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【違いがわかる!】ターミナルケア加算vs看取り加算
介護や看護の仕事をしていると時々耳にする「ターミナルケア加算」ですが、実際どのようなものなのか気になる方もいるのではないでしょうか?
ターミナルケアに携わる機会があっても、加算についてはなかなか詳しくわからないものですよね。しかし、ケアを行う上でその詳細を把握しておくことは大切です。
記事を参考にターミナルケア加算についての理解を深めましょう!
「ターミナルケア加算」とは?
ターミナルケアは、余命少なくなってしまった方が最期をより良く過ごせるよう医療を交えながらサポートしていくケアです。
ターミナルケアは、さまざまな条件により加算を申請することができ、それを「ターミナルケア加算」と呼びます。
ターミナルケア加算の算定にはいくつかの条件があります。詳細をわかりやすく説明するための項目を以下にまとめました。
- ターミナルケア加算を受けることができる条件
- ターミナルケア加算に該当する介護・看護サービス
- 各介護・看護サービスによって異なる加算の単位や種類
これから詳しく解説していきます。
ターミナルケア加算を受けることができる条件
ターミナルケア加算の算定要件は以下になります。
介護老人保健施設の場合
- 医師が対象利用者に対し、一般的に認められている医師知見に基づき、回復の見込みがないと判断されていること
- 利用者やご家族の同意を得てターミナルケアの計画書が作成されている
介護老人保健施設以外の場合
- 24時間体制で連絡や訪問できる体制を確保
- 体制の届出を行う
- ターミナルケアの計画や支援体制について利用者・ご家族に説明し同意を得ている
- 死亡日、死亡日14日以前に2日以上ターミナルケアを行っている
- ターミナルケアの提供について必要事項が記録されている
ターミナルケアの算定要件は、介護老人保健施設のみが他3サービスと異なる点があります。
ターミナルケア加算に該当する介護・看護サービス
ターミナルケア加算に該当する介護・看護サービスは以下になります。
- 介護老人保健施設
- 訪問看護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護・看護
- 看護小規模多機能型居宅介護
いずれも在宅での生活や在宅復帰のための支援を行う介護サービスです。
各介護・看護サービスによって異なる加算の単位や種類
介護・看護サービスによってターミナルケア加算の単位や種類は異なります。
サービス別に詳細を解説していきます。
- 介護老人保健施設(死亡日1650単位/日・死亡日前日~死亡日前々日820単位/日・死亡日4日前~30日前160単位/日・死亡31日~45日前80単位/日) 参照元:厚生労働省【令和3年度介護報酬改定における改定事項について】
- 訪問看護(死亡日及び死亡日前14日以内2日以上ターミナルケアを提供2000単位/月) 参照元:厚生労働省【訪問看護(参考資料)】
- 定期巡回・随時対応型訪問介護・看護(死亡日及び死亡日前14日以内2日以上ターミナルケアを提供2000単位/月) 参照元:厚生労働省【定期巡回・随時対応訪問介護看護】
- 看護小規模多機能型居宅介護(死亡日及び死亡日前14日以内2日以上ターミナルケアを提供2000単位/月) 参照元:厚生労働省【看護小規模多機能型居宅介護の報酬・基準について】
老人保健施設以外の介護・看護サービスは、月単位での加算になります。
「ターミナルケア」や「ターミナルケア加算」の留意点
ターミナルケアやターミナルケア加算の申請をする場合いくつかの留意点があります。
説明するための項目を以下に挙げました。
- ターミナルケア加算における「死亡月」の考え方
- ターミナルケア加算の算定は1回のみ
- ターミナルケアをする上で大切なこと
これから解説していきます。
ターミナルケア加算における「死亡月」の考え方
ターミナルケアを最後に行った日と死亡月が異なる場合、死亡月での算定となります。
ターミナルケア加算の算定は1回のみ
ターミナルケア加算の算定は1回のみです。また、死亡日及び死亡前14日以内に2日以上訪問した場合でも最後の訪問日に算定されます。
ターミナルケアをする上で大切なこと
ターミナルケアで大切なことは、利用者やご家族の気持ちを想像しながら、スタッフが一丸となってサポートする姿勢です。そのため、多職種同士の連携は重要なこととなります。
特に介護スタッフと看護スタッフが情報共有を行うことで、円滑にケアを行うことが可能です。
ターミナルケア加算についてのQ&A
ターミナルケア加算についてよくある質問とその回答を以下にまとめました。
- 看取り介護加算との違い
- 介護保険と医療保険の両方で各1回ずつターミナルケアを行った場合は、どちらの保険で加算請求できるのか
- 病院などに搬送された場合のターミナルケア加算は?
- 利用者ひとりが色々な事業所を利用した場合、各事業所がターミナルケア加算を算定できるの?
これから詳しく解説していきます。
看取り介護加算との違い
看取り介護加算とターミナルケア加算を同じものだと捉えている方もいますが、実は別ものです。看取り介護加算とターミナルケア加算は対象となる介護サービスが違います!
看取り介護加算が適用される介護サービスは以下です。
- 特別養護老人ホーム
- グループホーム
- 特定施設入居者生活介護
看取り介護が「穏やかにその人らしく最期を迎えることをサポートするケア」であることに対し、ターミナルケアは「延命治療のような医療行為を中心とがし、最期の人生をサポートするケア」になります。
ターミナルケアは医療的サポートに重きを置いていることから、それに応じた加算の内容となるのです。
介護保険と医療保険の両方で各1回ずつターミナルケアを行った場合は、どちらの保険で加算請求できるのか
ひとりの利用者が介護保険と医療保険の両方でターミナルケアを受ける場合があります。
最後に実施した保険制度で請求することが可能です。例えば死亡日前、最後のターミナルケアを行ったのが介護保険適用のサービスであった場合、介護保険の制度で請求します。
病院などに搬送された場合のターミナルケア加算は?
利用者が医療機関に搬送された場合の加算はどうなるのでしょうか?
死亡日前14日以内に2回以上ケア提供、搬送されて24時間以内に死亡した場合に算定可能となります。
医療機関に搬送されたとしても死亡日の2週間前から2回以上ケア提供していて、死亡時間が搬送されてから24時間以内であれば、ターミナルケア加算の算定はできるということです。
利用者ひとりが色々な事業所を利用した場合、各事業所がターミナルケア加算を算定できるの?
利用者が複数の事業所からターミナルケアを受けることはできるのでしょうか?
実は、利用者ひとりにつき、ひとつの事業所しか算定はできません。複数の事業所がひとりの利用者のターミナルケア加算を算定することは、不可能なのです。
加算への理解を深め、より心のこもったターミナルケアを実現しよう
ターミナルケア加算は複雑でわかりにくいですが、簡単に言えば、最期のケアを事業所やスタッフが尽力するための加算といえます。また、加算が算定できるということは、それだけ責任も伴うということです。
今後も需要は高まるといわれるターミナルケア。利用者にとってその人らしい最期を過ごすことができるようなサポートを行いましょう。