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【ケース別】浴槽から出入りする際の入浴介助の方法!立ち上がりのポイントも解説
利用者を浴槽から出入りする際は、シャワーチェアやバスボードを利用する場合があります。一人ひとり対応方法が異なるので、慎重に行わなくてはいけません。
また入浴の出入りには、介助用具を使用する利用者もいるでしょう。そのため、正しい介助用具の使用方法も覚える必要があります。
利用者に応じた入浴方法を覚えられるので、ぜひ参考にしてみてください。
浴槽出入りの入浴介助の基本手順|立位が安定している場合

以下の内容を浴槽から出入りする際の参考にしてみてください。
浴槽に入る際の入浴介助
立位が安定している方は、浴槽に設置されている手すりにつかまって入浴するのが基本です。介助者は背中を支えたり、声かけをしたりして、利用者の自立支援を促します。
また、片麻痺の部分は湯舟につかっても温度を感じられません。そのため、麻痺のない部分から入ってもらうことが大切です。
基本的には、利用者の残存能力を活かして介助することを意識しましょう。
浴槽から出る際の入浴介助
立ち上がる際は足を臀部に引き寄せ、身体を前に傾けておじぎをするように動いてもらいましょう。正しい姿勢になってもらうことで、利用者は湯船の中でもスムーズに立ち上がれます。
利用者が立ち上がったら浴槽の角に臀部をのせてもらい、片足ずつ湯船から出てもらいます。
立ち上がれない・片麻痺の方の浴槽出入りの介助方法
立位が安定しない方を浴槽から出入りさせる際は、以下を参考にしてください。使う介助器具ごとに紹介しているので、すぐに実践できるでしょう。
浴槽に入る際の介助手順
立ち上がれない方には、安全性と身体状況に応じた用具の選定が重要です。まずは体調確認と浴室・湯温の管理(38〜40℃)を行い、滑り止めマットや手すりなども準備しておきます。
入浴動作は健側(非麻痺側)を先に動かすことが原則で、片足ずつ浴槽にまたぐ形で動作を促します。使用する用具によって移乗方法は異なりますが、共通して重要なのは無理な力をかけず、利用者が主体的に動けるように「右足を上げましょう」など段階的な声かけを行うことです。
介助者は、横または後方から腰や肘を支える姿勢で、転倒や恐怖心の軽減を図りながら介助を行いましょう。
シャワーチェアを使用する場合
シャワーチェアを使う場合は、まず椅子を浴槽の手前に設置し、背もたれが安定していることを確認します。利用者を椅子に座らせたら、介助者は横または斜め後方に立ち、声かけしながら片足ずつ浴槽の縁をまたぐよう誘導します。
片麻痺のある方は、非麻痺側(健側)を先に動かし、患側を後からゆっくり移動させるのが基本です。椅子からの前屈が難しい場合は、腰や膝を支えながら姿勢を補助し、無理のない姿勢でまたぎ動作を促しましょう。滑り止めマットの使用も安全性を高めるポイントです。
バスボードを使用する場合
浴槽の縁にしっかり固定し、ぐらつきがないことを必ず確認します。利用者をバスボードの外側に腰かけさせ、足を一方ずつ浴槽内に入れます。非麻痺側の足から入れることでバランスを保ちやすくなります。
その後、バスボード上でお尻を滑らせながら横移動させ、浴槽内に着座させます。介助者は常に背後または側面で支え、滑落を防止しましょう。必要に応じて肘や膝に軽く手を添えることで恐怖心を和らげる効果もあります。
取り付け型チェアを使用する場合
取り付け型チェアは浴槽の上に設置する回転式やスライド式の座面を持つ用具で、移乗動作の負担を軽減できるのが特長です。利用者を座面に座らせたあと、レバー操作で座面を回転・スライドさせて浴槽内に移動させます。
この際、利用者の姿勢が崩れないよう背中や腰を支えることが重要です。片麻痺のある方は、座面回転中に患側へ体重が偏らないよう注意し、ゆっくり操作しながら声かけを続けることが安全な介助につながります。
浴槽から出る際の介助手順
浴槽から出る介助では、のぼせ・立ちくらみなど体調変化のリスクに十分配慮することが不可欠です。まず浴槽内で安定した姿勢を取らせ、表情や意識を確認しながら無理に立たせず、動作を小刻みに分けて案内します。
出るときも非麻痺側の足から浴槽の縁をまたがせ、シャワーチェアやバスボードへ安全に移乗させることが原則です。取り付け型チェアなどの機器を使う場合は、座面の回転・スライド操作に注意しながら背中や体幹を支えることが大切です。
介助者は後方または側面から常に声かけを行い、滑りやふらつきによる転倒を未然に防止する姿勢で介助にあたりましょう。入浴後の水分補給や体調確認も忘れずに実施します。
シャワーチェアを使用する場合
浴槽から出る際は、まず浴槽内で呼吸と体調を整えてから動作を開始します。介助者は、非麻痺側を先に動かせるように位置を調整し、足を1本ずつ浴槽の外に出してシャワーチェアに座らせる流れを促します。
立ち上がる際は膝や肘を支えてバランスを取らせましょう。麻痺が強い方には、介助者が後方から腰を支えつつゆっくり立ち上がらせるのが安全です。
バスボードを使用する場合
バスボードを使う場合、利用者をまず浴槽内で安定した姿勢に導き、呼吸を整えさせます。片足ずつ、非麻痺側→患側の順に浴槽の縁をまたがせ、バスボード上に腰をかけさせます。
そこからお尻を滑らせて外側に横移動させ、足元を確認しながら立ち上がるか、シャワーチェアに誘導します。滑りやすい場面なので、浴槽のふちやバスボードに手を添えさせながら介助者が側面から支えると安心です。
取り付け型チェアを使用する場合
取り付け型チェアからの退出時は、座面を回転またはスライドさせて利用者を浴槽の外へ移動させます。片麻痺のある方は、動作中にバランスを崩しやすいため、体幹を支えながら慎重に操作します。
座面が浴槽外に到達したら、足元の安全を確認し、シャワーチェアや車椅子へ誘導します。動作中は「いまスライドしますね」「右足を出しましょう」など段階的な声かけが安心感につながります。
シャワー浴・足浴による入浴介助の選択肢
立位が安定しない方には、シャワー浴や足浴を実施するのも1つの方法です。無理に浴槽に入らせるのではなく、利用者の身体状況を考慮して、適切な入浴介助を実施しましょう。
シャワー浴の入浴介助の方法
シャワー浴は、立位が不安定な方や浴槽に入れない方への安全な入浴方法です。以下の手順で介助を行います。
事前準備
- シャワーチェア・防水エプロン・バスタオルを準備
- 浴室の室温を調整し、寒暖差をなくす
- 水温は38〜40℃を目安に設定
入浴と移乗
- 利用者の体調(顔色・意識・血圧)を確認
- 車椅子や歩行器からシャワーチェアへ移乗(必要に応じて介助)
洗身・洗髪の実施
- 上から下へ順番に、身体が冷えないようタオルで覆いながら洗う
- 顔や頭は最後に洗うと冷えにくい
終了と脱衣
- 洗い残しがないか確認し、素早くタオルで水分を拭き取る
- 脱衣所で再度体調を確認し、必要に応じて水分補給を促す
介助中はこまめな声かけと観察を行い、のぼせ・立ちくらみに注意しましょう。
足浴の入浴介助の方法
足浴は、寝たきりや体調不良で全身入浴が難しい方に適した清潔保持の手段です。以下の手順で実施します。
準備するもの
- 洗面器または足浴用バケツ、防水シート、タオル、ぬるま湯(約38℃)、保湿剤
実施手順
- ベッドや車椅子上で実施できる姿勢を整え、防水シートを敷く
- 足を洗面器に入れ、5〜10分程度温める(のぼせに注意)
- やさしく足をこすり洗いし、足指の間まで丁寧に清拭
- 湯から出したらタオルでしっかり拭き、保湿を行う
終了後の確認
- 皮膚トラブル(かぶれ・むくみ・褥瘡)がないか観察
- 爪の状態や足の冷え具合などもチェックする
足浴は、血行促進やリラックス効果があり、継続的な実施で感染予防やスキンケアにもつながります。

入浴介助で浴槽から出入りさせる際のポイント

立ち上がりが困難な方や麻痺のある利用者は、浴槽から出入りをする際に介助が必要です。ここでは、介助が必要な方を浴槽から出入りさせる際のポイントを紹介します。
温度を確かめる
入浴を行う際は、まず温度計で湯温を確認し、問題がなければ介護職が再度確認します。湯温の目安は38℃〜40℃とし、利用者にチェックしてもらいましょう。
利用者に湯をかける際は、まず指先や足先などの末端で確認してもらうのが基本です。熱さや冷たさの訴えがなければ、身体の中心に向けて湯をかけていきます。
身体を支える
浴槽に入れる際は、介助者の腰につかまってもらい、背中を支えます。次に、利用者の足を片方ずつ湯船に入れていきます。湯船に入れる際は、介助者の足で膝を押さえ、利用者さんの身体を安定させてください。
立ち上がったら身体の向きを変え、浴槽の角や端に座ってもらいます。身体の向きを変える際は、進行方向側の肩と反対側の腰を支えましょう。利用者の身体が安定した状態で、湯船に入れます。入水時は、肩を支えながら片足ずつゆっくり浴槽に入れていきます。
入水後は、湯温に問題がないか確認したり、体勢を整えたりして様子をうかがってください。
適切な姿勢に整える
浴槽から出る前には、まず臀部を身体に寄せてらってから、介助者につかまってもらいます。お互いの姿勢が整ったら、利用者に前屈みになってもらい、介助者はゆっくりとバスボードや浴槽の端に移動させていきます。
立ち上がる際は、進行方向側の肩と反対側の腰を支えましょう。立ち上がる際は、利用者さんの両足の間に片足を挟むことで身体が安定します。バスボードや浴槽の端に身体を載せたら、片方ずつ足を湯船の外に出し、のぼせていないか確認したり、掛け湯を行ったりします。
入浴介助で浴槽から出入りする際の注意点

浴槽から出入りする際の注意点は以下のとおりです。
転倒のリスクに注意する
お風呂場では床が濡れているため、出入り時には転倒に注意する必要があります。自立している方も浴場では脇の下を軽く支えて介助してください。
また、脱衣所へ行く際は、必ず足を拭いてもらいましょう。自立されている方の場合、そのまま歩いてお風呂から出てしまうことがあるので見守りを怠ってはいけません。
介護職として働く私が、高齢者の転倒や事故を防ぐために意識していることは、危険予知と声かけです。事故が発生するリスクのある場所では、事前に声かけを行い、危険があることを伝える必要があります。
たとえば入浴場の床は濡れやすく、歩いているときに転倒してしまう可能性が高い場所です。入浴場で介助をする際には「滑りやすくなっているのでゆっくり歩きましょう」や「気をつけてくださいね」など利用者に声をかけるようにしています。
そのためにも介助者は、トイレや食堂など施設内それぞれで危険な場所を把握しておくことも大切です。
水分補給を促す
高齢者の体内からは、一度の入浴で約500ml前後の水分が失われるといわれています。一度に500mlの水分を補給してもらうのは難しいので、入浴前後の2回に分けて約500mlの水を飲んでもらいましょう。
また、シャワーのみでも同等の水分量が失われるようです。高齢者がお風呂に入浴する際には水分補給が必須です。
身体の状態を確かめる
入浴時には、利用者の皮膚のチェックを忘れてはいけません。介助中に乾燥や傷、床ずれ(褥瘡)の有無を確認しましょう。腫れや赤みがあれば、医師や看護師に報告する必要があります。
また、入浴前後にはバイタルチェックを行います。
体温や脈拍、血圧に異常がある場合は、入浴の中止や医療職に報告してください。

入浴介助の浴槽出入りで起こりやすいトラブルと予防策
入浴介助で浴槽から出入りする際は、トラブルも起こりえます。そのトラブルと予防策を事前に把握しておくことで、利用者に安全な入浴介助が提供できます。
立ちくらみによる転倒
入浴時に多いトラブルの1つが、立ちくらみによる転倒です。高齢者は入浴中に血管が拡張し、血圧が下がることで立ちくらみを起こしやすくなります。
これを防ぐためには、まず入浴前にコップ1杯程度の水分補給を促すことが重要です。また、急に立ち上がらず、座った状態から徐々に身体を起こすよう声かけを行いましょう。
介助者は、移動時や浴槽からの立ち上がり時に腕や肘、腰などを軽く支えて転倒を防止します。室温や湯温が高すぎると症状が悪化するため、浴室は20℃以上、湯温は38~40℃程度に保ち、長湯を避けましょう。
立ちくらみが見られた場合は、すぐに座らせて休ませる判断も大切です。
のぼせてお風呂から出られない
高齢者の入浴時には、のぼせによって湯船から出られなくなるケースもあります。長時間の入浴や高めの湯温(41℃以上)が原因で、全身の血管が拡張し、脳への血流が一時的に不足して意識がぼんやりすることがあります。
これを防ぐには、入浴前に体調確認を行い、時間は10分以内、湯温は38〜40℃に設定するのが理想です。浴槽から出る際には、急に動かず、声かけしながらゆっくりと立ち上がるよう促すことが大切です。
のぼせの兆候(顔の紅潮、息苦しさ、ぼんやりした返答)があれば、すぐに浴槽から出して冷たいタオルで身体を冷やし、座位または仰臥位で安静にさせましょう。介助者は常に利用者の表情や呼吸状態に気を配ることが予防につながります。
入浴介助時の浴槽出入りをサポートする介助用品

入浴時は、利用者の介護度に合わせて適宜使用する必要があります。施設や在宅で利用されている介助用品を1つずつ紹介します。
シャワーチェア
シャワーチェアは、車いす型の介助用具で、浴槽まで移動できるものです。自立されている方から歩行が困難な利用者まで、幅広く活用できます。
一般的な浴槽に入浴する方は、介助者が押すシャワーチェアを使用します。介護度の高い方は、シャワーチェアを使って機械浴を利用することが一般的です。
入浴ボード
入浴ボードは、足が不自由でまたぎづらい方に活用されており、回転盤や浴槽の両端に設置できるタイプがあります。立ち上がりが難しい方でも安全に介助できるので、利用者の介護度に合わせて利用しましょう。
浴槽用内手すり
介護用の手すりは、利用者が浴槽から出入りする際にバランスを保つための介助用具です。浴槽や浴槽脇の壁に横に設置され、浴槽をまたぐ際や立ち上がりの際に使用します。
ネジで締められるため、簡単に設置できます。在宅や施設など、様々な場面で利用される介助用具です。
浴槽内バスチェア
浴槽内バスチェアは、湯船の中に置ける介護用の椅子です。高齢者は筋力の低下により、浴槽内での姿勢の保持や立ち上がりが難しい場合があります。
そのため、座位が不安定な利用者に活用しましょう。浴槽内バスチェアがあれば、湯船での姿勢の崩れや溺れるリスクを軽減できます。
すべり止めマット
すべり止めマットは、浴槽内に設置して立ち上がり時の滑りを防ぐ介助用具です。
入浴時の座位姿勢を保ち、臀部が前にずれるのを防ぐ目的で使用します。
麻痺がある方は、身体の一部に力を入れることが難しいですが、すべり止めマットがあれば浴槽の座面を安定させ、麻痺があっても立ち上がりやすくなります。
入浴中の姿勢保持が難しい方には、ぜひ使用してみてください。
入浴介助の浴槽の出入りに関するよくある質問
最後に、入浴介助の浴槽の出入りに関してよく寄せられる質問に回答していきます。
浴槽からの立ち上がりの介助方法は?
浴槽から立ち上がる際は、まず利用者が安定した座位姿勢を取り、呼吸を整えることが大切です。次に、浴槽内に設置された手すりやバスボードを使用し、上肢で支えながら立ち上がる動作を誘導します。
足元が滑らないよう、滑り止めマットの使用も効果的です。
介護で浴槽に入るときの手順は?
介護が必要な方が浴槽に入る際は、まず体調と皮膚状態の確認、水温(38〜40℃)の調整、室温の保温が基本です。
非麻痺側を軸にし、片足ずつまたぐように促すとバランスを崩しにくくなります。浴槽の縁が高い場合は、ステップや取り付け型チェアの活用で負担を軽減できます。
高齢者が浴槽から出るにはどうする?
高齢者が浴槽から出る際は、まず浴槽内で安定した姿勢を保ち、呼吸や体調に異常がないか確認します。その後、手すりやバスボードを使って上半身を支えながら、片足ずつまたぐように誘導します。
立ちくらみやふらつきを防ぐため、急に立ち上がらせず、段階的に動作を分けて声かけすることが重要です。介助者は後方から支えながら、必要に応じて腰・膝・肘を軽くサポートします。
入浴介助で浴槽に入る前にすることは?
入浴前には以下の確認と準備をしましょう。
- 体調・意識・皮膚状態の確認(高血圧・低血圧・脱水傾向がある方には注意)
- 浴室の室温を20度以上に設定
- お湯の温度は38~40度に設定
- 滑り止めマットや手すりの設置
- シャワーチェアやバスボードの準備
- 衣服やタオル、保湿剤の配置
- トイレ誘導・水分補給の実施
これらの準備を徹底することで、安全かつスムーズな入浴介助が可能になります。
状況に合わせた入浴介助を実施しましょう!
入浴介助は自立している方だけでなく、麻痺や歩行が困難な利用者にも対応する必要があります。在宅や施設によっても利用できる介助用具は異なりますので、利用者の状況や自宅の環境に合わせて行う必要があります。
今回紹介した方法を参考に、高齢者に負担の少ないケアを実施しましょう。
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