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【訪問介護事業を経営したい!】年収や準備・注意すべきリスクについて解説!
高齢社会の進展に伴い、介護需要も大きく高まっています。そのような中で、「介護施設を経営したい」と考える方もいるのではないでしょうか。
施設方と違い大型の施設を必要としない訪問介護は介護施設を開業するにあたり考える方もたくさんいるでしょう。しかし経営にあたり、必要な資金や手続き、さらにどれくらいの年収が見込めるのかなど不明点が多いのも事実。
記事を読み、少しでも訪問介護施設経営に向けた知識をつけていきましょう。
訪問介護施設立ち上げにあたり知っておくべきこと
日本社会は深刻な高齢化が進ん中、訪問介護事業の経営者として参入を考える方も増えています。しかし事業として行うにあたり、知っておきたいこと・考えるべきポイントがあります。
具体的には以下の3点は経営にあたり必ず考えておくべき点でしょう。
- 市場動向
- 利益率
- 今後想定される動き
それぞれについて解説をしていくので、しっかりと理解していきましょう。
市場動向
高齢社会の進展に伴い、日本における介護需要は高まりを見せています。見るべきポイントとして、介護需要や人口動態、さらに介護認定者数の推移についても調べておきたいところです。
また、介護報酬改定の動向や、コストについてもしっかりと考えておきましょう。市場で見た場合介護需要は高まっているものの、大きな支出割合となる人件費については、担い手不足もありまだまだ上昇の可能性があるため、経営を考える際は考慮が必要です。
事業所等を構える場合、資材や建材費の上昇有無についても抑えておきましょう!
利益率
訪問介護事業の利益率としては、令和2年度の調査結果では2.6%となっています。介護事業における大きな支出としては人件費があり、利用者と訪問回数を増やすことで収支バランスをしっかりと確保することが大切です。
また、生活援助中心のサービスか、身体介護中心のサービスを行うのかにより収益に差が出ることも想定され、単価の高いサービスを中心に事業を組み立てることも必要となるでしょう。
今後想定される動き
介護業界の将来を考えるにあたり、今後考えておきたいポイントは以下です。
- 効率化の推進
- 医療と連携したサービスの質の向上
- 複数事業のシナジー効果
効率化については、少ない人材で効率的に経営を行うため、ロボティクス化やアプリケーションを用いた効率的な業務運営を図ることが必要となります。今後もアプリケーション導入などコストインパクトの少ない部分から取り組む事業者は増えていくと想定されます。
医療連携については、地域包括ケアシステムの構築に向けた動きが進んでおり、医療と一体化した事業が大手企業中心に増えていくでしょう。その中で自社の立ち位置を明確にすることが必要です。
複数事業のシナジー効果という点では、介護保険収入以外の収入源を親和性の高いサービスから得ていく流れが想定されます。例えば宅食や家事代行サービスなど、介護に近い位置でありながら、収入源を別で確保し、相乗効果を高める動きが大手企業を中心に加速するのではないでしょうか。
訪問介護経営の実態
では訪問介護の経営における実態はどのようになっているのでしょうか?
経営者の年収や資金繰り、さらにリスクについて解説をしていきます。
経営者の年収
経営者の年収については、事業所の経営状況によりけりであり、正確なデータとして記載されている資料はありません。しかし目安としては400万から1000万のレンジで収まることが多いようです。
介護保険のサービスは国によって報酬がある程度決まっています。独自の料金体系を設けられないことから、収益に大きな差を生み出すことが難しいことが一因と言えるでしょう。
資金繰りについて
介護保険サービスの入金は、サービス提供から2ヶ月後の入金
1月にサービスを提供した場合、3月の25日ごろに報酬として入る形です。
ここで大切になるのは従業員への給与の支払いです。給与の支払いサイクルを月末締めで翌月末払いにすれば、キャッシュフローとして先払いする分は1ヶ月分の人件費で済みます。
人材難へのリスク
訪介護事業全般のリスクとして安定的な人材確保
資格で給与がある程度決まることもあり、ちょっとした理由で離職することも多いため、質の高いサービスを提供するには人材難へのリスクヘッジを行うことが大切です。人件費の比率が高い介護業界においては、立ち上げ当初は正社員よりも登録ヘルパーの数を増やし、回転率を上げていきましょう。
例えば有資格者に限定されているプラットフォーム「カイテク」などを用いて、固定費の割合を抑えていく工夫が必要となるでしょう。
訪問介護経営に必要なこと
では実際に経営にあたりどのような準備が必要となるのか、以下で解説をしていきます。
必要な資金
最低100万あれば開業できると言われますが、実態としては上記資金繰りの面でも説明したように、当面の運転資金を確保する必要があることから、500万前後は用意する必要があるでしょう。
内訳例としては以下となります。
- 法人格取得費用(登記費用)30〜45万
- 人件費(最低でも2.5人分)90万+数ヶ月分の運転資金
- テナント料 10万〜
- 車両費、駐車場代
- 事務用品
- 雑費(水道光熱費など)
特に人件費については、最低人数にプラスしてヘルパーの存在が必要となるため、当座の資金としてある程度の運転資金を確保していくことが必要となります。
開業への流れ
開業への大きな流れについては以下となります。
- 法人格取得、事務所設立
- 必須人員の確保
- 必要な備品の確保
- 都道府県、市区町村への審査
法人格
起業する場合必ず取得が必要となります。法人格についても種類があり、それぞれで必要な人員や規定が変わるため、事前にしっかりと理解しておきましょう。
人数
上記でも述べたように最低でもヘルパー、サービス提供責任者、管理者が必要です。その他にヘルパーを雇う必要もあるため、人件費分を考慮した当座の資金をよういする必要があります。
審査
人や設備、運営に関する基準、いずれも要件を全て満たす必要があるため、事前にしっかりと確認することが必要です。
詳しい開業への流れについては以下の記事をご覧ください。
まとめ
本記事では訪問介護の経営にあたり、知っておくべきことや経営の実態、開業までの流れについて解説をしてきました。
年収面で見れば決して高くはないものの、社会構造上大きな将来性を秘めている業界であり、仕事内容や社会的な意義も非常に大きいものと言えます。
一方で、頻繁に報酬改定が行われることや、介護職員への待遇改善が国を挙げて促進されていることもあり、大きな固定費となる人件費については、今後の動きも含め注視する必要があるでしょう。
本記事が少しでも経営を考える際のお力になれたら幸いです!