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【初心者でも可能】ベッド上での食事介助の仕方や注意点も解説!
体調不良や介護度の高い方の食事介助は、ベッド上で行う場合があります。しかし、初心者や新人職員の中には、ベッド上での食事介助に不安を感じている方もいるでしょう。
正しいスプーンの使い方やベッドの角度など、安全に介助する方法を解説しますので、ぜひ参考にしてください。
ベッド上で介助する前に確認することや事前準備
ベッド上で食事介助を始める前には、事前準備が必要です。具体的な確認や事前準備は以下のとおりです。
- 覚醒しているか確認する
- 口腔内を清潔にしたり口腔体操を実施したりする
- ベッドをギャッジアップして姿勢を整える
- 介助用テーブルを設置する
- 利用者を観察しやすい位置に座る
- 食事をする前には声かけをする
利用者さんの様子や食事環境を整えてから、介助を行いましょう。
覚醒しているか確認する
まず、利用者さんが起きているか確認してください。眠っているような状態では、誤嚥のリスクがあります。特に朝の食事の際は注意が必要です。
朝、起きるのが難しい利用者さんがいる場合、生活リズムを整えるところから始めるのがおすすめです。
口腔内を清潔にしたり口腔体操を実施したりする
ベッド上での食事介助は、窒息や誤嚥のリスクが高まる傾向にあります。口腔内を清潔に保つことや、口腔体操を実施することで、飲み込みをスムーズにできます。
食事前に軽くうがいをしたり、スポンジブラシで口腔内を潤すのがおすすめです。
口腔体操は食事前に実施する口のエクササイズで、飲み込みの動作を助ける効果があります。まだ取り組んでいない事業所があれば、「口腔体操 介護」で情報を探してみてください。
ベッドをギャッジアップして姿勢を整える
ベッド上で食事介助を行う前に、環境を整えることが大切です。ベッドを整えることで、寝た状態でも食事がしやすくなります。まず、ベッドを45〜60度の角度に調整してください。
頭部の後ろにクッションや枕を置くことで、誤嚥のリスクを低減できます。
介助用テーブルを設置する
ベッド上で食事をする際には、オーバーテーブルかサイドテーブルを設置しましょう。
オーバーテーブルとはテーブルの両側に脚がついていて、ベッドをまたいでセットできる介助用品です。テーブルの天板の横幅が広いため、介助されなくてもひとりで食事ができる方におすすめです。
サイドテーブルは、片側にのみ脚がついている介助用品です。ベッドの片側が壁に接している場合はサイドテーブルを使用することで、ベッド上で食事ができます。
利用者を観察しやすい位置に座る
食事介助を開始する際、利用者さんの観察しやすい位置に座ることが基本です。利用者さんの異変にすぐ気づけるだけでなく、利用者さんも介助者を確認できて安心します。
立ったままの介助では、利用者さんがむせる原因となる可能性があるので、必ず利用者さんの隣に座り、目線を合わせて食事介助を行ってください。
食事をする前には声かけをする
食事を始める前の声かけにより、利用者さんは食事が開始されることを認識できます。声かけは、食事の意欲を高める役割も果たします。
食事介助時には「〇〇から始めましょうか」「これは〇〇ですよ」といった声掛けを心がけ、献立を紹介するなどのコミュニケーションをとることが推奨されます。
ベッド上で食事介助をする際のスプーンの使い方
ここからは食事介助時のスプーンの使い方を紹介します。具体的には以下のとおりです。
- ティースプーン3分の2の量で提供する
- スプーンを唇の手前に当てる
- スプーンは水平に引く
食事介助の際にはスプーンの動かし方が重要なので、ぜひ参考にしてみてください。
ティースプーン2/3の量で提供する
ティースプーンに乗せる食事の量は、3分の2程度を目安にしましょう。スプーンが一杯になると、誤嚥の原因になりかねません。
特にベッド上での介助時は、注意が必要です。この状況では誤嚥しやすくなるため、食事の量に気を付けてください。
食事をスプーンで切り分ける際も、3分の2程度の量を意識しましょう。
スプーンを唇の手前に当てる
利用者さんの口に食事を運ぶ際、スプーンを唇の手前に優しく当ててください。これは「これから口に食事が運ばれる」というサインとして認識させるためです。
利用者さんの口に食事を運ぶ際の動作には注意を払いましょう。
スプーンは水平に引く
スプーンを口に運んだ際、舌に食事を乗せるようにしてください。次に、スプーンをゆっくりと水平に引きます。
食事を口に運んだ後のスプーンの動きは、水平に保ちましょう。
ベッド上で食事介助をする際の注意点
ベッド上での食事介助には以下のような注意点があります。
- 食事のバランスを考える
- 水分も定期的に摂取してもらう
- 飲み込みの確認を忘れない
- 食後に口腔ケアをする
- 食事が終了してもすぐにベッドを下げない
ベッド上で食事をする際は、利用者さんの様子をしっかり確認しましょう。
食事のバランスを考える
ベッド上での食事介助をする際は、食事量のバランスを考えることが重要です。
主菜、副菜、汁物をバランスよく配分する必要があります。どれかに偏ってしまうと、栄養のバランスが崩れてしまいます。
栄養のバランスを考慮しながら食事を提供しましょう。
水分も定期的に摂取してもらう
ベッド上での食事介助は、食堂で提供するよりも利用者さんの姿勢が不安定になりやすいです。水分摂取を怠ると、むせ込みを引き起こす原因になります。
むせ込むことは誤嚥を引き起こす可能性もあるので、水分補給を忘れず、定期的に水分を促してください。
飲み込みの確認を忘れない
食事を提供する際は、飲み込みの確認を忘れないようにしましょう。
ベッドに角度をつけていても、利用者さんの飲み込み具合によっては口の中に食物が溜まることがあります。飲み込みの確認は、咽頭が上昇するのが1つのサインです。
利用者さんの身体の変化を確認しながら食事を提供してください。
食事と水分の摂取量を確認する
食事介助で確認するべきは、食事と水分の摂取量です。ベッド上での介助時、全介助または半介助で行うケースが多いです。食事介助に慣れていないと、食事と水分のバランスが崩れる介助者もいます。
主菜ばかりを提供したり、水分摂取を忘れたりすることがあるので、適切な配分を心がけて食事介助を進めましょう。
食事を楽しんでいるか確認する
食事介助において大切なのは、利用者さんが食事を楽しむことです。ベッド上での食事時、介助者は隣にいるものの、他の利用者さんは周りにいません。
景色の良い場所でもないため、利用者さんが食事を楽しむのは難しいかもしれません。適度に話しかけ、コミュニケーションを取りながら食事介助をしましょう。
利用者さんの表情を観察し、食事を楽しんでいるか確認するのも大切です。
食後に口腔ケアをする
食事が終わったら、口腔ケアを忘れないようにしましょう。食べ残しや食べかすが口の中に残っていると、誤嚥性肺炎を引き起こす原因になります。
ベッド上での介助時、姿勢が安定しづらく食べかすが口の中に残ることもあるので、歯ブラシやスポンジブラシを使用し、口腔内をしっかりとケアしてください。
食事が終了してもすぐにベッドを下げない
ベッド上での食事介助が終わった後も、すぐにベッドを下げてはいけません。消化不良や誤嚥のリスクがあるからです。
ベッドをすぐに下げず、約30分は角度を維持しておきましょう。
その後、利用者さんに異変がなければ、ベッドを元の位置に戻します。
ベッド上での食事介助は安全に考慮しながらおこないましょう
ベッド上での食事介助と一般的な食事介助との違いは環境にあります。不安定な場所での食事となるため、ベッドの角度や飲み込みの様子に注意が必要です。
また、ベッド上では周囲に仲の良い利用者さんがいないことや外の景色が見えないこともあります。そのため、適度に声をかけてコミュニケーションを取ることが重要です。