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馬鹿が多い?って本当なの?介護職の社会的イメージや払拭するための解決策
介護の仕事は世間的に馬鹿にされていると感じてはいませんか?
職場によっては他職種からも否定的なイメージを持たれていることも少なくありません。
そこで本記事では、
- 介護の社会のイメージ
- 介護が馬鹿にされていると感じた時の対策
- 介護の魅力
などを解説します。
介護業界が社会的にどのようなイメージなのかを整理し現状を理解した上で、どのように対応していけばいいかがわかります。「介護を馬鹿にされたときの対策を知りたい」「介護の魅力を知りたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
介護職は馬鹿にされている?社会のイメージは?

介護職は世間では「恥ずかしい仕事」や「大変そうな仕事」というイメージが強いです。
その理由について、3つの視点から考えていきます。
3K(きつい・汚い・危険)のイメージが強い
介護職は3Kのイメージがまだ残っています。
3Kとは、
- きつい
- 汚い
- 危険
のことです。
介護職は基本的にシフトワークなので、夜勤があります。
高齢者をベッドから車椅子に移乗させたり身体を抱えたりといった身体介助を行うので体力的に「きつい」と言われています。「汚い」は、排泄介助や食事介助の際の汚れのイメージが強いのでしょう。「危険」というのは、感染症にかかったり怪我をしたりするリスクです。
高齢者は免疫が弱っていることがあるので、ウィルス性の病気にかかりやすくなっています。そのため、毎日高齢者と接する介護職は感染する可能性があります。また、オムツ交換をするときに前屈みになったり入浴介助のときに自分よりも大きい高齢者の身体を支えたりするので怪我をするリスクがあります。
介護職の中では腰痛を抱えている方はたくさんいます。介護職にはこのような3Kのイメージが強く残っています。
忙しいけど収入が低いと思われている
介護職は忙しそうにしているけど収入は一般的なサラリーマンより低いと思っている方も多いのではないでしょうか。たしかに介護現場は慢性的な人手不足で残業が多い職場もあるのは事実です。
シフトワークで夜勤もあり、生活が不規則になることもあります。
ニュースでは介護職の給料の低さがピックアップされることがあり、「忙しいけどそんなに稼げていない」というイメージが定着しています。
他職種との比較によって下に見ている
看護やリハビリ職の仕事内容と比較して介護職の方が劣っていると主張する方もいます。給料面では看護職やリハビリ職と比べると低い傾向にあります。
責任感という面では同じ命を預かる仕事にもかかわらず、介護職のやっていることは看護やリハビリと比べると「レベルが低い」と言われることも。
医療職と介護職は連携が必要ですが、ごく一部の職場では看護職などの他職種のやり方が正しいという風潮がある職場も珍しくありません。
誰から、どんなふうに馬鹿にされるのか?その背景と現実
介護職として働く中で、「なぜそんな仕事を選んだの?」という言葉に傷ついた経験はありませんか?
介護職は社会に欠かせない存在でありながら、時に無理解な言動や偏見にさらされることがあります。特に身近な人たちからの心ない言葉は、仕事への自信や誇りを揺るがす原因にもなります。
ここでは、実際に介護職が直面しやすい「馬鹿にされる」場面と、その背景にある価値観や社会構造について具体的に見ていきましょう。
家族・親に「将来が心配」と言われるケース
親や家族から「介護の仕事は将来が不安」「結婚できるの?」などと心配されることは少なくありません。
これは、介護職がまだ安定性や収入で評価されにくい社会的構造にあるためです。親世代は特に、大企業や公務員といった職業を「正解」と考える傾向があり、現場職や福祉分野を低く見る傾向があります。
しかし実際には、処遇改善加算やキャリアパス制度など、介護業界も確実に制度改革が進んでおり、安定した働き方は十分に可能です。
友人・同世代から「楽な仕事」と見られがち
同年代の友人から「誰でもできるでしょ?」「正社員じゃないの?」などと軽んじられるケースもあります。
これは、介護職の仕事内容が一般にはあまり知られておらず、表面的に「お世話係」と誤解されがちなためです。実際には、認知症対応・バイタル管理・多職種連携など、専門知識と高度な判断力が求められます。
誤解を解くには、職務内容を具体的に話すなど、地道な情報発信も必要です。
恋人・パートナーに理解されにくい理由
介護職に対して「将来が不安」「時間が合わない」「汚い仕事」などの理由で、恋人やパートナーに理解されにくいこともあります。
対話を通じて仕事の意義ややりがいを共有することで、相手の認識を変えるきっかけになります。
他業種との比較で生まれる無意識の偏見
IT業界や医療職などの花形職業と比較され、介護職は「誰でもできる」「単純作業」と誤解されることがあります。
職業に貴賤はありませんが、社会が無意識に持つ価値基準が、介護職を低く見る要因となっているのです。
メディアやSNSが作る介護職の誤解
ドラマやバラエティ番組、SNSなどで介護職が「単純作業」や「苦労ばかりの職業」として描かれることで、イメージが一人歩きすることがあります。
特にSNSではネガティブな体験がバズりやすく、介護の現実が歪んで伝わる傾向があります。ポジティブな発信や、現場の声を丁寧に伝える取り組みが、正しい理解を広めるために必要です。
なぜ介護職は見下されがちなのか?社会的・歴史的な構造を解説
介護職が「誰でもできる」「評価されにくい」と見られる背景には、単なる誤解や偏見だけではなく、日本社会の構造や価値観の歴史的な影響があります。
ここでは、介護職が見下されがちになった背景を、社会的・文化的・制度的な視点から整理し、根本的な理解を深めていきます。
戦後日本の職業ヒエラルキーと介護職の位置付け
戦後の日本では「ホワイトカラー志向」が強く、デスクワークや公務員が高く評価される一方で、現場職や身体労働は軽視されがちでした。
また、歴史的に「ケア」は女性の無償労働とされてきた背景もあり、職業としての正当な評価が遅れたとも言えます。
専門職でありながら「誰でもできる仕事」と誤解される理由
介護職は、実際には専門性の高い職種です。介護福祉士をはじめとした国家資格が必要であり、医療知識・心理的対応・リスク管理など多様なスキルが求められます。
このギャップが、「誰でもできる仕事」という誤解を招く大きな原因です。
制度面の未整備と低待遇の影響
介護職が低く見られがちな理由のひとつに、制度の未整備と待遇の問題があります。国は処遇改善加算などを通じて介護士の賃金向上を図っていますが、未だに業務の大変さに見合わない報酬水準の事業所も存在します。
さらに、現場の人員不足や離職率の高さが、「過酷で報われない仕事」というイメージを助長し、職業としての魅力が正しく伝わりづらくなっています。
介護=家事の延長と捉える文化的な価値観
日本では、長年にわたり高齢者のケアは「家庭で担うもの」「女性の役割」とされてきました。そのため、介護の仕事は家事の延長線上にあるものと見なされやすく、「報酬を得る専門職」という認識が薄れがちです。
現実には、介護は身体介助・医療的判断・福祉知識などが融合した専門的な仕事であり、家事とは明確に異なります。この文化的な固定観念が、介護職を正当に評価しにくくしているのです。
介護が馬鹿にされていると思ったときにできる解決策

友人や知人から介護職を馬鹿にされていると感じたら、以下の解決策がおすすめです。
- 3Kへの対策を伝える
- 収入は上がっていることを伝える
- 介護職に対して自分はどう思っているかを考える
それぞれ具体的に解説します。
3Kへの対策をしていることを伝える
介護現場で実施している3Kへの対策を伝えましょう。
きつい
「きつい」に関しては、シフトワークの交代勤務が多いですが、引き継ぎがうまくいけば残業はほとんどありません。さらに日中に介護サービスを提供するデイサービスに勤めれば夜勤もありません。
ベッドから車椅子の移乗を楽にするために、スライディングボードと呼ばれる補助具を使って介助負担を少なくしている現場もあります。
汚い
「汚い」に関しては、その人がどう感じるかによる部分が大きいのでむずかしいです。
排泄介助や食事介助の際には専用のエプロンをしていることや、自立度の高い方が多いデイサービスや入浴専門の訪問介護では排泄介助が少ないことも話してみてもいいでしょう。
危険
「危険」については、事故報告書をスタッフと共有したり現場検証を行ったりして次の事故へつなげないように努力していることを伝えてみてください。
収入が上がっていることを説明する
実は介護職の収入は増えています。
特定処遇改善加算という制度があります!
特定処遇改善加算とは、介護職の給料アップを定めた制度のことです。主に「勤続10年以上の介護福祉士」が対象です。
最低でも1人の給料を「月額8万円」または「年収440万円」に賃上げすることを定めています。また介護職1人あたりの給料に9000円の手当が支給される制度も始まっているのです。
このように介護職の給料は少しずつですが、上がっていることがわかります。
介護職に対して自分はどう思っているかを考える
自分自身が介護職についてどう思っているのかを考えてみてはいかがでしょうか?
介護職に誇りを持って取り組めていると自信があれば、周りからの意見は気にならなくなります。介護職に対して「恥ずかしい」や「世間からはあまりいい仕事だと思われていない」と感じているのであれば、考えを変えるか他の仕事を探すべきでしょう。
いきなり自分の考えを変えるのはむずかしいと思うので、1人で悩まずにまずは先輩職員に相談してみてください。
同じ悩みがあったのであれば、具体的な対策や仕事に対する考え方を教えてくれるでしょう。
馬鹿にされないためにできる「考え方」と「伝え方」
介護職に対して心ない言葉をかけられたり、評価されない経験をすると、やりがいよりも無力感の方が強くなることもあります。しかし、他人の言葉を変えることはできなくても、自分の考え方や伝え方は変えられます。
ここでは、介護職としての自信を取り戻すための「マインドセットの持ち方」や「伝え方の工夫」、そして場合によっては「環境を変える」選択肢についても紹介します。
自分の仕事の意義をどう捉え直すか(マインドセットの再構築)
介護は「生活の質」を支える重要な仕事です。食事や排泄の介助だけでなく、認知症ケアや心理的サポート、家族との連携など、利用者の人生全体に寄り添う役割を担っています。
まずは、自分がどれだけ価値ある仕事をしているかを、自分自身が理解し、認めることが出発点です。他者評価よりも、自己認識の深さが仕事への誇りを強くしてくれます。
他人の言葉に振り回されないための思考法
「そんな仕事、誰でもできるでしょ」と言われたとき、大切なのはその言葉を真に受けすぎないことです。相手は介護の実情を知らないだけかもしれません。
認知行動療法の考え方では、思考と感情を切り離すことがストレス対処に有効だとされています。
周囲に仕事の価値をどう伝える?コミュニケーション術
誤解されないためには、自分の仕事を「どう伝えるか」も重要です。
たとえば「排泄介助」ではなく「自立支援の一環としてサポートしている」と言い換えることで、専門性や意義が伝わりやすくなります。事実を冷静に、かつ相手に伝わる言葉で説明することがポイントです。
伝え方次第で、相手の認識を少しずつ変えることができます。
転職・キャリアアップという選択肢も視野に入れる
今の職場環境や周囲の認識がどうしても変わらない場合、転職やキャリアアップを通じて「自分に合った場所」を探すのも選択肢の一つです。
介護職には、介護福祉士、ケアマネジャー、認知症ケア専門士など、さまざまな資格・キャリアパスがあります。
自分の努力が正当に評価される環境に身を置くことで、モチベーションも自然と上がります。
介護職の魅力はどのようなところ?

介護職は他の職業では感じられない以下のような魅力があります。
- 人生の先輩から学ことができる
- 高齢者の変化に気づく喜びがある
- キャリアアップしやすい
- ワークライフバランスが整いやすい
それぞれ具体的に解説します。
人生の先輩から学ぶことができる
高齢者は人生の先輩です。
自分がまだ経験していないことや物事に対する深い知識を教えてくれます!介護職員によっては普段の悩みを相談する方もいます。
高齢者も「自分に話してくれた」と思い嬉しくなる方もいるので、お互いに信頼関係を形成するうえでも悩みを打ち明けることは大切です。
高齢者の変化に気づく喜びがある
高齢者とかかわることで、日々の変化に気づく喜びを感じられるのも介護の魅力の一つです。たとえばなかなか歩くのが困難だった方がリハビリをすることで、少しずつ自分の力で歩ける様子を見ることができます。
他にもご飯を食べてくれない方が介助の工夫で食べるようになったり、トイレ介助が少しずつ自立してきたりする場面に立ち会えます。
自分の行ったケアで高齢者が変化していくのを近くで見られるのは介護ならではの体験です。
キャリアアップしやすい
介護職はキャリアアップしやすい職種です。資格を取れば、給料が上がったり役職を変えたりできるからです。具体的にいうと、介護福祉士を取得して5年の実務経験があれば、介護支援専門員の資格を取得できます。
介護支援専門員になれば、給料は10万円以上アップするでしょう。
現場で誠実に続けていれば、主任や副主任のポストに就くことも可能です!
管理職候補として初めから募集している求人もあり、研修や実務経験を積めば施設長になることもできます。
20〜30代で施設長をしている方も珍しくないので、キャリアアップがしやすいのも介護の魅力です。
ワークライフバランスが整いやすい
ワークライフバランスが整いやすいのも介護職の特徴です。
介護職は働く時間帯を選びやすい職場が多く、短縮勤務や夜勤専従の働き方も可能です。そのため子どもの送り迎えの時間に合わせて働いたり、親の介護を優先して働いたりすることもできます。
引き継ぎをすれば残業をすることもないので、趣味や家族との時間といった余暇時間も楽しめます。
自分のライフスタイルを優先した働き方が実現できるのも介護職の魅力の一つでしょう。
正しい知識があれば介護は馬鹿にされることはない
世間や社会の介護のイメージは冷たい部分があるでしょう。しかし、正しい知識や自分の考えを持っていることで、「介護が馬鹿にされている」と感じることは少なくなります。
高齢化社会が進んでいる日本において介護職は欠かせない存在になることは間違いありません。誇りを持って仕事に望んでみてください。