸かってもらいます。
万が一、浴槽で溺れていたり床で転倒していたりすると、すぐに助けられないからです。安全に配慮しながら入浴介助を進めてください。
着衣介助
入浴が終了したら着衣介助を行っていきます。素早く丁寧に身体を拭き、湯冷めしないように対応してください。
着衣介助の順序は、患側(麻痺側)から健側(非麻痺側)です。
自身で着替えができる方は、自立支援を促すためにも、できる限り自分で着てもらいましょう。
留意点を押さえて安全に入浴介助をおこないましょう
今回紹介した留意点を意識して、安全に入浴介助を行いましょう。特に入浴中の対応は、細心の注意が必要です。小さなミスが大きな事故に繋がる可能性があるからです。
温度管理や見守りなどを徹底して、事故なく入浴介助を進めてください。