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看護師必見!デイサービスで直面する急変対応とは?解決策や想定事例を紹介!
デイサービスは医師が常駐していないため、急変対応は看護師が率先して行う必要があります。看護師の人数も少なく、事前にどのような対策が必要かを理解していないと対応が遅れます。最悪の場合、利用者の命に関わる事態に発展する場合もあるでしょう。
想定事例も解説しているので、状況に応じて対応できます。ぜひ最後までご覧ください。
デイサービスで利用者が急変!看護師がすることは?
デイサービスで利用者が急変したときの対応は以下のとおりです。
- 周囲の安全を確保
- 人を呼ぶ
- 呼吸の確認
- 心配蘇生を開始・継続
それぞれ解説します。
周囲の安全を確保
利用者が急変した場合は、まず自分や周囲の安全を確保しましょう。安全を確保することで、周りの利用者や職員への2次被害を防げます。危険な物や不安定な物がないかを確認し、あれば排除してください。
感染が予想される方に対応する場合は、防護服を着用する必要があります。
人を呼ぶ
安全を確保できたら、次は職員や看護師を呼ぶことが大切です。急変時の対応には人手が必要なので、1人で何とかしようとしてはいけません。他の職員を呼び、状況に応じて119番の依頼やAEDを持ってきてもらうよう、指示してください。
人が来るまでに時間がある場合は、肩を叩きながら耳元で名前を呼び、反応の有無を確かめましょう。
呼吸の確認
次に呼吸の確認をしていきます。呼吸があれば、回復体位の姿勢を作ります。回復体位とは、軌道を確保した安全な姿勢のことです。まず利用者を側臥位にし、下あごを前方に出します。次に両肘を曲げて上側の手の甲を頭の下に入れ、上側の足の膝を約90度に曲げます。
回復体位の姿勢を維持して、看護師やかかりつけ医と今後の対応を決めましょう。
心配蘇生を開始・継続
呼吸がない、異常な場合は心肺蘇生を開始します。胸骨圧迫(心臓マッサージ)や軌道確保をして心肺蘇生を試みます。AEDが到着したら、ガイドに従って利用しましょう。救急隊が来るまでは、心肺蘇生を継続的に行います。
急変対応の想定事例
ここでは、デイサービスで起こりやすい状況に沿った急変対応を紹介します。急変対応が起こる状況を事前に予測しておくことで、すぐに対応できます。
- 車内での意識喪失
- 送迎時の転倒・転落
- 送迎時・デイサービス内での嘔吐
- 食事中の窒息
ぜひ参考にしてみてください。
車内での意識喪失
利用者が送迎車内で意識喪失をした場合、まずは安全な姿勢を保ちましょう。シートを倒して横向きにし、呼吸の有無を確認します。次に、名前を呼んだり肩を軽く叩いたりして意識を確認します。バイタルに異常がある場合や意識がない場合は、即座に救急搬送が必要です。心肺蘇生法やAEDを使用し、応急処置を行いつつ、救急隊の到着を待ちます。
送迎時の転倒・転落
送迎車の乗り降り時に転倒や転落がよく発生します。転倒や転落が生じたら、利用者の痛みや外傷の程度を評価します。身体に問題がないと判断したら、安全な場所に移動しましょう。頭部や脊椎に損傷が疑われる場合は、その場で待機し、救急を要請します。
送迎時の転倒や転落はデイサービスで頻発する事故なので、対応策を事前に考えておくことが重要です。
送迎時・デイサービス内での嘔吐
デイサービスでは利用者がウィルス感染や食事の咽詰まりによる嘔吐をする場合があります。送迎中に嘔吐があれば、すぐに利用者を前屈みにし、軌道が塞がれないように対応します。予防のために、エチケット袋や手袋は車内に用意しておきましょう。事業所で嘔吐が発生した場合は、2次被害を防ぐために周囲と自分の安全を確保します。対応には専用のエプロンや手袋を着用してください。
食事中の窒息
顔色が紫色に変わったり呼吸困難を起こしている場合は、食事が喉に詰まっている可能性が考えられます。様子を確認し、呼吸に問題がなければ、強い咳を促します。また、背中を叩くのも有効な対処法です。改善が見られない場合は、腹部突き上げ法(ハイムリック法)を行います。
【ハイムリック法の手順】
・窒息している人の背後に立つ
・両腕を腰に回し、一方の手を拳にする
・一方の手を重ねて握る
・拳をみぞおちよりも少し上に置く
・「J」を描くように急激に内側と上方へ力を加える
ハイムリック法でも改善が見られない場合は、心肺蘇生を開始します。
救急要請をするときの対応
デイサービスでは、利用者の状態に応じて救急要請をする必要があります。
救急要請をする際は、以下の手順で進めていくとスムーズに対応できます。
- 救急(119番)に連絡する前の準備
- 救急(119番)に連絡
- 救急車が来る前にできること
- 救急隊に状況報告
- 担当ケアマネージャーへ報告
ぜひ参考にしてみてください。
救急(119番)に連絡する前の準備
救急に連絡をすると、電話口では以下の情報を聞かれます。
- 利用者の名前
- 利用者の性別
- 利用者の年齢
- 電話した人の名前
- デイサービスの電話番号・住所
- 状況説明
- 既往歴
連絡する際は、利用者の看護サマリーや情報書を手元に置いておきましょう。
救急(119番)に連絡
物の準備が整ったら、電話をかけます。緊急時は焦ってしまうことがありますので、電話をかける前に話す内容をメモしておきましょう。特に重要なのは、状況説明です。救急隊に伝わる情報が詳細であればあるほど、到着時に早く対応できます。電話の前に深呼吸をして、冷静になってから情報を伝えてください。
救急車が来る前にできること
救急車が到着する前に準備するものは以下の通りです。
- 健康保険証
- 診察券
- お薬手帳
- 薬
救急車が来るまでの時間は8〜10分程度です。その間に、利用者が貴重品を納めているバッグを持って準備しておきましょう。また、動線の確保も行っておく必要があります。
事務職員に声をかけて通用口の扉を開けたり、救急隊を誘導する準備をしたりしましょう。
救急隊に状況報告
救急隊が到着したら、状況を報告します。現在の病歴や既往歴、急変するまでの様子などを聞かれるので、答えていきます。看護師が状況を見ていない場合もあるので、当時の様子を知っている職員に話を聞いておきましょう。救急隊への報告が済んだら、救急車内や病院へ到着後、利用者の家族に連絡をします。
担当ケアマネージャーへ報告
救急車での搬送が終了し、病院へ到着したら、利用者のサービスをキャンセルするため、担当のケアマネージャーに連絡します。同時に、救急搬送をしたことや現状の報告も忘れずにしましょう。利用者はデイサービスだけでなく、他の介護サービスを利用している場合もあります。そのため他の事業所へも連絡をし、情報の共有を忘れてはいけません。
デイサービスで利用者が急変したら落ち着いて対応しましょう!
デイサービスで利用者が急変した場合、1人で対応しようとはせずに、周囲に協力してもらいましょう。デイサービスは送迎中のような普段とは異なる環境で利用者が急変する場合があります。そのため冷静に医療処置を施せるように、想定事例を通してイメージトレーニングしておくことが重要です。
また看護師は、救急要請を担当するケースがあります。救急要請をした際に聞かれることや事後の対応を事前に知っておくことで、焦らずに対応できます。ぜひ今回の記事の内容をもとに実践してみてください。