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介護職へ復職すると最大40万円!再就職準備金の対象者・条件・返還などについて解説
“介護職に復職すると、40万円貰える”
これから介護職へ復帰するかどうか迷っているという方にとって、非常に気になるワードなのではないでしょうか。
実は、介護人材を対象とした「再就職準備金事業」が設けられており、ある一定の条件を満たした場合に、最大40万円まで借りることができます。
では、一体どのような人が対象となり、どのような場合に返還が求められるのでしょうか?
介護職「再就職準備金事業」とは?
再就職するとなると勉強のために参考書を購入したり、ウェアや仕事で使うアイテムを購入したりと何かと費用が必要になることもあります。
どのような場合に活用できる制度なのでしょうか?
こちらでは、「再就職準備金事業」の概要や対象者についてご紹介します。
再就職準備金事業の概要
介護職の「再就職準備金事業」とは、過去に介護職としての経験がある方が再度介護職に復職する際に必要な費用を借りられるという制度です。
最大で40万円借りられることとなっています。復職する際の雇用形態に定めはなく、正社員でなくても非正規雇用の場合も借り受けることが可能です。
この制度で借り受ける場合、費用は無利子かつ一定の条件を満たすことで返済が全額免除となります。新型コロナの影響で、介護職の人手不足はさらに問題視されています。
再就職準備金事業によって、 「即戦力となる経験者が再就職するきっかけづくり」とする狙いがあります。
再就職準備金事業の対象者
「再就職準備金事業」は、介護職へ復職する人を対象とするものです。
それ以外に該当する場合は、借り受けはできません。基本的に3つの条件が定められており、1人につき1回限りとなっています。
貸し付け条件は以下の通りです。
- 介護保険サービス事業所等で1年以上の実務経験がある
- 介護福祉士・実務者研修・介護職員初任者研修のいずれかを保有または修了している
- 介護保険サービス事業所等において介護職員等として再就職した
- 都道府県福祉人材センターに氏名や住所等の届出を行い、再就職準備金利用計画書を提出した
- これらの条件を全て満たす人が、再就職時に必要な費用として最大40万円まで借り受けすることができます。
再就職準備金の貸付額は?いつ貰えるの?
いくつかの条件を満たし、介護職に復職する際に最大40万円借りることができる「再就職準備金」。
こちらでは、貸付額や振込時期、離職から貸付までの流れについてご紹介します。
再就職準備金の貸付額は40万円
貸付額は、最大で40万円です。
基本的に再就職時に必要な費用に対して貸し付けが可能となっていますので、生活費等は対象外になるため注意しておきましょう。
貸付の対象となる費用としては、主に以下の例が挙げられます。
- 子どもを預ける先を探す際の活動費用
- 研修費や参考書類の購入費用
- 通勤用のバイクや自転車の購入費用
事業がスタートした当初は20万円までの貸し付けでしたが、人手不足が深刻化したため、全国一律で最大40万円まで拡充されています。
貸付金の振込時期は手続きをして約1ヶ月後
借り受けする場合は申し込みが必要です。
働き始めてから3ヶ月以内に届出を提出すると、貸し付けが決定します。その後、約2週間以内に借用書類等の必要な書類を提出します。
貸し付けから振り込みまでかかる期間は、1ヶ月程度です。指定口座に一括で振り込まれることになります。
パートやアルバイトの再就職準備金貸付事業の対応
パートはアルバイトの再就職準備金貸付事業について以下の点を解説します。
- 雇用形態に制限はありません
- 2年以内に退職すると貸付が受けられません
- 申請方法は正社員と変わりません
再就職準備金貸付を受けられる雇用形態に制限はありません。再就職準備金貸付事業の条件を満たしていれば、正社員だけでなく、パートやアルバイトでも貸付を受けられます。
申請する際も、正社員との手続きは変わりません。各都道府県で用意されている手引きに従い、手続きを行います。
6ステップ!離職から貸付までの流れ
再就職準備金貸付の手続きは、基本的に以下の6ステップとなります。
「離職介護人材」の届出
離職後、各都道府県の社会福祉人材センターに「離職介護人材」の届出を行います。(郵送、FAX、ホームページなどから届出が可能です。)
内定
「実務経験証明書」や「離職介護人材届出を証明する書類」などの必要書類を入職前に提出します。
勤務開始
勤務開始後、3ヶ月以内に「再就職届」を提出します。(各都道府県によって、提出期日が異なる場合があります。)
貸付の審査
提出した書類に基づき、貸付の可否が審査されます。
貸付決定
貸付が決定されると、通知書や借用証書が送付されてきます。届いた借用証書に実印を押し、印鑑登録証明書などを添付して、約2週間以内に返送します。
入金
書類に不備がないことが確認されると、指定された口座に一括で振り込まれます。各都道府県によって提出期日が異なることがありますので、詳しくはお住まいの社会福祉協議会に問い合わせてください。
再就職準備金の返還免除条件や手続きの流れ
ここまで、「再就職準備金」の概要や対象者、貸付までの流れなどをご紹介しました。貸付を受けるということは、返済の義務があると思われるかもしれません。そこで、次に以下の点について詳しく解説します。
- 返還免除条件
- 返還手続き
- 返還できない・滞納した場合の対処
返還免除の条件や手続き、返還できない場合の対処方法、さらにケース別の返還義務についても詳しくお伝えします。
返還免除条件
貸付金となるため、返還しなければなりません。ただし、介護職として継続2年以上勤務すると全額返還免除となります。つまり、実質的には給付と同じような状況でお金を借りることができるのです。
2年間継続して勤務し、「再就職準備金貸付金返還免除申請書」と「再就職準備金業務従事届」を提出することで全額免除にすることが可能です。パートやアルバイト等の非正規雇用の場合は、「従事日数内訳書」も提出する必要があります
返還手続き
万が一、2年以内に介護の仕事を離れる場合は、速やかに各都道府県の福祉人材センターへ連絡し、返還の手続きを行いましょう。
借入金全額を返済しなければなりません。ただし、無利子であるため借入金のみの返済です。
返還方法としては、一括または月賦や半月賦、年賦の均等払いがあります。福祉人材センターへ連絡し、返還計画書を提出すると返還決定の通知書が郵送されます。指定口座や申請した方法での返還がスタートし、返還完了となると本人や連帯保証人へ通知が届くという流れになっています。
返還できない・滞納した場合の対処
もしも本人が返還できない場合は、連帯保証人が返済の責任を負うことになります。計画通りに返済できず、滞納した場合は、残金に対して年間3%の滞納利子が加算されます。
ケース別の返還義務の有無
ここからはケース別の返還義務を紹介します。
- 2年以内に他業種へ転職または退職した場合
- 2年以内に別の事業所へ介護職として転職した場合
- 2年以内に介護職からケアマネージャーへ転職した場合
自身の当てはまるケースを考えてみてください。
2年以内に他業種へ転職または退職した場合
介護の仕事を離れる場合、返還の義務が生じます。
詳細については、お住まいの都道府県の社会福祉協議会へ問い合わせてみましょう。
2年以内に別の事業所へ介護職として転職した場合
介護職として就職する場合、返還義務はありません。
それ以上の期間が空いてしまうと、継続して勤務しているとは判断されませんので、転職活動のスケジュールの見極めが大切です。転職する場合は、必要な手続きを怠らないようにしましょう。
2年以内に介護職からケアマネージャーへ転職した場合
ケアマネージャーへのステップアップの場合、今回の制度では返還義務が生じます。
ケアマネージャーの場合、相談業務や管理業務が主となるため、免除の対象外となります。また、生活相談員や管理者など、介護職以外の業務にキャリアアップする際も、返還義務が生じます。
再就職準備金貸付事業に関するよくある質問
再就職準備金貸付事業に関するよくある質問を紹介します。
- 再就職準備金貸付事業はいつまで?
- 再就職準備金貸付事業について問い合わせたいときはどうすればいい?
- 業務状況は毎年報告する必要がある?
記事を読み進めるなかで気になる点がある方は、ぜひ確認してみてください。
再就職準備金貸付事業はいつまで?
再就職準備金貸付事業の申請受付期間は、年度ごとに行われます。各都道府県で期間は異なりますが、大体8〜10ヶ月程度です。受付期間内に各都道府県の定める条件を満たして申請してください。
再就職準備金貸付事業について問い合わせたいときはどうすればいい?
申し込みに関しては、各都道府県の福祉協議会が審査と運営を行っています。再就職準備金貸付事業に関する問い合わせは、各都道府県の社会福祉協議会へとお問い合わせください。
対応日は月曜日から金曜日で、土曜日、日曜日、祝日及び年末年始はお休みとなっています。電話対応の時間は各都道府県で異なり、10:00〜17:00、または18:00までとなっています。
業務状況は毎年報告する必要がある?
再就職準備金を受け取った場合、2年以内に退職すると返還の義務が生じます。そのため、毎年業務状況の確認を受ける必要があります。
再就職準備金を受ける予定の方は、「業務従事期間を証明する書類を再就職先の事業所に記載してもらう」点を覚えておくことが重要です。
正しく理解して、介護職への復職に活用しよう!
「再就職準備金」は、介護職へ復職する場合に活用できる制度です。
最大40万円借りることができるため、再び介護の仕事にチャレンジしようと考えている方にとって魅力的な制度でしょう。
あくまでも貸し付けという形になるので、制度の内容を正しく理解し、計画性を持って申し込みをしてみてください。