ジャンル別記事
【介護福祉士監修】排泄介助の基本的な方法は?注意点も解説
介護施設や事業所に入ったばかりで「排泄介助の方法を覚えたい」と考えている方や「新人スタッフに排泄介助を教えたい」と思っている方も多いのではないでしょうか。
排泄介助には、利用者の特徴やスタッフによってやり方が若干異なることがありますが、基本的な方法は共通しています。 まずはその流れを把握しておくことで、いざ排泄介助を行う際にも落ち着いて実施することができます。
基本的な排泄方法の再確認のためにも、ぜひ本記事をご覧ください。
【ベッド上編】排泄介助の方法・流れ
ベッド上での排泄介助のやり方を覚えるのが難しいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。排泄介助で大切なのは、基本的な流れと注意点を覚えることです。
こちらでは、ベッド上での排泄介助の方法や流れを、注意点とともに解説していきます。
1:物品用意
排泄介助に入る前に、必要な物品の準備をしましょう。排泄介助に必要な物品は以下の通りです。
- 陰洗ボトル
- 陰洗用タオル
- 新しいパッドやオムツ、紙パンツ
- 排泄用バケツや新聞紙
- 物品を入れるバッグ
排泄に関する物品は、利用者の特徴や施設の方針によっては少し異なる場合がありますが、基本的な内容は同じです。
排泄介助の物品が途中で足りなくなるのを避けるため、パッドや陰洗用タオルなどは多めに持参することをおすすめします。
2:訪室・本人への声かけ・物品のセッティング
揃えた物品を持ち、利用者の部屋へ訪れます。訪れた際には、まず利用者に「下着を変えますね」と声をかけましょう。利用者を不安にさせないような言葉遣いが望ましいです。
本人が排泄介助を受け入れたら、次にスタッフは手洗い・消毒を行います。消毒が完了したら、必要物品をベッドの近くにセットしましょう。汚
物を捨てるためのバケツや新聞紙は、利用者の頭側に置かないよう心掛けてください。新しいパッドや陰洗ボトル、陰洗用タオルは、スタッフの手元に近くに置くと、介助時にスムーズに取り出せます。
3:ゆっくりとかけ布団を取り、脱衣介助
物品の準備が整ったら、本人に声をかけて掛け布団をゆっくりと取り除きます。突然動かすと驚かせる可能性があるため、必ず声をかけながら行動しましょう。次に「ズボンを脱ぎますね」と伝え、脱衣介助を行います。
4:オムツやパンツを外す
ズボンを脱がせた後は、露出が増えるため羞恥心を尊重した対応が大切です。
迅速かつ丁寧な介助を心掛けながら、利用者が着用しているオムツや紙パンツを取り外します。
5:素早く陰洗する
先ほども触れましたが、露出した状態での迅速な対応が求められます。しかし、排泄物や皮膚の状態を確認する必要もあります。異常がないか確認した後、陰洗ボトルと陰洗用タオルで陰部を清潔にします。
6:皮膚の状態観察
排泄介助時は、皮膚のチェックも行う良い機会です。下半身に内出血や傷などの異常がないか確認しましょう。
何らかのトラブルを発見した場合、必要に応じて看護スタッフを呼んだり、情報を共有しましょう。
7:新しいオムツ・パッド・紙パンツなどを装着
陰部の洗浄が完了したら、新しいオムツやパッド、紙パンツを装着します。どの物品を使用するかは時間帯によることもあるため、事前に確認しておくとスムーズです。
8:着衣介助や布団をかけ、終わったことを本人に報告する
オムツや紙パンツの装着後は、次にズボンを履かせます。汚れていない場合は、以前のズボンを再び履かせますが、新しいものが必要な場合は変えてください。ズボンを履かせた後は、本人にその旨を伝え、布団をかけてあげましょう。体位交換枕の使用やその他の注意点も、各利用者の状態を把握して対応することが大切です。
【トイレ編】排泄介助の方法・流れ
「トイレに誘導して介助する際にはどうしたら良いのですか?」や「急に利用者が立ってトイレに向かってしまった際、どうサポートすればよいのですか?」と、トイレでの排泄介助に関して疑問を持つ方もいらっしゃるかと思います。
ここから、トイレでの排泄介助の方法や流れを解説していきます。
1:物品用意(急な場合を除く)
トイレ介助には、誘導する場合と、利用者の急な便意・尿意に対応する場合の2つのパターンが存在します。誘導の場合は事前に準備が可能ですが、急な便意・尿意の場合は準備の時間が取れないこともあります。急な状況にも対応できるよう、トイレ内のパッドやトイレットペーパーは常に補充しておくと良いでしょう。
トイレ介助時に必要となる物品は、パッドだけでなく、場合によっては陰洗ボトル、陰洗用タオル、新しい紙パンツなどが必要になることも考えられます。
2:トイレに一緒に入り、できること以外を介助
トイレ介助の際には、スタッフが一緒に入るようにします。ただし、大切なことは利用者の自立支援を意識することです。
利用者が自分でできる部分は、そのまま行ってもらい、サポートが必要な部分を手助けしましょう。
3:排泄中は外で待つ(例外を除く)
排泄中は、利用者の羞恥心を尊重して、外で待つのが基本となります。しかし、座位が不安定であったり、転倒のリスクがある場合など、利用者を一人にするのが危険な場合は、トイレ内で付き添ったり、ドアを少し開けて監視することも考えられます。
自立度が高く、スタッフが外で待てる状況であれば、利用者に「終わったらコールしてください」とお声をかけると良いでしょう。
4:排泄後は陰洗する
排泄後は、陰部洗浄を行います。トイレに座ったまま陰洗ボトルを使って陰部を洗浄します。陰洗用タオルで拭く際には、最後に臀部を拭くようにしましょう。
5:陰洗や立ったときに皮膚観察
陰洗の際や利用者が立っているときに、皮膚の観察を行うことがベストです。しかし、羞恥心を尊重して迅速に観察を行いましょう。
皮膚トラブルが疑われ、確認が難しい場合はベッド上でのチェックを検討すると良いでしょう。
6:着衣介助(本人ができること以外を手伝う)
陰部洗浄が完了した後は、紙パンツやズボンの着衣のサポートを行います。この際も、利用者の自立を前提とし、できる部分は自ら行ってもらうよう心がけましょう。サポートが必要な部分は手助けします。
7:排泄物の確認をした後、流す
トイレ介助で忘れがちなのが、排泄物の確認です。利用者が既に流してしまった場合は仕方ありませんが、流されていない場合は排泄物を確認しましょう。確認すべきポイントは、色や匂い、量などです。
普段の状態と比較し、異常がないか確認しておくことが大切です。
8:記録
トイレ介助が完了した後は、利用者と一緒に手を洗います。その後、部屋やフロアへの誘導を行い、トイレ介助は終了となります。終了後は、記録を忘れずに行うよう心がけましょう。
すぐに記録できない場合は、メモ帳にトイレの時間や排泄物の状態をメモしておくと良いでしょう。
排泄介助の注意点
排泄介助には、注意すべき点もあります。ここからは、排泄介助の注意点を5つ紹介していきます。
本人への説明を忘れない
排泄介助に限ったことではありませんが、どの介護ケアを行う上でも本人への説明は必要です。必ず声をかけ、本人の承諾を得てから行いましょう。
最低限のマナーを守り、ケアに取り組みましょう。
羞恥心に配慮する
排泄介助で肌を露出することを「恥ずかしい」と感じる利用者は多いです。その気持ちに配慮した対応を心掛けましょう。
ちょっとした気遣いができる介護士こそ、プロフェッショナルといえます。
覚えられなかったらメモを繰り返す
排泄介助の手順は、利用者によって若干異なることがあり、覚えるのが大変なときもあります。しかし、しっかり覚えていないまま介助に入ると、時間がかかる上、利用者に負担をかける可能性も高まります。
まずは、手順の流れをメモに書いたり、イメージトレーニングをしたりして覚えるよう努めましょう。
わからないことがあれば、先輩スタッフに相談するのも良い方法です。
忘れないうちに記録する
ありがちなのが、複数の排泄介助を行う中で記録を怠り、内容を忘れてしまうことです。一人の排泄介助が終わるたびにきちんと記録するのがベストですが、忙しさから記録を後回しにしてしまうことも考えられます。そのような場合は、皮膚トラブルの有無、介助に入った時間、排泄量などの大切な情報を簡単にメモしておくことをおすすめします。
記録が後回しになっても、内容を忘れる心配が減ります。自分の作業スタイルに合わせた方法を採用しましょう。
摩擦による皮膚トラブルに注意する
排泄介助時に注意すべきは、摩擦による肌トラブルです。力任せにオムツを取るや、ズボンの脱衣を行うと、摩擦により皮膚トラブルの原因となってしまいます。雑な介助で痛みを感じるのは利用者です。
焦らず、丁寧なケアを実践しましょう。
排泄介助の基本を覚えて、安心感ある介護ケアを提供しよう!
排泄介助の基本を理解しておけば、さまざまなケースで応用が効きます。基本や注意点をしっかり覚え、利用者の特徴に合わせた方法を実践し、信頼される介護士を目指しましょう!