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【10対1の看護は忙しい?】7対1との違いや人員配置基準・看護体制の特徴を解説!
医療業界の専門用語として、10対1や7対1という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。また、この言葉の意味をしっかり理解できているでしょうか。
この数字は看護師と患者の割合を示すもので、10対1の場合、患者10名に対し看護師1名が必要という意味です。
10対1看護や人員配置基準は、看護師の働き方に大きな影響を与えます。
看護体制とは
看護体制とは、病院や施設において「何人の患者に対して、何人の看護師が配置されているか」を示す基準です。これは、医療の質や看護師の労働環境を左右する重要な要素です。
具体的には「7対1」「10対1」「13対1」などがあり、これは「患者7人に対して看護師〇人を配置」といった意味になります。看護体制は厚生労働省が医療法で定めており、病院が受け取る診療報酬や入院基本料にも影響を及ぼします。
つまり、看護体制は患者ケアの質だけでなく、看護師の働き方や病院の経営にも密接に関わる制度です。
10対1の看護体制

10対1の看護体制とは、「入院患者10人に対して、常勤換算で看護師1人を配置する」という基準を指します。これは医療法に基づき、入院基本料を算定するうえでの最低条件の1つです。
7対1よりは看護師1人あたりの受け持ち人数が多く、比較的中小規模の病院や療養型施設などで採用されることが多い傾向があります。働き方としてはやや忙しい側面もありますが、必ずしも劣悪な環境というわけではありません。
病院の規模や機能によって適正な看護体制が異なるため、10対1は現場の実情に即した現実的な選択肢となっています。
10対1が採用される病院
10対1の看護体制は、主に中小病院や地域医療に貢献する一般病棟、療養病棟などで広く採用されています。特に高度な急性期医療よりも、安定期〜回復期の患者を多く受け入れている施設で多く見られます。
この体制は、7対1のような高密度の人員配置が難しい病院でも、安全性とコストのバランスを保ちながら看護を提供できる点が特徴です。また、地方や人材確保が困難なエリアでは、10対1体制が現実的な運用とされています。
つまり、10対1体制は「働きやすさ」と「現場の人員状況」を両立させる妥協点として、多くの施設に支持されています。
10対1体制のメリット・デメリット
10対1体制には、病院と看護師双方にとって一定のメリットとデメリットがあります。結論から言えば、「負担は増えるが、柔軟な働き方も可能な体制」といえます。
■メリット
- 比較的業務内容が急性期より軽め
- 患者の状態が安定している
- 未経験者やブランク明けでも対応しやすい
- 人件費を抑えやすい
■デメリット
- 1人の看護師が受け持つ患者数が多い
- 一度に対応すべきタスク量が増える
- 記録や対応に追われる場面も少なくない
したがって、10対1体制は「ある程度の経験がある方」「落ち着いた看護がしたい方」にとっては、選択肢になりうる体制です。
看護体制の10対1と7対1の違い
10対1と7対1の看護体制は、看護師の配置人数や勤務負担、診療報酬などに大きな違いがあります。この違いは、病院選びや働き方に直結するため、看護職にとって非常に重要な指標です。
配置される看護師の人数と患者数の違い
10対1と7対1体制では、看護師1人あたりが受け持つ患者数に明確な差があります。結論として、7対1はより多くの看護師を配置できるため、業務分担の余裕が生まれやすい体制です。
具体的には、7対1体制では1人の看護師が7人の患者を、10対1体制では10人の患者を受け持つ配置となります(常勤換算での配置基準)。そのため、7対1ではより手厚いケアや観察が可能ですが、10対1では1人の看護師の負担が相対的に増える傾向があります。
患者数の違いは業務量や心理的負担に直結するため、働き方の希望に応じた選択が重要です。
入院基本料と診療報酬の違い
7対1と10対1の体制では、病院が受け取る診療報酬、特に入院基本料に大きな差があります。7対1体制は手厚い看護を提供できる分、入院基本料が高く設定されており、病院にとってもメリットがある配置です。
例えば、7対1を導入するには高い看護師配置率を維持する必要があり、人件費も増加します。
その分、診療報酬で回収できる構造になっており、高度急性期病院などで導入されています。一方、10対1は比較的緩やかな基準のため、報酬単価は下がりますが、人員確保の面では現実的な選択肢です。
この違いは、病院の経営方針や機能分化の戦略にも深く関係しています。
【入院基本料】
- 7対1:1,591点
- 10対1:1,332点
勤務負担や業務量の違い
勤務負担や業務量においては、7対1体制の方が余裕を持ったケアが可能とされる一方で、10対1は1人あたりの業務量が多くなりやすい体制です。理由は単純で、看護師1人が担当する患者数が増える分、観察・記録・ケア・報告などの業務が比例して増えるからです。
7対1体制では、より密な関わりが可能で、早期異常発見や手厚いケアが実現しやすくなります。一方10対1では、優先順位をつけながらの対応が求められ、マルチタスクへの適応力が重要です。
そのため、「一人ひとりとじっくり関わりたい」「急性期で学びたい」人は7対1が向いており、「効率的に動ける」「地域医療に関心がある」人には10対1も選択肢になります。
夜勤体制やシフトの違い
7対1と10対1体制では、夜勤体制にも違いがあります。結論としては、10対1体制の方が夜勤人数が少なくなる傾向があり、1人あたりの負担は大きくなりやすいという特徴があります。
例えば、同じ病床数の病棟でも、7対1であれば2~3人で夜勤を回すところ、10対1では1~2人で対応するケースもあり、緊急対応やトラブル時の心理的負担が増すことがあります。
また、夜勤回数やシフトの組まれ方にも差が出やすく、10対1の方が勤務間隔が短くなる傾向も報告されています。夜勤が多い職場を避けたい人は、配置基準だけでなく夜勤体制の確認も重要です。
知っておこう!看護師の人員配置基準

分かっているようでなかなか理解しにくい、人員配置基準や常勤換算について、その用語の意味を改めて確認しましょう。
医療の質を保つための人員配置基準
医療や介護、福祉の業界で働く方であれば一度は耳にしたことがある「人員配置基準」という言葉。人員配置基準とは、医療や介護の質を保つために、病院や介護施設などで施設ごとに決められた配置人数の基準です。
人員配置基準は医療法によって定められ、入院している患者数や入所している定員数に応じて、医師や看護師、介護士などの人数が決められています。たとえば、病院の一般病床の場合、人員配置基準は医師16:1、薬剤師70:1、看護職員3:1と定められています。
さらに、厚生労働省は「人員配置標準を満たさない場合であっても、患者の傷病の程度、医療従事者間の連携等により、望ましい一定の医療水準を確保することが十分可能な場合もあるため、最低基準ではなく、『標準』とされている」としています。
さまざまな働き方に対応するための常勤換算
実際に働いている人は正社員やパートなど働き方はさまざまであるため、常勤の勤務時間で換算されています。
基本的には、その職場で働くすべての看護師の労働時間を足し、週5日×8時間というフルタイムの労働時間で割ることで「通常何人で働いているか」を示します。
看護師の人員配置基準と入院基本料
この入院基本料は看護師の配置人数によって算定できる点数が変化します。手厚い看護が可能な配置であれば報酬が加算され、標準以下であれば減算される評価体系となっています。
たとえば、7対1のほうが10対1よりも看護師一人あたりが受け持つ患者数が少ないため、診療報酬が高くなり、患者が支払う入院基本料も高くなります。つまり、患者は手厚い看護が受けられ、一方、病院側も収入が上がるという側面があります。
看護師の配置基準をめぐる動き

看護師の配置基準をめぐる動きについて見ていきましょう。
7対1の病院はメリットが多い?
患者にとって手厚い看護を受けられるという7対1の基準をとっている病院は、勤務する看護師からみてもさまざまなメリットがあります。
まず、7対1の基準をとっている急性期病棟では重症患者を多く受け入れている傾向があります。重症患者への看護は看護師のスキルアップにつながります。
また、7対1は診療報酬が高く病院の収入も多いため、設備を整えることができます。そのため、7対1の配置基準を満たしている病院には最新の医療設備が導入されていることが多く、最新医療を学びながら働くことができるでしょう。
7対1の体制をとっている病院は、多くの看護師を必要としています。そのため、病院は良い条件を提示して多くの看護師を確保する必要があり、ほかの病院よりも比較的給与がいいことが多いようです。
病院経営への影響
患者7人に対して看護師を1人配置しなければならないという配置基準は、2006年の診療報酬改定において定められました。7対1の配置基準は手厚い看護ができるというメリットが多い一方で、病院の経営にも大きな影響を与えました。
看護師の配置人数が多ければ多いほど手厚い看護ができるだけでなく、看護師の人件費も多くかかります。そのため、7対1の配置基準を満たしている病院には多くの診療報酬が与えられることになりました。しかし、配置基準を満たしていない病院では診療報酬が少なくなり、病院が得られる収入が大幅に減ってしまったのです。
収入傾向
大都市にある規模の大きい病院は収入がアップして、地方にある中小規模の病院は収入がダウン。配置基準を満たしていない病院は、患者の受け入れ人数に制限をかけざるを得ない状況となり、病院の倒産につながるケースもあるのです。
10対1移行による看護師の売り手市場に変化
2018年4月からの診療報酬改定では、入院医療の枠組みが大きく変更されました。その結果、7対1の病棟が減るのではないかといわれています。7対1から10対1に移行する病院が増えれば、必然的に必要な看護師の人数も減ります。
ただし、リストラなどで簡単に人員を減らせないという現状があるため、7対1から10対1に移行する病院では、看護師の採用を控える可能性が高くなります。その一方で、7対1の手厚い看護を続けることのできる病院はいわゆるブランド病院が多く、急性期で経験を積みたいと希望する看護師が集中することも考えられます。
10対1の看護体制に関するよくある質問
10対1の看護体制については、「忙しさ」や「在院日数」など、働くうえで気になるポイントが多くあります。ここでは、実際に多くの看護師が疑問に感じている代表的な質問を取り上げ、簡潔にわかりやすく回答します。
10対1の看護は忙しい?
7対1と比較すると、10対1体制は忙しいと感じることが多いです。理由は、看護師1人あたりの担当患者数が多くなり、観察・ケア・記録・申し送りの量が増えるためです。
10対1の平均在院日数は?
10対1の看護体制が採用されている病棟では、平均在院日数は21日以内が一般的とされています。これは、急性期病棟の7対1体制(18日以内)よりも長く、患者が比較的安定した状態で入院していることが多いためです。
人員配置基準は職場を選ぶときの参考にしよう
人員配置基準や常勤換算、10対1看護などについて理解しておくと、病院内の体制が見えてきます。求人情報には「一般病棟(10対1)」「一般病棟(7対1)」などの形で書かれている場合もあるので、チェックしてみましょう。
また、10対1や7対1といった数値は忙しさの目安の1つにはなりますが、単純に、受け持つ入院患者の人数が多い、少ないだけで判断することはできません。さまざまな情報を得たうえで、自分のキャリアプランに応じて働く場所を選んでみてくださいね。
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