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【爪切りはOK?】介護士ができる医療行為や正しい方法・条件を解説!
介護福祉士でも爪切りができるか気になる方はいるでしょう。
結論から述べると、介護福祉士でも爪切りをすることは可能です。しかし場合によっては、爪切りができない可能性もあるので事前に法律などの情報を確認しておかなくてはいけません。
爪切りの具体的な方法も解説するので、現場で爪切りを依頼されても対応できるようになります。
- 介護福祉士が爪切りをできるか知りたい!
- 爪切りの正しい方法を調べている…
などと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
爪切りは利用者に異常がなければ介護福祉士が行える
厚生労働省が発表している医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条によると医療行為は原則、医師や歯科医師・看護師など医療行為に関する免許を有する者が行うとされています。
以下の処置は介護現場でも多発するため規制の対象外です。
・爪切り(爪の皮膚に化膿や炎症などが見られない場合)
・口腔内洗浄(歯磨きや口腔粘膜の洗浄)
・耳垢の除去
・ストマのパウチに溜まった排泄物の除去
・自己導尿を補助するためのカテーテルの準備、体位変換
・市販の浣腸を用いて処置を行う
参照:医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条|厚生労働省
爪切りも介護現場ではよく実施されるので、介護福祉士でも対応できます。
【介護士必見】正しい爪の切り方
皮膚に異常のない高齢者に対しては、介護士でも爪切りを実施できます。そのため実際の現場では爪切りをお願いされる場合があるでしょう。しかし爪の切り方を知らないと、利用者を怪我させてしまうリスクがあります。
そこでここでは、正しい爪の切り方を紹介するのでぜひ参考にしてみてください。
道具をそろえる
爪切りをする前に、爪切りと爪ヤスリ、蒸しタオルを準備しましょう。爪切りは当然ですが、ヤスリは重要なアイテムです。
爪ヤスリは、爪の角を整えたり仕上がりをよくしたりするのに役立ちます。皮膚に引っかかり傷つけてしまうリスクを最小限にすることが可能です。
蒸しタオルは爪を切りやすくするのに使用する道具です。高齢者の爪は硬かったり厚くなったりしているだけでなく、変形していることも少なくありません。指先を温めることで、爪が柔らかくなり力を加えすぎずにスムーズに切れます。
高齢者の爪を切る際は爪切りと爪ヤスリ、蒸しタオルを準備する必要があります。
爪を切ることを伝える
高齢者の爪きり介助をする前には、声掛けを必ずしましょう。爪をいきなり切ろうとするとびっくりして、その行為を嫌がってしまいます。そのため、声掛けをして利用者に安心感や同意を得る必要があります。
「これから爪を切らせていただいても良いでしょうか?」「痛くないですか?少しずつ切りますね」など声掛けをして同意を得て切り進めることが大切です。
姿勢を整える
手の爪を切る際の姿勢は下記のとおりです。
- 椅子やベッドに座ってもらう
- 利用者と同じ向きで座る
- 利用者の腕を職員の手で固定する
- (脚を切る場合は大腿部の上に足を乗せ膝下を支える)
利用者によっては身体が動く方もいるので、手や足でしっかり固定しましょう。
慎重に切っていく
爪を切る際は、慎重に切り進めることが大切です。思いっきり切ると、爪が割れたり深爪になったりしてしまいます。また指先の皮膚は薄いので、皮が剥ける事故にもつながります。
爪と指の間を押し下げて、白い部分が1mm程度残るよう少しずつ切り進めるのがおすすめです。
やすりをかける
爪の切り口を滑らかにするためにヤスリをかけて整えましょう!
爪に切り残しや凹凸があると、皮膚を傷つけてしまいます。高齢者の皮膚は特に薄く柔らかいので、すぐに傷つく可能性があります。そのため、ヤスリをかけて仕上げることは大切です。
爪ヤスリを使用する際は、目的に沿った物を選ぶ必要があります。細かい目の爪ヤスリを使用すると、爪の凹凸を減らせるので切り残しを整えられます。粗い目だと形や長さを整えるのに役立ちます。
見た目を良くしたいときには、粗いヤスリの活用がおすすめです。
爪を切る際の注意点
高齢者の爪には特徴があるので、切る際には気をつける点があります。
具体的な注意点は以下のとおりです。
- 爪や皮膚を痛めないようにする
- 巻き爪にならないようにする
- 切り残しがないか確認を忘れない
それぞれ解説します。
爪や皮膚を痛めないようにする
爪や皮膚を痛めないように切るためには環境や態勢が大切です。
爪を切る際は暗い場所で切らず、爪先がよく見える所で切りましょう。また先述した姿勢を意識して切り進めるよう注意してください。
深爪や巻き爪にならないようにする
深爪や巻き爪などに注意しながら切る必要もあります。
深爪防止には、爪の白い部分を1〜2mm残しながら切ることが大切です。
爪の角はスクエアカットに切ると巻き爪を防げます。スクエアカットは下記のように切り進めていきます。
- 爪を直線に切る
- 角は指先のカーブに合わせる
- 爪ヤスリで角を丸く整える
爪をまっすぐ切り、角を丸くしないことで巻き爪を防げます。
爪の両端の角を大きく斜めに切る「バイアスカット」と間違えている方も多いですが、これは巻き爪の原因につながります。バイアスカットだと爪が伸びてきたときに行き先がなくなり、爪が巻いてしまうからです。
巻き爪を防ぐには、直線に切るスクエアカットにしましょう。
切り残しがないか確認を忘れない
切り残しがあると、他者と触れたときに傷つけてしまったり衣類に引っかかったりします。日常生活が不便になる場面があるので、綺麗に切ることが必要です。
切り残しを防ぐには爪ヤスリを使用して形を整えたあと、再度の確認がおすすめです。
自身の目視と本人に不快感がないか尋ねてみてください。爪が引っかかるような感じがあればヤスリで整えましょう。
爪切り後のケアはどうする?ポイントを解説
爪切り後のケアは感染症や怪我を防ぐために大切です。
そこでここでは、爪切りのアフターケアをする際のポイントを紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
甘皮をいじらない
甘皮とは爪の根本の薄い膜のことで、爪と皮膚の間を保護する部分です。甘皮は細菌や異物の侵入を防ぐ働きがある大切な皮膚の一部です。爪を切ったあとに甘皮に触れる高齢者がいますが、下手に触ると感染症を起こすことがあります。
高齢者の爪を切ったあとは、甘皮を剥いたり傷つけていたりしないか確認しましょう。
保湿する
爪を切ったあとに保湿をすると、良い状態を保てます。肌と同様、乾燥をしている爪は割れやすくなっています。爪に水分が与えられれば、ささくれや爪割れを防げるでしょう。
高齢者の場合は特に体の水分が減ってくるので保湿は大切です。保湿液やワセリンなどを塗布しておくと効果的です。
また保湿をして爪を割れにくくすると、怪我の防止にもつながります。体動や認知症の影響により割れた爪で自身や他者の皮膚を傷つけてしまう方もいます。
爪切り後の保湿は水分の維持と怪我をなくすためには必要です。
介護士が知っておくべき爪切りの種類
高齢者の爪は巻き爪になっていたり硬くなっていたりとさまざまです。そのため状況に合わせた爪切りを選択する必要があります。
そこでここでは、爪切りの種類を紹介します。具体的には以下のとおりです。
- テコ型
- ニッパー型
- ハサミ型
ぜひ参考にしてみてください。
テコ型
テコ型の爪切りは一般的によく見られる形をした爪切りです。
支点・力点・作用点の原理を活用するので、小さな力でも爪を切ることが可能です。
多くの施設ではテコ型の爪切りを使用している傾向があります。自身でも使用したことがある方が多いので扱いやすいでしょう。
ニッパー型
ニッパー型爪切りは、工具のニッパーの形をした爪切りです。切れ味が良いので硬い爪を切る際に使用されています。
テコ型同様、少ない力で切れるだけでなく持ち手部分が大きいため、利き手でなくても切りやすいでしょう。
厚くなっている高齢者の爪を切る際にも便利です。
ハサミ型
ハサミ型の爪切りはハサミのように左右の刃先で爪を切る爪切りです。ハサミの形状をしているため、爪の端を少しずつ切れます。
小さい爪や薄い爪を切る際に役立ちます。
高齢者ではなく幼児に使用される場合が多い爪切りです。
介護士が知っておくべき爪切りの刃の形
間違った刃の形をした爪切りで爪を切ると、利用者に怪我を負わせてしまうリスクも少なくありません。そのため、爪切りの刃の形を知っておくことは大切です。
こちらでは、介護士が知っておくべき爪切りの刃の形を紹介します。具体的には下記のとおりです。
- 直線刃
- 斜め刃
- 凸刃
正しい爪切りのケアをするためにも知っておきましょう。
直線刃
直線刃は刃がまっすぐになっている爪切りです。
一気に切れない構造になっているため、少しずつカットしたい方にはおすすめです。
スクエアカットが可能なので、巻き爪防止にも役立つでしょう。男女問わずオールマイティに使用できるのが特徴です。
斜め刃
斜め刃の爪切りは足の爪を切る際に役立ちます。爪の隙間に入りやすいので爪を挟む部分が見えやすい構造になっています。カットする際に自分の影で見えにくくなる足の爪切りには最適です。
また爪と爪切りの位置を確認しやすいので、深爪を防げます。高齢者の足の爪は変形していて、切りにくくなっている場合があります。
斜め刃の爪切りを使用すれば、切りすぎを防ぎながら安全にカットすることが可能です。
凸刃
凸刃の爪切りはニッパー型の形状をしている爪切りです。
刃の中央が凸状になっているので、爪と皮膚の間に入りやすくなっています。そのため巻き爪をカットするのに最適です。
爪の中央を切ったあとは、凹凸部分をヤスリなので整えましょう。刃が開く角度も広いので、足の爪も切りやすいのも特徴です。爪を切る部分が見やすく深爪防止ができます。
介護士が行えない医療行為
下記の医療行為は介護士だけでなく、介護福祉士でも行えません。
- インスリン注射
- 摘便
- 点滴の管理
- 褥瘡(床ずれの処置)
現場によっては知らずに指示される場合があるので、介護士自身が禁止の医療行為を知っておく必要があります。
インスリン注射
糖尿病患者は血糖を下げるホルモンであるインスリンが不足している状態です。そのため腹部あたりから注射で投与する必要があります。
インスリン注射は医療行為なので介護士は行えませんが、サポートすることは可能です。
介護士ができるインスリン注射のサポートは以下のとおりです。
- 器具の準備
- 血糖値測定の際の声かけ・見守り
- 血糖値器具の数値のチェック
- 注射器の手渡し
- 使用済みの注射器の片付け
インスリン注射の事前準備や事後の対応は行えます。
摘便
寝たきりや麻痺により腸の活動が低下している方は自力排泄が困難です。そのため摘便をして排便を促すことがあります。摘便は医療行為なので、介護士が行うことはできません。
便の排出が困難な利用者がいたら、医師や看護師に必ず対応してもらいましょう。
点滴の管理
体内に針を刺したり薬剤を管理したりする必要があるので、医師や看護師など、医学的知見がある人ではないと行えません。したがって介護士ができる医療行為ではないので注意が必要です。
褥瘡(床ずれの処置)
寝たきりや座った状態が長い高齢者は長時間同じ体勢でいると、身体の一部が圧迫されます。その結果、組織への栄養が滞り、皮膚に炎症や損傷が起きている状態が褥瘡の原因です。
褥瘡の処置は専門的な判断や技術が必要なので看護職が担当します。ただし褥瘡を予防するための体位変換や簡単なガーゼ交換は、介護士でも行えます。
予防ケアは褥瘡の悪化を防ぐので、介護士でもできる範囲でかかわっていきましょう。
資格があることで行える医療行為
介護福祉士を取得していると行える医療行為サービスがあります。具体的には下記のとおりです。
- 喀痰吸引
- 経管栄養
医療的ケアの知識やスキルを身につけることで、手当が発生したりキャリアアップにつながったりします。
喀痰吸引
喀痰吸引を実施できるのは医師と看護師ですが、喀痰吸引等研修を修了した介護士も行えます。
介護福祉士を取得していなくても受講できますが、資格があると講習が免除されます。病院や施設での実地研修を受けるだけとなり、少ない時間で研修を修了できます。
経管栄養
経管栄養も医療行為なので介護士は行えませんが、喀痰吸引等研修を取得していることで実施できます。先述した喀痰吸引と同様、介護福祉士に合格後、病院や養成施設で実地研修を受講する必要があります。
医療的ケアを提供したい介護士は、喀痰吸引等研修を受けましょう。
よくある質問
介護福祉士の爪切りに関するよくある質問は以下のとおりです。
- 糖尿病患者の方の爪切りをする際の注意点は?
- デイサービスで爪切りをしてもらうと料金がかかる?
- 爪切りによる事故の対処法は?
それぞれ解説します。
糖尿病患者の方の爪切りをする際の注意点は?
糖尿病の人は皮膚が傷つきやすく治りにくい状態です。疾患の影響で免疫力も低下しているため、仮に傷口から何らかの菌が感染すると、皮膚組織が腐る「壊疽(えそ)」や欠損する「潰瘍」などが起こしてしまう可能性があります。そのため、爪切りをする際は皮膚を傷つけないよう処置しなくてはいけません。
爪と指の皮膚を押し下げて、少しずつ切るように心がけましょう。
デイサービスで爪切りをしてもらうと料金がかかる?
デイサービスで爪切りをしてもらっても別料金はかかりません。利用料金内で処置してもらえるので、爪切り自体は無料です。
爪切りによる事故の対処法は?
爪切りをすると、気をつけていても皮膚を切ってしまったり深爪をしてしまったりすることがあるでしょう。
基本的には下記の流れで事故の対処をします。
- 事故が発生したらすぐに報告する
- 事故報告書を提出する
- 施設側から家族に謝罪
事故を起こしてしまったら、速やかに看護師に報告し処置をしてもらうことが大切です。その後、事故報告書を作成し防止や情報共有に努めます。事故報告書の記載ができたら、看護師または管理職から家族へ謝罪の連絡を行います。
介護士が対応するのは、事故の報告と事故報告書の作成です。
【まとめ】利用者の状態に応じた爪切りを使用して正しくカットしよう
介護福祉士や介護士でも、高齢者の爪を切ることは可能です。
ただし、高齢者の爪の状態が炎症を起こしていたり傷を負っていたりする場合は切れません。迷って自己判断せず、医師や看護師に業相談した上で指示に従って実施する必要があります。
また爪の状態に合わせた爪切りの種類を選ぶことも大切です。利用者の爪を確認したうえで、正しい姿勢でカットしていきましょう。
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