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施設で亡くなった場合の対応は?葬儀の流れとご家族への適切な支援も解説
介護施設で利用者が亡くなった場合、職員としてどのように対応すべきか悩んだことはありませんか?
いざというときに具体的な手順や注意点がわからず、戸惑ってしまう職員も少なくありません。
適切な対応を知り、利用者やご家族に寄り添える介護のプロを目指していきましょう。
介護施設で利用者が亡くなった場合の流れ

介護施設で利用者が亡くなった場合の対応は以下のとおりです。
- 危篤やご臨終の連絡
- ご臨終、死亡宣告
- 医師からの説明・家族との時間
- エンゼルケア
- 医師による死亡診断書の発行
- 葬儀会社による搬送や手続き
危篤やご臨終の連絡
まずは施設からご家族へ、利用者が危篤状態であることやご臨終の連絡を行います。
家族が付き添って看取ることができるのであれば、連絡の必要はありません。
遠方に住んでいたり仕事で付き添えなかったりする場合は、担当の介護職や主任・リーダーから電話をします。
利用者の家族から施設に緊急でもつながる連絡先を伺っておくことが大切です。
ご臨終、死亡宣告
医師による死亡宣告を行います。
死亡宣告の流れは以下のとおりです。
- 心配拍動および呼吸の停止の確認
- 脳機能の停止の確認
- 死亡時刻の確認
- 家族に死亡宣告を確認する
病死または自然死の場合は、死亡時刻は医師が死亡を診断した際の時刻です。
医師の診断により死亡が確認された場合には、家族に対して死亡宣告を行います。
医師からの説明・家族との時間
死亡宣告後、医師から死亡に至った経過の説明が行われます。
このタイミングで可能であれば、医師から家族へその後の処置対応の希望を伺います。
例えば、人工肛門による手術の後があるのであれば、縫って閉じる処置を行うか、そのままにしておくかなどです。そして介護施設のスタッフが、死亡後の排泄処理を行う許可を得てケアに入ります。
家族にとっては大切な時間なので、かける言葉に留意しながら、処置のタイミングについて伺いましょう。
エンゼルケア
臨終告知後、家族との時間を過ごしたタイミングで声かけを行い、対応します。
エンゼルケアで行うことは以下のとおりです。
- 口腔・眼内ケア
- 開口の対応
- 全身清拭
- 爪切り・手浴・足浴
- 簡易シャンプー・整髪
- 顔のメイク
施設に常駐している看護師が行うケースが多いですが、とくにルールは決まっていません。
医師による死亡診断書の発行
医師から死亡診断が渡されます。施設で利用者が亡くなった場合、嘱託医師や医療機関の医師に死亡診断をしてもらい、亡くなった方の死亡診断書が発行されます。
死亡診断書の手配は施設側で行うため、遺族が医師を探して連絡する必要はありません。
また死亡診断書は重要な手続きの際に必要になるため、遺族には大切に保管しておくよう伝えましょう。
葬儀会社による搬送や手続き
次に葬儀会社の手配を行います。
葬儀社が到着したら、遺体の搬送先を決めます。施設で亡くなった場合、遺体は葬祭ホールにそのまま搬送されるか、自宅の安置場所へ搬送されるかのどちらかです。
亡くなられた時点で依頼する葬儀社が決まっていないときは、施設から紹介することもあります。
遺体搬送だけを葬儀社や搬送専門業者に依頼することもできるので、葬儀の詳細が定まっていなくても問題ありません。
葬儀社に遺体搬送を手配する際に伝える内容は以下です。
- 故人の名前・性別・生年月日
- 故人の遺体がある施設名
- 遺体の搬送先の住所
- 手配した人物の名前や故人との続柄・連絡先
遺体搬送が始まると、あわただしくなるので、その前に身の回りの整理を行っておきましょう。
葬儀の種類

一般的な葬儀の形式としては、主に4種類あります。一般葬・家族葬・一日葬儀・直葬(火葬式)です。
一般葬は、一般的な葬儀の形です。
故人の家族・親族はもちろん、親交のあった友人・知人など多くの方と最期のお別れを行います。故人の交友関係が多いほど、葬儀の規模は大きくなるでしょう。
家族葬は、故人の家族・親族、親しい友人など限られた参列者たちだけで行う葬儀です。
規模は小さく、プライバシーを重視しているため、外部の参列者が少ないのが特徴です。費用を抑えられ、故人との最期の時間を静かに過ごせます。
一日葬は、お通夜を省略し、告別式のみを執り行う葬儀です。
1日で葬儀と火葬まで全てを完結できます。そのため、参列者に高齢者が多い場合は身体的な負担の軽減につながります。
施設で利用者が亡くなった場合は、スタッフが弔問に訪れることもあるでしょう。ご家族の迷惑にならないよう、一般的な葬儀の種類や形式の知識も付けておくと良いです。
老人ホーム・介護施設での葬儀
老人ホームや介護施設によっては、利用者が亡くなった後にそのまま施設内でお葬式を執り行う場合があります。
ここでは、施設内で葬儀を行うメリットやデメリットについて解説します。
施設で葬儀を執り行うメリット
利用者が亡くなった際に、老人ホームや介護施設内でお葬式を行うメリットとしては以下の通りです。
- 故人が最期に過ごした場所でお別れができる
- 故人と親しかった入居者や職員が参列できる
- 葬儀費用が抑えられる場合がある
- 遺体搬送の手間や不安がない
施設内で葬儀を執り行うことで、故人が安心して過ごしていた場所ということもあり、遺族や参列者にとっても温かみのあるお別れの場となります。
他の入居者や施設のスタッフも参列しやすく、故人をよく知る人々と共に見送ることができます。
移動が難しい高齢者にとっては、大きなメリットです。
遺族にとっては、専用の葬儀場を利用しないことで、葬儀費用が抑えられる可能性があります。
ご遺体を他の場所に移動させる必要がないため、精神的な負担や手間を大幅に軽減できるでしょう。
施設で葬儀を執り行うデメリット
一方、老人ホームや介護施設内でお葬式を行うデメリットは以下の通りです。
- 施設の同居者への配慮が必要
- 施設内で葬儀を行うための準備が必要になる
- 施設内に安置室がない場合は別で手配が必要
施設内で葬儀を執り行う場合は、他の入居者の生活に影響を与えないように細心の注意が必要です。
音や参列者の出入りが日常生活の妨げにならないよう、十分な配慮と調整が求められます。
また、通常の葬儀場と異なり、スペースの確保や祭壇の設置など、特別な準備や手配が必要です。施設のスタッフの負担が大きくなるかもしれません。
施設で葬儀を執り行う際の流れ
利用者が亡くなった際に施設内で葬儀を執り行う場合は、以下のとおりに進めていきます。
- 準備
- 通夜(必要に応じて)
- 告別式
- 出棺・納棺
まずは、施設内で式場となる一室やホールを整え、椅子や祭壇を設置します。
この時、他の利用者への配慮として、消臭や換気を徹底しましょう。施設葬のため、案内表示を設置することで参列者をスムーズに誘導できます。
お通夜や葬儀は宗教儀礼に沿って執り行います。僧侶や司会者がいる場合は、その指示に従いましょう。
他の利用者の就寝時間等に配慮し、時間帯を調整することも重要です。そして葬儀業者によって出棺・納棺を行い、全ての流れが終了となります。
介護施設で利用者が亡くなった場合に注意すべきこと

介護施設で利用者が亡くなることは、避けられない場面の一つです。
このような状況では、遺族や他の入居者、そしてスタッフにとって精神的な影響が大きいため、冷静かつ丁寧に対応することが求められます。
ここでは、介護施設で利用者が亡くなった場合にスタッフとして注意すべきことを解説します。
同じ入居者への配慮を忘れない
利用者が亡くなった際、他の入居者にもその事実が伝わるでしょう。
長年同じ施設で生活してきた仲間を失うことで、悲しみや不安を感じる入居者も少なくありません。そのため、普段以上に声かけを丁寧に行い、心のケアを意識しましょう。
また、亡くなった利用者の遺品整理や部屋の片付けを行う際も、できるだけ静かに行い、周囲の環境に配慮することが大切です。
ご家族の感情に寄り添う姿勢を意識する
大切な家族を失った遺族は、混乱し、深い悲しみに包まれていることがほとんどです。
そのような状況で、形式的な対応だけでなく、温かい言葉や気遣いを持つことが重要です。
「お疲れが出ませんように」といった思いやりのある声かけや、落ち着いた口調で説明を行うことで、遺族の不安を少しでも和らげることができます。
スタッフ間で情報共有をしておく
利用者が亡くなった場合、施設全体でスムーズに対応するために、スタッフ間で適切な情報共有を行いましょう。
例えば、誰がどの業務を担当するのか、遺族への対応をどのように進めるのかなどを明確にしておくことで、混乱を防げます。
特に、交代勤務が多い介護現場では、口頭だけでなく、記録に残すことが重要です。
事前準備をしておく
高齢者を対象とする施設で働いている以上、死に直面することは少なからずあります。
いざという時に慌てずに済むよう、あらゆるケースを想定して事前に準備しておくことも大切です。
例えば、利用者が危篤になった際の手順、ご遺体を安置しておく場所、葬儀社の連絡先など、スムーズに対応できるよう施設のマニュアル等を確認しておくようにしましょう。
プロフェッショナルな態度を心がける
利用者の死に直面した際、スタッフ自身も感情が揺さぶられることがあります。しかし、そのような場面でも冷静かつ的確な対応が求められます。
特に、遺族や他の入居者に対しては、不安や混乱を与えないように落ち着いた言動を心がけましょう。
また、スタッフ自身の心のケアも忘れず、必要であれば同僚や上司に相談し、サポートを受けることも大切です。
看取りケアの知識を深める
看取りケアは、介護施設で働くスタッフにとって重要な役割の一つです。
適切な看取りケアを提供するためには、利用者とその家族が安心して最期を迎えられるよう、専門的な知識と実践的なスキルを身につけておく必要があります。
看取りケアの知識を深めることで、利用者の身体的な苦痛を緩和するだけでなく、精神的な安心感を与えられます。
医師や看護師、ケアマネジャーなどと密に連携しながら、利用者一人ひとりに合ったケアを提供できるよう心がけましょう。
介護施設で利用者が亡くなった場合は検死が必要?
介護施設で利用者が亡くなった場合、全てのケースで検死が必要になるわけではありません。
多くの場合、主治医や施設提携医が死亡診断書を作成します。
しかし、死因が不明確であったり、不自然な部分がある場合には、検死が必要になることがあります。
検死が必要となるケースと手続きについて理解しておきましょう。
検死が必要となるケース
検死が必要となるのは、主に以下のようなケースです。
- 死因が特定できない場合
- 不慮の事故や転倒などによる外傷が関与している場合
- かかりつけ医がいない、連絡が取れない場合
- 自殺、他殺の疑いがある場合
これらの場合には、警察に連絡し、司法解剖や検死が必要となる可能性があります。
施設職員は状況を正確に把握し、迅速に対応しなければなりません。
検死が必要な場合の手続き
検死が必要と判断された場合、まず施設から警察に連絡します。その後、警察の指示に従い、遺族への説明や関係機関との連携を進めます。
また、必要に応じて状況を記録し、報告書を作成しておくことが重要です。
これにより、後から発生する可能性のあるトラブルを未然に防げます。スタッフ間で情報を共有し、スムーズに対応できる体制を整えておきましょう。
施設で利用者が亡くなった場合のよくある質問
ここでは、施設で利用者が亡くなった場合のよくある質問と、回答をそれぞれ紹介します。
遺族が家族葬を選択した場合は弔問してもいい?
家族葬は、基本的に遺族や故人の希望で優しい身内のみで行う葬儀形式です。そのため、弔問の慎重については慎重な配慮が必要です。
遺族から弔問の案内があれば、指定された日に伺います。また、故人や遺族と特に親しい間柄であった場合は、葬儀後のタイミングを見て相談の上、弔問を考えても良いでしょう。
遺族から明確な連絡がない場合は、弔問を控えた方が良いです。
弔問に行く時のマナーは?
弔問する際のマナーとして、お通夜や葬儀後に伺う場合は必ず事前にご家族へ連絡を入れましょう。
持ち物は、香典や供花、供物などが一般的です。香典を訪問時に持参する際は、香典袋に「御仏前」や「御霊前」と記載します。
服装は、黒やグレー、紺などの落ち着いた色の平服を選びましょう。喪服はお通夜や葬式など以外では控えた方が良い場合もあります。
訪問した際は「この度は御愁傷様です」と一言添えて、長居は控えるようにしましょう。
遺族からの挨拶にどう答えるべき?
利用者が亡くなった後、ご遺族が施設に挨拶に来られる場合もあります。
その時は、「御愁傷様です」「心よりお悔やみ申し上げます」と添え、故人の思い出や感謝の気持ちを伝えることが良い方法です。
「頑張ってください」「早く元気になってください」と無理に励まさず、優しく寄り添う気持ちが大切です。
もしもの時のために日頃のコミュニケーションを大切にしよう
介護施設で利用者が亡くなった際にスムーズな対応を行うためには、日頃から利用者やその家族とのコミュニケーションを大切にすることが重要です。
普段から利用者の体調や心の状態を把握し、ご家族とも信頼関係を築いておくことで、もしもの時に適切な対応ができる基盤が整います。
日々の積み重ねが、利用者とその家族の安心に繋がります。
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