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介護福祉士の実務経験をごまかし危険性とは?効率よく取得するまでの方法も解説
介護福祉士の実務経験をごまかすのは絶対にやめましょう。実務経験を改ざんすると、刑事罰を受ける可能性が非常に高くなります。
介護福祉士を最短で取得する方法や効率的な勉強法についても解説します。これから介護福祉士を目指す方は、ぜひ参考にしてみてください。
介護福祉士登録証を偽造した事件が起きている
2022年4月に、介護福祉士の登録証を偽造し、勤務先の介護事業所から資格手当の5万円をだまし取る事件が発生しました。容疑者はさらに、脳性まひの女性から総額200万円もだまし取っているようです。この犯人は、実務経験をごまかすために介護福祉士の登録証を偽造していましたが、後に偽造公文書行使の疑いなどで逮捕・起訴されました。
介護福祉士の実務経験をごまかすとどうなる?絶対にやらないほうがいい理由
介護福祉士の実務経験をごまかすと以下のような事態が発生します。
- 「免状不実記載罪」という罪にあたる可能性がある
- 勤務先も罰せられる可能性がある
介護福祉士の実務経験をごまかすのは、絶対にやめましょう。
「免状不実記載罪」という罪にあたる可能性がある
実務経験の年数を偽り、偽の証明証で受験する場合、「免状不実記載罪」の罪に問われる可能性があります。免状不実記載罪の内容は、公務員に対して虚偽の申立てをし、免状に虚偽の記載をさせた場合、1年以上の懲役または20万円以下の罰金に処されます。介護福祉士国家試験は、介護の技能や知識を問う国家試験です。
実務経験を偽って受験すると、免状不実記載罪に該当する可能性があり、試験に合格していても結果は取り消されます。
勤務先も罰せられる可能性がある
勤務先が実務経験を偽る書類の作成に関与した場合、共犯として罰せられる可能性があります。
2013年10月には、医薬品の登録販売者の試験を受験する社員の実務経験を偽った上司が罰せられた事例がありました。該当の社員は試験には合格していましたが、結果として試験の結果は取り消されました。
勤務先の不正行為は、社員の人生を狂わせるだけでなく、会社にも大きな迷惑をもたらします。
したがって、実務経験を偽る書類を作成する行為は、絶対に避けるべきです。
介護福祉士を取得するには何年の実務経験が必要?
介護福祉士を取得するには何年の実務経験が必要なのか具体的に解説します。
ルートと期間は以下のとおりです。
- 養成施設ルート(最短1年)
- 福祉系高校ルート(最短3年)
- 実務経験ルート(最短3年)
- 経済連携協定(EPA)ルート(最短3年)
自身がどのルートかを確認しながら進めてみてください。
養成施設ルート
養成施設ルートでは、大学、短期大学、専門学校で指定された履修科目を取得した後、1〜2年で介護福祉士国家試験を受けることができます。
平成29年度までは、養成施設を卒業すれば介護福祉士を取得できました。しかし、「社会福祉士及び介護福祉士法」の改正により、令和9年度以降に卒業する方は、国家試験に合格しなければ介護福祉士にはなれません。
令和8年度までに卒業した方には、卒業後5年間は登録申請を行えば、介護福祉士になれるという経過措置が取られています。
ただし、令和9年度以降も介護福祉士として活動したい場合、以下の条件が必要です。
・卒業後5年以内に介護福祉士試験(筆記試験)に合格する
・卒業後5年間、介護福祉士の仕事を継続する
(従業期間1825日以上、従業日数900日以上)
養成施設を卒業してから5年間は介護福祉士として働けますが、その後は実務経験5年と筆記試験の受験が必要です。
福祉系高校ルート
福祉系高校ルートから介護福祉士になるためには、指定科目や単位を取得後、実務経験9ヶ月以上(従業期間273日以上、従業日数135日以上)が必要です。
特例高校や平成20年度以前の入学者は、「介護技術講習」または「介護課程・介護課程Ⅲ」を受講後、筆記試験を受けることができます。平成21年度以降の入学者は、卒業後に筆記試験に合格すれば介護福祉士になれます。
福祉系高校ルートの介護福祉士取得条件:
- 実務経験9ヶ月以上
- 従業期間273日以上、従業日数135日以上
- 特例高校や平成20年度以前の入学者
- 「介護技術講習」または「介護課程・介護課程Ⅲ」を受講後、筆記試験に合格
- 平成21年度以降の入学者
- 卒業後、筆記試験に合格
福祉系高校ルートはやや複雑ですが、最短で3年間で介護福祉士になれます。
実務経験ルート
実務経験ルートでは、実務経験3年以上、従業日数540日以上を持ち、介護福祉士実務者研修を修了すれば受験資格が得られます。
実務経験ルートの介護福祉士取得条件:
- 実務経験3年以上(従業期間1,095日以上、従業日数540日以上)
- 介護職員実務者研修を修了
指定事業所での経験と実務者研修の修了後、試験に合格すれば介護福祉士になれます。実技試験は免除されます。
経済連携協定(EPA)ルート
経済連携協定(EPA)は、フィリピンやインドネシアなどの国の方を対象とした、日本の介護業務の就労経験を目的とする研修制度です。
EPA候補者は、3年以上の実務経験と実務者研修の修了、または「介護技術講習」、「介護課程・介護課程Ⅲ」のいずれかを受講すれば、介護福祉士を取得できます。
経済連携協定(EPA)ルートの介護福祉士取得条件:
・実務経験3年以上、実務者研修の修了、または「介護技術講習」、「介護課程・介護課程Ⅲ」のいずれかを受講
(従業期間1,095日以上、従業日数540日以上)
日本で介護の仕事を希望する方は、上記の情報を参考にしてください。
おすすめは実務経験ルート!理由を解説
介護業界未経験の方は、実務経験ルートから介護福祉士を取得するのがおすすめです。
理由は以下のとおりです。
- 未経験からでもはじめられる
- 実務者研修を取得すれば実技試験が免除できる
介護業界未経験の方は、ぜひ参考にしてみてください。
未経験からでもはじめられる
介護事業所で3年以上の経験を積み、実務者研修を取得すれば、介護未経験の方でも介護福祉士になれます。
養成施設や福祉系の高校に入学する必要はありません。ただ、指定された事業所での実務経験は必要です。
指定事業所の詳細を知りたい方は『公益財団法人社会福祉振興・試験センター』を参考にしてください。
実務者研修を取得すれば実技試験が免除できる
介護未経験の方でも、実務者研修を取得すると、実技試験が免除されます。筆記試験のみで介護福祉士の資格を取得できます。
実務者研修に関する金銭的な不安がある方は、求職者支援制度を利用するとよいでしょう。この制度は、雇用保険を受け取れない方が新しい仕事に就くための支援講座です。実務者研修も求職者支援制度の対象となっており、国の支援制度を利用することで無料で受けることができます。
詳しくは、最寄りのハローワークでお問い合わせください。
実務経験から最短で試験に合格する方法
実務経験を積んでも筆記試験に合格しなくてはいけません。ここでは、実務経験を積んでから最短で試験に合格する方法を紹介します。
具体的には以下のとおりです。
- 2冊のテキストを用意して独学する
- スクールに通う
介護福祉士に最短で合格したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
2冊のテキストを用意して独学する
介護福祉士の資格取得のための勉強には、国家試験と模擬試験の問題集が必要です。最初に、過去5年間の国家試験の過去問題を解き、傾向と対策を行います。
問題集を2〜3周取り組んだ後、正解率が上がれば模擬試験の問題集に取り組むようにしましょう。模擬試験は実際の試験問題を基に作成されるため、実戦に近い形で学習が進められます。
独学を検討している方は、これらの情報を参考にしてください。
スクールに通う
スクールに通うことで、集中的に学習することもおすすめです。スクールでは介護福祉士国家試験の対策講座が提供されています。現役の介護福祉士からの質問回答やオリジナル教材を利用して学ぶことができます。
学習方法は通信やスクーリングなどから選択できるため、多忙な方でも受講可能です。各スクールによっては割引制度がある場合もありますので、情報を確認してみてください。
介護福祉士の実務経験に関するよくある質問
介護福祉士の実務経験に関するよくある質問を紹介します。
- 介護福祉士を取得するには最短で何年ですか?
- 実務経験を積める事業所は決まっていますか?
記事を読み進めるなかで気になる点がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
介護福祉士を取得するには最短で何年ですか?
養成施設で学べば、1〜2年で介護福祉士を取得することができます。1年制の専門学校や短期大学で単位を取得した後、介護福祉士として認定されます。
最短ルートで介護福祉士になりたい方は、養成施設を利用することをおすすめします。
実務経験を積める事業所は決まっていますか?
実務経験が積める事業所は決められています。特別養護老人ホームやデイサービスなど、多くの介護事業所が対象となっているので、特に心配する必要はありません。
自身が勤めている事業所が対象に含まれているか確認したい方は、『公益財団法人社会福祉振興・試験センター』を参考にしてみてください。
実務経験をごまかすのは絶対にやめましょう
実務経験の不正や介護福祉士を取得するためのルートを紹介しました。
実務経験を不正に取得するような行為は、絶対に避けるべきです。不正に実務経験を取得して介護業務に従事すると、逮捕・起訴のリスクがあります。
事業所側もこのような偽装に加担してはいけません。その結果、事業所の信頼性が低下し、入居者数の減少や事業所の閉鎖につながる可能性があります。
正直に実務経験を積み、真摯に業務に取り組み、介護福祉士を取得しましょう。