生活相談員の仕事が大変と言われる6つの理由｜辞めたいと思ったときの対処法も紹介！

「生活相談員の仕事って実際どのくらい大変なの？」「この職業に就こうか迷っているけれど、続けていけるかわからない」そんな疑問や不安を抱えていませんか？

生活相談員は利用者やその家族の生活課題に寄り添う重要な役割を担っています。

しかしこれらの課題を知らずに飛び込んでしまうと、理想と現実のギャップに苦しみ、早期離職につながってしまうでしょう。

そこでこの記事では、生活相談員の仕事は本当に大変なのかを詳しく解説します。

実際の仕事内容や向いている人の特徴、辞めたいと感じたときの対処法を具体的に紹介します。

この記事を読むことで、生活相談員の全体像を正しく理解でき、この道を歩むべきか判断できるはずです。

また、すでに生活相談員として働いている方にとっても、現在の悩みを解決するヒントが見つかります。

生活相談員はなぜ大変なのか？

生活相談員は、人間関係のストレスや業務範囲の広さから「仕事が大変」といわれています。

この仕事のポジションは、現場と管理職の間に立つ仕事なので、両者の意見を聞く必要があります。

そのため、双方から厳しい言葉をかけられることも少なくありません。

また、入所希望者の案内や書類業務、現場との兼務など業務範囲が広く大変です。

職場によっては残業が増え、体力的にきついと感じている方もいるでしょう。

しかし「令和6年度介護労働実態調査」によると、生活相談員の離職率は8.7％と低めです。

介護職員の離職率は12.4％なので、ほかの職種と比べても低いのがわかります。

現場と兼務しない場合、入浴介助や排せつ介助などの直接介護をおこなわないため、身体的な負担が少なめです。

そのため、介護職と比べると離職率が低いと考えられます。

しかし生活相談員の仕事は多岐にわたるので、なかには大変な仕事もあり、それを理解していないと就職や転職後に苦労するでしょう。

生活相談員の仕事で大変と感じること

生活相談員の仕事が大変だと感じる部分は以下の6つです。

• 現場と管理職の意見に板挟みになることが多い
• 利用者や家族からのクレームに対応しなくてはいけない
• 業務量が増える
• 他職種との調整が大変
• 自分の悩みを相談できる人が少ない
• 業務量に対して給料が少ない

生活相談員の仕事には現場職員と異なる特有の困難さがあります。

さまざまな立場の人々の間に立って調整する役割を担うため、精神的な負担を感じる場面が少なくありません。

1.現場と管理職の意見に板挟みになることが多い

生活相談員は、現場職員と管理職の間で板挟みになる状況になりやすい職種です。

現場から「人手不足で業務が回らない」と声が上がり、管理職からは「コストを抑えて運営してほしい」と要求されることもあります。

例えば職員から「新しい介護用品を購入してほしい」と要望があったとします。

しかし予算の制約で実現できない場合、双方への説明と調整に悩むでしょう。

このような状況では、両者の意見を聞きながら現実的な解決策を見つける必要があるので、生活相談員の精神的な負担が大きくなります。

2.利用者や家族からのクレームに対応しなくてはいけない

クレーム対応は生活相談員の業務のなかでも精神的な負担が大きい仕事です。

利用者や家族からのクレームは、サービス内容への不満から職員の対応への苦情まで多岐にわたります。

「食事の味が悪い」「職員の言葉遣いが気になる」といった意見を、利用者やその家族から言われることもあります。

場合によっては「転倒事故の責任を問う」といった深刻な内容まで対応しなくてはいけません。

生活相談員は施設の窓口になるので、クレームに対応する機会がほかの職種より多いのです。

3.業務量が増える

生活相談員の業務範囲は本来の相談業務に加えて、監査への対応や各種委員会の運営などまでに及ぶ場合があります。

小規模な施設では、生活相談員が現場と兼務しているケースも少なくありません。

その結果、自身の仕事に手をつけられず、残業時間が増えてしまう可能性があります。

生活相談員になることで、ワークライフバランスを保つのが困難になる場合もあるでしょう。

4.他職種との調整が大変

生活相談員は介護職員や看護師、理学療法士など、専門性や価値観が異なる職種間の意見をまとめなくてはいけません。

例えば新規利用者を支援する際、介護職員は「安全を優先したい」と考えていることがあります。

しかし理学療法士は「機能訓練を増やしたい」と主張する場合、両者の意見を調整しながら適策を考える必要があります。

このような調整業務には、高度なコミュニケーション能力と調整力が求められるので大変です。

5.自分の悩みを相談できる人が少ない

生活相談員は自分の悩みを相談できる相手が限られています。

なぜなら管理職と現場職員の間に立つ中間管理職の立場であり、どちらにも完全には属さないからです。

生活相談員が施設内に複数人いないと、業務上の悩みや困りごとを共有できる相手はいないでしょう。

このような孤独感は、精神的なストレスを増大させる要因となっています。

6.業務量に対して給料が少ない

生活相談員の責任の重さと業務量を比較すると、給料が低いと感じる人も多くいます。

厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」によると、生活相談員の月収は35万3,950円です。

現場の介護職員は33万8,200円なので、1万5千円の差となっています。

介護職員よりは若干高い給与設定になっているものの、業務の複雑さや責任の重さを考慮すると割に合わないと感じる方もいるでしょう。

生活相談員を辞めたいと思ったときの対処法

ここでは、辞めたいと思ったときに取るべき4つの対処法を紹介します。

• キャリア目標を考える
• 上司や同僚に相談する
• 転職活動をしてみる
• 職場見学や情報収集をおこなう

生活相談員として働くなかで「もう辞めたい」と感じる瞬間は誰にでも訪れます。

しかし退職を決断する前に状況を分析し、適切な対処法を試すことで、新たな道が開ける可能性があります。

キャリア目標を考える

将来のキャリア目標を明確にすることで、現在の仕事への向き合い方が変わっていきます。

生活相談員の経験は、ケアマネジャーや施設長など、さまざまなキャリアパスにつながります。

例えば5年後に施設長を目指すなら、現在の困難な経験も管理職として必要な学びと捉えられるでしょう。

自分が将来どのような立場で高齢者福祉にかかわりたいのか考えてみることで、今の仕事の意味を再発見できます。

上司や同僚に相談する

一人で悩みを抱え込まず、信頼できる上司や同僚に相談することで、問題解決の糸口が見つかることも少なくありません。

「業務量が多すぎて対応できない」と悩みを上司に相談すれば、業務の優先順位の立て方を教えてくれる場合があります。

「一部の仕事はほかの職員に任せたほうがいい」と提案してくれる可能性もあるでしょう。

客観的な視点からアドバイスをもらうことで、自分では気づかなかった解決策が見えてくるはずです。

話すだけでも気持ちが楽になることもあるので、生活相談員の仕事に悩んでいる方は、まずは誰かに相談してみてください。

転職活動をしてみる

転職活動をすることは、自分の市場価値やほかの選択肢を知るきっかけになります。

転職サイトに登録して求人を見るだけでも、現在の職場環境を客観的に評価することが可能です。

ほかの施設の求人条件と比較することで、現在の職場の魅力に気づくこともあれば、よりよい条件の職場が見つかることもあります。

転職を前提とするのではなく、自分の選択肢を広げる手段として転職活動はおすすめです。

職場見学や情報収集をおこなう

転職を検討しているなら、ほかの職場がどのような環境なのかを実際に見て確認しましょう。

実際に足を運んで情報を集めることで、転職後のミスマッチを防げます。

他施設を見学する際は、職員の表情や雰囲気、利用者との関わり方を注意深く観察してください。求人情報だけではわからない職場の実態を把握できます。

例えば、休憩時間中の職員同士の会話や、利用者への対応の仕方を見ることで、その施設の文化や働きやすさがわかります。

また、面接時に残業時間や研修制度について具体的に質問することも大切です。

このような情報収集を通じて、転職先の選択肢が広がり、より納得できる職場と出会えます。

生活相談員を続ける5つのメリット

生活相談員を続けるメリットは以下のとおりです。

• 利用者に寄り添うやりがいを実感できる
• キャリアアップやスキルアップができる
• 夜勤がなくなり生活リズムが整う
• 給料が現場職員よりも高い
• 介護保険や法律の知識が身につく

生活相談員のメリットを理解することで、仕事へのモチベーションが維持され、長期的なキャリア形成に役立てられます。

1.利用者に寄り添うやりがいを実感できる

生活相談員の魅力は、利用者一人ひとりの人生に深くかかわることができる点にあります。

この仕事では、利用者の困りごとを解決し、よりよい生活環境を提供するための支援をおこないます。

例えば入居希望者で介護サービスの利用に不安を感じている高齢者がいたら、生活相談員は丁寧な説明をします。

その方から「あなたのおかげで安心してサービスを受けられるようになった」と言われれば、自身の仕事に強いやりがいを感じるでしょう。

「人の役に立ちたい」という気持ちをもつ方にとって、生活相談員は直接的にやりがいを感じられる職業です。

2.キャリアアップやスキルアップができる

生活相談員を経験することで施設運営の全体像を把握し、管理職や経営側に必要なマネジメントが学べます。

生活相談員は看護師や介護職員、ケアマネジャーなど、幅広い職種と協働するため、調整力や交渉力が自然と養われます。

他職種の視点や専門用語が理解できるだけでなく、チームマネジメントも磨くことが可能です。

また生活相談員になるには、社会福祉士や精神保健福祉士、ケアマネジャーなどの資格が必要なのでキャリアの幅も広がります。

そのため、地域包括支援センターの職員や管理者などへのキャリアチェンジも可能です。

3.夜勤がなく生活リズムが整いやすい

生活相談員は基本的に日勤業務が中心となる場合が多く、夜勤はほとんどありません。

このため、介護職員のように早番・遅番・夜勤を含むシフト勤務に比べて、生活リズムを規則正しく維持しやすいのです。

日勤勤務が基本となることで、就寝や起床の時間が安定しやすく、睡眠不足による体調不良や倦怠感の軽減につながる傾向があります。

また心身のリズムが整うことで、業務中の集中力を保ちやすくなり、仕事のパフォーマンス向上にもつながりやすいでしょう。

4.給料が現場職員よりも高い

厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」によると、生活相談員の月収は35万3,950円、介護職員は33万8,200円と1万5千円の差となっています。

生活相談員の給料には役職手当や資格手当が加わり、年収ベースで約30万円の差が生まれるケースもあります。

社会福祉士や社会福祉主事を所持している場合、さらに資格手当が上乗せされる施設も少なくありません。

経済的な安定は、長期的に福祉業界で働き続けるうえで大きなモチベーションとなるでしょう。

5.介護保険や法律の知識が身につく

生活相談員の業務を通じて、介護保険制度や関連法規の専門知識が身につきます。

なぜなら、利用者や家族の相談対応をする際、介護保険法や行政の活用方法などの説明をすることがあるからです。

そのため生活相談員は、要介護認定の流れや介護サービスの種類、利用条件などを理解しなくてはいけません。

相談に来た方が適切な支援やサービスを受けられるようにするためにも、介護保険や法律の知識を身につける必要があります。

生活相談員に向いている人の4つの特徴

ここでは、生活相談員に向いている人がもつ4つの特徴を解説していきます。

• 相手の立場に立って考えられる人
• 人の意見を聞ける人
• 高齢者やその家族を支援したいと思っている人
• 書類業務を苦に感じない人

生活相談員には技術的なスキルだけでなく、人間性も含めた適性が必要です。

1.相手の立場に立って考えられる人

生活相談員は利用者や家族、職員それぞれの橋渡し役となり意見を調整していくので、バランスの取れた判断が求められます。

例えば利用者が入所したあとも、現場職員にヒアリングしながら様子を確認します。

現場の困りごとと家族の意見を常に理解し、適切なケアを考えなくてはいけません。

そのため、生活相談員は相手の立場に立って物事を考える力が必要なのです。

2.人の意見を聞ける人

さまざまな立場の人の意見を傾聴し、受け入れる姿勢をもつことは生活相談員に必要な資質です。

なぜなら自分の考えに固執せず、柔軟に他者の意見を取り入れることで、よい解決策を見出せるからです。

例えば職員から業務改善の提案があった際、すぐに否定するのではなく、まずは話を最後まで聞く必要があります。そして、実現可能性を一緒に検討する姿勢が必要です。

このような傾聴力と柔軟性をもつ人は、チーム全体の信頼を得て、円滑な施設運営に貢献できます。

3.高齢者やその家族を支援したいと思っている人

「高齢者とその家族を支援したい」との思いがある方は、生活相談員に向いています。

生活相談員は施設の窓口となり、利用者やその家族の相談に乗る機会が多くあります。

しかし介護保険法や関連法規は3年に1度改正されるので、新しい情報を常に学び続けなければいけません。

学習を続けるには「高齢者やその家族を支援したい」と思う気持ちが後押しになることもあります。

そのため、高齢者支援に関心の強い方ほど生活相談員に向いています。

4.書類業務を苦に感じない人

生活相談員の仕事は半分以上がデスクワークとなることも多く、書類業務への適性が必要です。

行政への報告書や会議資料の準備など、さまざまな書類を正確かつ効率的に処理する能力が求められます。

パソコン操作が得意で、エクセルやワードを使いこなせると、ストレスなく仕事を進められるでしょう。

膨大な書類作成や管理業務を苦に感じない方は、生活相談員に挑戦してみてください。

よくある質問

生活相談員に関するよくある質問は以下のとおりです。

• 生活相談員の具体的な仕事内容はどんなのでしょうか？
• 生活相談員が介護業務を手伝うことは違法ですか？

生活相談員の具体的な仕事内容はどんなのでしょうか？

生活相談員の業務は、施設の規模や方針によって異なりますが、相談援助業務が中心です。

具体的には利用者・家族からの相談対応や入退所の調整、行政への報告書作成などがおもな業務です。

午前中は新規入所希望者の面談をおこない、午後は会議に参加、その合間に家族からの電話相談に応じるといった1日を過ごします。

施設によっては食事介助や送迎などにかかわることもあり、デスクワークと現場業務のバランスを取りながら働いています。

生活相談員が介護業務を手伝うことは違法ですか？

生活相談員が介護業務をすることは違法ではありません。

厚生労働省の通知では、生活相談員が利用者の処遇に支障がない範囲で他の業務を兼務できると明記されています。

ただし生活相談員の配置基準を満たしたうえで、本来の相談援助に支障をきたさない範囲での兼務が前提です。

まとめ：生活相談員の仕事は大変だがやりがいもある

生活相談員の仕事には大変な側面がありますが、同時に大きなやりがいとキャリアアップできる可能性もあります。

現場と管理職の板挟みになったりクレーム対応に追われたりと、精神的な負担を感じる場面は少なくありません。

しかし夜勤がなく規則正しい生活が送れることや、将来のキャリアパスが広がるなど、多くのメリットも存在します。

もし今、生活相談員を辞めたいと考えているなら、まずは自分の不満を整理し、スキルの棚卸しをしてみてください。

そのうえで本当に転職が必要なのか、現在の職場で改善できる余地はないのか、冷静に判断することをおすすめします。