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【例文付き】介護現場での事故報告書の書き方!すぐに使える記入例を6つ紹介

「介護事故報告書の書き方がわからない」という悩みを抱えているのではないでしょうか。適切な書き方を知らないと、書き直しや指摘を受け、作成に時間がかかります。

そこで本記事では、事故報告書の書き方や例文、記入のポイントを解説します。

この記事を読めば、スムーズに事故報告書を作成でき、利用者に寄り添った再発防止策も提案できるようになるでしょう。

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目次

介護事故報告書を記載する目的・重要性

介護現場における事故報告書を記載する目的_イメージ

事故報告書の意図がわかれば、事故の再発防止に努める意欲も変わります。こちらでは、介護現場における事故報告書を書く5つの目的を解説します。

事故報告書を再発防止に活用できれば、同じ事故の発生を防げます。また書類の書き直しも少なくできるので、ぜひ参考にしてみてください。

事故が起きた原因を明確にして再発防止に活用するため

事故報告書は、事故が起きた原因を明確にして改善に努めるために記載します。高齢者は、入所してからも少しずつ身体機能が低下していきます。

時間が経つにつれて転倒や転落、誤嚥などのリスクが高くなるのです。そのため、ケアの標準化が難しく、個別対応をしなくてはいけません。

しかし、事故報告書を書くことで、事故の分析や収集が可能となり、事故が起こった原因が明確化できます。その結果、具体的な対策ができるため個別最適化した介護サービスが提供できるのです。

再発防止につながり、介護の質が上がるだけでなく、利用者の満足度アップも期待できるでしょう。

スタッフ全員に事故の対応を知ってもらうため

事故報告書は事故の経緯をスタッフに共有するためにも大切です。介護サービスは利用者の日常生活を安心・安全に送れるよう、知識と技術を持った専門職が連携しています。

1人の利用者に対して多くの職員がかかわるので、再発防止策統一のためにもスタッフ全員が事故の対応を知っておかなくてはいけません。利用者やその家族のニーズに応えるケア提供のためにも、スタッフとの共有・報告は重要です。

訴訟を起こされた際に職員を守るため

介護事故による訴訟リスクから職員を守るためにも事故報告書の記載は大切です。事故によっては利用者やその家族から裁判を起こされる可能性があります。

裁判に発展した際、弁護士へ口頭での説明だけでは、介護施設や運営会社の非が認められないケースもあるでしょう。その結果、職員個人が訴えられ、賠償金の請求をされることもあります。

しかし、事故報告書の記録を残しておくことで、責任追及のうえで大切な証拠になるのです。

また、事故内容によっては職員に非がある場合もあるので、謝罪をして示談に持ち込む場合もあります。家族への状況説明でも事故報告書は役立つのです。

大切な職員を訴訟されるリスクから守るためにも、事故報告書は重要です。

介護の質を向上させるため

報告書は、単なる事故の記録ではなく、サービス改善の材料としても役立ちます。蓄積された事例を分析することで、介護方法や環境整備の見直しにつながり、結果的に利用者へのケアの質が高まります。

また、報告文化が根づくことで「小さな異変にも気づき、改善する」という現場意識が育ち、介護の安全性と信頼性を強化できるでしょう。

介護事故の報告義務があるため

介護施設には、一定の事故が発生した際に行政や関係機関へ報告する義務があります

特に、死亡事故や処置を要する事故は必ず報告対象です。

報告を怠ると、事業所の運営に重大な影響が出る可能性もあります。そのため、事故報告書は「施設を守るための義務的な業務」であると同時に、「信頼を維持するための責任」でもあります。

参考:厚生労働省「介護保険施設等における事故の報告様式等について」

介護事故報告書の基本的な作成方法

介護現場における事故報告書の作成手順_イメージ

事故報告書は国が定めている記載事項に沿って書く必要があります。具体的には以下の流れがおすすめです。

記載様式は厚生労働省が指定したものを使用する

報告書の記載様式は厚生労働省が指定した様式を使用するよう、令和3年から決められています。

現在独自のフォーマットを使用している介護事業所も、将来的に統合される可能性があるため、指定様式の使用が望ましいでしょう。

報告期限の5日以内に市町村へ連絡する

厚生労働省では、報告期限内は5日以内が目安とされています。ただし、市区町村によっては3日以内などの場合もありルールが若干異なります。

連絡期間を調べる際は、各都道府県のHPから確認してみましょう。市区町村への事故報告の提出は、電子メールが望ましいようです。

死亡事故や処置が必要な事故が発生した場合は必ず提出する

事故報告書を記載する条件は以下のとおりです。

【事故報告書の記載条件】

  • 死亡に至った事故
  • 医師(施設の勤務医、配置医を含む)の診断を受け投薬、処置等何らかの治療が必要となった事故

参照:介護保険施設等における事故の報告様式等について|厚生労働省

その他の事故の報告については、各自治体により取扱いが異なります。

以下では、介護記録の書き方を詳しく解説しているので、内容を確認したうえで、実務に活かしてみてください。

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【書き方】介護事故報告書の作成手順

上記で解説した基本的な方法を確実に実施したうえで、以下の内容を参考にすることで、正確な報告書が作成できます。

事故報告書の記載項目

介護事故報告書には、基本的に以下の項目を網羅する必要があります。記載内容が不足すると正しい検証ができず、再発防止策の精度も下がってしまうため、抜け漏れのないように記載することが大切です。

  • 発生日時・場所:事故が起きた正確な日時と現場(居室・浴室・廊下など)
  • 当事者の情報:利用者氏名、年齢、介護度、健康状態など
  • 事故の状況:何が起きたかを客観的に、5W1Hを意識して簡潔に記録
  • 事故の原因:環境要因、人的要因、利用者の体調など多角的に記載
  • 事故後の対応:応急処置の内容、家族・医師への連絡有無
  • 再発防止策:今後同じ事故を防ぐための具体的な改善策
  • 報告者情報:氏名、職種、記入日

このように必要項目を押さえることで、報告書としての信頼性が高まり、職員・施設双方を守ることにつながります。

事故報告書の作成手順

実際に報告書を作成する際には、流れを意識することで効率的に記載できます。

  • 事故発生直後は利用者さんの状態を確認する
  • 周りの職員と協力して利用者さんを助ける
  • リーダーや上司に報告する
  • 状況によっては主治医に報告する
  • 利用者さんの経過観察をする
  • 事故対応の記録をまとめる
  • 職員間で連携して事故原因や対策を考える
  • ご家族への情報共有も忘れず行う

この流れに沿うことで、記録の精度を高めつつ、再発防止に活かせる実用的な報告書になります。

【例文】介護事故報告書の記入例

【ケース別】介護事故における報告書の書き方を例文で紹介_イメージ

事故報告書の記載項目は多く、初めて書く方は戸惑う場合もあるでしょう。そこで、以下の状況別での記入例を紹介します。

上記の事例は実際の現場でも起こる可能性が高い事故なので、ぜひ参考にしてみてください。

転倒した場合の記入例

転倒が発生した場合の事故報告書の記入例は以下のとおりです。

【対象者】

佐藤花子様(85歳、女性)
要介護度4

【発生時状況・事故内容の詳細】

午後2時30分頃、2階廊下にて歩行器を使用して歩いている際、何らかの原因によりバランスを崩し前方へ転倒しているところを発見。

【発生時の対応】

佐藤様は歩行器を使用して自力歩行をされていた。
足取りには特に問題はない様子だった。
体調確認のため声かけを行うと激しい痛みの訴えあり。
転倒現場からほかの職員に声をかけ看護師へ連絡。看護師によるバイタルチェックを行う。
15時00分に救急車を要請し、15時20分に○○総合病院に搬送。

【事故後の状況】

施設長から佐藤様のご長女に電話で連絡。事故の状況説明と病院案内
診断結果は、右大腿骨頸部骨折。
入院の上、手術予定
今後は約1ヶ月の入院加療が必要と診断された。

【事故原因の分析】

高齢による歩行時のバランス低下や床面の湿り気による滑りやすさ、見守り体制の一時的な不備が原因として考えられる
本人から話を聞くと「トイレに行きたかった」と言われていたため、急いで歩いてしまったのが原因として考えられる。

【再発防止策】

清掃後の床面を完全に乾燥させてから利用者の歩行を許可する。
歩行不安定な利用者の移動時は、常に職員が寄り添い、目を離さない。
歩行器の適合性を再評価し、必要に応じて変更する。
トイレ誘導や排泄介助が必要かを委員会で検討。
ご家族からは、見守りの強化やリハビリの状況を週1回程度、電話で報告してほしいとのこと。
また、退院後の生活について、事前に詳しく説明してほしいとのこと。

尻もちをした場合の記入例

尻もちの事故が発生した場合の報告書の記入例は以下のとおりです。

【対象者】

田中正男様(78歳、男性)
要介護度3

【発生時状況・事故内容の詳細】

午前10時15分頃、1階浴室にて尻もちをつかれたところを発見。
脱衣所から浴室へ移動しようとした際、立ち上がろうとして転倒。

発生時の対応】

田中様を脱衣所から浴室へお連れしようと立ち上がった際、尻もちをつかれた。その際、腰部を強打されたようで「腰が痛い」との訴えあり。こちらの声掛けには応じられているため意識はあり。

【事故後の対応】

痛みの訴えがあったため、その場から動かさずにすぐに看護師に連絡。バイタル測定実施。
体温〇〇
血圧△△/◻︎◻︎
血中酸素飽和度××
施設看護師の判断により、10時45分に協力医療機関の◻︎◻︎クリニックを受診。
診断の結果、腰部打撲とのこと。湿布薬処方、安静指示あり。
今後の見通しは、1週間程度の経過観察が必要とのこと。

【事故原因の分析】

直接的な要因としては、浴室床面の滑りやすさや立ち上がり動作時の不安定さが考えられる。
間接的な要因としては、入浴介助時の支援体制の不十分さや滑り止め対策の不足が考えられる。

【再発防止策】

浴室だけでなく脱衣所の床清掃を周知徹底。
利用者の誘導前に床面が濡れていないか確認し清掃する。
入浴介助時は常に利用者に寄り添い、体を支える態勢をとる
滑り止めマットの導入を検討する。
浴室の床に洗浄剤などの物品を置かない。
入浴介助技術向上のための研修を実施。
必要に応じて入浴用の補助具(入浴用いす等)の使用を検討する。

誤嚥した場合の記入例

誤嚥事故が発生した場合の報告書の記入例は以下のとおりです。

【対象者】

山本和子様(92歳、女性)
要介護度4

【発生時状況・事故内容の詳細】

2023年9月5日 午後12時45分頃、2階食堂にて昼食を食べている山本様を確認したところ、顔面の紅潮とむせ込みなどが見られ、呼吸が困難な様子だった。

【発生時の対応】

事故発生直後、すぐに背部叩打法の実施と応援要請を行う。
気道確保のため他の職員を呼び、看護師に緊急連絡を依頼する。

【事故後の対応】

12時50分:施設看護師が対応し、症状が落ち着いたため、嘱託医に報告の上、施設内で経過観察となる。
13時00分:生活相談員からご家族へ事故の状況説明と経過報告。
嘱託医より誤嚥による一時的に呼吸困難になったため、酸素飽和度モニタリングを24時間実施の指示あり。

【事故原因の分析】

山本様は元々、食事をかき込んで食べられているので、食事摂取のペースが早かったのが要因として考えられる。
高齢に伴い、嚥下機能の低下も要因として考えられる。
食事介助時の見守り体制や食事形態の再検討の必要性もあり。

【再発防止策】

山本様の食事は必ず1対1で見守る体制をとる。
食事のペースをゆっくりにするよう声かけを増やす。
嚥下機能評価を再度行い、適切な食事形態を検討する。
食堂の座席配置を見直し、職員の見守りがしやすい環境を整える。
利用者全員の食事形態を見直す。

表皮剥離の場合の記入例

表皮剥離をした場合の事故報告書の例文は以下のとおりです。

【対象者】

中村洋子(88歳、女性)
要介護3

【発生時状況・事故内容の詳細】

2023年10月20日 午前11時20分頃、3階居室301号室にて中村様の居室へ伺った際、右腕前腕部(約5cm×3cm)の表皮剥離を発見。出血が少量見られた。

【発生時の対応】

発見後、すぐに看護師に連絡。
看護師にて創部の消毒と保護。

【事故後の対応】

11時28分:施設看護師が対応し居室内で感染予防と創部保護のため生理食塩水で洗浄後、消毒・処置を実施。
ガーゼで保護し医師への報告を行い、経過観察となる。

【事故原因の分析】

訪室した際、ベッド柵に血液が付着していたため、ベッド柵にぶつけてしまったと考えられる。

【再発防止策】

ベッド柵にクッション材を装着する。
中村様は認知症の傾向があるため、居室にいる際は定期的に訪室をして様子を確認する。
皮膚の状態に応じて保護材を使用する。

物品破損した場合の記入例

物品破損をした場合の事故報告書の例文は以下のとおりです。

【対象者】

田中正男様(78歳、男性)
要介護度3

【発生時状況・事故内容の詳細】

午前10時20分頃、1階リビングにて田中様が歩行器で移動中、リビングテーブルの脚に接触し、歩行器のフレームが破損しているのを発見。転倒などの身体的被害はなかった。

【発生時の対応】

田中様の安全確保のため、その場で動かず声掛けと状況確認を実施。
ご本人に痛みや不調の訴えはなく、意識も明瞭であった。
周囲の安全を確認したうえで破損した歩行器を回収し、別の歩行器を準備した。

【事故後の対応】

破損状況を確認し、管理者および家族に報告。
代替器具を用意し、通常通り生活を継続。
安全確認後、施設内で事故原因と対応策を共有。

【事故原因の分析】

直接的な要因として、歩行器の経年劣化や使用中の不注意が考えられる。
間接的な要因として、家具配置の不適切さや使用前点検の不備が挙げられる。

【再発防止策】

家具配置を見直し、通行スペースを確保。
歩行器などの福祉用具は定期点検を実施し、異常があれば速やかに交換。
職員間で移動時の安全確認を徹底する。

熱中症になった場合の記入例

熱中症の際の事故報告書の例文は以下のとおりです。

【対象者】

田中正男様(78歳、男性)
要介護度3

【発生時状況・事故内容の詳細】

午後2時10分頃、2階リビングにて田中様が「気分が悪い」と訴えられ、顔面蒼白であることを発見。室温が高く、扇風機のみで空調管理されていた環境下で、昼食後にリビングで休まれていた際に症状出現。

【発生時の対応】

すぐに冷房を稼働させ、田中様を涼しい場所に移動。
水分補給を促し、看護師に連絡。バイタル測定実施。

体温37.8℃
血圧128/76
血中酸素飽和度98%

その後、施設看護師の判断により、14時30分に協力医療機関の〇〇クリニックを受診。
診断の結果、軽度の熱中症と判断。水分補給と室内環境調整で経過観察となる。

【事故原因の分析】

直接的な要因として、室温管理の不備が考えられる。
間接的な要因として、定期的な水分補給の声掛け不足や気温変化への配慮不足が挙げられる。

【再発防止策】

室温管理を徹底し、夏季は冷房を適切に使用。
こまめな水分補給の声掛けを実施。
気温に応じた環境調整を行い、スタッフ間で情報共有する。

再発防止策を考えるときのポイント

以下4つのポイントを心がけることで、精度の高い再発防止策が立てられます。

原因を多角的に分析する

介護事故は一つの要因だけで起きるわけではなく、利用者の体調や環境、職員の対応など複数の要素が重なって発生するケースがほとんどです。そのため「転倒したから注意不足だった」と単純に結論づけるのではなく、床の状態、照明の明るさ、利用者の服薬状況など多角的に分析することが重要です。

幅広い視点で原因を洗い出すことで、より効果的な再発防止につながります。

小さな兆候やヒヤリハットも分析対象にする

重大な事故に至らなくても「ヒヤッとした」「危うかった」という小さな出来事を見逃さないことが大切です。

たとえば、つまずきそうになったり、飲み込みが一瞬止まったりといった兆候は、将来の事故の前触れである場合があります。

こうした事例を積極的に記録・共有し、事故と同じように分析することで、未然に防ぐ仕組みを作ることができます。

実現可能で具体的な対策を立てる

再発防止策は「気をつける」「注意する」といった抽象的な内容では効果がありません。「廊下に手すりを設置する」「夜間は二人体制で巡回する」など、誰が、いつ、どのように取り組むのかを具体的に示すことが重要です。

実現可能なレベルで明確に行動に落とし込むことで、現場で確実に実行され、事故を防ぐ力となります。

チームで共有しながら改善する

事故防止は一人の努力では完結しません。職員全員が同じ情報を持ち、同じ意識で行動することが不可欠です。そのためには、カンファレンスでの共有や報告書の回覧などを通じてチーム全体に周知を徹底する必要があります。

さらに、対策を実施した後も定期的に振り返りを行い、必要に応じて改善を加えることで、組織全体で再発防止に取り組む文化を根付かせることができます。

介護職として働く私が思うに、職場で情報共有をする際は、申し送りノートや記録システムを使う施設が多いです。口頭や文書での申し送りでは、振り返りや情報の変更が難しくなります。

しかし記録システムを活用することで、日付検索や排泄や入浴などの情報を一括管理できます。情報の修正も簡単にできるので、正しい情報をすぐに共有することが可能です。

ぜひこの内容を参考に、職場内の情報共有をスムーズにするための工夫を取り入れてみてはいかがでしょうか。

介護事故報告書を上手に書く7つのポイント

介護における事故報告書を書く際のポイント4つ_イメージ

事故報告書を闇雲に書いてしまうと、事故対策や共有が適切にできません。質の高い再発防止のためにも、事故報告書を書く際は、以下7つのポイントを意識しましょう。

記憶が鮮明な当日に記載する

事故報告書は記憶が鮮明なうちに記載しましょう。記憶が鮮明な状態であれば質の高い再発防止策が立てられ、利用者やその家族からの信用も上がることが期待できます。

厚生労働省の発表では、5日以内と早い段階での報告が求められています。事故報告書は原則当日、夜間の場合は翌日の記載がベストなタイミングです。

当日に記載できない場合は、事故の様子をメモしたり箇条書きしたりして残しておき、後日清書するのがおすすめです。

主観ではなく事実を伝えて客観的に記載する

事実を正確に伝えるためにも、事故報告書は客観的に記載しましょう。「気をつけていなかった」「自分のミスにより」など主観的な意見や感想では、事故分析を深めるのは困難です。

報告書に客観的な文章を書くには、感想や推測ではなく事実や具体的な根拠の記入が大切です。

【事故概要の良い例】

2025年6月15日午前0時30分頃に巡視をした際、2階居室201号室にて、入居者の佐藤花子様(80歳、女性)が転倒しているのを発見。

【事故概要の悪い例】

10月15日の夜中に佐藤さんが転倒していた。私が見つけたときは居室のトイレ前で倒れていたので、おそらくトイレで目が覚めて歩いている時にふらついてしまい、転んだと思われる。とても痛そうにしていた。

悪い例は自分が思ったままを文章にしているため、根拠のない憶測が入っています。事実や利用者の特徴(ADLなど)の情報をもとに作成されていません。

これでは本来の事故の様子がわからず、適切な事故防止ができないでしょう。質の高い介護サービスの提供には、良い例のように数字や状況説明を用いて事故報告書を書く必要があります。

5W1Hを意識して記載する

事故報告書を書く際は5W1Hを意識して書くのがおすすめです。

5W1Hを活用すれば、受け手が状況を正確に把握でき、効率的に伝えられます。読み手の疑問点を減らせるので、情報共有がスムーズにいくのです。

介護職は、ケアマネジャーや看護師などの他職種と連携した利用者家族のサポートや、統一したケア提供のためにも情報伝達は大切です。素早い情報共有のためにも、事故報告書は5W1Hを意識して書きましょう。

専門用語はなるべく使用しない

事故報告書は介護職だけでなく、他職種や家族も見る機会があります。

たとえば「側臥位(そくがい)」や「臥床(がしょう)」などの専門用語があると、読み手に負担をかけてしまいます。

書き手の意図が伝わらず、お互いの認識に違いが生まれてしまうこともあります。後々、トラブル発展の可能性もあるので、専門用語は使用しないのが望ましいです。

時系列を整理して一貫性を持たせる

事故報告書では、事実を「いつ」「どの順番で」起きたのかが分かりやすく整理されていることが重要です。

たとえば「午前10時、トイレ誘導中に転倒」「直後に職員が駆け寄り処置を実施」といったように、時間軸に沿って記載することで、読み手は状況を正確に把握できます。

時系列に一貫性があると、後から振り返った際にも原因の特定や再発防止の検討がスムーズに行えるため、事故調査に役立つ書類となります。

必ず再発防止策を盛り込む

報告書の目的は「事故の記録」だけでなく、「同じ事故を繰り返さないこと」にあります。そのため、原因分析に基づいた再発防止策を必ず記載しましょう

具体的には、「廊下のマットを滑りにくい素材に変更する」「夜間は二人体制で見守りを行う」など、実際に取り組める具体的な改善策が求められます。再発防止策を盛り込むことで、報告書が単なる記録ではなく、現場改善のためのツールとして機能します。

読み手を意識して誰でも理解できる内容にする

事故報告書は、介護職員だけでなく、医療関係者や行政、利用者家族が目にする場合もあります。そのため、専門用語や現場特有の言い回しに頼らず、誰が読んでも理解できる表現を心がけることが大切です。

たとえば、「ADL」「インシデント」といった略語は避け、「日常生活動作」「重大事故に至らなかった事例」といった平易な言葉を使うと良いでしょう。

読み手を意識することで、透明性の高い報告が可能となり、施設全体の信頼性向上にもつながります。

介護事故報告書の書き方の注意点

介護事故報告書は、事故の原因を明確にし、再発防止につなげるための重要な記録です。しかし、記入時に曖昧な表現や不備があると、適切な対応が難しくなることがあります。

ここでは、介護事故報告書の記入でよくあるミスと、それを防ぐ対策を紹介します。

感情的・主観的な表現を使わない

よくあるミスの1つ目が、主観的な表現を用いることです。主観的では、なぜ事故が起きたのか特定が難しく、適切な対応ができません。

たとえば、「利用者が急に転倒した」という表現では、その状況が明確に伝わることはないでしょう。

「〇〇時、ベッドから車いすへの移乗中にバランスを崩して転倒」といったように、客観的な視点での記載が重要です。

介護記録で使ってはいけない言葉については、以下で紹介しているので、覚えておくようにしましょう。

詳細が不足したまま事故報告書に記載しない

事故の詳細が記入されていないことも、報告書ではよくあるミスです。

たとえば、「利用者が転倒した」のような簡素な表現です。

これでは、詳細が伝わらず、再発防止策を考えることができません。そのため、5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を意識して、詳細に記載しましょう。

曖昧で実用性がない再発防止策は書かない

再発防止策は、今後起こり得る事故を未然に防ぐために重要ですが、表現が曖昧で実用性がない場合も見受けられます。

たとえば、「事故が起こらないよう今後は気をつける」など、何を改善すれば良いのか明確でない表現です。

このような表現は避け、必ず具体的な対策を記載しましょう。「移乗時は2人体制を徹底する」「床の滑り止めを強化」のように対策が明確であれば、事故の再発を防止できます。

虚偽の報告は必ず避ける

事実を隠したり改ざんしたりすると、事故の原因究明や再発防止策の策定が不可能になります。それだけでなく、施設全体の信頼性を損ない、最悪の場合は法的な責任を問われることもあります

事故報告書は「施設を守るため」ではなく「利用者の安全を守るため」にあるという意識を持ち、正確で誠実な記録を心がけることが大切です。

介護事故報告書の書き方や例文に関するよくある質問

事故報告書の例文に関する質問に1つずつ回答していきます。同じ疑問を抱える方は、ここからの内容を参考にしてください。

事故報告書は誰が書くのですか?

事故報告書を書くのは、事故を発見した方や当事者です。事故を見ていない人が記載してしまうと、憶測や曲解のもと作成されてしまいます。

その結果、正確な再発防止策や情報共有が行われなくなってしまいます。そのため、事故報告書は事故を発見した方が担当しなくてはいけません。

事故報告書には何を書く?

事故報告書に書く内容はおもに以下のとおりです。

  • 発生時状況(事故内容の詳細)
  • 発生時の対応
  • 事故発生後の状況
  • 事故原因の分析
  • 再発防止策

事故報告書は再発防止や情報共有、訴訟リスクを減らすために記載します。したがって、事故状況の事実や客観性に沿った内容を、時系列で書くことが大切です。

事故報告書の書き方でよくある5W1Hとはなんですか?

5W1Hの意味は以下のとおりです。

  • 「When(いつ)」
  • 「Where(どこで)」
  • 「Who(だれが)」
  • 「What(なにを)」
  • 「Why(なぜ)」
  • 「How(どのように)」

5W1Hとは上記の英単語の頭文字をとった言葉です。問題解決や情報整理の型として活用されます。

フレームワークに沿って書けば、日時や場所、利用者の名前などを記載できます。読み手に負担をかけないメリットがあるので、事故報告書だけでなく資料作成などの際に多く活用されています。

介護の事故報告書に提出期限はある?

介護保険サービスにおける事故報告書の提出期限は、「事故発生からおおむね5日以内」が目安とされています。ただし、自治体によって具体的な期日は異なる場合があるため、所属施設や事業所が属する市区町村の指示に従う必要があります。

死亡事故など重大な事案の場合は、即時の連絡が求められるケースもあるため、対応フローを日頃から確認しておきましょう。

介護事故報告書とヒヤリハット報告書の違いは?

介護事故報告書は、実際に事故(けが、誤薬、転倒など)が発生した際に作成する記録です。一方、ヒヤリハット報告書は「事故には至らなかったが、ヒヤッとした・ハッとした出来事」を記録するもので、インシデントとも呼ばれます。

ヒヤリハットの蓄積・分析は、重大事故の予防に直結するため、どちらも重要な報告書です。

事故報告書は法的・行政的な報告義務を伴う場合がありますが、ヒヤリハットは主に内部共有が目的です。

介護事故報告書にテンプレート・マニュアルはある?

介護事故報告書には、厚生労働省が示す標準様式や、自治体・施設が独自に作成したテンプレートがあります。厚生労働省の様式は事故の種類や内容ごとに必要な項目が整理されており、全国の介護施設で広く活用されています。

介護事故報告書の保存期間は?

介護事故報告書の保存期間は、原則として2~5年間が目安とされています。これは介護保険法や厚生労働省の指導に基づいており、行政からの指導や調査が入った際に提示できるように保管しておく必要があるためです。

まとめ:介護事故報告書の書き方を理解してサービスの質を高めよう

事故報告書の正しい記載方法の流れを覚えることで、書き方に悩まなくなるだけでなく、利用者に寄り添った再発防止策が立てられます。また、職員を訴訟から守るためにも役立つので、事故報告書を書くポイントは必ず押さえておかなくてはいけません。

具体的には自分の憶測や感想を書くのではなく、事実と客観性を意識することが大切です。理由は主観的な文章になってしまうと、適切な事故防止策が立てられず、同じ事故が発生してしまう可能性が高まるからです。

そのためにも、事故報告書の必要事項には5W1Hを用いて客観的に記載していく必要があります。

また、記憶が新しい当日、または翌日に書くことで正しい情報を入れられるので、質の高い分析ができます。今回紹介した具体例を元に事故報告書を記載し、利用者に安全な生活を送ってもらいましょう。

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