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重度訪問介護で「できないこと」とは?押さえておくべき5つのポイントを紹介
重度訪問介護の業務に従事していると、利用者さんから急なお願いをされた際に「これはやっても大丈夫か?」と悩むことがあります。
具体的な線引きがわからないと、介護保険では対応できない業務に関与してしまう可能性もあります。
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重度訪問介護とは

重度訪問介護について以下を紹介します。
- サービス対象者
- 利用方法
- 利用料金
- 介入時間
- 主な人員配置
重度訪問介護の基礎知識について解説するので、ぜひご確認してみてください。
サービス対象者
厚生労働省の資料によると、重度訪問介護のサービス対象者は以下のように定義されています。
・重度訪問介護の対象者
重度の肢体不自由者または重度の知的障害や精神障害により行動上著しい困難を有する者であり、常時介護を要する障害者
重度訪問介護の対象者は、食事や排泄、入浴が1人では行えない程度の身体障害や精神障害、知的障害があり、常時介護を必要とする方です。
筋ジストロフィーやALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者さんや、重度の肢体不自由と知的障害を併発した「重症心身障害者」などが該当します。
利用方法
重度訪問介護のサービスを受けたい方は、お住まいの市町村の障害福祉窓口で必要な手続きを進めます。窓口では以下の4つの手続きを行います。
- サービス利用申請
- 障害支援区分の判定
- サービス等利用計画の作成
- 市町村の支給決定と受給者証の受け取り
まず、市区町村の窓口でサービス利用を申請し、障害支援区分の認定調査を受けます。その後、相談支援専門員によってサービス等利用計画書を作成します。
そして、市区町村から受け取った受給者証を事業所に提示し、契約が締結されることでサービス利用が開始されます。手続きには最大2か月程度かかるので、余裕を持って申請してください。
利用料金
重度訪問介護の利用料金は厚生労働省の基準に基づき決定されています。
利用者は1割を自己負担することになりますが、その金額は世帯所得によって変わります。低所得者層には、無料でサービスが提供されているため安心してください。
一定以上の収入がある方は、最大で35,000円程度の自己負担となります。「自身の収入による利用料金がどのくらいになるか気になる」という方は、ぜひ一度お近くの市区町村の障害福祉窓口へご相談ください。
介入時間
重度訪問介護の介入時間は、1回のサービスにつき3時間以上と定められています。
ただし、障害の度合いや家族の事情により、1日に何度か訪れたり深夜帯に訪問したりする必要がある場合は、その都度対応が可能です。
時間設定は柔軟で、1日1時間以内や3時間未満の支援も行われています。
主な人員配置
人員配置は厚生労働省の基準によって決められています。具体的な人員は以下のとおりです。
- サービス提供責任者:1名以上
- 常勤の介護職:2.5人以上
サービス提供責任者は、介護福祉士や実務者研修修了者、居宅介護職員初任者研修修了者であり、3年以上の実務経験が必要です。
常勤の介護職は、居宅介護が可能な方や、重度訪問介護従事者養成研修修了者でなければなりません。
重度訪問介護でできないこと

重度訪問介護でできないことは以下のとおりです。
- 本人の援助に該当しない行為
- 仕事を手伝うような行為
- 日常生活に支障がない行為
- 日常生活に必要な家事以外の行為
- 医療的ケア
重度訪問介護に関わる際は注意しましょう。
本人の援助に該当しない行為
重度訪問介護では、本人以外の援助に該当する行為が禁止されています。
具体的には、以下の行為が含まれます。
- 利用者の家族の料理の準備や買い物
- 利用者以外の外出支援
- 来訪者の接待
介護職は、あくまで利用者のケアに専念するものです。そのため、利用者の家族や他人への援助は行うことができません。
仕事を手伝うような行為
重度訪問介護を受けている中には、働いている利用者もいます。しかし、その仕事を手伝う行為は、重度訪問介護では許されません。
在宅勤務中の業務や内職といった金銭の授受が発生する行為は避けましょう。
日常生活に支障がない行為
利用者の日常生活に支障をきたさない行為への介入も禁止されています。
具体的には以下のような行為です。
- 庭の手入れ
- 花や野菜の水やり
- ペットの世話
これらは生活援助の延長線上にある行為のように思えますが、禁止されているので注意が必要です。
日常生活に必要な家事以外の行為
家事以外の行為も重度訪問介護では行ってはなりません。窓の拭き掃除や換気扇の清掃、家具や家電の修繕などが該当します。
利用者の援助に直接関係のないサービスや、日常生活に不必要な場合は行うことができません。注意しましょう。
自宅の清掃などを行っていると、誤ってこれらの行為を行ってしまう可能性があるので、禁止事項は事前に確認しておくことを推奨します。
医療的ケア
介護職では医療的ケアを行うことはできません。内服薬の管理や褥瘡の処置、摘便などはすべて医師や看護師の仕事です。
ただし、「喀痰吸引」や「経管栄養」のような実務者研修の医療的ケアを受講し、実際に病院で研修を受けた場合に限り、これらの対応が可能となります。
また、重度訪問介護従業者養成研修統合課程や喀痰吸引等3号研修などを修了した者は、一部の医療行為を行うことができます。
制度的に「重度訪問介護でできない」とされる行為の理由
重度訪問介護における「できない行為」は、すべて法的根拠と運用基準に基づいています。これは、支援内容の公平性や介護保険・障害福祉制度の適切な運用を守るために設けられているもので、サービス提供者が不正請求を避けるためにも重要な指針です。
「本人の援助に該当しない行為」の定義とは
厚生労働省の通知によると、「本人の援助に該当しない行為」とは、利用者本人の生活に直接かかわらない、あるいは他者の援助と判断される内容を指します。例えば、以下のような行為が該当します。
- 家族の代わりに掃除や洗濯をする
- 他人のために買い物をする
- 本人以外の用事での外出同行
- ペットの世話や買い物
これらはあくまで「本人の自立支援」や「生活支援」に該当しないとみなされ、介護報酬の対象外になります。制度上の解釈を常に意識しながら支援計画を立てることが重要です。
参考:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について」
なぜ医療行為や金銭管理が認められないのか
重度訪問介護では、原則として「医療行為」や「金銭管理(預金の引き出し・振込代行など)」は認められていません。その理由は、これらが法律上、別の資格や制度に基づく行為であるためです。
例えば、医療行為は、原則として医師や看護師、または特定の研修を修了した介護職員のみが実施可能です。
また、金銭管理はトラブルの原因になりやすく、詐欺や窃盗の誤解を防ぐためにも禁止されています。
つまり、「専門的なスキルや責任が伴う行為」は、訪問介護の枠組みでは対応できないと明確に定められています。
どうしても必要な場合は、地域包括支援センターや成年後見制度の活用を検討しましょう。
重要訪問介護ができること

重度訪問介護ができることは以下のとおりです。
- 身体介護
- 家事援助
- 移動介護
- そのほかにできること
どのようなサービスを提供できるか理解しておいてください。
身体介護
重度訪問介護では、身体介護が可能です。身体介護とは、排泄介助、食事介助、入浴介助全般のことを指します。
また、利用者さんの洋服のアイロンがけやゴミ出しなども可能です。ただし、身体介護は利用者さん本人のみを対象とするため、同居人のお世話はできません。
家事援助
家事援助は調理、洗濯、掃除などの業務を指します。さらに、生活必需品の買い物も家事援助の一部となります。
利用者さんが関わらない調理や洗濯は対応できませんが、生活に直接関わる業務であれば問題ありません。家事援助の範囲はやや微妙な線引きとなるため、注意が必要です。
移動介護
ベッドから車椅子への移乗介助も可能です。さらに、外出支援も移動介護の一部とされています。
例えば、通院の同行や公共サービスの申請も介護職が行います。
重度訪問介護の場合、通院の際に車を利用することもありますが、介護職が運転することはできません。しかし、乗降車時の移乗介助は可能です。
外出支援における「できること」と「できないこと」
重度訪問介護における「外出支援」は、利用者の社会参加や生活の質を向上させるうえで重要な支援です。しかし、すべての外出が支援対象となるわけではなく、制度上認められる範囲が明確に定められています。
ここでは「できること」「できないこと」の具体例を紹介し、実務で迷わないための基礎知識を解説します。
外出支援で認められている具体例
重度訪問介護で認められている外出支援の例は、以下のような「日常生活または社会生活に必要と認められる行動」に限られます。
- 通院や通学、行政手続き
- 生活必需品の買い物
- 理美容室への同行
- 家族との面会や冠婚葬祭への参加
- 生活相談や就労支援の場への移動
このような外出は「社会参加」や「地域生活の維持」に必要とされるため、支援が可能です。ただし、訪問介護計画書にあらかじめ記載しておくことが望ましいです。
外出支援で認められない具体例
一方、以下のような外出は「重度訪問介護による支援の対象外」となります。制度上は「本人の福祉の増進に直接つながらない行為」とされているため注意が必要です。
- 通勤・営業活動などの経済活動
- 政治活動や宗教活動を目的とした外出
- ギャンブルやショッピングモールでの娯楽目的
- 利用者自身の契約や署名・代筆の同行
- 通年・長期にわたる外出支援(旅行等)
これらは「本人の援助」に該当しない行為として、訪問介護計画に記載しても報酬請求の対象外となるケースが多いため、事前にサービス提供責任者や管理者と確認を取ることが大切です。
重度訪問介護で迷いやすいグレーゾーン業務への対応
現場での支援では、制度上明確に「できない」と定義されていないものの、判断に迷う「グレーゾーン業務」に直面することがあります。こうした場面では、現場スタッフの裁量だけで対応するのではなく、客観的な判断基準を持つことが求められます。
現場で迷いやすい事例
以下は、よくあるグレーゾーン事例の一例です。
- 利用者が外出中にコンビニで立ち読みしたいと言った場合
- 利用者が契約書に署名してほしいと依頼してきた場合
- 利用者の家族が一緒に外出し、食事の注文を頼まれた場合
- 利用者が嗜好品(タバコ・アルコール)の購入を希望した場合
これらは一見「生活支援」と捉えられがちですが、制度の範囲を逸脱する可能性があります。
判断に迷う時のチェックポイント
グレーゾーンの判断基準としては、以下のような点をチェックすると良いでしょう。
- 利用者本人の生活・健康維持に直接関係しているか?
- 他のサービス(居宅介護・移動支援等)で対応すべき内容ではないか?
- 支援記録に根拠をもって記載できる内容か?
- 社会通念上、介護職が行うこととして適切か?
迷った場合は、一人で判断せず、管理者やサービス提供責任者と相談するのが原則です。
相談・記録でトラブルを防ぐ方法
グレーゾーンの業務に対応した場合や、判断に迷ったケースは、必ず記録として残しておくことが大切です。記録のポイントは以下のとおりです。
- 利用者の依頼内容
- 実施した対応内容
- 対応の理由と判断根拠
- 上司や他職員との相談内容
また、月1回以上のミーティングでこうした事例を共有し、チーム全体で判断基準を統一することも、サービスの質向上とトラブル防止につながります。
重度訪問介護の業務内容を理解して適切なケアを実践しましょう
介護職で携われる業務の線引きはわかりにくいのが現実です。実際に現場で利用者さんから依頼されたものの、「これは関わっても大丈夫?」と混乱してしまうこともあるでしょう。
しかし、今回解説した内容を理解しておけば、仕事に取り組む際に焦ることなく対応できますので、ぜひ確認しておくようにしましょう。
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