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男性の存在価値を問う?「男のヘルパーはいらない」論争の行方
介護現場は女性が多いですが、近年では男性も増えてきました。しかし、介護現場では男性介護士が関わりにくい場面があります。そのため、多くの男性介護士が肩身の狭い思いをしていることでしょう。
既に現場で働いている方やこれから介護職を目指す男性の方は、予防策としてぜひ参考にしてみてください。
異性介助は努力義務となっている
厚生労働省の『令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容』においては、同性介助は努力義務とされています。
施設・事業所において、本人の意思に反する異性介助がなされないよう、サービス管理責任者等がサービス提供に関する本人の意向を把握するとともに、本人の意向を踏まえたサービス提供体制の確保に努めるべき旨を障害福祉サービス事業等の指定基準の解釈通知に明記。
利用者の尊厳や羞恥心に配慮し、可能な限り同性のヘルパーが介助にあたることが望ましいとされています。これはあくまで努力義務であり、法律で異性介助が禁止されているわけではありません。
実際の現場では、慢性的な人手不足や夜間・緊急時の対応など、やむを得ない事情から異性介助が行われるケースも少なくありません。
事業所としては同性介助を実現できる体制づくりが求められつつも、利用者への丁寧な説明と同意を得たうえで対応することが重要です。
男性介護士がいらないと思われてしまう3つの出来事
男性介護士がいらないと思われてしまう3つの出来事は以下のとおりです。
- 作業が雑なとき
- 異性介護で対応できないとき
- 考え方の違いを感じたとき
介護現場で不必要な存在と思われないようにするために、ぜひ参考にしてみてください。

作業が雑なとき
男性の介護士は女性介護士に比べ、大雑把な面があり、作業が雑になりやすい傾向があると言われています。
介護業務で家事を行う際、洗濯の畳み方が雑だったり、掃除の仕方が適当だったりすると「必要ない」と周りから思われてしまうこともあります。さらに、事業所によっては、職員が利用者さんの料理を作り提供する場面もあります。
料理経験のない男性が働くと、他の職員からは支障をきたす存在に感じられることもあります。男性が介護現場で働くなら、家事能力を身につけておくと、「仕事ができる人」と認識されるでしょう。
異性介護で対応できないとき
異性介護とは、性別が異なる利用者を介助することを指します。女性介護士が男性利用者を、男性介護士が女性利用者を介護することを異性介護と称します。
女性利用者の中には、入浴介助や排泄介助を異性の介護士から受けることに抵抗を感じる方もいます。そのため、どうしても女性介護士が担当する必要があります。
忙しい現場で、異性介護を拒む利用者に排泄介助を頼まれると、「もっと女性介護士を増やしてほしい」と思われることもあるでしょう。
考え方の違いを感じたとき
女性と男性では考え方に違いがあるとされています。そのため、ミーティングや会議で話している際に、介護の方向性などで意見が食い違うこともあるでしょう。
介護の職場は女性が多いため、自身の考え方が理解されないと、女性介護士だけで仕事をしたいと思われてしまうこともあります。特に、ベテランの男性介護士は、経験やスキルが高く、意見を変えるのが難しいため、注意が必要です。

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利用者さんが男性ヘルパーを拒否したくなる心理とは
利用者さんが男性ヘルパーを拒否したくなる心理は以下のとおりです。
- プライバシーが侵害される気持ちや羞恥心がある
- 権利を行使している
男性としては「拒否されるのはなぜかわからない」と思いますが、利用者さんが男性ヘルパーを拒否する理由を知ることで、介助者としての心構えや行動が明確になります。
プライバシーが侵害される気持ちや羞恥心がある
利用者が男性ヘルパーによる介助を拒否する最も大きな理由は、プライバシーや羞恥心への不安です。
入浴介助や排泄介助など、身体の露出を伴うケアでは、異性に介助されることへの抵抗感を覚える方が多くいます。特に高齢の女性利用者の場合、生まれ育った時代背景から、異性に肌を見せることへの心理的ハードルが高い傾向があります。
こうした感情は決して過剰なものではなく、利用者として当然の感覚です。男性ヘルパー側もこの心理を十分に理解し、拒否されたとしても利用者を責めるのではなく、その気持ちに寄り添いましょう。
権利を行使している
介護保険制度は「利用者主体」を基本原則としており、利用者さんが自分のケアに関して意思を表明することは正当な権利として認められています。
そのため男性ヘルパーによる介助を拒否することも、利用者の意思決定の一つとして尊重されるべきものです。
事業者や担当ヘルパーは、拒否の意思を受け取った場合、その意向を否定したり無理に説得しようとするのではなく、可能な限り利用者の希望に沿った対応を検討することが求められます。
拒否されたことを個人的に受け取りすぎず、制度の原則として理解しておくことが、現場で働く男性ヘルパーにとって重要な視点です。
男性介護士が介護現場で活躍する4つの場面
男性介護士が介護現場で活躍する4つの場面は以下のとおりです。
- 力仕事
- 同性介護が可能
- 出産や育児で退職する可能性が低い
- 女性利用者に好かれやすい
男性介護士として活躍できる部分を知っておくと、力を発揮する場面がわかりますし女性介護士が仕事を依頼するときにも役立ちます。

力仕事
力仕事は、男性の方が女性より得意とされています。
介護現場では、利用者さんをベッドから車椅子へ移乗させたり、入浴介助の際に身体が大きい方を支える場面があります。そのため、力仕事は男性が担当する機会が多くなります。
力のいる仕事があれば、男性介護士に率先して依頼してみるのがおすすめです。
同性介護が可能
同性介護が可能な点も、男性介護士の強みと言えます。
男性利用者の中には、女性介護士による介護を避けたい方もいます。同様に、女性介護士の中にも男性利用者の介護が苦手な方がいます。
介護現場の構成比率から考えると、男性利用者より女性介護士の数が多いという状況があります。そのため、どうしても異性間での介護が避けられない事業所も存在します。
男性介護士が在籍していれば同性介護が可能となるため、利用者さんも介護士も心地よく過ごすことが可能になります。
出産や育児で退職する可能性が低い
男性は、女性のように出産や育児で退職する可能性が低いとされています。
男性介護士が働いてくれれば、長期間職場で働き続ける人材を確保することが可能になります。しかし近年では、男性が育児休暇を取得することも珍しくなくなってきています。そのため、将来的には男性介護士が一時的に現場から離れることも考えられます。
ただし、男性は妊娠や出産の当事者にならないので、女性よりも職場に長く留まる可能性が高いと言えます。
女性利用者に好かれやすい
男性介護士の中には、女性利用者さんから好かれる方もいます。
特に若い男性介護士は、孫のように見られて、様々な話を求められることが多いです。時には、男性介護士からのお願いなら聞いてくれる利用者さんもいます。
女性介護士が入浴やトイレの時間に声をかけても拒否される場合でも、男性がお願いすると協力的になるケースも見受けられます。
男性介護士が介護現場で働く際に3つの心がけておくこと
男性介護士が介護現場で働く際に心がけておくことは以下の3つです。
- 利用者を尊重する
- 職員とは対話を意識する
- 率先して行動する
男性介護士が嫌われないためにも意識しておきましょう。
女性介護士は、男性介護士に指導する際に役立つ内容なのでぜひ参考にしてみてください。

利用者を尊重する
利用者様の考えや価値観を尊重しましょう。
たとえば、異性介護を拒否する方に対しては、無理に介護を強要しないでください。その場合、利用者様の意向を尊重し、女性介護士に代わりに介護を頼むようにしましょう。
介護においては、利用者様の尊厳や主体性を尊重することが基本とされています。
利用者様の声に耳を傾け、それに基づいてケアに当たることが、男性介護士が信頼を得るために必要なことです。
職員とは対話を意識する
介護の仕事は、女性職員が圧倒的に多い現場ですから、男性と女性の考え方が衝突することもあるでしょう。そこで男性職員の皆様には、女性職員との対話を意識してみてください。
対話とは、相手と自分の意見の違いを認識し、話を聞きながら受け入れ、話題を共有していくことです。相手と自分の意見を伝え、お互いの目的に沿って話を進めます。
感情的になったり、文句を言ったりしないように議論を進めていくと、女性職員とも有意義に意見交換ができます。
率先して行動する
肉体的には男性介護士のほうが優位な面が多いです。そのため、現場では積極的に行動をすることを心掛けてください。たとえば、体格の大きい利用者様の移乗介助を行うなどすると、「頼りになる」と評価されます。
体力的に大変な仕事を女性介護士が行っている場合は、積極的に声をかけ、代わりに業務を行うようにしましょう。
男性ヘルパーが拒否されたときの正しい対処法
男性ヘルパーが利用者さんから拒否された時の対処法は以下のとおりです。
- まず上司や女性職員に報告・相談する
- 無理に距離を縮めようとしない
- できる業務から着実に信頼を積み上げる
一人で抱えず周囲に相談することが始めるのがおすすめです。
まず上司や女性職員に報告・相談する
利用者から拒否された場合、まず大切なのは一人で抱え込まず、速やかに上司や女性職員に報告・相談することです。
拒否はあなた個人への否定ではなく、介護現場では起こりうる出来事の1つです。報告することで、担当ヘルパーの変更や女性職員との連携など、組織として適切な対応を取れます。
また、記録として残しておくことも重要です。対応の経緯を記録しておくことで、事業所全体でのケアの質向上にもつながります。
一人で解決しようとせず、チームで対応するという意識が、利用者・職員双方にとってよい結果へと向かうでしょう。
無理に距離を縮めようとしない
拒否された後に焦って関係を修復しようとすることは、かえって逆効果になる場合があります。利用者との信頼関係は、短期間で築けるものではありません。
無理に話しかけたり、積極的に関わろとしたりすると、利用者がさらに警戒心を強めてしまうこともあります。
挨拶や簡単な声かけを丁寧に続けるなど、プレッシャーを与えない小さな関わりを積み重ねることが、長期的な信頼関係を作るポイントです。
できる業務やヒアリングをして信頼を積み上げる
身体介助を拒否された場合でも生活援助や環境整備など、できる業務を丁寧にこなしていくことが信頼構築の近道です。
掃除・洗濯・調理といった生活援助を誠実に行う姿を見せることで、「この人は丁寧に仕事をする」という印象を利用者に与えられます。
身体介助をする際も自立支援が原則ですが、利用者さんの苦手なことを聞きながら手助けしていく姿勢も大切です。
たとえば自身で身体を洗える方でも「背中は手が届かないから洗って欲しい」と言われることも少なくありません。
そのようなときは「自分でやってみませんか」と伝えるのも大切ですが、手伝ってあげることで利用者さんと信頼を構築できる可能性があります。
利用者さんの声に耳を傾け、何が求められているかを考えることで信頼を得ていけます。
よくある質問
男性ヘルパーに関するよくある質問は以下のとおりです。
- 男性介護士の割合はどのくらいですか?
- 訪問介護では男性ヘルパーは就職しにくいですか?
- 男性ヘルパーの需要は高いですか?
男性介護士の割合はどのくらいですか?
厚生労働省の『令和5年度介護労働実態調査』の結果に基づく職種別の比率は施設介護では 男性約3割、女性7割となっています。訪問介護員は男性約2割、女性8割です。
施設・訪問ともに女性のほうが多い傾向です。
男性ヘルパーの需要は高いですか?
男性ヘルパーの需要は高いです。
異性介助への配慮から、女性利用者への身体介助に制限が生じる場合はありますが、生活援助や男性利用者の介助など、男性ヘルパーが活躍できる場面は十分にあります。
男性利用者の同性介助ニーズや力仕事への対応など、男性だからこそ重宝される場面も少なくありません。就職先を選ぶ際は、男性職員の在籍状況や業務内容を事前に確認することで、自分に合った職場を見つけやすいでしょう。
未経験・無資格でも男性介護士のニーズは高い!
介護現場における男性介護士の心構えについて解説しました。
女性が多い介護現場では、男性介護士が肩身の狭い思いをしてしまうこともあるでしょう。しかし、男性介護士は頼りになる存在として見られていますので、未経験や無資格の方でも採用される職場が多いです。
今回紹介したポイントのような男性が得意とする部分を活かしながら、少しずつ職場に馴染んでいくことを心掛けてみてください。



