高齢者向け歌レクリエーション15選！体操や脳トレも紹介！

高齢者施設で「利用者さんが歌のレクリエーションに参加してくれない」「どのような曲を選べば盛り上がるのかわからない」と悩んでいませんか？

高齢者施設では歌のレクリエーションが人気のプログラムです。

しかし選曲のミスや進行方法の工夫不足により、参加率の低下や途中で飽きられてしまうこともあります。

特に認知機能が低下している方や、人前で歌うことに抵抗がある方への配慮が不十分だと、歌レクリエーションの効果を発揮できません。

そこでこの記事では、高齢者に喜ばれる歌の選び方から、すぐに実践できる具体的なレクリエーション方法を紹介します。

定番レクだけでなく、体操や脳トレなどを活用した歌レクリエーションが知れるので、利用者さんの状態や人数に合ったゲームを提供できます。

【定番】高齢者向けの歌レクリエーション

高齢者施設や地域の集まりで人気の歌レクリエーションには、いくつかの定番メニューがあります。

どれも準備が簡単で、参加者の体力や好みに合わせて実施できる活動です。

ここでは、多くの施設で取り入れられている代表的な歌レクリエーションを紹介します。

カラオケ

カラオケは、高齢者が自分の好きな曲を選んで歌える人気のレクリエーションです。

このレクリエーションは、歌うことによる気持ちの発散も効果の1つですが、声を出すというのも重要なポイントです。

大きな声を出すことで、呼吸器系の機能を維持でき、嚥下機能の低下防止や唾液の促進につながります。

その結果、利用者さんは安心して食事を続けられるので、QOLが向上します。

施設にカラオケ機器があれば準備する物も少なく、すぐに始められるのもメリットです。

歌合戦

歌合戦は、参加者をチームにわけて歌の上手さや盛り上がりを競うレクリエーションです。このレクリエーションは、仲間意識や一体感を生みます。

たとえば、紅白にわかれて昭和の名曲を披露し合い、職員や他参加者が審査員となって採点すると盛り上がるでしょう。

競争要素を取り入れることで、普段は消極的な人も積極的に参加してくれる可能性があります。

ただし利用者さんを傷つけないためにも、歌の技術を評価するのではなく、チーム全体の盛り上がりなどを対象に審査することが大切です。

合唱

合唱を通じてみんなで声を合わせることで、協調性が育まれ一体感を味わえます。

童謡や唱歌など誰もが知っている曲を選べば、歌詞を覚えていなくても自然と口ずさめます。

歌に詳しくない人も気軽に参加でき、利用者さんが孤立するのを防げるでしょう。

ただし、なかには歌が苦手な人もいるので、無理に誘うのはおすすめしません。

楽器演奏

楽器演奏はタンバリンや鈴、太鼓などの簡単な楽器を使って音楽を奏でるレクリエーションです。

楽器を扱うには手指を細かく動かす必要があるので、脳への刺激になります。

そのため、物忘れや認知症予防のような症状を予防できる可能性があります。

演奏体験を通じて達成感や創造性を味わえるのも、楽器演奏の魅力です。

パタカラ体操

パタカラ体操は、「パ・タ・カ・ラ」の発音を繰り返しながら、口や舌の筋肉をきたえる体操です。

これを歌に合わせておこなうことで、嚥下機能の維持・改善につながります。

シンプルに「パ・タ・カ・ラ」と発音するのもよいですが、童謡や歌謡曲のメロディーに合わせて発音するのもリズムに乗れて盛り上がります。

誤嚥リスクや食事を安全に楽しめる状態を、楽しみながら作れるのでおすすめです。

【体操】高齢者向けの歌レクリエーション

音楽に合わせて体を動かす体操は、高齢者の運動機能を維持しながら楽しめるレクリエーションです。

バリエーションが豊富で、座ったままや立ってしっかり身体を動かせます。

ここでは、実際におこなえる体操系の歌レクリエーションを、準備物や進め方とともに紹介します。

歌いながらボール回し

歌いながらボール回しの特徴は以下のとおりです。

歌いながらボール回しは、音楽に合わせてボールを回しながら身体を動かすレクリエーションです。

手の運動と脳トレが同時にでき、認知機能の刺激になるでしょう。

詳しいゲームの進め方は、以下の動画を確認してみてください。

リズム手拍子

リズム手拍子は、音楽に合わせて手を叩き、リズム感を養うレクリエーションです。

リズム手拍子はルールがシンプルですが、集中力とタイミングの判断力をきたえます。

また腕や肩の運動になり、上半身の血行促進につながります。

どのようにやるかイメージがつかない方は、以下の動画がおすすめです。

3つの動きでできる歌体操

3つの動きでできる歌体操は、シンプルな動作を繰り返しながら歌う体操です。

このレクリエーションは、手拍子と手を横に広げる動作とバンザイの動きを繰り返します。

動きが3つだけなので、覚えやすく認知症の方でも参加しやすいでしょう。

また座位でも立位でもおこなえ、体力に合わせて調整可能です。

以下の動画では『ふるさと』を使用して運動をしています。

盆踊り体操

盆踊り体操の用意する物や進め方は以下のとおりです。

盆踊り体操は、日本の伝統的な盆踊りの動きを取り入れた体操です。

懐かしいメロディーとともに全身を使って踊れるので、認知機能と運動機能の両方を養えます。

具体的な方法は以下の動画をチェックしてみましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=WR4ysnSfXJ4

グーパー指遊び

指遊びは童謡に合わせて指を動かす体操です。

この歌レクリエーションは、グーパーをして手指を細かく動かすゲームです。

脳の活性化につながるだけでなく、座ったまま場所を取らずにできます。

準備も簡単なので、音源を用意するだけなので、毎日のレクリエーションにおすすめです。

以下の動画では「もしもし亀さん」を使用して指遊びをしています。

【脳トレ】高齢者向けの歌レクリエーション

歌を使った脳トレレクリエーションは、楽しみながら認知機能を刺激できる活動です。

記憶力や注意力、判断力などを総合的に使うため、脳の活性化に効果的です。

ゲーム性のある脳トレ系の歌レクリエーションの実施方法も紹介するので、参考にしてみてください。

歌カルタ

歌カルタは、曲名や歌詞が書かれたカードを取り合うゲーム形式のレクリエーションです。

歌カルタは、歌を思い出す力やカルタを取る運動神経が同時にきたえられるレクリエーションです。

曲は利用者さんがわかる童謡や歌謡曲がおすすめです。

具体的な方法は以下で確認してみてください。

『ももたろう』で手遊び体操

童謡「ももたろう」を活用して手を動かすレクリエーションの方法は以下のとおりです。

この歌レクリエーションでは「歌う＋手を動かす」のダブルタスクをします。

記憶を呼び起こす作業と手を動かす2種類の動作が必要なので、脳へのよい刺激となります。

実施する際は、できた動きや頑張りをその都度ほめて、場を盛り上げましょう。

また参加者が疲れないよう、短時間（1コーラス〜数回）で区切り、最後は全員で拍手をして終了するのがおすすめです。

動画で確認したい方は、以下の動画からチェックしてみてください。

穴埋めカラオケ

穴埋めカラオケは、歌詞の一部が空欄になったカードを使い、聴きながら答えを埋めていくレクリエーションです。

このレクリエーションは、参加者が頭のなかで歌詞を思い出す作業が必要です。

自分の記憶が合っていれば達成感をえやすく、やりがいも生まれるでしょう。

高齢者の記憶力や自己肯定感の維持・向上を目指したい場合はおすすめです。

詳しい方法を知りたい方は、以下の動画からチェックできます。

曲名神経衰弱

曲名神経衰弱は、トランプの神経衰弱を曲名カードでおこなうレクリエーションです

具体的な方法は以下のとおりです。

このゲームは認知機能が低下している方や認知症の人には難しいですが、短期記憶をきたえる効果があります。

またゲーム性が高く、何度おこなっても飽きにくいのも特徴です。

曲名は利用者さんが知っている童謡や歌謡曲にすることで、答えられる方が増えます。

介護度の低い方が多いデイサービスやデイケアサービスで実施しましょう。

以下の動画では曲名神経衰弱の様子をイメージできます。

輪唱

輪唱はグループごとに時間差で歌い始め、ハーモニーを作り上げる合唱形式です。

輪唱はほかのグループの歌声を聴きながら自分も歌わなくてはいけません。

タイミングを合わせる作業がリズム感を育て、ズラして歌を歌う動作には集中力が養われます。

美しいハーモニーが生まれれば、音楽を通して仲間との感動体験もえられるので、利用者さんの心を豊かにしてくれます。

以下の動画を参考に実践してみてください。

https://www.youtube.com/watch?v=heSGUnKGjH0

音楽レクリエーションをおこなう効果

音楽を取り入れたレクリエーションは、高齢者の心身に以下のようなメリットをもたらします。

• 情緒が安定しやすくなる
• 身体機能の維持や改善につながる
• 認知症の予防に役立つ可能性がある
• 生活の質の向上する

歌を歌ったり楽器を演奏したりする活動は、健康維持や生活の質の向上に役立ちます。

情緒が安定しやすくなる

音楽レクリエーションに参加すると、高齢者の心が穏やかになり、感情のバランスが整いやすくなります。

なぜなら、音楽には脳内でセロトニンやドーパミンといった幸福感をもたらす物質の分泌を促す働きがあるからです。

高齢になると加齢や病気により、メンタルに不調が起こり、落ち込みやすくなる方も少なくありません。

しかし懐かしい曲を歌うことで、昔の楽しい思い出がよみがえり、気分が上がる方もます。

その結果、不安やストレスが軽減され、精神的に安定した状態を保ちやすくなるでしょう。

歌レクリエーションには、利用者さんが落ち着いて生活するための手段になる可能性があります。

身体機能の維持や改善につながる

リズムに合わせて手足を動かす動作や楽器を演奏する行為は、筋力や柔軟性、協調性を自然にきたえられます。

運動が苦手な人や身体を動かす習慣がない人でも、足踏みや手の運動を楽しみながらおこなうことが可能です。

歌レクリエーションを通じて日常的に身体を動かすことで、結果的に転倒リスクの低減や日常生活動作の維持につながります。

そのため、音楽に合わせて体を動かすレクリエーションは、高齢者の運動機能を維持・向上させるのに効果的です。

認知症の予防に役立つ可能性がある

オーストラリアの「モナシュ大学」の観察研究によれば、老後に定期的に音楽を聴いたり演奏したりしている人は、認知症になりにくいことが示されています。

この研究は2025年にInternational Journal of Geriatric Psychiatry誌に発表されたもので、70歳以上の1万893人の高齢者を対象に、音楽を聴く人と聴かない人を比較しました。

その結果、毎日のように音楽を聴く人の認知スコアが全体的に高く、聴いていない人よりも認知症の発症リスクが39％低いことが明らかになりました。

さらに楽器を演奏している人の認知症リスクは、演奏をしない人よりも35％減少することがわかっています。

本研究は観察研究であるため、音楽と認知症の因果関係を明確にするものではありません。

しかし、音楽レクリエーションを続けることで、認知症の予防や発症遅延が期待できる可能性があります。

生活の質の向上する

音楽を他者と楽しむことは、孤独感が和らぐだけでなく、社会的なつながりも生まれます。

たとえば施設でのカラオケ大会では、ほかの参加者と歌を通じて交流が深まり、新しい友人関係が築かれることもあるでしょう。

音楽を介したコミュニケーションによって、生活に楽しみや目標が生まれ、日々を前向きに過ごせるようになります。

音楽レクリエーションは、高齢者の生活満足度を高め、日々の暮らしがより充実するきっかけになりえます。

歌レクリエーションを失敗させないためのポイント

歌レクリエーションを成功させるには以下の配慮が必要です。

• 歌詞を用意する
• 高齢者の年代に合わせた曲を流す
• 好きな曲を聞いて流す
• 手本を見せる

事前準備を整えておくことで、レクリエーションを失敗せずにすみます。

歌詞を用意する

歌レクリエーションでは、参加者全員が見やすい歌詞カードを準備するのがおすすめです。

なぜなら、高齢者のなかには歌詞を完全に覚えていない方や、視力が低下している人もいるためです。

大きな文字で印刷した歌詞カードを配布したり、ホワイトボードに歌詞を書いたりすれば、誰もが安心して参加できます。

参加者は歌詞を気にせず歌うことに集中でき、レクリエーションもスムーズに進みます。

歌レクリエーションをする際は、なるべく歌詞を用意しましょう。

高齢者の年代に合わせた曲を流す

若い頃に親しんだ曲は記憶に深く刻まれており、自然と口ずさめるので、参加者の年代に合った懐かしい曲を選ぶのがおすすめです。

年代に配慮した曲を流すことで、参加者はなつかしさを感じながら積極的に歌えるようになります。

80代の方が多い施設では昭和20〜30年代の歌謡曲を、70代が中心なら昭和40年代の曲を選ぶとよいでしょう。

利用者さんの歌レクリエーションへの参加意欲を高めるためにも、年代に合わせた曲を流してみてください。

好きな曲を聞いて流す

歌レクリエーションで流す曲は、事前にリサーチや募集をしておくことで、参加者の満足度が上がります。

自分の好きな曲が流れると、それだけで気分が高揚し、レクリエーションへの期待感が増します。

たとえば「どのような曲が好きか」を口頭で事前に聞き、希望曲を流せば参加者も喜ぶでしょう。

その結果、普段は消極的な人も自ら進んで参加してくれる場合があり、レクリエーション全体が活気付きます。

手本を見せる

歌体操や合唱をする際は、職員が率先して歌ったり体を動かしたりすることで、参加者が安心して真似できます。

初めての活動では、不安を感じながら参加している方も少なくありません。

しかし職員が前に立って動きの手本を示せば、参加者は動作を理解しやすくなります。

参加者は自信をもって活動に取り組めるので、普段不参加な人も参加してくれる可能性があります。

そのため、職員が手本を見せるのは大切です。

カラオケや体操のときに役立つ！高齢者に喜ばれる定番の歌

カラオケや体操をする際、利用者さんが若い頃の流行歌を選べば、なつかしさを感じてもらい、レクリエーションに参加してくれる場合もあります。

70〜80歳代の利用者さんがいる施設では、以下の曲が喜ばれやすいです。

曲名	歌手
青い山脈	藤山一郎
高原列車は行く	岡本篤郎
上を向いて歩こう	坂本九
三百六十五歩のマーチ	水前寺清子
東京ブギウギ	笠置シヅ子
川の流れのように	美空ひばり
夢椿	小林幸子
きよしのズンドコ節	氷川きよし
北国の春	千昌夫
いい湯だな	ザ・ドリフターズ

特に『青い山脈』や『高原列車は行く』、『川の流れのように』は人気です。

歌レクリエーションをする際の参考にしてみてください。

高齢者レクリエーションに関するよくある質問

高齢者レクリエーションに関するよくある質問は以下のとおりです。

• レクリエーションの進み方を教えてください
• 高齢者に人気の曲はありますか？

レクリエーションの進め方を教えてください

レクリエーションの基本的な流れは、ウォーミングアップや説明をしたあとに、実施に移るのが一般的です。

まず参加者に今日の活動内容を説明し、ウォーミングアップをおこないます。

次の実施段階では、事前に準備したプログラムに沿って歌や体操を楽しみます。

高齢者に人気の曲はありますか？

高齢者に人気があるのは、昭和20〜40年代にかけてヒットした歌謡曲や童謡です。

この時期の曲が参加者の青春時代と重なり、強い思い入れがあります。

たとえば『青い山脈』『上を向いて歩こう』『川の流れのように』などは、幅広い年代に親しまれており、多くの施設の定番曲です。

また『ふるさと』『赤とんぼ』といった童謡も、歌詞が優しく覚えやすいため人気があります。

まとめ：歌レクリエーションは体操や脳トレにもなる！

音楽レクリエーションは、高齢者の心身の健康維持に多くのメリットをもたらす活動です。

情緒の安定や身体機能の維持、認知症予防といった効果が期待でき、参加者は楽しみながら健康づくりができます。

カラオケや合唱といった定番のレクリエーションから、体操や脳トレを組み合わせた活動まで、バリエーションは豊富です。

そのため、レクリエーションに普段参加しない方も楽しんでもらえる場合があります。

この記事で紹介した方法を参考に、施設や地域での活動に取り入れてみてください。