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准看護師は通信制で取得できる?看護師資格へのキャリアアップ方法も解説
残念ながら、通信制で准看護師の資格を取得することはできません。准看護師の養成には実習や実技が必須であり、通信制だけではカリキュラムを満たせないためです。
ただし、すでに准看護師の資格を持っている方であれば、通信制を利用して看護師の資格を取得することは可能です。
准看護師の資格は通信制で取得できない
准看護師の資格は、通信制では取得できません。
これは、准看護師の資格取得には実地での実習や実技がカリキュラムに含まれており、通信制ではそれらを十分に行うことができないためです。
ただし、准看護師から看護師へのキャリアアップを目指す場合には、通信制で学ぶことが可能です。准看護師の資格を取得された方は、通信制を活用して看護師の資格取得を目指しましょう。
准看護師が通信制で看護師になるための学校と制度
すでに准看護師資格があれば、通信制で看護師資格の取得は可能です。
通信制で看護師になるためには、学校のカリキュラムや制度を知る費用があります。一つ一つ、チェックしていきましょう。
通信課程と通学課程の違い
准看護師が看護師資格を取得するには、以下のルートがあります。

画像引用:日本看護協会「准看護師のための特設サイト」
ここでいう、実務経験年数とは「准看護師として勤務した年数」のことを指します。通信制では、7年 (84か月)以上の業務に従事していることが必要です。
就業場所(介護施設、訪問看護等)や雇用形態(常勤、非常勤、パート等)は問いません。
通学と通信制では、入学要件と教育内容が大きく異なります。どちらが、自分のライフスタイルに合うか確認し入学をきめましょう。
准看護師から通信制看護学校への入学条件と実務経験要件
厚生労働省の「看護師養成所2年課程(通信制)の入学要件見直しについて」によると、通信制の看護学校への入学には、実務経験7年以上が必要です。
なお、2024年3月8日に医道審議会で実務経験5年へ短縮について了承されました。しかし、試行時期についてはまだ明確になっていません。
まだはっきりとは決まっていませんが、就業証明書の内容も見直しも検討されるようです。
現在は「准看護師として7年以上業務に従事した」実務経験証明書の提出をお願いされています。
今後は、証明書も「業務内容も含む就業経験確認のための様式にて5年間の就業経験年数を確認する」様式に見直される可能性があります。
「従来の勤務期間を確認する様式」だったものが、「業務経験も確認する様式」になる可能性があるため、入学を希望する場合は、各学校が出す募集要項をしっかりと読みましょう。
准看護師から看護師への通信制期間と学習内容
通信制では52単位以上の理論学習に加え、16単位以上の臨地実習が必要です。具体的には、以下の内容が必要となっています。
- 紙上事例演習:24事例程度
- 病院や施設などの見学実習:16日以上
- 面接授業:24日以上
- 対面による授業:10日以上
通信制は、学校によってスクーリングの日数や日程が異なるため、入学前に自身のライフスタイルに合っているか確認をしましょう。
また、放送大学を併用したカリキュラムを採用している学校もあります。
放送大学とは、文科省と総務省所管の通信制大学のことです。放送大学は、15歳以上であればだれでも入学が可能です。また、全国どこでも放送による授業を受けられるため、通信制の学校で併用されています。
各学校の判断により、最大34単位(基礎分野、専門基礎分野、専門分野の中の理論学習)まで卒業単位として、認定可能です。看護師養成所入学前に、あらかじめ放送大学で単位を習得することができます。
また、7年以上の就業経験を満たす前でも放送大学へ入学が可能なため、早めからの準備も可能です。
ただし、各養成所の卒業単位として認定を受けることができる授業科目は、それぞれの養成所によって異なります。
入学前に履修している場合は、認定される履修科目かどうかをしっかり確認してから入学しましょう。
通信制看護師学校の費用と活用できる奨学金制度
通信制看護師学校にかかる費用と活用可能な奨学金制度をまとめました。以下の内容を確認し、金銭的な不安をなくし看護師を目指していきましょう。
通信制看護学校の費用内訳(入学金・授業料・教材費)
入学前から、入学中に必要となる学費についてまとめます。主に、以下の費用が必要となります。
入学前・受験時の費用
入学前や受験時の費用は以下の項目があげられます。
- 交通費(学校説明会・受験時)
- 宿泊費(受験時)
- 受験費用
- 受験料
入学前からお金は必要になりますので、余裕をもった計画をたてましょう。
1年次の費用
入学直後は、必要な物や検査が多くなります。しっかりと、資金を準備しておきましょう。
区分 | 項目 |
---|---|
学費 | 入学金、授業料、施設設備費 |
教材・通信関連 | 教材費、通信料、教科書や教材購入費 |
機材・備品関連 | パソコン・プリンター購入費、ユニフォーム代 |
その他の経費 | 感染症検査料、ワクチン接種費、学生保険(1〜2年次) |
感染症検査料やワクチン接種費は、クリニックによっても異なります。しっかりと確認しましょう。
2年次の費用
2年次は、入学直後と比較するとやや出費が抑えられます。
区分 | 項目 |
---|---|
学費 | 授業料、施設設備費 |
教材・通信関連 | 教材費、通信料、教科書や教材購入費 |
その他の経費 | 必要に応じて同様の諸経費が発生する場合あり |
2年次にも、費用はかかりますので忘れずに計画しておきましょう。
通年でかかる費用
実習費用や通学費用は必ずかかります。通信制といえども、多少はかかりますので準備をしておきましょう。
- 通学・実習先への交通費、宿泊費
- 生活費(家賃、食費、健康保険料、年金保険料)
特に、生活費は忘れがちです。
現在の生活が保てることに加え、これまでに確認してきた必要経費をまかなえそうか、今一度確認しましょう。
放送大学にかかる費用
放送大学に入学する場合は、通信制の学校とは別に入学金や授業料が必要となります。
放送大学の単位が活用できることは、准看護師から看護師になる際にメリットですが、費用がその分多くなる点は注意しましょう。
特に、初年度はさまざまな物を揃える必要があるため、出費が多くなります。在学中に必要となる費用を見積もり、奨学金なども活用しながら計画的な資金計画をつくりましょう。
なお実際に必要となる費用は各学校で大きく異なります。詳しく知るためには、資料請求や学校説明会に参加するなど、学校へ直接確認してください。
准看護師向け奨学金・修学資金制度の種類
准看護師向けの奨学金は多くあるため、ぜひ自分にあったものを活用しましょう。
こちらでは、各奨学金について解説していきます。
条件によって、ご自身が受けられる奨学金が変わってきます。まずは、どのような奨学金があるか確認していきましょう。
看護師学校養成所2年課程(通信制)進学者に対する奨学金
日本看護協会によって2009年に創設された奨学金です。
日本看護協会の会員である准看護師を対象としており、通信制の養成所へ進学する場合に受けることができます。無利息の貸与型のため、金利がかからない点がポイントです。
また、他の奨学金との併用が可能かつ、学費および生活費として借りることができるため、在学中に関わるさまざまな経費への活用が可能です。
教育訓練給付金
労働者の主体的なスキルアップを支援するために設けられている給付金です。
雇用保険に加入していることが条件ですが、受講費用の50%が訓練受講中6か月ごとに支給されます。費用の一部が支給されるため、返済しなくていいという点が魅力的です。
なお、教育訓練給付制度の指定をうけているか、志望校に確認しましょう。
受給資格や申請方法などの詳しい情報は、近くのハローワークに問い合わせて情報収集を進めることがおすすめです。
高等職業訓練促進給付
ひとり親対象の制度です。月額10万円の支給や、訓練終了後は5万円の支給があります。
対象者は、ひとり親かつ児童扶養手当を受給している方、養成期間において6か月以上のカリキュラムを修業する方、看護師などの資格取得を目指す方です。
なお、都道府県によっては実施していない場合もありますので、都道府県庁や市区町村役所に問い合わせをしましょう。
各病院の奨学金
勤務先の病院によっては、国家試験合格後に働くという条件付きで、奨学金を貸与しているケースもあります。奨学金の貸与期間と同期間働くことで返済が免除されるケースもあるため、勤務先でぜひ確認してみましょう。
北海道、青森県、東京都、大阪府、佐賀県などで採用してる病院がありますので、チェックしてください。
上記にあげたものの他にも、各都道府県や自治体などが独自に儲けている奨学金制度があります。また、日本学生機構や教育ローンなどもありますので、ぜひ自分が活用できる奨学金を探しましょう。
准看護師が通信制で看護師を目指すメリット
准看護師が通信制で看護師を目指すには以下のメリットがあります。
- 働きながら学べる
- 費用が比較的安い
- 学習時間の自由度が高い
- 地域を問わず受講可能
- 仕事の裁量・待遇の向上
自分にとっても、メリットとなるのかそれぞれ詳しくチェックしていきましょう。
働きながら学べる
通信制の最大の魅力は、現在の職場を継続しながら学習できる点です。つまり、収入を確保しつつキャリアアップを図ることができます。
多くの准看護師にとって、生活の基盤を維持しながら資格取得を目指せることは非常に重要です。
スクーリング(面接授業)も集中的に日数を決められ行われることが多く、年間数回程度の通学で済むため、勤務シフトとの調整も比較的容易です。
厚生労働省によると、95.3%が入学後に就労しており、、実務経験を積みながら理論的な学習を深められるという相乗効果も期待できます。
費用が比較的安い
通信制看護学校は、通学制に比べて学費が安い傾向にあります。
2年間の学費を比較すると、通学制の場合は120〜200万円程度かかることが多いのに対し、通信制では80〜100万円程度に抑えられるケースが多いです。(なお、この学費に加えてそのほかの諸経費が必要となります。)
これは、校舎の維持費や人件費などの運営コストが低く抑えられているためです。
また、通学にかかる交通費や食費なども大幅に節約できます。さらに、働きながら学べるため、生活費を心配せずに学業に専念できるという経済的メリットも大きいです。
【通信制】
入学金 | 授業料 | 合計 | |
---|---|---|---|
弥富看護学校 | 200,000 | 362,000(1年次)378,000(2年次) | 940,000 |
大阪福祉専門学校 | 100,000 | 380,000(1年次)380,000(2年次)40,000(実習費用) | 900,000 |
穴吹医療大学校 | 100,000 | 390,000(1年次)390,000(2年次) | 8800,000 |
【全日制】
入学金 | 授業料 | 合計 | |
---|---|---|---|
飯能看護専門学校 | 330,000 | 720,000(1年次)720,000(2年次) | 1,770,000 |
岩国YMCA保健看護専門学校 | 150,000 | 650,000(1年次)650,000(2年次) | 1,450,000 |
四国学院大学香川西高等学校 | 130,000 | 360,000(1年次)360,000(2年次) | 850,000 |
学習時間の自由度が高い
通信制の大きな魅力は、自分のペースで学習を進められる点にあります。
たとえば、お仕事が忙しい時期は無理のない範囲で学習を抑え、時間に余裕ができたときに集中して取り組むといった調整が可能です。
また、育児や介護など家庭の事情がある方にとっても、ご自身の生活リズムに合わせて計画的に学習を進められることは大きな利点です。
夜型の方であれば夜に、朝型の方であれば朝に、もっとも集中しやすい時間帯を選べるのも、通信制ならではの柔軟さといえるでしょう。
ただし、この自由度を十分に活かすためには、自己管理力や計画性が求められます。自分に合ったペースを見つけながら、継続して学びを進めていく姿勢が大切です。
地域を問わず受講可能
通信制看護学校の大きなメリットの一つは、全国どこからでも受講できる点です。
特に地方や離島など、近くに看護学校がない地域に住んでいる准看護師にとって、通信制は貴重な学習機会です。これにより、地域による教育格差を減らし、看護師不足地域の人材育成にも寄与しています。
また、転勤の可能性がある方や、家庭の事情で転居することになった場合でも、学業を継続しやすいという利点もあります。
多くの通信制学校では、スクーリング会場を全国各地に設けるなど、地方在住者への配慮もなされていることもあるためおすすめです。
仕事の裁量・待遇の向上
看護師資格は、准看護師よりも待遇・キャリアの幅が広がるため、多くの方が目指す価値があります。
准看護師と看護師は、取得方法や業務範囲で大きく異なります。
看護師 | 准看護師 | |
---|---|---|
入学要件 | 高校卒業 | 中学卒業 |
教育 | 102単位以上 | 1890時間以上 |
免許 | 厚生労働大臣の免許 | 都道府県知事の免許 |
業務に関する法律上の位置付け | 「傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする」 | 「医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、前条に規定すること(傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助)を行うことを業とする」 |
准看護師は都道府県知事の免許であるのに対し、看護師は国家資格です。
業務内容としては、法律上は「医師、歯科医師、または看護師の指示のもとに」という制限が准看護師にはある点が大きな違いです。実際の現場では、准看護師も多くの看護業務を担当していますが、施設によっては業務制限があることもあります。
また、下記の表をみても給与面では看護師の方が高い傾向にあります。
正看護師 | 准看護師 | |
---|---|---|
想定年収 | 約519万円 | 約417万円 |
月収 | 約36万円 | 約29万円 |
賞与 | 約83万円 | 約64万円 |
このことから、准看護師から看護師を目指すことは、キャリアアップとしてとても有効でメリットといえるでしょう。
准看護師が通信制で看護師を目指すデメリット
准看護師が通信制で看護師を目指すことには、メリットもあればデメリットもあります。
- 自己管理能力が求められる
- 一定の通学や実習の負担
- サポート体制が限定的
- 看護師国家試験の合格率が低めになる傾向
あげたデメリットは、自身の努力で解消できる部分もあります。デメリットとともに、対策についてもチェックしていきましょう。
自己管理能力が求められる
通信制のデメリットの1つは、自己管理能力が強く求められる点です。
通学制と異なり、定期的な授業や教員の直接指導が少ないため、自分で学習計画を立て、それを継続的に実行する力が必要です。
特に、仕事と学業の両立は時間的にも精神的にも負担が大きく、モチベーションの維持が難しい場合もあります。実際に、通信制課程では、途中で挫折してしまう学生も少なくありません。
このリスクを回避するためには、明確な目標設定や詳細な学習計画の作成が必要です。また、定期的な振り返りと調整といった、自己管理のための工夫が不可欠です。
一定の通学や実習の負担
通信制とはいえ、完全に自宅学習だけで修了できるわけではなく、スクーリング(面接授業)や実習のために、一定期間は学校や実習先に通う必要があります。
特に実習期間は連続した日程で設定されることが多く、仕事との両立が難しいケースもあります。
日本看護協会の「准看護師のための特設サイト」によれば、2年課程の通信制でも、スクーリングや実習で合計45日程度の通学が必要です。
この期間の勤務調整や休暇取得が難しい場合は、キャリアや収入に影響が出る可能性もあるため、事前の職場との調整を行いましょう。
サポート体制が限定的
通信制では、対面での指導や相談の機会が限られているため、学習面で不安を感じる場合があります。
疑問点が生じても、オンライン授業が中心のため即座に教員に質問できる環境ではありません。対面の授業とは異なり、疑問点が生じても理解が不十分なまま次の学習に進んでしまうリスクがあります。
また、学生同士の交流や情報交換の機会も少なく、孤独感を抱きやすいという点でサポートが限定的です。
近年ではオンラインでのサポート体制を強化している学校も増えていますが、通学制に比べると依然としてサポート面では限界があることは否めません。積極的にメールやオンライン質問制度を活用していきましょう。
SNSや掲示板などで情報交換を行える場をつくることでモチベーションの低下も防ぐことが可能です。
看護師国家試験の合格率が低めになる傾向
通信制の学生は、自己学習が中心となるため、国家試験の合格率が通学制に比べて低い傾向があります。
これは、学習時間の確保が難しいことや、体系的な学習の継続が難しいことなどが要因として考えられます。実際の数字をみると、2年課程の通信制の合格率は全国平均で70〜80%程度であるのに対し、全日制の3年課程では90%前後の合格率となっているケースが多いです。
この差を埋めるためには、模擬試験の活用や弱点分野の集中学習が必要です。また、オンライン学習サービスの利用などより効果的な学習戦略も求められます。
看護師国家試験の対策や勉強方法については、こちらの記事で解説しています。一度読んでみることで、看護師国家試験へのイメージが湧きやすくなるでしょう。

准看護師から通信制で看護師を目指してステップアップしよう
准看護師の資格を通信制で取得することは、不可能です。しかし准看護師資格取得後に通信制で看護師資格を取得することは可能です。
看護師資格取得への道は、決して平坦ではありませんが、得られるものは大きいです。働きながら学べる通信制は、経済的・時間的制約がある方にとって、現実的なキャリアアップの手段です。
成功のカギは、自分に合った学校選びと、利用可能な支援制度の活用にあります。学校選びでは、サポート体制の充実度やスクーリングの日程や場所、実習先との連携などをチェックしましょう。
また、奨学金や修学資金制度、職場の支援制度なども積極的に活用することで、経済的負担の軽減が可能です。
看護師資格の取得は、単に給与アップだけでなく、長期的なキャリア形成においても大きな意義があり、より高度なポジションを目指すことができます。
また、少子高齢化が進む日本社会では、今後も看護師の需要は高まり続けると予想されています。看護師としてのスキルと知識は、将来にわたって価値のある資産となるでしょう。
准看護師として培った経験と、通信制で学ぶ理論的知識を融合させることで、より質の高い看護を提供できる専門職へと成長できます。ぜひ、この機会に一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
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