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【研修でも活用可能】認知症ケアの基本マニュアルを作る際の必要事項や内容を紹介

「認知症ケアのマニュアルを作りたい」と思っても、いざ白紙の状態からまとめようとすると何を盛り込めばよいのか迷う方は多いのではないでしょうか

現場では同じ質問を繰り返されたり、急に怒りっぽくなったりと、想定外の場面に直面することが少なくありません。

厚生労働省や医療機関が示す基本の考え方を押さえれば、ケアの方針が整理しやすくなります。

本記事では、認知症ケアの基本原則からケース別の対応方法まで、マニュアルに盛り込みたい必須ポイントを体系的に解説します。

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目次

認知症ケアの基本マニュアルとは?介護現場で活用できる実践ガイド

認知症ケアマニュアルは、介護現場で働く職員や家族介護者が適切なケアを提供するための実践的な指針です

マニュアルを活用すれば、認知症の方の尊厳を守りながら、安全で質の高いケアを実現できます。

ここでは、マニュアルの基本的な役割と、それぞれの立場での活用メリットについて詳しく解説します。

認知症ケアマニュアルの目的と役割

認知症ケアマニュアルの目的は、認知症の方が安心して生活できるように、症状や考え方、社会資源などを伝えることです。

そのためマニュアルには、認知症の症状や対応方法が具体的に記載されている必要があり、現場ですぐに活用できる内容となっていなくてはいけません。

具体的には、徘徊(ひとり歩き)や不穏状態への対応、コミュニケーションの取り方など、日常的に起こりうる場面での対処法を詳しく記載します。

認知症ケアマニュアルは、介護現場における質の向上と標準化を実現するためのツールなのです。

介護職員・家族それぞれの活用メリット

介護職員と家族介護者では、マニュアルから得られるメリットが異なります。

介護職員にとっては、統一されたケア方法を学ぶことで、チーム全体のケアの質を向上させられる利点があります

例えば新人職員の教育に活用したり、困難事例への対応方法を確認したりする際に役立つでしょう。

一方、家族介護者にとっては、専門知識を身につけることで介護への不安を軽減できるメリットがあります

マニュアルを通して認知症の進行段階に応じた対応方法を理解することで、適切なタイミングでサービスを利用できる場合もあります。

今まで知らなかった支援制度を見つけられ、経済的・心理的負担を減らせるきっかけになるケースも少なくありません。

認知症ケアマニュアルをそれぞれの立場に応じて活用することで、認知症の方を支える環境が改善できるのです。

認知症ケアの基本マニュアル【基礎知識編】

認知症ケアを根拠に基づいて適切に実施するには、まず認知症を正しく理解する必要があります。

ここでは、介護現場で必須となる認知症の基礎知識を体系的に解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

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認知症の定義と診断基準

認知症とは、脳の病気や障害によって記憶力や判断力が低下し、日常生活に支障をきたす状態を指します

米国精神医学会が2022年に発行した診断書によれば、「DSM-5-TR精神障害の診断統計マニュアル」の基準に沿って決められるとされています。

【DSM-5-TR精神障害の診断統計マニュアルに基づいた認知症の診断条件】

1.認知機能の低下◎以下の認知領域のうち1つ以上で、以前の機能水準からの有意な認知の低下がある
・複雑性注意
・実行機能
・学習および記憶
・言語
・知覚運動
・社会的認知
2.日常生活への重大な影響◎認知の欠損が日常生活活動における自立を阻害する
(請求書の支払いや内服薬の管理などの複雑な手段的日常生活動作に援助を必要とする)
3.除外基準せん妄やほかの精神疾患が原因ではないことが説明できる
参考:精神疾患の分類と診断|MSDマニュアル

認知症の診断には複数の認知機能の低下と、それによる日常生活への影響が確認される必要があります。

具体的な診断基準としては、記憶障害に加えて、失語・失行・失認・実行機能障害のうち1つ以上認められることが条件です。

専門医による問診や認知機能検査、画像検査などを組み合わせて総合的に診断し、慎重に評価します。

もの忘れと認知症の違い

もの忘れは体験の一部を忘れるのに対し、認知症では体験そのものを忘れてしまう特徴があります

例えば朝食で何を食べたか忘れるのはもの忘れですが、朝食を食べたこと自体を忘れるのが認知症です。

また、もの忘れの場合はヒントがあれば思い出せますが、認知症では新しい記憶を保持すること自体が困難になります。

もの忘れと認知症の違いを理解しておくことで、早期発見・早期対応につながります。

代表的な4大認知症の種類と特徴

認知症には「4大認知症」と呼ばれている種類が存在しており、具体的には以下のとおりです。

  • アルツハイマー型認知症
  • レビー小体型認知症
  • 前頭側頭型認知症
  • 脳血管性認知症

それぞれ特徴や対応方法が異なるので、4大認知症について知っておくのは大切です。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は、認知症全体の約6割を占める最も多いタイプです

【アルツハイマー型認知症の特徴】

原因脳内にアミロイドβが蓄積し神経細胞が破壊されることによって起こるといわれている
特徴・症状・初期は記憶障害(最近の出来事を忘れる)
・同じことを何度も聞く
・見当識障害、判断力低下
・物をなくして「盗まれた」と訴えることもある
進行・注意点進行は緩やかだが、最終的に日常生活全般に介助が必要になることもある
ケアのポイント早期からの適切な対応が重要

この認知症は、脳内に「アミロイドβ」と呼ばれるタンパク質が蓄積することで、神経細胞が破壊されるのが原因の1つだと確認されています

初期には最近の出来事を忘れる記憶障害から始まり、徐々に時間・場所の間違えや判断力の低下が進行していきます。

そのため同じことを何度も聞いたり、財布を置いた場所を忘れて「盗まれた」と訴えたりする症状が人によってみられるのです。

進行は緩やかですが、最終的には日常生活全般に介助が必要になるケースもあるため、早期からの適切な対応が必要です。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症はおもに認知機能の変動や幻視、パーキンソン症状など特徴的な症状がみられます

【レビー小体型認知症の特徴】

原因脳内にレビー小体というタンパク質が蓄積することで発症
特徴・症状・認知機能の変動(調子の良し悪しが激しい)
・幻視(いない人や動物が見える)
・パーキンソン症状(手の震え、小刻み歩行、動作緩慢)
進行・注意点薬剤への過敏性が高い
ケアのポイント医療機関と連携し、慎重にケアを進める必要がある

具体的には調子の良し悪し差が激しく、体調によっては実際にいない人や動物が見える幻視を訴えることがあります。

また動作が緩慢になり、小刻み歩行や手の震えなどのパーキンソン症状が現れるのが特徴です。

薬剤への過敏性も高いため、医療機関との連携を密にして慎重にケアを進める必要があります。

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症は、脳の前頭葉と側頭葉が萎縮することで発症する認知症です。

【前頭側頭型認知症の特徴】

原因前頭葉・側頭葉の萎縮
特徴・症状・人格変化、行動異常が初期から顕著
・社会的ルールを守れなくなる(例:万引き)
・常同行動の繰り返し
・共感性の低下(家族の気持ちを理解できない)
進行・注意点記憶障害は比較的軽度
ケアのポイント周囲の理解と環境調整がとくに重要

この認知症の特徴は、人格変化や行動異常が初期から顕著に現れることです。

例えば、社会的なルールを守れなくなり、万引きなどの反社会的行動、同じ行動を繰り返す常同行動がみられます。

また症状によっては共感性が低下し、家族の気持ちを理解できなくなることもあります。

記憶障害は比較的軽めですが、前頭側頭型認知症は周囲の理解と適切な環境調整がとくに求められるでしょう。

脳血管性認知症

脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって引き起こされる認知症です。

【脳血管性認知症の特徴】

原因脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が原因「まだら認知症」とも呼ばれる
特徴・症状・症状にばらつき(言語障害、排尿障害、記憶障害など)
・感情のコントロールが難しく場合がある
進行・注意点脳血管障害の再発で悪化する可能性がある
ケアのポイント基礎疾患に注意しながら再発予防をする必要がある

この病気は、障害を受けた脳の部位によって症状が異なり、「まだら認知症」と呼ばれることもあります

そのため、言語障害や排尿障害、記憶障害など低下する機能にばらつきがみられます。

人によっては感情のコントロールが難しくなり、些細なことで泣いたり怒ったりする方も珍しくありません。

また、脳血管障害の再発予防が進行を抑制するため、高血圧や糖尿病などの基礎疾患の管理と並行したケアも必要です。

認知症の中核症状とBPSD(行動・心理症状)

認知症の症状は、中核症状とBPSDの2つに大別されます

中核症状・記憶障害
・見当識障害
・実行機能障害
・失語・失行・失認
BPSD(行動・心理症状)・不安
・抑うつ
・幻覚
・妄想
・徘徊
・暴力行為

中核症状は脳の障害によって直接引き起こされ、おもな症状は記憶障害や見当識障害(時間や場所がわからない)などです。

一方、BPSDは中核症状に環境要因や心理的要因が加わって生じる二次的な症状です。

例えば、「認知症の方はすぐに忘れるだろう」と考え、怒鳴ったり叱ったりする方もいますが、それは誤った対応とされています。

認知症介護研究・研修センターによると、感情は末期の段階まで保たれることが医学的に確認されています。

つまり認知症の方にネガティブな言動を続けていると、相手の心には不安や恐怖が残り、BPSDが加速するケースも珍しくないのです。

BPSDは環境調整やケアの工夫により軽減できる可能性があるので、認知症の方への言葉遣いや態度には注意が必要です。

認知症の人への基本的な接し方

認知症の方への接し方は、相手の尊厳を守りながら安心感を与えることが基本です。

なぜなら認知症になると記憶力は低下しますが、感情は豊かに保たれており、相手の態度や雰囲気を敏感に感じ取るためです。

そのため認知症の方とコミュニケーションを取る際には、以下のように対応しましょう。

【認知症の方への対応】

  • 目線を合わせてゆっくりと話しかける
  • 笑顔で優しい表情を心がける
  • 否定や訂正を避けて受容的な態度を示す

例えば「自宅に帰りたい」と訴える方には、「自宅に帰りたいんですね」と共感を示してから、気持ちを和らげるよう対応します。

このような接し方により、認知症の方は安心して自分の思いを表現できるようになりやすいのです。

認知症ケアの基本マニュアル【症状別対応】

認知症の方が示すさまざまな症状に対して、適切に対応することはケアをするうえでの課題です。

症状ごとに効果的な対応方法を理解し実践することで、本人の苦痛を軽減し介護者の負担も減らせます

ここでは、現場でよく遭遇する症状への具体的な対応方法を実践的な視点から解説していきます。

徘徊(ひとり歩き)への対応とリスク管理

徘徊(ひとり歩き)は認知症の方によくみられる行動で、適切な対応とリスク管理が必要です。

徘徊には必ず本人なりの理由があり、その背景を理解することが対応の一歩目です。

例えば、「家に帰りたい」「仕事に行く」といわれる方は目的があることが多く、無理に止めるとかえって混乱や興奮を招きます。

具体的な対応としては、一緒に歩きながら気持ちを聞く、安全な範囲で自由に歩ける環境を整えるなどの方法があります。

また行方不明時に備えて、地域の見守りネットワークへの登録やGPSの装着、衣類に名前や住所を記載しておくなど、身元がわかる工夫をしておくことも大切です。

具体的な対策により、本人の自由と安全の両立を図れるでしょう。

不穏・興奮状態を落ち着かせる方法

不穏や興奮状態は、認知症の方が感じる不安や混乱から生じる症状の1つです。

このような状態を鎮静するには、まず落ち着いた環境を作り、安心感を与えることが基本です。

まずは静かな場所への誘導や深呼吸を促し、じっくりと傾聴しましょう。

例えば大声を出している方には穏やかに声をかけ、話を聞く姿勢を示します

薬物による鎮静は最終手段とし、まずは非薬物的なアプローチを試みることで、本人の尊厳を守りながら症状の改善を図れます。

幻覚・妄想への正しい対応

幻覚や妄想は、認知症の方にとって現実として体験されている症状です。

これらの症状への対応は、否定せずに本人の気持ちに寄り添うことです。

例えば、「泥棒が入った」との妄想には、「心配ですね、一緒に確認しましょう」と共感を示す必要があります

幻視で「子どもがいる」という場合は、「どんな子ですか」と話を聞きながら、徐々に別の話題へ誘導していきます。

このような受容的な対応により、本人の不安を和らげ、症状の軽減につなげられるのです。

食事拒否・異食へのケア方法

食事拒否や異食は、認知症の進行とともに現れやすい症状の場合があり、栄養管理の観点から適切な対策が必要です。

食事拒否の背景には、食べ物と認識できない、食べ方がわからない、口腔内の問題があるなどさまざまな要因が考えられます。

好きだった食べ物を提供したり、食器や盛り付けを工夫したりなどの対策が挙げられます。

また食事の模倣や少量ずつ提供するなどの方法もおすすめです。

一方異食については、ティッシュや石鹸など危険な物を手の届かない場所に置く配慮が必要です。

代替となる安全な物の用意や、口腔ケアで刺激を与えるなどの予防策も講じます。

これらの対策を個別の状況に応じて組み合わせることで、安全な食事環境を維持できます。

夜間せん妄・昼夜逆転の改善アプローチ

夜間せん妄(意識の混乱)や昼夜逆転は、介護者の負担を増大させる症状の1つです。

これらの症状を改善するには、日中の活動量を増やし、規則正しい生活リズムを作ることが基本となります。

具体的には時間での起床や、日中に散歩・体操などの活動を取り入れるとよいでしょう。

また昼寝は30分以内に制限する、夕方以降はカフェインを控えるなどの工夫をします。

夜間せん妄が起きた場合は、明かりをつけて時間や場所を伝えることで、落ち着きを取り戻せます

環境面では夜間の照明を調整し、安心できる雰囲気を作ることも効果的です。

このような総合的なアプローチにより、睡眠パターンの改善が期待できます。

認知症ケアの基本マニュアル【ケアプラン】

個別性を重視したケア設計は、認知症の方一人ひとりの状態や希望に応じた支援を実現するために欠かせません

画一的なケアではなく、その人らしさを尊重したケアプランを作成することで、生活の質の向上につながります。

ここでは、アセスメントから評価まで、ケアプラン作成の一連のプロセスで記載するべき内容を紹介します。

アセスメントの視点

認知症ケアにおけるアセスメントは、本人の全体像を把握するための情報収集プロセスです。

効果的なアセスメントをするには医学的情報だけでなく、生活歴や価値観、個人の希望なども含めて総合的に評価する必要があります。

具体的な評価項目として日本で使用されているのは、「長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)」があります。

この診断ツールは、今日の日付や簡単な計算などを出題し、記憶力や学習能力を測る方法です。

30点満点中20点以下は認知症の疑いと診断され、その結果をもとにアセスメントを作成します。

その人らしい生活を尊重するには、データだけでなく本人の意思や家族の意向をケアプランに組み込むことも大切です。

ただし、認知症の症状によっては意思疎通が難しい場合もあるので、本人の行動から思いを汲み取ることがアセスメントでは求められます。

ケアプランの作成方法

ケアプランは、アセスメント結果に基づいて具体的な支援内容を計画する文書です。

作成にあたっては、本人・家族の意向を最優先に、実現・測定可能な目標を設定します。

認知症の方のケアプランを作成する際のポイントは以下のとおりです。

【認知症の方のケアプラン】

症状夕方になると家に帰りたいといわれる
症状の起因時間軸のずれで、仕事の帰宅時間だと認識し、「自宅に帰りたい」と言っている可能性がある
本人の気持ち今の居場所に不安や孤独を感じている安心できる場所が欲しい
ケアプラン・職員が定期的に声かけし、孤独を感じさせない環境づくりをする
・認知症の進行防止に努めながら、他者との交流の機会をもつことで、活動的に過ごすことができ、夜はゆっくりと安眠できることを目指す
短期目標・週1回はデイサービスや地域サロンに参加し、他者と会話や活動に取り組む
・趣味活動(歌・体操・手作業など)に月1回以上取り組む
長期目標・地域やデイでの交流を継続し、孤立を防ぎながら生活リズムを安定させる
・趣味や活動を通じて「楽しみ」や「役割」をもち、自発的に参加できるようになる

総合的な支援の方向性を決めたら、長期目標と短期目標を設定します。

短期目標は具体的、長期目標は抽象度の高い支援内容を記載します

段階的で明確なケアプランにより、チーム全体で統一したケアが実現できるのです。

モニタリングと評価・修正のポイント

モニタリングと評価はケアプランの効果を検証し、認知症の進行や状態変化に応じて柔軟に修正する継続的なプロセスです。

モニタリングでは、設定した目標の達成度やケア内容の実施状況、新たな課題の出現などを確認します。

1か月に1度実施し、ケアプランが正しく機能しているかや、新しい課題があるかをチェックします。

また食事量が減っていないか、表情は明るいかなど数値化しにくい変化も記録し、総合的に判断することも大切です。

評価結果に基づいてケアプランを見直すことで、常に最適なケアを提供し続けられるでしょう。

認知症ケアの基本マニュアル【権利擁護】

認知症のマニュアルに必要な権利擁護は以下のとおりです。

  • 本人の意思決定支援
  • 虐待防止の取り組み
  • 成年後見制度の活用

認知症になってもその人らしい生活を送るため、一人の人間としての権利は守られなくてはいけません

ここでは本人の意思を尊重し、権利を守るための具体的な方法について実践的な観点から解説していきます。

本人の意思決定支援

認知症の方の意思決定支援は、本人の意向を尊重することが大切です。

認知症になっても、適切な支援があれば自己決定できる場面は多く存在します。

選択肢の提示や視覚的な情報を活用するなど、支援方法を工夫することで相手の意思を聞くことが可能です。

例えば、衣服の選択では「どちらがいいですか」と聞くことや、食事では実物を見せて選ぶなど、具体的でわかりやすい方法を用います。

また本人が意思表示できない場合でも、過去の言動や価値観から推定し、最善の意向を汲み取ります

このような丁寧な意思決定支援により、本人の自己決定を最大限に保障することができるのです。

虐待防止の取り組みと通報義務

高齢者虐待は認知症ケアにおいてとくに注意すべき課題であり、組織的な防止策が不可欠です。

厚生労働省によると、虐待には以下の5つが存在すると説明しています。

【虐待の種類】

種類行為
身体的虐待身体に直接的な暴力や傷害を与える行為
心理的虐待言葉や態度で相手の心を傷つけたり恐怖や不安を与えたりなど、精神的に追い詰める行為
経済的虐待お金や財産を不当に奪ったり管理を妨害したりなど、経済的に搾取・制限する行為
性的虐待同意のない性的行為や、性的な言動を強要するなど、性的に搾取・支配する行為
介護・世話の放棄・放任本来必要な介護や世話を意図的に怠り、高齢者の生命に必要な環境やケアを与えない行為
参考:高齢者虐待防止の基本|厚生労働省

虐待は介護のストレスや認知症の理解ができないがあまり、手を出してしまうケースがあります。

そのため自分なりのリフレッシュ法を見つけておくことや、認知症について理解を深めておくのが重要です。

また事業所では虐待防止委員会を設置し、定期的な開催や研修を実施して、職員に周知徹底を図る必要があります。

虐待がされていないかのアンケートや防止策を検討しましょう。

成年後見制度・地域包括支援センターの役割

成年後見制度は、判断能力が不十分な認知症の方の権利と財産を守る法的な仕組みです。

この制度を適切に活用することで、本人の生活と権利を法的に保護することが可能です。

例えば、認知症により金銭管理ができなくなった方には、後見人が代理して預貯金の管理や介護サービスの契約などをします。

制度には法定後見と任意後見があり、本人の判断能力の程度により利用が分かれています。

【後見人制度の概要】

法定後見人制度任意後見人制度
制度本人の判断能力が不十分になった後に、家庭裁判所によって選任された成年後見人等が本人を法律的に支援する制度本人が十分な判断能力を有するときに、将来に備えて信頼できる人と契約(任意後見契約)を結んでおく制度。
申立て手続き家庭裁判所への申立てが必要本人と任意後見人になる人で契約(公正証書で作成)
本人の判断能力が低下したら、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申立て
申立てができる人本人や配偶者、親族、検察官、市町村長など本人、配偶者、親族、任意後見人になる人
※本人の意思は必要
後見人の権限裁判所が決めた範囲で契約を結んだり取り消したりできる契約で決めた範囲のみ。本人が結んだ契約を取り消すことはできない
後見監督人の選任必要に応じて家庭裁判所が選任必ず家庭裁判所が選任
参考:成年後見制度・成年後見登記制度|法務省

申立ては家族や市町村長ができ、家庭裁判所が後見人を選任します。

ただし制度利用には費用の負担や、一度開始すると原則取り消せない場合があります。

そのため本人や家族とよく相談し、必要性を慎重に判断したうえで活用することが大切です。

地域包括支援センターとは、高齢者やその家族が安心して生活できるよう、医療や介護など総合的な相談ができる施設です。

相談内容をもとに、介護予防サービスの紹介や権利擁護に関する制度の案内などをします。

公的機関として全国に設置されており、利用料もかからないので、積極的に活用しましょう。

認知症ケアの基本マニュアル【家族支援】

介護負担を軽減するための実践法は、認知症ケアを継続するうえで欠かせない要素です。

家族介護者の心身の健康を守ることは、結果として認知症の方への質の高いケアにつながります。

家族への情報提供と心理的支援

家族介護者への適切な情報提供と心理的支援は、介護の質を向上させる基盤です。

多くの家族は認知症に関する知識が不足している場合が多く、対応方法がわからないことで大きなストレスを抱えています。

情報提供では認知症の基礎知識や進行過程、利用できるサービスなどを家族の理解度に応じてわかりやすく説明します。

例えば「同じことを何度も聞かれる」との悩みには、その行動の背景にある不安を説明し、具体的な対応例を示すのが有効です。

また介護をしている家族のなかには、1人でケアをしている方もいるでしょう。

そのような方には、悩みを共感的に受け止めることや、完璧を求めない介護を勧めるなどのアプローチを取ります。

このような支援により家族は孤立感から解放され、前向きに介護に取り組めるようになる方もいます。

介護負担を軽減するための社会資源とサービス

介護負担を軽減するためにも利用できる社会資源を知り、紹介することで家族の負担を減らせます

具体的には以下のような制度やサービスがあります。

【介護負担を軽減するための社会資源】

項目社会資源
相談窓口・地域包括支援センター
・居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)
介護保険・居宅サービス
・施設サービス
・地域密着型サービス
・サービス付き高齢者住宅、民間の有料老人ホーム
社会保障制度・自立支援医療(精神通院医療)
・精神障害者保健福祉手帳
・難病医療費助成制度
・障害年金(障害基礎年金/障害厚生年金)
・日常生活自立支援事業(地域権利擁護事業)
・成年後見人制度
医療機関・もの忘れ外来
・認知症治療病棟(精神科病棟)
・認知症疾患医療センター
地域の集まり・認知症サポーター
・認知症カフェ
・家族介護者の会
参考:東京慈恵会医科大学付属第三病院|認知症疾患医療センター

「1人でケアをするのがつらい」という方には、ショートステイを週2回(土日)、平日はデイサービスを利用するといったことを提案してもよいでしょう。

社会保障制度を活用すれば、医療費の軽減や重要書類の預かりサービスなども受けられます。

そのため職員やケアマネジャーは、自身の地域で活用できる社会資源を知っておくことが重要です。

認知症予防と生活支援のポイント

日本神経学会の「認知症疾患診療ガイドライン2017」によると、さまざまな論文や研究を引用し、認知症予防には運動や食事、社会参加が認知症の発生リスクを抑えるのではないかと報告されています。

例えばアルツハイマー型認知症が発症する要因の1つとして、身体活動の低さ、栄養バランスの偏り、余暇活動の不足がリスクに関連する因子として挙げられています。

そのため、バランスの取れた食事や適度な運動、社会参加が認知症予防には大切です。

食事面では主食や主菜、副食をそろえて規則正しく食べ、運動面ではウォーキングや筋トレなどの有酸素運動を習慣化するのが有効です。

また、ボランティアや旅行、演劇鑑賞などを通して、人に会うこともアルツハイマー型認知症の予防に推奨されています。

これらを習慣化することは、認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)の改善にも期待されています

認知症予防や、その支援において生活習慣は高齢者のQOLを大きく左右するので、食事や運動、社会参加は非常に重要です。

多職種連携と地域包括ケアの重要性

認知症による認知機能の低下は緩やかに進行し、必要となるケアが時期により変化するため、他職種での連携が不可欠です。

初期段階では医師の診断や医学的管理が重要ですが、生活支援が必要なレベルになると介護職やケアマネジャーとの連携が重要です。

さらに今後の日本では、認知症の方が増加する見込みから、地域包括ケアによる一体的なケアの実現も重要視されています。

地域包括ケアとは、医療や介護が必要な状態になっても安心して生活できる社会を目指すという考え方です。

それを実現するため「地域ケアシステム」を構築し、「医療・介護・予防・住まい・生活支援」の5つの要素が連携した一体的なケアの提供を目指しています。

例えば、かかりつけ医による認知症の定期的なチェックや、介護サービスの活用、認知症カフェの利用などを切れ目なく実施できます。

認知症の方が尊厳を保ちながら希望する場所で生活できる環境を整備するためにも、他職種連携と地域包括ケアは大切です。

まとめ:認知症ケアの基本マニュアルで実現する質の高いケア

認知症ケアの基本マニュアルは、介護現場における羅針盤となり、質の高いケアを実現するための必須ツールです。

マニュアルを活用する最大の意義は、経験や勘に頼らない、根拠に基づいたケアを標準化できることにあります

新人職員でもベテラン職員でも、同じ水準のケアを提供できる体制を構築することで、認知症の方は安定した生活を送れるようになります。

また家族介護者にとっても、専門的な知識と技術を学べれば介護への不安が軽減され、よりよい関係性を維持することが可能です。

今後の認知症ケアにおいては、個別性の重視がますます求められます。

一人ひとりの生活歴や意向を丁寧にアセスメントし、その人らしさを支える介護を実現するための手段にマニュアルを活用しましょう

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