ジャンル別記事
【病院付き添いの秘訣】介護保険を最大限に活用しよう!
訪問介護で働いていると時々「病院付き添い」の業務に当たることがあります。
病院に付き添うことも業務の一環であることをなんとなく知ってはいても、利用者がどんな仕組みで利用しているのかわからない部分も多いものですよね。
また「病院付き添いの業務が介護保険内で実施されているものなのか」もよくわからないという方も、もしかしたらいるかもしれません。
通院介助時に介護ヘルパーが気を付けるべきポイントも記載しているので、是非記事を参考に「病院付き添い」についての理解を深めていきましょう。
病院付き添いって?
まず「病院付き添い」という業務について詳しく解説していきます。
病院付き添い「通院介助」とは
なんらかの事情でひとりで通院することが難しい利用者に介護ヘルパーが付き添い、場合によっては移動時などの介助を行います。
訪問介護の「身体介助」にあたる業務のなかのひとつです。
通院介助の具体的な業務内容
通院介助の主な業務内容は以下です。
- 家で受診するための準備(着替え・トイレ介助・持ち物チェックなど)
- 家から病院まで付き添い
- 移動時の介助や見守り
- 診察券など受診の手続き
- 病院から家までの帰り道付き添い
その理由は、院内介助は介護保険が適用されないためです。
院内介助は、病院のスタッフが行うことが前提となっていますが、病院スタッフによる介助が困難など「介護ヘルパーが院内介助を行うことが必要である」と判断された時のみ例外として介護ヘルパーが院内介助することができます。
病院への付き添いは介護保険が適用されるの?
訪問介護における病院付き添い介護保険は適用されるのでしょうか?
ここでは、病院付き添いと介護保険の関係について詳しく解説していきます。
病院への付き添いについての介護保険緩和部分
令和3年の介護報酬改定により、以前よりも更に高齢者がスムーズに通院介助を受けることができるようになっています。
通院等乗降介助について、利用者の身体的・経済的負担の軽減や利便性の向上の観点から、目的地が複数ある場合であっても、居宅が始点又は終点となる場合には、その間の病院等から病院等への移送や、通所系サービス・短期入所系サービスの事業所から病院等への移送といった目的地間の移送に係る乗降介助に関しても、同一の事業所が行うことを条件に、算定可能とする。
- 病院間の算定を可能にすることで、効率的な移動が可能
- デイ等・病院間の算定を可能にすることで、効率的な移動が可能
引用:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定による改定事項について」
今までは病院から別病院への移動を通所介助として行うことは認められていなかったため、同じ日に別病院へ受診する際は一度家に帰らなければいけないものでした。
改定により、病院間の移動も介護保険適用となったため、よりスムーズに通所介助を受けることができるようになりました。
介護保険が適用されるケース
病院付き添いで介護保険が適用される基本的に要介護度1~5が対象になります。
- 家族が遠方にいて病院に付き添うことが困難
- ひとりで受診することができない
など通院をひとりですることができない場合に、ケアマネが間に入り、介護保険内の通院介助の利用が認められるようになります。
介護保険が適用されないケース
上記で記載した通院介助以外の内容は介護保険が適用されません。
具体的に以下の内容は介護保険適用外です。
- 通院前後の寄り道
- 自宅以外の場所からの通院
- 要介護1~5以外の高齢者の通院介助
- 院内での介助(例外もあり)
また、要支援など軽度な状態の高齢者が介護保険を利用しての通院介助を受けることを認められなかった場合、訪問介護の介護保険制度外サービスを利用する道もあります。
介護保険外のサービスとなるため、利用者の全額自己負担で通院介助を受けることになります。
病院付き添い利用までの流れ
病院付き添い所謂「通院介助」の利用までの流れは以下です。
- 要介護度1~5の利用者が依頼
- ケアマネージャーが状況等を聴き取り、それをもとにケアプランを作成
- ケアプランに従って管理者が介護ヘルパーに通院介助指示
- 当日介護ヘルパーが現場に出向き通院介助の実施
ケアマネージャーがケアプランを作り、その中に通院介助の実施を入れ込むことで実現されるのが一般的です。
病院付き添いに関するQ&A
病院付き添いについて詳しく知りたいと思っても難しくてよくわからないという方もいますよね。そこで、ここからはよくある質問と回答を紹介していきます。
悩みがちな具体事例を挙げましたので、参考にしてみてください。
病院付き添いで利用者が過度に通院を嫌がる場合はどうしたらいい?
- 利用者が毎回通院を嫌がっており暴れてしまう
- 拒否が強く断固として家から出ようとしないため受診時間に間に合わない
上記のような場合は、早めに上司やケアマネに相談するようにしましょう。
最終的に利用者との間に入るのは、通院介助の場合でもケアマネです。
通院の帰り道に「買い足しの用でスーパーに寄りたい」と言われた。寄ってもいい?
そのため、基本的にはNGです。
介護保険内で通院介助を受けることができているが「それでも経済的に厳しいためもっと安くなる方法はないかと」相談された。どう答えるべき?
介護保険内での通院介助が難しい場合は、自治体が行っている病院付き添いのボランティアなどを利用できることもあります。
通院介助時に介護ヘルパーが気を付けること
通院介助は、外に出ての介助であるため家の中で介助をする時よりも緊張してしまうもの。不測の事態が起きた場合でも冷静でいられるように、心の準備をしておきたいですよね。
そこで、通院介助時に介護ヘルパーが気を付けるべきことを下記で解説していきます。
出掛ける前に必要物品を確認する
出掛ける前に必ず通院時に必要なものを持ったかチェックしましょう。受診券や保険証などの受診に必要なものはもちろんのこと、場合によっては替えの紙パンツなども持ったかチェックしたほうがいいでしょう。
寒い日には、上着を一枚用意していくなど、体調を崩さないような配慮も大切です。
無言で緊張感を与えないようにする
普段とは違うスタイルで通院をすることに緊張してしまう利用者も居ます。
世間話などして、利用者の気を和らげる配慮が大切です!
医師などの説明や大切なことはしっかりメモする
病院付き添いといっても介護ヘルパーが院内まで付き添わないのが一般的です。
院内では病院の看護師などが利用者に付き添います。そのため、医師の話を利用者と一緒に聞くことはできませんが、付き添いの看護師から大切なことを伝えられる場合もあります。
大切なことをしっかりと家族や管理者に伝えることができるようメモしておくことがおすすめです。
次の受診日なども一緒にメモしておくようにしましょう!
利用者の顔色や体調を観察する
疾患などを持っている利用者が急に体調を崩してしまうことは、実際にあります。特に、いつもとは違う雰囲気に緊張してしまい、外で顔色が悪くなってしまったなどということも。
ただ付き添うだけでなく、利用者の顔色や様子は常に意識して観察するようにしましょう。
病院付き添いは利用者や家族の助けとなる大切な仕事!
病院付き添いの「通院介助」は利用者や家族を助ける大切な仕事です。介護ヘルパー側も、普段家で介護に入るのとは違い緊張してしまいがちですが、むやみに不安になることはありません。
しっかりと通院介助のしくみと注意点を把握し、準備をしていればOK!丁寧に関わることを意識し、通院介助を通じて利用者との信頼関係を深めましょう。
「介護健康福祉のお役立ち通信」は、介護・健康・福祉関係や介護保険等の最新情報を専門分野に精通したライターが業界情報をピックアップ・編集して掲載している情報サイトになります。
介護保険などの情報をお探しの方はぜひサイトにて訪問してみてはいかがでしょうか?