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【介護認定調査とは?】家族が受けるときのポイントも解説
そして要介護認定をされるには、認定調査を受ける必要があります。しかし認定調査の様子を見る機会はほとんどないと思うので、はじめて受ける方は、どのように対応すればいいのかわからないですよね。
最後まで読むと、認定調査の流れまでわかるので、ぜひご覧ください。
認定調査とは?3つの判断項目
認定調査には3つの判断項目があります。
- 基本調査
- 概況調査
- 日常生活自立度
それぞれ3項目はどのような基準が定められているのでしょうか?
具体的に見ていきましょう。
基本調査
まずひとつめは、基本調査です。基本調査は74項目・5つの分類に分かれています。
- 身体機能 / 起居動作
- 生活機能
- 認知機能
- 精神・行動障害
- 社会生活への適応
また過去14日間の医療行為についても調査をします。
認定調査員は「能力」「介助の方法」「麻痺や拘縮などの有無」の3つが評価軸です。調査対象者に実際に動作を行ってもらったり、福祉用具を使用していたりするかなどを確認します。
概況調査
概況に記載されるのは、以下の3つです。
- 家族状況
- 対象者の住居および他の環境
- 使用している装具や機械
さらに高齢者の状況を詳しく書くため、生活に支障をきたしている疾患や家族の援助状況を記載します。
少ないスペースなので、認定対象者の主訴や生活の支障を簡潔に記載するようにしてください。
日常生活自立度
最後は日常生活自立度の記入欄があります。
日常生活自立度には2種類あり、「障害高齢者の日常生活自立度」と「認知症高齢者の日常生活自立度」を認定調査で確認していきます。
障害高齢者の日常生活自立度は、寝たきり度と呼ばれ4つのランクに分かれています。
- ランクJ
- 何らかの障害等を有するが、日常生活はほぼ自立しており独力で外出する
- ランクA
- 屋内での生活は概ね自立しているが、介助なしに外出できない
- ランクB
- 屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが、座位を保つ
- ランクC
- 日中ベッド上で過ごし、排泄、食事、着替において介助を要する
認知症高齢者の日常生活自立度は、9つのランクに分かれています。
- ランクⅠ
- 何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭及び社会的にはほぼ自立している
- ランクⅡ
- 日常生活には支障をきたすような症状・行動や意思疎通のこんんあんさが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる
- ランクⅡa
- たびたび道に迷うとか、買い物や事務、金銭管理などそれまでできたことにミスが目立つ等
- ランクⅡb
- 服薬管理ができない、電話の応対や訪問者との対応など一人で留守番ができない等
- ランクⅢ
- 日常生活に支障をきたすような症状・行為や意思疎通の困難さが見られ、介護を必要とする
- ランクⅢa
- 日中を中心としてⅢの状態が見られる
- ランクⅢb
- 夜間を中心として上記Ⅲの状態が見られる
- ランクⅣ
- 日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、常に介護を必要とする
- ランクM
- 著しい精神症状や問題行動あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする
以上の判断基準をもとに、要介護認定を実施します。
認定調査を受けるときのポイント
認定調査を受けるときのポイントは以下のとおりです。
- 困り事ははっきりと伝える
- 質問には正直に答える
- 高齢者の気持ちを尊重する
それぞれ具体的に解説します。
困り事ははっきりと伝える
質問内容以外にも、介護において気になっていることや困っていることははっきりと伝えましょう。
要介護認定の判断材料として認定調査票に記載してもらえます!
とはいえ、はじめての認定調査だと緊張してしまい、認定調査が終わってから伝えたい内容が出てくることもあるかと思います。ですので、普段の様子をメモしておきましょう。
家族の介護状況を具体的に伝えられるので、調査員も理解しやすく、判定に反映しやすくなります。
質問には正直に答える
「これは言わない方がいいかな」と普段の状態よりもオーバーに伝えてしまうと、適切な介護認定がされにくくなります。
質問には正直に答えるようにしましょう!
質問に回答しやすくなるためにも介護メモが役立ちます。
高齢者の気持ちを尊重する
高齢者の方は、認定調査の前では質問に対して控えめに答えたり、普段より元気な様子を見せたりしてしまいがちです。そのようなことが起きると心身の状態と合わない介護認定をされてしまう可能性があります。
家族が高齢者の前で普段の様子を調査員に直接的に伝えてしまっては高齢者の自尊心を傷つけてしまいます。
なるべく家族と調査員が二人きりになったタイミングで伝えるといいでしょう。
認定調査の流れ
ここからは認定調査の流れを紹介します。
具体的には以下のとおりです。
- 要介護認定を申請
- 介護認定調査の実施
- 審査判定
- 認定の結果通知
必要な書類なども解説しているので、申請する前に確認しておきましょう。
要介護認定を申請
要介護認定はお住まいの市区町村の窓口で行えます。要介護認定の申請で必要になる書類は以下のとおりです。
- 申請書
- 介護保険の被保険者証
- 健康保険の保険証(64歳以下の場合)
- マイナンバーカード・もしくは通知カード
本人か家族が市区町村で申請します。
介護認調査の実施
申請後、市区町村の認定調査員・または市町村に委託されているケアマネージャーが訪問します。そして先ほど紹介した3つの判断項目や質問をもとに認定調査票を作成します。
審査判定
介護認定調査は、一次判定と二次判定の2種類あります。
- 一次判定
- 認定調査員による認定調査の結果と主治医意見書の見解をコンピューターが判断します。
- 二次判定
- 一次判定の結果と、主治医の参考書や認定調査票の特記事項が判断材料です。
認定の結果通知
申請から約1ヶ月後に結果の通知がきます。
- 非該当
- 要支援1〜2
- 要介護1〜5
上記の区分で認定されます。
非該当の場合も地域支援事業による介護予防教室や生活支援サービスを利用することができます。要介護認定に適応された場合、介護サービス計画書(ケアプラン)の作成が行われます。
介護サービス計画書とは、高齢者の状態や家族の悩みをもとに、高齢者に対してどのような介護サービスを実施すれば心身ともに元気に生活できるかを考えるプランのことです。
- 要支援に認定された場合
- ケアプランは市区町村の地域包括支援センターに依頼されます。
- 要介護の場合
- 在宅サービスか施設サービスを受けられますが、どちらも介護支援専門員がケアプランを作成することで介護サービスが実施されます。
認定調査の流れや目的を把握し、落ち着いて対応しましょう!
認定調査の流れや目的を理解しておくことで、適切な介護度が認定されます。
それは正確な介護サービスが実施されることになるので、高齢者だけでなく家族や介助者にとってもメリットのあることです。
はじめての認定調査に備えるためにも、今回の内容を抑えておくといいでしょう。