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【事例あり】モニタリングとは?シートの書き方のポイントをご紹介
モニタリングはケアマネージャー(介護支援専門員)にとって重要な業務のひとつですが、その記録の仕方で悩んでいる方が多くいます。
法令研修などではモニタリングの際の記録の仕方ついては細かく教えてくれません。しかし、記録の不備が見つかった場合は、加算の返還や運営基準減算が指摘されることもあります。
一体どこまで書いたらいいのか、どのように書いたらいいのか悩んでいる方も多いでしょうか?
そしてモニタリングシートの書き方や効率的な記載方法を紹介するので、ぜひ最後まで読んでみてください。
モニタリングとは?【福祉職の基礎知識】
モニタリングの意味や方法は介護保険法で決められています。
ここを理解していないと、モニタリングシートの書き方やいい文章とは何かがわかりません。
まずは、介護保険法に基づいたモニタリングの立ち位置を確認していきましょう。
モニタリングの方法は法令で決まっている
介護保険法によるとモニタリングの定義は以下のようになっています。
介護支援専門員は、第十三号に規定する実施状況の把握(以下「モニタリング」という。)に当たっては、利用者及びその家族、指定居宅サービス事業者等との連絡を継続的に行うこととし、特段の事情のない限り、次に定めるところにより行わなければならない。
・少なくとも一月に一回、利用者の居宅を訪問し、利用者に面接すること
・少なくとも一月に一回、モニタリングの結果を記録すること参照:介護保険法第13条第14号
これを読むと、「月に1度利用者の元を訪れることがモニタリングをすること」と思われるかもしれませんが、実は違います。
介護保険法をもう少し深掘りしていきます。
モニタリングは計画の実施状況を確認する
居宅サービス計画書とは、介護保険の被保険者が要介護認定を受けた後に、介護サービスを利用するために必要な書類のことです。
利用者への支援の方針や解決したい課題に沿って、どのような介護サービスを提供するのかが記載されています。
モニタリングをする際は、居宅サービス計画書通りに介護サービスが実施されているかを確認する必要があるのです。
再アセスメントの視点を持って記載する
続いて、介護保険法がモニタリングの継続性について述べている部分を紹介します。
介護支援専門員は、居宅サービス計画の作成後、居宅サービス計画の実施状況の把握(利用者についての継続的なアセスメントを含む。)を行い、必要に応じて居宅サービス計画の変更、指定居宅サービス事業者等との連絡調整その他の便宜の提供を行うものとする。
参照:介護保険法第13条第14号
継続的にモニタリングをすることで、利用者の変化や要望が変わった場合には、居宅サービス計画書を変更する必要があります。つまり、再アセスメントの視点を持ちながら、モニタリングを実施する必要があります。
モニタリングをするときのポイント
モニタリングをするときには3つのポイントがあります。
- 自宅訪問して本人面会したという記録をする
- 計画実施状況を確認・把握したことを記録する
- 訪問できない特段の事情がある場合はその旨を記録する
上記の記録を行う際の注意点も一緒に紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
自宅訪問して本人面会したという記録
モニタリングの内容を記録するときには、自宅訪問をして面会したことを記録をする必要があります。
利用者がデイサービスを訪れた際に、聞き取りをしただけでは要件を満たしたことになりません。また、玄関先で家族とやり取りをして印鑑をもらうというのもダメです。
1ヶ月に一度利用者の居宅を訪問して面接をしていない場合は、減算対象となります。
利用者の自宅を訪れ、面接を実施したことがわかるような内容をモニタリングシートに記載しましょう。
計画実施状況を確認・把握したことを記録する
運営基準に求められるモニタリングや、再アセスメントの視点を含めた計画の実施状況の把握を記録に残します。そのためにも、ケアマネージャーが見た事実と利用者に起きている客観的な事実を分けて記録しましょう。
なぜなら記録は介護職だけでなく、医療職などの他職種も確認するためです。
実施状況とケアマネージャーの主観が混在してしまうと、正しいケアを提供できなくなってしまいます。読み手に伝わりやすいような文章にすることを意識してみてください。
記録の方法については、後で解説します。
訪問できない特段の事情がある場合はその旨を記録する
これは利用者の事情によって面接できない状況であり、ケアマネージャーの事情は含まれません。
具体的には以下のような状況です。
- 利用者が緊急入院をして居宅を訪問できなかった場合
- 利用者が途中で死亡した場合
- 災害などで利用者が居宅を離れていて訪問できない場合
- 利用者の居宅を訪問すれば本人と家族の関係が悪化すると客観的に認められる場合
上記のような状況だった場合、モニタリングが行えなかったのであれば届出が必要です。
翌月1〜5日の間に介護保険係に「モニタリングに係る『特段の事情』申請書」を持参するか郵送で提出してください。申請書を提出するタイミングは、利用者や家族と相談して状況を把握したうえで、居宅に帰れないと判断した段階から翌月1〜5日の間です。(5日が土日の場合は3〜4日の間)。
モニタリングをする際の注意点
モニタリングを実施する際の注意点は以下のとおりです。
- 傾聴する
- 利用者さんと家族視点に立つ
- 自宅を訪問する
- 事前に内容を共有しておく
利用者さんや家族の視点に立って考えると、よいモニタリングが実施できます。
傾聴する
まずは利用者さんや家族の話をしっかりと聞きましょう。
話を聞くなかで小さな変化や現状を正当に判断できます。利用者さんや家族の考えを深掘りした質問をすると、今本当に求めているケアが見えてきます。
現状の目標が正しいかの判断材料にもなるので質問は重要です。
利用者さんと家族視点に立つ
モニタリングは利用者さんや家族の生活がよくなるために立てるプランです。
現状の支援で満足できていないなら、ケアプランが効果を発揮できていない状況です。
もう一度ヒアリングを通して「何に困っているのか」利用者さんや家族の視点に立って考えてみましょう。そしてモニタリングを通してケアプランを調整していきます。
自宅を訪問する
モニタリングは自宅訪問をして利用者さんや家族と話し方向性を決める必要があります。
自身の目で見て確認することで、正しいケアプランが作成できます。普段の生活状況や家の様子などの変化にも敏感になれるでしょう。
定期的に訪問していれば利用者さんや家族の悩みにも耳を傾けられるので、より充実したケアプラン作成が可能です。
事前に内容を共有しておく
モニタリングで自宅を訪問する前に、利用者さんとその家族には質問や確認事項を伝えておきましょう。
事前に内容がわかっていれば、モニタリングをスムーズに進められます。利用者さんや家族が「言いたいことがあったのに言えなかった」といった事態も避けられます。そのため、ケアマネージャーは利用者さんと家族に事前に確認事項を伝えておいてください。
モニタリングシートの記入例と効率化する方法
記録の方法はケアマネージャーによっても違います。
対応ごとにまとめる方もいれば、要点のみをまとめる方もいます。また、月一回の定期訪問のみに記入する方もいるでしょう。
各事業所でマニュアルを作成するのがおすすめですが、ここで紹介するモニタリングシートの記入例を参考にしていただければ幸いです。※モニタリングシートを記入するときに効率化する方法も解説します。
紹介している方法を実践すれば、毎月記載する内容は省いて、利用者の状況など本来伝えるべき内容に時間を使えるようになりますので、ぜひ活用してみてください。
モニタリングシートの良い書き方
モニタリングシートを記載する際は、日時や曜日・見出しをつけて担当開始からの支援の流れがわかりやすく見えてくるようにしましょう。
記録を書く際に最も重要なのが、5W1Hを意識することです。いつ、誰が、何を、どこで、どのようにしていたかの事実関係が見えるように記載するようにしましょう。
そこにケアマネージャーとしての専門的な視点や判断を記載することで、いいモニタリングシートが作成できます。
モニタリングシートの好ましくない書き方
事実と推測が混在した内容は好ましくありません。
モニタリングシートは他職種に情報提供するためにも重要です。
事実をもとに記載されていなければ、あとで確認した際に何が正しい情報かがわからなくなってしまいます。また、モニタリングシートは家族も確認するため、曖昧な表現や専門用語・略語は使わないようにしましょう。
モニタリングシートの記入例
モニタリングシートの記入例は以下のとおりです。
例文もあるので、参考にしてみてください。
モニタリング実施日
例)モニタリングを実施した日を記載します。
ケアマネージャーの名前
例)ケアマネージャーの名前を記載します。
利用者名
例)利用者さんの名前を記載します。
身体状況
例)車椅子から立ち上がり、手すりにつかまりながら5メートル歩くことができる。
気持ちの変化
例)1か月前は歩くことを億劫に感じていたが、最近は積極的にリハビリに取り組んでいる。
本人・家族の希望
例)入院する前のように1人でトイレまで歩いて行けるようになりたいという希望あり。
目標の評価
例)1か月理学療法士による歩行訓練をおこなったが、特に身体に痛みの訴えなし。
今後も継続していく方針。
現在の利用者の満足度
例)今のところ積極的にリハビリに取り組んでいる様子。
目標もできたことで、さらに意欲が湧いている。
現在の利用者や家族の要望
例)車椅子から杖を使用して自宅のトイレまで1人で歩く。
短期目標
例)週2回のデイケアサービスで平行棒や杖を使用した10メートルの歩行訓練をおこなう。
現状の評価と今後の課題
例)現状は問題なくリハビリに取り組んでいる。現在は平行棒を使用して5メートルの歩行訓練をおこなっているが、今後は10メートルに取り組んでいけるか確認してみる。
また杖の使用方法をレクチャーする。
モニタリングシートの結果は、アセスメントやケアプランの作成に大きく影響します。そのため、利用者さんの状況や評価などは詳細に記載しましょう。とくに本人と家族の希望は重要です。
希望に沿った介護サービスを届けることで、利用者さんのQOL向上や家族の負担軽減につながるからです。
介護サービスに何を求めているかを聞き出し、モニタリングシートに詳しく記載しましょう。
モニタリングシートを効率よく記載する方法
訪問前にメモを準備してから聞き取りに行くのをおすすめします。
たとえば事前に以下のように内容を用意しておきます。
- 日時・曜日・時間
- 本人状況
- 通院について
- 通所介護について
- 福祉用具について
- 妻の体調について
- 総括
- 利用表交付
そして利用者の自宅に向かい、メモの内容をもとに聞き取りを行います。
聞き取ったメモをモニタリングシートに記載していけば、聞いたことを思い出すこともなく、スムーズに記入できます。
前月のモニタリングシートが記入されている場合は、その内容をコピー・複写して今月書くモニタリングシートに貼り付けます。
必要項目を削除して今月訪問してわかった内容を書くと、何度も同じ文言を書く必要がないだけでなく、必要項目の記入漏れ防止にもつながります。
モニタリングは事実と客観的な視点を分けて考えましょう
モニタリングシートには、事実と客観的な視点を分けて書きましょう。なぜなら記録は、介護や医療職との連携における情報の共有や正当な介護報酬を得るための証拠にもなります。
そして1番の目的は利用者の変化に気づき的確な支援をすることで、生活の質を高めたり事故防止につなげていったりすることです。
記録の意義を理解したうえで、モニタリングシートを記載していきましょう!