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看護師の爪切りは医療行為?どこまで切れるか判断基準や手順を解説
看護師の爪切りについて、「どこまでが自分の責任?」「もし出血させたら裁判になるの?」と不安を感じていませんか。
爪切りは日常的なケアの一つですが、一歩間違えると重大なインシデントや法的トラブルに発展するリスクがあります。
しかし、適切なアセスメントと正しい技術を身につければ、患者さんの転倒を防ぎ、健康寿命を延ばす大切な看護ケアになります。
現場で役立つ専門資格についても紹介するので、明日からのフットケアに自信がもてるようになるはずです。
看護師がおこなう爪切りの目的
看護師が爪切りをおこなうのは、たんに身だしなみを整えるためだけではありません。
療養上の世話として、身体の健康を守る大切な役割を担っています。
爪切りがもたらす具体的な効果について、以下の視点から確認しましょう。
- 患者さんの清潔を保ち感染症を予防する
- 爪の変化から全身の状態を観察する
- 伸びた爪による皮膚の傷つきを防ぐ
- 【法的根拠】平成17年厚労省通知における「医療行為」の解釈を追加
清潔で整った状態を維持することは、健やかな生活を支えるための土台となります。
患者さんの清潔を保ち感染症を予防する
看護としての爪切りには、患者さんの清潔を保ち、感染症を防ぐ目的があります。
爪の間にたまった汚れは、菌のすみかになりやすく、放置すると炎症などを招く恐れがあるためです。
定期的なケアで汚れを取り除くことは、衛生管理だけでなく、心のリフレッシュにもつながります。
身だしなみが整うことで、患者さんに「清潔感をもたらす」というメリットも生まれます。
手足の先がきれいになることで、患者さんの生活に対する意欲を高める効果が期待できるでしょう。
適切な長さを保ち、爪が割れたり剥がれたりするトラブルを未然に防ぐことが大切です。
爪の変化から全身の状態を観察する
爪は「体調を表すサイン」であり、全身の病気の兆候を見つけるための大切な情報源です。高齢の方は感覚が鈍くなっているため、足のトラブルに自分自身で気付きにくいリスクを抱えています。
看護師によるケアは単なる保清ではなく、病気の早期発見を目指すための大切な介入です。
たとえば、指先が丸く腫れる「バチ指」は心臓や肺の病気、爪が反る「スプーンネイル」は貧血の可能性を示します。
また、足の爪が1本でも損なわれると歩くバランスが崩れ、ひざや腰を痛める原因にもなりかねません。
とくに糖尿病の患者さんは、感覚が鈍く傷に気付かないまま重症化する恐れがあります。
「足を守ることで命を守る」という意識をもち、毎日の観察を徹底して異常を早く見つけることが求められます。
伸びた爪による皮膚の傷つきを防ぐ
爪を適切な長さに整えることは、患者さんが自分の皮膚を傷つけてしまう事故(自己掻爬傷)を防ぐことにつながります。
爪は指先を保護するだけでなく、触覚を敏感にさせる大切な役割を担っているからです。
しかし、ケアを怠って爪が伸びすぎると身体のバランスを保ちにくくなり、転倒のリスクが高まります。
実際の調査「認知症と減薬の相関性及びフットケアによる転倒予防の効果」では、適切なフットケアにより高齢者の転倒発生率が29%減少したという結果も出ています。
また、乾燥や皮膚疾患で「かゆみ」を感じている患者さんの場合は、注意が必要です。
無意識に長い爪で皮膚を強く掻きむしり、傷口から菌が入って二次感染を起こすケースも少なくありません。
「適度な長さを保つことが皮膚トラブルの防止に直結する」という意識は、訪問看護の現場でも非常に重視されています。
【体験談】
寝たきりの患者さんは手指の拘縮が進んでいるため、伸びた爪が手のひらに食い込む場合があります。
入浴介助のときが、全身の観察ができる機会なので、手足の爪の状況も観察が大切です。
よく、外介助のスタッフに着替えと爪切りを頼んでいました。
【法的根拠】平成17年厚労省通知における「医療行為」の解釈
看護師が爪切りを業務としておこなう上で、根拠となるのが「平成17年7月26日付医政発第0726005号通知」です。
この通知では、爪そのものに異常がなく、糖尿病などの専門的な管理も不要な場合の爪切りは「医行為ではない」と定義されました。
爪ヤスリによる補正も同様の扱いとなっており、特別な医事免許を必要としない「生活の援助」として明確に分類されています。
つまり、健康な爪のケアは特別な医事免許を必要としない「生活の援助」として扱われます。
ただし、爪に異常がある場合や、疾患により高度な管理が必要な場合は「診療の補助」としての専門性が求められます。
この通知の解釈を正しく理解しておくことは、介護スタッフとの役割分担や、自身の責任範囲を明確にする上でとても重要です。
看護師の爪切りが医療行為に該当する?
看護師がおこなう爪切りが「医療行為」にあたるのか、それとも「生活の援助」なのか、迷う場面は多いはずです。
厚生労働省の指針によって、爪の状態や患者さんの持病に応じた明確な区分が示されています。
ルールに基づいた適切な判断基準について、以下の視点から詳しく確認していきましょう。
- 医療行為にならない「正常な爪」の定義
- 医療行為となる「異常な爪」
- 糖尿病・末梢動脈疾患(PAD/ASO)患者への注意点
まずは対象となる患者さんの爪が、どの状態にあてはまるかを正しく見極めることが大切です。
医療行為にならない「正常な爪」の定義
2005年の厚生労働省による通知で、特定の条件での爪切りは「医療行為ではない」とはっきり示されました。
この通知は2026年現在も改正されることなく、現場の判断基準として有効です。
具体的には、爪そのものや周りの皮膚に異常がなく、糖尿病などの専門的な管理がいらない場合を指します。
この基準を満たしていれば、爪切りやヤスリがけは日常生活上の行為として扱われます。
つまり、看護師だけでなく介護スタッフであっても、本来はおこなうことができる業務です。
現場では「看護師でないとできない」と思われがちですが、法的には役割を分担できる範囲となります。
ただし、誰がおこなう場合でも安全に配慮し、深爪や出血をさせない丁寧な技術が求められることに変わりはありません。
まずは対象となる患者さんの爪が、この「健康な状態」にあてはまるかどうかを正しく見極めることが大切です。
医療行為となる「異常な爪」
爪の状態によっては、専門的な判断やスキルが必要な「診療の補助(医行為)」に該当します。
とくに爪がひどく変形している場合や、周りの皮膚に炎症がある場合は、介助の枠を超えます。
こうしたケースでは、高い観察力と確実な技術を必要とするため、看護師ならではの役割です。洗髪や食事の介助と同じように、日常的な行いであっても、患者さんの状態によって「診療の補助」としての意味が強まります。
たとえば、厚くなった爪を削る際や、食い込んだ爪を整えるときには、身体の仕組みに基づいた判断が欠かせません。
医師の指示のもとで適切に対応し、悪化を防ぐことは、看護の専門性を発揮する大切な機会といえます。
糖尿病・末梢動脈疾患(PAD/ASO)患者への注意点
糖尿病や末梢動脈疾患(PAD/ASO)をもつ患者さんの爪切りは、とても慎重な判断が求められます。
これらの病気をもつ方は、血の流れが悪かったり神経のトラブルがあったりして、傷が治りにくく感染しやすいためです。
わずかな深爪や出血が、壊疽(えそ)などの重い合併症を引き起こすリスクを常に含んでいます。
たとえ爪の形に異常がなくても、持病がある場合は「専門的な管理が必要な医行為」とみなされることがあります。
そのため、介護職が行えるかどうかの判断は、施設や医師の指示を仰ぎ、慎重に決めなければなりません。
看護師が担当する場合も、おこなう前後の皮膚の状態を細かく観察し、リスクを低くするやり方を選びましょう。
【体験談】
現場では、爪や足の傷がなかなか治らず対応に苦慮するケースがよくあります。
血管の病気であるPAD(末梢動脈疾患)が隠れている可能性があります。
私が担当した患者さんも、早期に医師へ相談して血管外科や循環器内科を紹介してもらったところ、適切な治療によって傷の治りが早くなりました。
早期発見につなげることで、最悪のケースである「足の切断」というリスクを回避できます。

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現場で役立つ安全な爪切りの手順
安全な爪切りをおこなうためには、準備と正しい姿勢、そして丁寧な手技が欠かせません。
手順を工夫するだけで、患者さんの怪我のリスクを減らし、スムーズにケアを行えるようになります。
プロとしておさえておきたい具体的なステップについて、以下の視点から確認しましょう。
- 事前準備|足浴・手浴で爪を軟化させ血行を確認する
- 基本の切り方|バイアス切りを避け「スクエアオフ」にする
- 応用テクニック|肥厚爪・巻き爪は「ニッパー×やすり」で攻略
- 拒否がある場合|無理に切らず「やすりだけ」などの段階的ケア
患者さんの安全を守り、痛みのないケアを提供するためのポイントを詳しく解説します。
事前準備|足浴・手浴で爪を軟化させ血行を確認する
爪切りを始める前に、まずは患者さんへ丁寧に説明し、同意をえることが大切です。
手元を明るく照らす照明を確保し、看護師が無理な姿勢にならないスペースを整えましょう。
ミスを防ぐコツは、対象者の正面に座り、自分の「へそ」と「相手の足指(爪)」が一直線に向かい合う姿勢をとることです。
指の間を広げ、爪の厚みや皮膚の血行、傷の有無などを念入りに観察してください。
また、乾燥して硬くなった爪は割れやすいため、足浴・手浴や温タオルで爪をしなやかに整えておきましょう。
とくに入浴直後は爪が自然に水分を含んでおり、最も安全にケアを進められるタイミングです。
基本の切り方|バイアス切りを避け「スクエアオフ」にする
爪の形は、指先と同じくらいの長さで真っすぐに切る「スクエアオフ」を基本にします。
白い部分を2mmほど残し、指先の肉をひっぱって刃先が皮膚に触れないようスペースを作りましょう。
「中心部から左右の爪先、最後に角」の順で少しずつ切り進めるのが、爪を割らないための鉄則です。
角を深く切り落とす「バイアス切り」は、巻き爪や炎症の原因となるため避けてください。患者さんの状態に合わせ、負担を最小限におさえる工夫をしましょう。
応用テクニック|肥厚爪・巻き爪は「ニッパー×ヤスリ」で攻略
厚みのある肥厚爪や巻き爪には、通常の爪切りではなく「ニッパー型」を使用します。
刃先を少しずつ入れ、衝撃を与えないよう慎重に切り進めるのがコツです。
仕上げのヤスリがけでは、爪の層を傷めないよう「一定方向」に動かしてください。
往復がけは摩擦で爪が毛羽立ち、二枚爪の原因になるため注意が必要です。
最後にヤスリの面を使い、角をわずかに丸めることで、靴下への引っかかりや皮膚への刺さりを防げます。
拒否がある場合|無理に切らず「やすりだけ」などの段階的ケア
認知症や恐怖心からケアを拒否される場合は、無理強いをせず「段階的なアプローチ」を試みましょう。
今日は「お湯で足を洗うだけ」、次は「ヤスリで整えるだけ」など、短時間で終わるケアから始めます。
爪切り特有の「パチン」という音や刺激を嫌がる方には、ヤスリのみで長さを整える方法が有効です。
患者さんの不安に寄り添い、安心感を与える声かけを並行することで、少しずつケアを受け入れてもらえる環境を築いていきましょう。
【体験談】
患者さんや利用者さんは、爪切りを頼むのを遠慮してしまう方も多くいらっしゃいました。
日々のケアのなかで爪の伸びに気付いたときは、こちらから進んで提案するようにしています。
「さっぱりした、ありがとう」と笑顔で感謝の言葉をいただける、やりがいのあるケアの一つですね。
看護師におすすめの爪切り道具と選び方
看護の現場では、患者さんの爪の状態に合わせた道具選びが大切です。
一般的な爪切りだけでなく、専門的な器具を使い分けることでリスクを減らせます。
効率的で安全なケアを実現するために、以下の道具について確認しましょう。
- 厚い爪・変形爪には必須|ストレートタイプのニッパー
- 繊細なケアが可能|ゾンデと電動ネイルマシンの活用
- 自分の身を守る|飛散防止カバーと防護メガネ
道具の特性を理解し、患者さんに負担の少ないものを選ぶことが大切です。
厚い爪・変形爪には必須|ストレートタイプのニッパー
普通の爪切りでは刃が立たない厚い爪や変形の強い爪には、ニッパータイプが適しています。
看護の現場では、刃先が「直線(ストレート)」のネイルニッパーを使うのが一般的です。
一般的なカーブ刃は足の爪を切る際に肉をはさみやすいため、まっすぐな刃のものを選びましょう。
ニッパーは爪切りよりも爪にかかる負担が小さく、二枚爪の予防にも役立ちます。
ただし、使い慣れていないと皮膚を傷つけるリスクがあるため、扱いには注意が必要です。
もし自分で切るのが難しいと感じたときは、決して無理をせず、ほかのスタッフに相談しましょう。
【体験談】
肥厚が強い爪は、一回のケアですべてを整えようとせず、何回かにわけて進めます。
根気のいる作業ですが、少しずつきれいになっていく様子を見ると大きな達成感があります。
また、こうした患者さんは皮膚のひび割れやタコをともなうことも多いため、一緒に処置をおこなうのがコツです。
繊細なケアが可能|ゾンデと電動ネイルマシンの活用
細部の観察には「ゾンデ」を使用しましょう。
ゾンデは爪の溝に溜まった角質を取り除いたり、爪がどこまで伸びているかを探ったりする棒状の器具です。
これを使うことで、どこに刃を入れるべきかが明確になり、深爪の防止につながります。
また、手動のヤスリでは時間がかかる硬い爪には、電動ネイルマシンの活用がおすすめです。
力を入れずに爪を削れるため、術者の疲労を軽減し、患者さんへ伝わる振動も最小限におさえられます。
ニッパーが入りにくい変形爪でも少しずつ安全に整えられるため、とくに高齢者ケアにおいてとても有効です。
自分の身を守る|飛散防止カバーと防護メガネ
爪切り業務をおこなう際は、感染症から自分と他の患者さんを守るための装備が欠かせません。
爪白癬(つめはくせん)などの菌が飛散する可能性があるため、手袋(プラスチック・ゴム)とマスクは必ず着用しましょう。
さらに、削りカスが目に入るのを防ぐための防護メガネや、衣服への付着を防ぐエプロンの着用も推奨されます。
徹底する現場では、ひじのうえまで皮膜クリームを塗るなどの自己防衛策をとることもあります。
目に見えない菌を広げないために、ケアのたびに装備を正しく使い分けることです。
【体験談】
物品の洗浄や消毒は、院内や施設のルールにのっとって徹底しておこないました。
白癬がある方とそうでない方の道具は、保管場所も含めて区別するようにしています。
感染を広げないための小さな心がけが、現場の安全を守ることにつながります。
爪切りでの失敗やインシデントを防ぐリスク管理
爪切りは日常的なケアですが、一歩間違えると大きなトラブルにつながる恐れがあります。とくに高齢者の爪は出血や感染のリスクが高いため、事前のリスク把握が欠かせません。
自分自身と患者さんの身を守るために、知っておくべきリスク管理について以下の視点から確認しましょう。
- 出血・深爪時の応急処置
- 過去の裁判事例から看護師の法的責任を学ぶ
- 万が一の事故に備えて正確な看護記録を残す
医療専門職として、根拠をもった安全なケアをおこなうためのポイントを詳しく見ていきましょう。
出血・深爪時の応急処置
万が一、爪切りのなかに出血や深爪をさせてしまった場合は、すばやく冷静な対応が求められます。
放置すると感染症や壊疽(えそ)の原因になるため、ただちに以下の手順で処置をおこないましょう。
| 止血 | ・清潔なガーゼや綿球で患部を強く圧迫します。 ・数分間継続して様子を見ましょう。 |
| 洗浄と保護 | ・血が止まったら周りの汚れをふき取ります。 ・医師の指示に合わせて、薬をぬったり保護材をはったりします。 |
| 報告 | ・自分だけで判断せず、必ずリーダーや医師に伝えます。 ・とくに血が止まりにくい薬を飲んでいる方の場合は、早い報告が必要です。 |
| 経過観察 | 処置後も赤み、腫れ、熱感がないか、数日間は継続して観察を続けます。 |
適切な最初の対応が、そのあとの重症化を防ぐカギとなります。
過去の裁判事例から看護師の法的責任を学ぶ
よかれと思っておこなったケアが、刑事責任を問われる事態に発展したケースがあります。
2007年に起きた「北九州爪ケア事件」では、肥厚爪を処置した看護師が傷害罪で逮捕されました。
第一審では「爪を剥いだ」として有罪判決(懲役6月・執行猶予3年)となりましたが、控訴審では「看護目的であり、正当な業務行為」として逆転無罪になっています。
この事件の核心は、爪床(爪の下の皮膚)を露出させる行為が、客観的には「傷害」とみなされる可能性がある点です。
現場でのケアが見え方によっては「虐待」や「傷害」と誤解される怖さがあります。
また、抗凝固剤(血液サラサラの薬)の服用による出血リスクや、糖尿病患者の重篤な感染症リスクにも十分な注意が必要です。
専門職として法的責任の重さを自覚し、常に医学的な根拠をもったケアが求められます。
万が一の事故に備えて正確な看護記録を残す
万が一トラブルが起きた際、自分を守る唯一の証拠となるのが「看護記録」です。
裁判で「正当な業務」と認められるには、目的の正当性、手段の相当性、患者や家族の同意の3条件が不可欠です。
これらを「皮膚の損傷を防ぐため」「ニッパーを用いて実施」といった形で克明に記録しましょう。
北九州の事件では主治医の指示との不一致が問題になったため、独断を避け、組織として情報を共有することが大切です。
また、糖尿病、末梢動脈疾患(PAD/ASO)、透析治療中などのハイリスクな全身状態を事前にチェックしてください。
爪だけでなく、足の「冷感」や「変色」といったサインを観察し、異常があればすぐに医師へ報告しましょう。
【体験談】
爪切りは短時間で終わるケアなので、つい記録を書かずに済ませてしまう看護師が多いです。
しかし、ちょっとした内出血や傷が、あとから大きな問題になることは珍しくありません。
「いつ、誰が、どのような目的で、どう処置したか」をその都度、書くことを徹底することが大切です。
職場別:看護師に求められる爪切りの役割
看護師が爪切りをおこなう範囲やルールは、勤務する場所によって大きく異なります。
病院では「診療の補助」としてスムーズに行えるケアも、在宅や介護現場では保険制度や施設の規約が関わってくるためです。
トラブルを避け、円滑に業務を進めるために、職場ごとの特徴を以下の視点から確認しましょう。
- 訪問看護|「足浴+爪切り」の算定と主治医指示書の確認
- 介護施設・デイ|介護職への指導と役割分担の明確化
それぞれの現場で求められる役割と、注意すべきポイントを詳しく解説します。
訪問看護|「足浴+爪切り」の算定と主治医指示書の確認
訪問看護での爪切りは、主治医が発行する「訪問看護指示書」に基づいたケアであることを明記する必要があります。
爪切り自体に対して特別な追加料金(加算)が発生することはありませんが、訪問時間内でおこなうべき「療養上の世話」または「診療の補助」として位置づけられます。
利用する保険によって、以下のような違いがあることを理解しておきましょう。
| 区分 | 実施とルール |
|---|---|
| 介護保険 | ケアマネジャーが作成する「ケアプラン」に基づき、決められた時間内で他のケアと組み合わせて実施します。 |
| 医療保険 | 主治医の指示に基づき、週の訪問回数などの制限内で実施します。 |
独断で頻繁におこなうのではなく、計画書や指示書に沿った内容であることを記録に残すことが大切です。
介護施設・デイ|介護職への指導と役割分担の明確化
デイサービスなどの通所介護施設では、安全第一の観点から「爪切りは一律で行わない」という方針をとっている場所が少なくありません。
しかし、看護師が常駐している場合に限り、周囲の皮膚や爪に異常がない「健康な爪」であれば実施することもあります。
その際は、どこまでが介護職の範囲で、どこからが看護師の守備範囲なのか、施設内での役割分担を明確にしておくことが大切です。
もし施設ルールで爪切りが禁止されている場合でも、看護師として提供できるフットケアは他にもあります。
| ケア内容 | 目的と効果 |
|---|---|
| 手浴・足浴 | 汚れを落として清潔にし、リラックスできる時間をつくります |
| 保湿ケア | 乾燥による割れや角質化を防ぎ、皮膚を守る力を高めます。 |
爪を切ることだけがケアではありません。しっかり観察し、清潔を保つことで、利用者さんの足の健康を守る役割を果たしましょう。
専門性を高める看護師向けのフットケア資格や学習
爪切りを単なる作業ではなく専門技術として磨くことは、看護師としてのキャリアに大きなプラスとなります。
病院内だけでなく、地域や介護現場でも重宝されるフットケアの専門知識を身につける道はさまざまです。
自身の目指す方向性に合わせた資格や学習方法について、以下の視点から確認しましょう。
- フットケア指導士などの資格で技術を取得する
- 外部のセミナーに参加して新しいケア方法を学ぶ
自身のスキルを形にすることで、より自信をもって質の高いケアを提供できるようになります。
フットケア指導士などの資格で技術を取得する
専門性を証明する代表的な資格に、一般社団法人 日本フットケア・足病医学会が認定する「フットケア指導士」があります。
これは看護師として3年以上の実務経験が必要な「プロ向け」の資格であり、現場のリーダーとしての役割を担うことが期待されます。
合格率は例年70~80%程度で、5年ごとの更新制により常に最新の知識を維持できるのが特徴です。
病院内での指導的な役割はもちろん、転職やキャリアアップにも有利に働くでしょう。
また、病院外でも評価される「福祉爪ケア専門士®」などの民間資格もあります。
全国で2,800人以上の有資格者が「爪のレスキュー隊」として活躍しており、看護師としての副業や将来的な独立(売上アップ)の視点でも価値のある資格です。
外部のセミナーに参加して新しいケア方法を学ぶ
多忙な看護師でも、外部の短期集中講座を活用すれば効率よく新しい技術を習得できます。
たとえば、「福祉爪ケア専門士®」の3級・2級といった資格なら最短1日で修了できる講座もあり、無理なく挑戦することが可能です。
学習内容も実践的で、高齢者に多い「肥厚爪」の削り方や、ニッパー・電動マシンの正しい使い方など、即戦力となる実技を重点的に学べます。
自分に合った学びの場を見つけやすいよう、主なフットケア関連の団体を一覧にまとめました。
| 資格・講座名 | 特徴 | 運営団体名 |
|---|---|---|
| フットケア・足病治療認定師 | 医療・福祉系の有資格者が対象で、足病の治療・ケア・予防に関する知識と技術を習得 | 日本フットケア・足病医学会 |
| 医療フットケアスペシャリスト | 解剖生理学に基づいた技術を学び、肥厚爪や角質の専門的ケアに対応 | 日本トータルフットマネジメント協会 |
| フットケア衛生管理士®︎ | フットケアを衛生管理の視点から学べる専門講座 | 日本トータルフットマネジメント協会 |
これら専門のセミナーで学ぶことで、自己流ではない「根拠に基づいた技術」が身につきます。
看護師の爪切りに関するよくある質問
現場でよくある悩みや、判断に迷うポイントについてまとめました。
自分ひとりで抱え込まず、チームや他職種と連携するための参考にしてください。
現場で直面しやすい疑問について、一つずつ詳しくお答えします。
准看護師でも正看護師と同じようにケアできる?
准看護師であっても、爪切りの手技自体は正看護師と同じようにおこなうことが可能です。
しかし、資格の種類に関わらず、病変がある場合の「爪ケア」は高度な専門的判断を必要とします。
とくに異常が見られる爪の処置は「診療の補助」としての側面が強くなるため、独断でおこなうのは禁物です。
まずは医師に報告し、適切な指示系統を確認してから実施するようにしましょう。
爪が厚すぎて自分では切れないときはどうする?
通常の爪切りでは太刀打ちできない「肥厚爪(ひこうつめ)」などは、無理をせず専門の手を借りましょう。
看護師が対応する場合、無理に切ろうとせず、爪やすりを一定方向にかけ、なめらかになるまで繰り返すのがコツです。
仕上げに温タオルなどで表面についた削りカスを丁寧に落とすと、清潔感が増し皮膚トラブルも防げます。
もし自分たちだけで解決できない場合は、担当医師や皮膚科との連携を検討してください。
訪問看護ステーションやかかりつけ医へ相談し、医療保険や介護保険の枠組みで適切なケアを受けることも可能です。
家族からの無理な依頼を上手に断る方法はある?
介護スタッフや家族から「看護師ならできるでしょ」と、リスクの高い依頼をされることがあります。
法的には異常がなければ医療行為ではありませんが、高齢者の爪切りは事故のリスクが非常に高いものです。
断る際は「法律上の区分」ではなく、あくまで「患者さんの安全を守るため」という理由を伝えましょう。
「今の状態では出血や感染の危険があるため、医師の判断を仰ぐ必要があります」と説明するのがスムーズです。
家族が同居していても、技術的に困難な場合は訪問看護の対象となるケースも多くあります。
独断で引き受けず、ケアマネジャーや主治医を仲介させて「公式なルール」として対応を決めるようにしましょう。
まとめ|看護師が正しい知識で安全に爪切りをおこなおう
爪切りは日常的なケアですが、看護師にとっては「足を守ることで命を守る」という専門性の高い業務です。
適切な知識と技術をもつことで、患者さんの転倒を防ぎ、感染症や重症化のリスクを最小限におさえられます。
プロとして質の高いケアを提供し続けるための要素を再確認しておきましょう。
看護師が自信をもって爪切りに取り組むためには、いくつかの意識が欠かせません。
まずアセスメントを徹底し、疾患や爪の状態から医療行為としての判断を慎重におこなうことが大切です。
次に正しい技術と道具を活用するため、自己流を避け、ニッパーや電動ヤスリを適切に使い分ける必要があります。
さらにリスク管理と記録も大切です。
過去の裁判事例を学び、説明と同意を得たうえで正確な記録を残し、自分と患者さんを守りましょう。
変形爪などに迷ったときは、ひとりで解決せずチームや専門医と連携してください。
正しい知識に基づいた安全な爪切りを通じて、患者さんがいつまでも健やかに歩めるよう質の高いケアを届けていきましょう。
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