介護施設から「うざい家族」と思われる行動とは？職員に嫌われないための対処法

介護施設でのケアを受けるなかで「もしかして、うざい家族だと思われているのでは？」と不安になったことはありませんか？

頻繁な電話や細かい要求など、家族を思うがゆえの行動が、介護施設側からは「困った家族」と捉えられている可能性があります。

このような状況を放置していると、施設との信頼関係が悪化し、最終的には大切な家族が十分なケアを受けられなくなります。最悪の場合は施設から退去を求められるケースもあるでしょう。

そこでこの記事では、介護施設から「うざい家族」と思われる人の特徴を紹介します。また、施設や職員から嫌悪感を抱かれないための方法も解説します。

最後まで読めば、施設職員との良好な関係を維持しながら、家族にとって最適なケア環境を実現できるはずです。

介護施設から「うざい家族」と言われる「モンスターファミリー」とは

モンスターファミリーとは、介護施設で職員に対し理不尽な要求や攻撃的な態度を取る家族を指す言葉です。

この呼び方は介護現場で生まれた表現で、施設運営に支障をきたすほど問題のある行動を取る家族のことを表しています。

例えば、夜中に頻繁に電話をかけて職員を困らせたり、些細なことで激しく怒鳴り散らしたりする家族がモンスターファミリーに該当します。

このような家族の存在は、介護職員の精神的負担を増大させ、他利用者へのサービス提供にも悪影響を及ぼしているのが現状です。

モンスターファミリーが増えた背景

厚生労働省のデータでは、利用者・家族からのハラスメント発生状況を、事業所ごとにまとめており、以下のような結果になっています。

【事業所別：モンスターファミリーの割合】

事業所	割合
訪問介護	46.6％
通所介護	46.3％
グループホーム	55.6％
特別養護老人ホーム	46.2％

多くの事業所で4割以上のハラスメントが確認されています。モンスターファミリーが増えた背景の1つには、介護保険制度の変化が考えられます。

2000年に介護保険制度が誕生するまでは、「措置制度」と呼ばれる仕組みで、介護サービスの内容や施設などは市区町村が決定していました。

費用も税金が中心で、利用者の負担額は少額、または無料のケースが多かったようです。

しかし、2000年以降からは利用者自身が介護サービスを契約するようになり、費用も自己負担額と税金でまかなわれています。

そのため、利用者や家族は「お金を払っているからきちんとサービスを提供してほしい」と思い、より意見や要望を伝えるようになったのではないでしょうか。

それがいき過ぎてしまうと、モンスターファミリーとなってしまうと考えられます。

介護施設にとってうざい家族の特徴

モンスターファミリーと呼ばれる家族の特徴は以下のとおりです。

• 職員の介護に文句を言う
• 過度に責任追及をする
• 暴言を吐く

実際の現場でモンスターファミリーを警戒するためにも特徴を知っておくのは重要です。

職員の介護に文句を言う

職員の介護方法に対して常に批判的な態度を取ることは、モンスターファミリーの典型的な特徴です。専門的な知識がある介護職員の判断や手順を理解しようとせず、自分の価値観だけで介護方法を否定します。

とくに、介護サービスを受けるまで自宅で介護をしていた方にこの傾向が見られるでしょう。

例えば、安全性を考慮した食事形態の変更や、医師の指示による服薬管理に文句を言う方はモンスターファミリーの傾向が強めです。

このような方は、施設側や職員の理由を聞こうともせずに「前はこうだった」「自宅では違った」と文句を言い続けます。

職員に文句を言う家族の存在は、職員のモチベーション低下を招き、結果的に利用者本人にとってもマイナスの影響を与えてしまいます。

過度に責任追及をする

些細な出来事や避けられない事故に対して、執拗に責任を追及することもモンスターファミリーの特徴です。

例えば、転倒リスクの説明を受けていたにもかかわらず、実際に事故が起きた際に「なぜ防げなかったのか」と激しく職員を責め立てる方がいます。

対面での謝罪や賠償をしたにもかかわらず、責任者を呼び出したり過度な対応を求めたりする家族は事業所運営に支障をきたします。

このような行動は職員の萎縮を招き、適切な介護サービスの提供を阻害するため、モンスターファミリーといえるでしょう。

暴言を吐く

感情的になり職員に暴言を吐くことは、深刻なモンスターファミリーの行動です。このような家族は、人格を否定するような言葉や差別的な表現で職員を攻撃し、介護現場の雰囲気を悪化させます。

「〇〇（利用者）の体調が悪いのはお前のせいだ」「こんな介護しかできないなら辞めろ」などの発言はすべて暴言です。

このような言動は職員の心理的な傷となり、離職率の上昇や新規職員の確保困難といった問題を引き起こします。結果的に施設全体のサービス品質低下につながり、ほかの利用者にも迷惑をかけることになります。

介護施設で家族が職員から信頼されるためのコミュニケーション方法

介護施設で家族が職員から信頼されるためのコミュニケーション方法は以下のとおりです。

• 具体的な要望を伝える
• 介護職員の判断に耳を傾ける
• 入居者本人の意思を大切にする
• 他利用者と比較しない

家族と職員が信頼を構築できれば、入院や転倒など急な対応が発生したときでも円滑な連絡と連携が可能です。利用者が施設でより安全に暮らせるようになるので、ぜひ確認してみてください。

具体的な要望を伝える

職員との信頼関係を築くためには、抽象的な要求ではなく具体的な要望を伝えるのが効果的です。曖昧な表現では職員も対応に困ってしまい、結果的にお互いの不満につながってしまいます。

「もっと丁寧にしてほしい」ではなく、「入浴時に肌の状態を確認してもらえますか」「食事の際は左手で食べやすいように配置してください」と伝えましょう。

さらに要望に対して具体的な理由もあると、職員により理解してもらえるはずです。明確なコミュニケーションにより、職員も適切な対応ができ、家族の要望に応えやすくなります。

介護職員の判断に耳を傾ける

介護のプロである職員の専門的な判断を尊重し、その理由を理解しようとする姿勢が信頼関係の構築につながります。

家族の感情的な思いと専門的な判断が異なる場合もありますが、まずは職員の説明を聞くことが大切です。

例えば、食事制限や活動制限に職員から説明があった際は「なぜそうする必要があるのか」「どのような配慮をしているのか」を質問し、理解を深めましょう。

職員も「家族が理解してくれている」と感じることで、より良いケアを提供する意欲が高まります。

入居者本人の意思を大切にする

家族の希望よりも、入居者本人の意思や気持ちを最優先に考える姿勢は、職員からの信頼を得るうえで欠かせません。

家族の思いと本人の希望が一致しない場合がありますが、本人の尊厳を尊重することが介護の基本原則です。

例えば、家族は積極的なリハビリを望んでいても、本人が疲れやすく無理をしたくない場合は、利用者のペースに合わせた対応にするべきです。

このような配慮により、職員は家族が介護の本質を理解していると感じ、より協力的な関係を築けます。

他利用者と比較しない

ほかの利用者や家族と比較する発言は避け、自分の家族の個別性を理解してもらう姿勢が信頼関係につながります。

なぜなら、利用者一人ひとりの状態や必要なケアは異なるため、比較することで適切な判断を阻害してしまいます。

「隣の部屋の方はもっと手厚くケアしてもらっている」「ほかの家族はもっと頻繁に報告を受けている」といった発言は控えましょう。

代わりに、「うちの母に必要なケアは何か」「どのような状態変化に注意すべきか」など個別の相談をすることで、職員も的確なアドバイスができます。

介護施設で家族と職員が良好な関係を築くための心構え

介護施設で家族と職員が良好な関係を築くための心構えは以下のとおりです。

• 職員を尊重する
• 施設に定期的に訪問して情報共有をする
• 問題が起きたときの対策を聞いておく

家族と職員の関係が悪化すると、利用拒否にもつながるので、良好な関係を築いておくことは大切です。

職員を尊重する

介護職員を一人の人間として尊重し、感謝の気持ちを表現することで良好な関係を築けます。

職員も認められることで仕事への意欲が高まり、より質の高いケアを提供する気持ちになります。

そのため、面会時に「いつもお疲れ様です」「母のことを気にかけてくださりありがとう」といった言葉をかけるだけで、職員との距離は縮まるでしょう。

日常的な配慮の積み重ねが家族と職員の信頼関係を深め、利用者本人にとってもよい環境を作り出します。

施設に定期的に訪問して情報共有をする

定期的な面会により職員との情報共有を密にすることで、利用者の状態変化を早期に把握し、適切な対応につなげられます。

週に1回程度の面会に行き、施設や自宅での様子を伝えるのはおすすめです。職員も家族が関心をもって見守っていることを感じ、より丁寧な観察と報告を心がけるようになります。

家族と職員の双方向のコミュニケーションにより、利用者にとって最適なケアプランの調整が可能となり、家族の安心にもつながります。

問題が起きたときの対策を聞いておく

事前に緊急時や問題発生時の対応手順を確認しておくことで、実際に問題が起きた際の混乱を防ぎ、冷静な対処ができます。

職員も家族が施設の方針を理解していることで、安心して適切な判断を下せます。

急変時の連絡先や転倒事故時の対応手順、感染症対策の方針などを事前に確認しておきましょう。

家族が施設側と準備しておくことで、いざという時に家族と職員が連携して迅速な対応を取れ、利用者の安全確保につながります。

介護施設選びで家族が注意すべきポイント

介護施設を選ぶ際の注意点は以下のとおりです。

• 職員や入居者の雰囲気
• 本人の意思や希望
• 立地条件
• 入居・退去条件

家族が職員と良好な関係を築くためには介護施設選びも重要です。

職員や入居者の雰囲気

施設見学時は、職員同士や職員と入居者の関係性を観察し、温かく自然な雰囲気があるかが重要です。

よい施設では職員が入居者一人ひとりに丁寧に接し、笑顔での会話が自然に交わされています。

見学をする際は、職員が利用者の名前を覚えて親しみやすく声かけしている様子や、リラックスして過ごしている姿を確認しましょう。

職員の利用者に対する接し方で、家族も安心して大切な人を託せる施設か判断できます。

本人の意思や希望

入居予定者本人の気持ちや希望を最優先に考慮し、本人が納得できる施設選びをすることが、のちのトラブル回避につながります。

家族の都合だけで決めてしまうと、本人の不満が職員への攻撃的な態度に現れます。

利用者が「個室がいい」「お風呂は一人で入りたい」などの希望がある場合は、それらの条件を満たせる施設を探すのがおすすめです。

本人の意思を尊重した施設選びにより、入居後の生活満足度が高まり、家族と施設の関係も良好に保たれます。

立地条件

家族が無理なく面会に通える立地条件を考慮することで、継続的なかかわりを維持し、施設との良好な関係を築けます。

面会頻度が少なくなると、利用者の状態変化に気づくのが遅れますし、職員との信頼を構築するのにも時間がかかります。

施設を探す際は、公共交通機関でのアクセスの良さや、家族の住居からの距離などから総合的に判断しましょう。

適切な立地選択により、家族が定期的に面会でき、職員との情報共有も密に取れるため、利用者にとってよいケア環境が整います。

入居・退去条件

契約時に入居・退去の条件を詳細に確認し、将来的な状態変化に対応できるかを判断することで、利用者も家族も安心を得られます。

なぜなら曖昧な条件のまま契約すると、のちのトラブルの原因となり、家族と施設の関係悪化を招くケースがあるからです。

医療依存度が高くなった場合の対応や、認知症の進行時のケア体制、終末期における方針などを事前に確認しておきましょう。

明確な条件把握により、家族も施設も互いの責任範囲を理解でき、長期的なかかわりが可能になります。

よくある質問

モンスターファミリーに関するよくある質問は以下のとおりです。

• モンスターファミリーの特徴は？
• 嫌がる親を施設に入れる方法は？
• 介護施設でのNG行為は？
• 介護施設から退去させられる理由は？
• よい介護施設の特徴は？

モンスターファミリーの特徴は？

モンスターファミリーの特徴は、職員への過度な要求や攻撃的な態度にあります。具体的には以下のとおりです。

• 理不尽なクレームを頻繁に入れる
• 職員の専門的判断を無視して自分の要求を押し通そうとする
• 些細なことで激怒して暴言を吐く

また、他利用者と比較して不平を言ったり、夜中に緊急でもないのに電話をかけたりするケースもあります。

このような行動は職員の負担を増大させ、施設全体のサービス品質低下を招く原因となります。

嫌がる親を施設に入れる方法は？

親が介護施設への入居を嫌がる場合は、まず本人の不安や心配事を丁寧に聞き取ることから始めましょう。

多くの場合、「家を離れたくない」「知らない人と生活するのが不安」など具体的な理由があります。

そのうえで、施設見学や体験入居をして実際の雰囲気を感じてもらうのが効果的です。

また、かかりつけ医やケアマネジャーから医学的な必要性を説明してもらうことで、本人の理解を得やすくなります。

強制的に入居させず、時間をかけて本人の気持ちに寄り添うことが大切です。

介護施設でのNG行為は？

介護施設において家族が避けるべき行為は多岐にわたります。

職員への暴言や威圧的な態度は深刻なNG行為であり、施設利用停止の原因にもなりかねません。

また、家族が作ってきた調理済みの食事提供の依頼や、施設のルールを無視した面会・外出などは禁止されています。

所属する介護施設によりNG行為は変化するので、入居前に確認しておくのがおすすめです。

介護施設から退去させられる理由は？

介護施設からの退去理由は、家族による職員への暴力や暴言、執拗なクレームや嫌がらせなどの事実があり、再発する可能性がある場合です。

契約違反となる行為を繰り返しながらも、改善指導を無視し続ける場合は、最終的に退去を求められることがあります。

よい介護施設の特徴は？

よい介護施設では、利用者一人ひとりの個性や希望を尊重したケアを提供しています。職員の様子は、利用者と自然な会話や笑顔でかかわっているのが特徴です。

環境面では、施設内は清潔で安全性が保たれており、利用者が安心して過ごせる雰囲気があります。

このような施設は、家族との情報共有も密におこない、透明性の高い運営をしています。また、よい介護施設は職員の離職率が低く、経験豊富なスタッフが長く勤務している傾向が高めです。

介護施設の自由度や職員の様子、離職率の高さなどが、よい施設かを見分けるポイントです。

まとめ：介護施設に「うざい家族」と思われないためには、職員への尊重と定期的な情報共有が大切

家族は「利用者のため」と思っている言動も過度になると、介護施設から「うざい家族」と思われてしまいます。

職員と信頼関係を築けていない状況は、自身だけでなく家族にも悪影響を及ぼす場合があります。しかし大切な家族を預けている以上、施設や職員に要望や意見を伝えたくなるのは当然です、

そのため介護施設に何かを伝える際には、職員への配慮と定期的に訪問して状況を知っておくことが大切です。

要望を伝える際には、「申し訳ないですが」のような言い回しにすることで、職員側も意見を受け止めやすくなります。訪問頻度が多いのも効果的で、1週間に1回程度顔を合わせて情報共有をすれば、職員も家族の関心に応えようと感じます。

他利用者と差をつけることはないですが、普段から利用者の変化に気づきやすくなり、些細な情報でも伝えてくれるでしょう。職員との信頼関係の構築には時間がかかりますが、家族や自身が安心して生活するためにも、ぜひ実践してみてください。