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【チーム医療での看護師の役割】多職種連携と看護師に求められること
- チーム医療って何?
- チーム医療の中で看護師の役割はどんなことだろう
- チーム医療では何で必要なの?
病院などの医療機関で働きながらもチーム医療を知らずにこのような疑問を持ったことはありませんか?
チーム医療とは、医師や看護師をはじめとした医療従事者がチームを組み情報共有・連携を図ることで良質な医療を提供し、患者さんが早期の社会復帰を目指すために結成されたものです。
チーム医療の中で看護師は多職種との橋渡しをする役割を持っています。しかし。チーム医療のメンバーに入ったのに目的や意義をわからないままでは、他のメンバーの足を引っ張ってしまうかもしれません。
患者さんにより良い医療を提供するためにも、この記事を参考にしてみてください。
チーム医療とは
病院や施設のみならず、患者さんの治療やケアのために医療従事者がチームを組んで関わる必要があります。
ここでは、以下の医療チームについて解説しています。
- チーム医療の必要性が高まっている理由
- 栄養サポートチーム
- 褥瘡管理チーム
- 緩和ケアチーム
- 摂食・嚥下チーム
- 救急チーム
それぞれみていきましょう。
チーム医療の必要性が高まっている理由
チーム医療とは、医師や看護師をはじめとした医療従事者がチームを組み情報共有・連携を図ることで良質な医療を提供し、患者さんが早期の社会復帰を目指すために結成されたものです。
近年、少子高齢化が進み、多様な生活様式が当然の時代となりました。そのため、個々に抱える問題は病気やケガなどだけではなく社会的問題や精神的苦痛など多岐にわたっています。
医療従事者は患者さんや家族に対してそれぞれの問題に対応できるチーム医療で関わっていくことが必要です。
病院だけではなく退院して社会生活を送るようになっても状況に合わせた医療を提供するためにもチーム医療の必要性が高まっています。
栄養サポートチーム
栄養サポートチームとは、食欲が低下したり栄養状態の悪い患者さんを対象として、適切な栄養管理を行うことで全身状態の改善と合併症の予防を目指します。
食事だけではなく胃ろうや鼻腔からチューブを入れた患者さんに対しての経管栄養を含めて栄養管理サポートをします。
褥瘡管理チーム
褥瘡管理チームとは以下の患者さんを対象としています。
- 寝たきり、もしくは、寝たきりに近い患者さん
- 常時、車椅子を使用している患者さん
- 日常生活で活動量が少ない患者さん
- 栄養状態の悪い患者さん
食事による栄養摂取ができないことや、摂取量が少なくなっていくことで低栄養状態になってしまうと褥瘡形成しやすくなったり、褥瘡が悪化したりしてしまいます。
こういった患者さんに対して褥瘡管理チームでは、褥瘡の予防・早期発見を行い、適切な褥瘡管理を目指します。
緩和ケアチーム
緩和ケアとは、がんやエイズ、ALS:筋萎縮性側索硬化症などの痛みや倦怠感といった身体的な症状や、悲しみなどの精神的な苦痛、死への恐怖やこれまでの自分の人生に対するスピリチュアルな症状について患者さんが自分らしく生きていけるように支える医療ケアのことを言います。
余命が限られた医師からの宣告を受け、病院の緩和ケア病棟に入院中、施設やご自宅で療養中の患者さんを対象としています。
緩和ケアを受けている患者さんや家族に対して、緩和ケアチームがQOLを改善することを目的に早期に介入します。
摂食・嚥下チーム
摂食・嚥下チームとは、口腔内の動きが悪く食べ物をうまく飲み込めないことやうまく飲み込めないことで窒息や肺炎を起こす危険性のある患者さんを対象にしています。
栄養・食事の状態・口腔内の衛生状態を確認し、食べる機能の回復や肺炎を予防し、日常生活で活動量の向上できるよう多職種で連携し介入していきます。
通常の量の食事を食べることができなくても、食べる楽しみを感じられるような支援も行います。
救急医療チーム
救急医療チームとは、病院や施設によってはチーム医療としての活動ではなく即席のチームを結成することになる場合もあります。
救急医療チームが対応するのは、一次救急でありあくまで応急処置です。心停止や意識消失、外傷などにより急変した患者さんに対し、院内の救急コールにより招集され対応を行います。
施設によっては、RRS(Rapid Response System:院内迅速対応システム)チームが結成され、急変を起こす可能性のある患者さんに対して、早期認識と早期治療介入を行います。
チーム医療における看護師の役割
チーム医療における看護師の役割はどのようなことがあるのでしょうか?
ここでは、以下の項目について解説しています。
- 患者の観察
- 医療スタッフの連携・補完
- 医療チームの質の向上・確保
- ケアの専門家
それぞれみていきましょう。
患者の観察
看護師は、患者さんと接する機会がどの職種よりも一番多いため、チーム医療においては患者さんの観察が一番できていると言えます。
患者さんの観察の中で気づいたことや、チームの関わりによってどう変化したかなどを看護師が観察しています。これらのことをチームへ報告することで、これまでの対応の評価や次の対応について検討ができるのです。
医療スタッフの連携・補完
看護師は、診察や治療に関する業務だけではなく、患者さんの療養生活の支援に至るまで幅広い業務をこなしています。
チーム医療においては、他職種と連携して医療を提供する必要があります。多職種の間で意見が一致しない場合や、看護師の視点や判断についてお互いの理解が得られるように専門性を発揮していきながら連携していきます。
医療チームの質の向上・確保
チーム医療に取り組むことにより、患者さんにより良い医療を提供する体制が整います。
多職種の連携がうまくいくことで、医師や看護師だけではできなかった医療やケアを分担することができるのです。この医療チームの質の向上や確保ができているかを日々の看護で評価することができます。
ケアの専門家
看護師は、治療や検査だけではなく患者さんの入浴や清潔、食事、排泄など全ての日常生活に関わりを持ちます。
これらのケアを行う看護師だからこそ、チーム医療でケアをもとにした情報提供や問題の明確化、目標設定について提案することができます。
看護師はケアの専門家として重要な役割と言えます!
チーム医療における看護師の立場と特徴
チーム医療における看護師の立場と特徴を以下の項目で解説しています。
- 患者と接する機会が一番多い
- 幅広い業務を行うことで多職種との関わりが多い
- 入院中だけではなく退院後の生活も含めてケアを行う
- 看護師以外のチームメンバーとは
それぞれみていきましょう。
患者と接する機会が一番多い
患者さんと接する機会が一番多いのは看護師です。チーム医療において患者さんに必要な医療やケアや、患者さんに起きている問題を明確にして適切に医療チームへつなげていきます。
医療チームの関わりによってどう患者さんの変化があったのか、なかったのかを観察し情報提供する役割もあります。
幅広い業務を行うことで多職種との関わりが多い
看護師は、治療や検査だけではなく患者さんの入浴や清潔、食事、排泄など全ての日常生活において支援を行います。幅広い業務を行いながら、患者さんと共に多職種との関わりも多くあります。
チーム医療において看護師は患者さんと多職種との橋渡しとしての立場もあります。
入院中だけではなく退院後の生活も含めてケアを行う
看護師は、患者さんが入院してから退院に向けて看護計画を立案します。入院中だけではなく、退院後の生活を含めて必要なケアを実施することになるため、患者さんだけではなく家族に対しても必要なケアの指導を行います。
チーム医療において実施されている内容をわかりやすく説明し、継続できるように看護師が関わっていきます。
看護師以外のチームメンバーとは
医師や看護師以外のチームメンバーは以下の通りです。
薬剤師 / 管理栄養士 / 臨床検査技師 / 臨床検査技師 / ソーシャルワーカー / 理学療法士 / 作業療法士 / 言語聴覚士 / 精神保健福祉士 / 診療放射線技師 / 臨床心理士 / 公認心理士 / 歯科衛生士 / 義肢装具士 / 患者・家族
などです。
看護師はチーム医療における「多職種連携のキーマン」!
チーム医療における看護師の役割や特徴、チーム医療の必要性が高まっている理由についてご理解いただけたと思います。
少子高齢化が進み、多様な生活様式が当然の時代となりました。そのため、個々に抱える問題は病気やケガなどだけではなく社会的問題や精神的苦痛など多岐にわたります。
患者さんの一番近くにいるからこそ患者さんのことを一番理解し、看護師としてチーム医療においては多職種連携のためのキーマンとして活躍しましょう。