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【違反事例から学ぶ】介護士の医療行為に関する罰則とは?

社会福祉士及び介護福祉士法の改正により平成24年度以降(2012年)介護職は、一部の医療行為を行えるようになりました。しかし、介護職が関われる医療行為の業務範囲は、わかりにくくなっているのが現状です。

今回では、介護職が行える医療行為とそうではない医療行為を紹介します。

介護職がどこまで医療行為に関われるか明確になるので、ぜひ最後まで読み進めてください。

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目次

介護職ができる医療行為

介護職や介護福祉士によって行える医療行為が異なります。

この章では以下について解説します。

  • 医療行為に該当しない行為
  • 利用者に異常がなければ介護職に許されている医療行為
  • 介護福祉士が行える医療行為

医療行為を行う際の指標に活用してみてください。

医療行為に該当しない行為

まずは介護職や介護福祉士が行える医療行為に該当しない行為を紹介します。

具体的には以下のとおりです。

  • 体温測定
  • 自動血圧測定器を使用した血圧測定
  • パルスオキシメーター(SpO2)の測定
  • 切り傷や火傷などの軽度な処置(ガーゼ交換・絆創膏の貼付など)
  • 湿布の貼付
  • 点眼
  • 服薬介助
  • 座薬の挿入
  • 鼻腔粘膜への薬物噴霧(点鼻薬など)

上記の処置については、利用者の身体に異常が発生していない限り医療職や福祉職だけでなく全ての職員が対応可能です。

利用者に異常がなければ介護職に許されている医療行為

医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条では原則医療行為は、医師や歯科医師・看護師など医療行為に関する免許を有する者が行うとされています。

しかし、以下の処置は介護現場で対応しなくてはいけないケースが多いため、規制の対象外となっています。

  • 爪切り(爪の皮膚に化膿や炎症などが見られない場合)
  • 口腔内洗浄(歯磨きや口腔粘膜の洗浄)
  • 耳垢の除去
  • ストーマのパウチに溜まった排泄物の除去
  • 自己導尿を補助するためのカテーテルの準備・体位変換
  • 市販の浣腸を用いて処置を行う

ただし利用者の病状が不安定であったり急変していたりする場合は医療従事者の指示に従って対応する必要があります。

医療ケアを行える介護福祉士ができる医療行為

社会福祉士及び介護福祉士法の改正により平成24年度以降(2012年)に介護福祉士を取得した方は、一部の条件を満たすことで喀痰吸引と経管栄養が行えるようになりました。

喀痰吸引とは、自力で痰除去ができない方に口腔内や鼻腔内・気管内に管を通して痰を除去する医療ケアです。経管栄養は、口から栄養補給ができない方に胃や腸に管を通し直接水分や栄養を投与する方法です。

喀痰吸引や経管栄養を実施するには以下の条件を満たす必要があります。

  • 平成29年度以前(2017年)に資格を取得した方
    • 喀痰吸引等研修(基本研修・実地研修)の受講
  • 平成29年度以降(2017年)に資格を取得した方
    • 喀痰吸引等研修(実地研修)の受講

2017年以前に介護福祉士を取得した方は、実務者研修のなかにカリキュラムがなかったので基本研修と実地研修を受ける必要があります。

2017年以降に介護福祉士を取得した方は実地研修を受けたあと各都道府県へ申請をして「認定特定行為業務従事者」を受けることで、医療ケアを行えます。

介護職ができない医療行為

介護職が行えない医療行為は以下のとおりです。

  • インスリン注射
  • 摘便
  • 点滴の管理
  • 床ずれの処置

それぞれ具体的に解説します。

インスリン注射

インスリン注射とは、糖尿病の治療で行われる処置方法です。

介護職はインスリン注射を行えませんが、サポートはできます!

介護職が行えるインスリン注射のサポート内容は以下のとおりです。

  • 器具の準備
  • 血糖値測定の際の声かけ・見守り
  • 血糖値器具の数値のチェック
  • 注射器の手渡し
  • 使用済みの注射器の片付け

介護職はインスリン注射の事前準備や事後の対応が可能です。

摘便

摘便とは、排便を促すために、肛門部から指を入れて直腸を刺激し便を排出させる看護技術です。寝たきりや麻痺により、自力での排泄が困難な方に行います。

摘便は医療行為なので、介護職は行えません。

便の排出が困難な利用者がいたら、必ず医師や看護師を呼びましょう。

点滴の管理

点滴とは、目に見える手足の血管に直接栄養剤や水分を投与する方法です。点滴は血管に直接針を刺してチューブをつなぐ必要があります。

点滴の管理は医療行為に当たるので、介護職は行えません。

床ずれの処置

床ずれ(褥瘡)とは、寝たきりや座った状態など長時間同じ体勢でいることで、身体の一部が圧迫され組織への栄養が滞り、皮膚に炎症を起こしたり損傷をしたりする状態のことです。

褥瘡の処置は、症状に合わせて適切な処置が必要です。

医師や看護職が処置に介入する必要があるので介護職は行えません。

医療行為をする際に介護職が意識しておくこと

介護保険法の変更に伴い、介護職が行える医療行為の範囲は広がりました。

そこで、介護職が医療行為をする際に、意識しておくことを3つ紹介します。

  • 医療行為違反にならないよう最善の注意を払う
  • 医療行為かどうかわからない場合は相談する
  • 介護職が関われない医療行為でも確認しておく

医療と介護の境目が少なくなってきたことから、今後介護職が医療行為にあたる機会は増えるので、ぜひ確認しておきましょう。

医療行為違反にならないよう最善の注意を払う

介護職が摘便をしたりインスリン注射を行ったりするのは、医療行為違反にあたります。

禁止されている医療行為の中には「介護職でもできるのではないか」と思われている処置があります。そのため介護職の医療行為の範囲を把握していない事業所では、介護職に医療行為を行わせる現場がいまだに存在しているのが実情です。

医療知識がない状態で医療行為を行うのは法律違反です。

医療行為を行う際は違反になっていないか最善の注意を払い、仮に医療行為違反にあたる処置を指示された場合はすぐに断りましょう。

医療行為かどうかわからない場合は相談する

介護の仕事に関わるうえで「これは医療行為になるのか?」と悩む場面があるでしょう。

利用者や家族から介護職が行えない医療行為を依頼されることもあります。もし医療行為かそうでないかわからないときは、必ず医師や看護職に聞いてください。

「これくらいなら大丈夫」と思い、医療行為を行ってしまうと重大な事故に発展する可能性があります。

少しでも怪しいと感じたら、医療職に判断を仰ぎましょう。

介護職が対応できる医療行為を確認しておく

介護職が関われる医療行為かそうでないかの医療知識は常に学んでおきましょう。

現場にいる医師や看護師とコミュニケーションを取って情報収集することも必要です。

職場で医療知識の研修があれば、積極的に参加するのをおすすめします。

利用者の安全や自身を守るうえでも、介護職の医療行為の可否を確認してみてください。

現場によっておこなえる医療行為が変わるので気をつけましょう

介護職が行える医療行為について解説しましたが、利用者の状態によって介護職が行える医療行為でも医療職が行う場合があります。

介護職はまず利用者一人ひとりの病状を理解しておくと、すぐに対応できます。もし「この方には医療行為は実施可能か」と悩んだら、すぐに医療職に聞きましょう。

介護職が曖昧な判断をするのではなく、医師や看護師と相談してから医療行為を実施してください。

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