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ケアマネの苦情事例から学ぶ:トラブル解決のためのプロセスとは
利用者や家族が介護サービスに不満を感じた際、苦情を伝える先として考えるのはケアマネージャーです。
どの程度の苦情であれば伝えてよいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。また担当ケアマネージャーに苦情を伝える場所が、いまいちわかりにくいのが介護保険サービスの現状です。
ケアマネージャーへの苦情を伝え方も紹介しているので「モンスタークレーマー」と思われずに的確に要望を伝えられるようになります。
ぜひ参考にしてみてください。
【事例あり】ケアマネージャーにこんなことで苦情を言いました
ケアマネージャーに寄せられる苦情の種類は以下の3つです。
- 「サービス」に関すること
- 「利用料」に関すること
- 「安全面」に関すること
それぞれ詳しく解説します。
サービスに関すること
ケアマネージャーには、以下のようなサービスに関する苦情が届きます。
- 排泄や食事の際に衣類が汚れたにも関わらず報告を受けなかった
- 送迎時間の希望を伝えていたにも関わらず、遅れて来たり早く来たりした
- 連絡帳の内容と利用者の認識が異なっていた
- 言い訳や反抗的な態度が見られた
介護現場でのトラブルや、約束事を守ってもらえなかったときの苦情が多いようです。またケアマネージャーに質問をしたいと思い、電話したところ早く終わらせようとしている態度が見えことで苦情に発展した例もあるようです。
利用料に関すること
利用料に関することには以下のような苦情が届きます。
- 介護保険制度に納得できない
- 包帯や絆創膏などの費用に納得できない
- オムツの費用が理解できない
- 今月の介護利用料が引き落とされた後に請求書が届いた
介護保険サービスについてや、事業所で発生した料金・手続きなどに関することが苦情につながっているようです。
とくに介護利用料など金銭に関わる苦情が多いです!
金銭のトラブルは苦情に発展しやすいので、とくに気をつけて業務を行う必要があります。
安全面に関すること
安全面に関する苦情は以下のとおりです。
- 施設で起きたトラブルの内容を遅れて知った
- 転倒をしていたにも関わらず職員からは何も説明がなく連絡帳のみで知らされた
事業所でのトラブルや事故の報告が遅れた場合は、ケアマネージャーに苦情が寄せられています。
事故や怪我を後から知らされると、家族は事業所に不信感を抱きケアマネージャーに連絡する方が多いようです。
ケアマネージャーに苦情を言うときはどこに伝えればいい?
ケアマネージャーに苦情を伝える際は、主に以下の4つの場所へ連絡をしましょう。
- サービス提供事業所の相談窓口
- 国民健康保険団体連合会
- 市区町村の高齢福祉課
- 担当ケアマネージャーに直接伝える
それぞれ具体的に解説します。
サービス提供を受けている事業所の相談窓口
ケアマネージャーに苦情を伝える際には、サービスを受けている事業所の相談窓口に連絡しましょう。
事業所に連絡をすると多くの場合、生活相談員からケアマネージャーに苦情の内容が伝わります。後日ケアマネージャーから連絡が来て、事業所としての対応を話してくれます。
事業所には苦情相談窓口が用意されているので、事前に介護サービスを受けている事業所の電話番号を確認しておくのがおすすめです。
国民健康保険団体連合会
国民健康保険団体連合会は、市区町村で実施されている介護保険サービスについての苦情を受け付けています。そのため、サービス提供事業所やケアマネージャーに対する苦情にも対応しています。
利用者や家族から連絡を受けると、国民健康保険団体連合会からサービス提供事業者へ苦情の報告や是正処置の連絡がいくでしょう。
市区町村でも対応できなかった問題や、サービス提供事業所と利用者の所在地が異なる場合などは連絡してみてください。
市区町村の高齢福祉課
ケアマネージャーに苦情を伝える際は、市区町村の高齢福祉課に連絡してみてください。高齢福祉課には「介護福祉室内苦情相談室」として苦情を受け付けている場合があるからです。
ケアマネージャーや介護保険サービスを受けている事業所の苦情に対応しています。
電話や専用フォームから問い合わせができるので、お近くの市区町村の高齢福祉課を検索してみるといいでしょう。
担当ケアマネージャーに直接伝える
苦情は担当ケアマネージャーに直接伝えるのが一番早い方法です。
「担当ケアマネージャーに苦情を言うのは怖い」と思う方もいるでしょう。しかしケアマネージャーに苦情を言って嫌われることはありません。
介護保険サービスの契約書には「公正中立の立場で支援する」と記載されています。
ケアマネージャー自身の感情を含んで利用者のサービスの方針を考えることはないので、早めに苦情を伝えましょう。
ケアマネージャーに苦情を伝えるときの3つの注意点
ケアマネージャーに苦情を伝えるときには、主に以下の3つに注意しましょう。
- 利用者本人の気持ちを聞く
- 苦情を伝える
- 代替案を伝える
苦情の伝え方を一歩間違えてしまうと「モンスタークレーマー」と思われてしまい、本当に伝えたいことを理解してもらえない可能性があるので気をつけましょう。
利用者本人の気持ちを聞く
まず問題が発生したら、いきなり家族の気持ちをケアマネージャーに伝えるのではなく利用者がどう思ったかを聞くのが優先です。
何に対して不満だったのかを詳細に聞いてみてください!
話を聞いていると苦情を伝えずに解決する問題なのかも理解できます。
利用者の気持ちが落ち着いてきたところで、状況を整理し苦情を伝えるか判断をしましょう。
苦情を伝える
利用者の思いを整理し、「事業所の対応に問題がある」と感じたら同じ過ちを犯さないためにも苦情を伝えましょう。
利用者から聞いた情報と、事業所の改善点を冷静に伝えてみてください。同じトラブルが起こらないためにも、苦情を伝えましょう!
利用している事業所なので苦情を言いづらい面もありますが、ほかの利用者も不満に感じている可能性もあります。
代替案を伝える
苦情を伝える際は「こうしてほしい」と代替案も合わせて伝えるのがおすすめです。
苦情は本来サービス提供の質を上げるものなので、文句だけを言うのではなく今後の対策も提示するべきです。そして「〇日まで連絡してほしい」と期限を同時に伝えることで、相談窓口の責任者が部署内ですぐに対策を考えて回答してくれます。
相談窓口の責任者やケアマネージャーから連絡がきたら代替案に対応できるのか、加えて事業所の今後の対策も確認しておきましょう。
サービスの質を高めるためにもしっかりと苦情を伝えましょう!
ケアマネージャーに苦情を伝えるのは気が引けると感じる方もいます。しかし苦情は、事業所の介護サービスの質を上げるためにも必要です。
利用している家族の満足度を上げて素敵な老後を過ごしてもらうためにも、不審な点に気づいたらケアマネージャーに苦情を伝えましょう。