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【例文あり】介護記録の書き方を解説!入浴介助時の記録なども紹介
「介護記録の書き方が難しい」「入浴介助時の様子はどこまで詳述すべきか」と、介護記録の書き方に困惑している方もいるでしょう。
介護記録は情報共有の重要なツールとして認識されていますが、その要点を効果的に記述するのは難しく、時には憂鬱にさせられるものです。しかし、適切な書き方をマスターすれば、情報を適切に伝達できる介護記録が書けるようになります。
介護記録の要点を掴むことで、記録作業時間も短縮できるでしょう。是非この記事を参考にしてみてください。
介護記録の書き方
さまざまな介護サービスがありますが、介護記録の書き方の基本は共通しています。
そこで、まずは以下で紹介する介護記録の基本的な書き方を理解しましょう。
- 何を伝えたいかを明確にする
- 起こったことを客観的に書く
- 対応や反応を記入する
ここからは、➀~➂の方法を詳しく解説していきます。
➀ 何を伝えたいかをまず明確にする
記録を書く際のまず最初に、その目的を明確にすることが重要です。
「何を伝えたいのか」を整理せずに書き始めると、途中で何を書いているのか自身でも混乱し、結果として読者が「長い文の中で伝えたいことが何かわからない」となってしまうこともあります。
➁ 起こったことを客観的に書く
具体的に書くべき内容としては、起こった出来事を客観的に記録します。
具体的には、
- いつ
- どこで
- 誰が
- どういう風に
- 何をしたのか
これらを詳細に書くことで、読者が起こった事象を理解しやすくします。
例えば、「〇月〇日、〇〇さんが、本人の居室前で左側に倒れているところをスタッフが発見。本人によると、ドアを開けようとした際にふらつき、倒れた」というように。
事実をそのまま具体的に書くことで、伝えたい内容が明確になります。
➂ ➁のときに実施した対応と利用者の反応を記入する
起こった事象について記録したら、最後に行った対応や利用者の反応も詳細に記録します。
例えば、
- 転倒時に全身のチェックやバイタルの確認を行い、その結果を看護師に報告した
- 入浴時に利用者の足をマッサージし、本人が「気持ちがいい」と笑顔を見せた
起こった事象に対する対応やその結果を具体的に記録することが重要です。
【シーン別】介護記録例文
介護記録の書き方がわかりづらいという場合は、例文を参考にしてみるのも手です。介護現場では、さまざまなシーンで記録を書くタイミングがあります。
そこで、ここからは介護記録の書き方をシーン別例文を用いて紹介していきます。
入浴介助時
入浴介助時に起こった出来事や利用者の様子を介護記録に書くこともあります。
以下では、入浴介助時を想定した介護記録の書き方を例文を用いて紹介していきます。
【入浴介助時の介護記録例文】
(日時記載後)個浴にて入浴される。入浴前の洗髪や洗身時、スタッフがシャンプーやボディーソープを本人の手に乗せてご自分でされる。その後、スタッフが身体を支えながら浴槽に入られる。入浴中は「気持ちが良い。私はお風呂が好き」とおっしゃる。入浴後は、洋服を一枚ずつスタッフが本人に手渡し、ゆっくりとご自分で着替えられる。
入浴介助の介護記録は、異変があったときや入所後すぐで他のスタッフが本人の入浴の様子を知らない場合に必要になることが多いです。
上記の記載例は、入所後、他スタッフに入浴の様子や介助がどれほど必要なのかを知らせるために書いたことを想定したものです。
ただ「一部介助で入浴した」と記載するだけでなく、具体的にどのようなサポートをしたのかを記載することが大切になります。
食事介助時
食事の様子の記録が必要なこともあります。
特に、
- 食事量が減ってきて何か対策をしたい
- 食事の事故が起きたあと
- 食事形態の変更を検討している
などの場合は、食事に関しての情報を把握しておく必要があるでしょう。
以下では、食事介助時を想定した介護記録の書き方を例文を用いて紹介していきます。
【食事介助時の介護記録例文】
(日時記載後)昼食時、スタッフの介助を受けながらゆっくりと召し上がる。おかゆはスムーズに進むも、おかずの麻婆豆腐やサラダはあまり進まない。途中、お茶を進めると副食も召し上がることができる。食事介助30分続けたところで8割程度召し上がることができたが、本人「もういらない」と。食事終了する。食事の最後に「私は麺が好き。素麺なんかを食べたいわ」ともおっしゃっていた。
食事の様子や進み具合、介助内容や本人のセリフなどを中心に記載していくと伝わりやすいです。
食事の記録は、食事形態を検討する上でも大切な資料となるため、わかりやすく具体的に記載しておくようにしましょう。
排泄介助時
排泄介助時の介護記録が必要なことも多いです。
排泄の記録は、基本的に毎日記載するのが理想的ですが、介助方法や様子まで記載する場合もあります。
特に以下のような場合は、介助の様子までの記録が必要です。
- 入所直後で排せつ介助の様子がわからない
- ADLの低下で介助方法の変更を検討している
- 介助方法を変更したことでの変化を知りたい
介助時の様子はより具体的に記載するのが理想的です。
以下では、排泄介助時を想定した介護記録の書き方を例文を用いて紹介していきます。
【排泄介助時の介護記録例文】
(日時記載後)本人より「トイレに行きたい」と。スタッフがトイレに付き添う。手すりを持っての立位可能。ズボンやパンツはスタッフがおろし、ゆっくりと便器に腰をかけられる。その後排尿少量あり。排泄後はトイレットペーパーを渡し、ご本人に拭いてもらう。尿意や便意があるときには毎回スタッフに声をかけてくださる。「またトイレに行きたくなったら声をかけてくださいね」と本人に伝える。
排泄介助は毎日行う可能性が高いため、早めに介助方法の共有ができるとスムーズです。
本人からの言葉から本人が「不自由に思っていること」などを把握し、トイレの環境改善などに繋げていきましょう。
介護記録を書くときの注意点
介護記録を記載する際には、気を付けたいポイントがあります。記録は、さまざまな人が目にするものであるということを意識することが大切です。
ここからは、介護記録を書くときの注意点を3つ解説していきます。
主観的ではなく客観的な事実を書く
記録を書く際に気を付けたいポイントは、主観的にならないことです。
「これは〇〇だと思いますが…」など主観で記録を書いてしまうと事実が偏ったまま伝わってしまう恐れがあるからです。
客観的事実が記載されている記録は、事故や症状を冷静に判断する材料にもなります。
見た人が不快にならない表現を意識する
介護記録は場合によって、家族や利用者本人が見ることもあります。そのときに不快感を持つような表現はNGです。
書いた後に一読し、表現の確認をしてみるのも良いかもしれません。
誰が読んでもわかりやすい書き方にする
介護記録は、誰が読んでも理解できるような表現で書くことが基本です。
スタッフ間でよく使われる専門用語であっても、多用しすぎると外部との連携が必要な際に理解してもらえない可能性もあります。
誰が読んでもわかるような表現で記録するように心掛けましょう。
ポイントを掴んで情報共有できる介護記録を書こう!
介護記録は難しく手間がかかるものとされがちですが、ポイントさえ掴めば思っていたよりも楽に書くことができます。
介護記録は情報共有をする上で大切なツールです。要点に意識して、確実な情報共有ができる介護記録が書けるようにしましょう。
より具体的な介護記録をしっかりと残すことで、利用者の生活の質向上に繋げることが可能です。