「施設の看護師は使えない？」介護職との関係性や役割、働きやすい環境づくりについて

「介護施設の看護師は使えない」というような言葉は、看護師にとって非常にショックですよね。実際、施設内の人間関係や業務に対する悩みを抱えている看護師は多いようです。

働きやすい環境を構築するためには、どのような方法が有効なのでしょうか？

今回は、介護施設で働く看護師と介護職の関係性、それぞれの役割、そして働きやすい環境をつくる方法について解説します。

介護施設の看護師が「使えない」と言われる理由は？

介護施設で働く看護師の中には、介護職との関係性に悩む方も少なくないようです。

では、介護職と看護師が対立する理由とは何なのでしょうか？

ここでは、介護施設で働く看護師が介護職から「使えない」と言われる理由をご紹介します。

看護師との役割の違いを理解していないから

まずは、介護職が看護師の役割の違いを十分に理解していないことが原因として考えられます。

介護職は生活面からサポートを行いますが、看護師は医療面から利用者のサポートを行います。同じ施設で働いているとはいえ、役割が異なるため優先すべき業務内容やケアが異なり、対立が起きやすい状況が生まれます。

看護師が自身の仕事に専念していると、介護職から「仕事をしていない」「何で今、あの業務をしているの」と誤解されることがあるかもしれません。

世代・経験の差によるギャップがあるから

同じ施設で勤務する介護職と看護師の間で、世代や経験の差が存在することも対立の一因です。

介護施設の看護師は、病院等で経験を積んだ後に介護業界へ転職する人が多く、そのため看護師としての経験がある人が多いです。また、年齢も40代〜60代と比較的高い傾向があります。

一方、介護職は新卒で介護施設に就職する人が多く、看護師と世代や経験値に差がある職場も多いようです。これは介護職と看護師だけの問題ではなく、あらゆる業界でも共通して言えることです。

世代や経験値の差があると、考え方や働き方など多方面でギャップが生まれます。年齢が10歳以上違うと、育った環境や受けた教育も異なるため、価値観が異なるのは仕方がないことかもしれません。

業務を円滑に進めるためには、それぞれの価値観を尊重し合うことが重要です。

人手不足で余裕がないから

さらに、人手不足の職場では、一人ひとりの業務量が増えてしまいます。それゆえに、職員全員が余裕を失い、お互いに対立しやすい環境が形成されやすいのです。

余裕がなくなると、相手の役割や仕事について理解しようとする機会も減少します。介護職は排泄や入浴介助といった体力を必要とする業務が多い一方、看護師は医療面のケアを行うために自身の仕事を優先しなければならない場面が多々あります。

人手が足りないと、「手伝って欲しいのに、あの人は使えない」と自然と感じるようになってしまいます。

介護施設の看護師と介護職の役割とは？

介護施設で働く看護師と介護職は、それぞれ異なる視点で利用者に対するケアを行っています。このため、彼らの仕事内容や利用者に対する考え方に違いが生まれやすく、対立しやすい環境が生み出されてしまいます。

同じチームとして連携するためには、お互いの役割を理解することが重要です。

本文では、介護施設における看護師と介護職のそれぞれの役割についてご紹介します。

看護師の役割

介護施設で働く看護師の役割は、医療知識・技術を活かしながら利用者の健康の維持・改善を目指すことです。

具体的な業務内容としては、バイタルチェックや服薬管理、点滴などがあります。また、利用者が施設内で体調不良やケガをした際には、医師の指示を仰ぎながら対処します。

病院勤務と比べると、医療行為は少ないのが特徴です。さらに、介護施設では、看護師の人員が介護職に比べて少ないという特性もあります。

介護職の役割

介護職の役割は、介護ケアを通じて利用者の生活の質を高めることです。

主に、食事・排泄・入浴介助等の身体的なサポートや、調理・清掃・洗濯等の生活援助を行います。また、利用者やその家族とのコミュニケーションも欠かせません。

ただ介護に関する業務を行うだけでなく、利用者と寄り添う気持ちを持って接することが重要です。

看護師と介護職が働きやすい環境づくりに必要なこととは？

看護師と介護職が同じ職場内で、お互いに働きやすい環境にするためには何が必要なのでしょうか？

こちらでは、看護師と介護職が働きやすい環境づくりにするために必要なことについてご紹介します。

お互いの役割や業務内容について理解する

看護師と介護職は、職種が異なるだけでなく、利用者に対する視点も違います。双方がそれぞれの役割や業務内容を理解することが重要であり、それぞれにしかできない業務も存在します。

本来自分の仕事ではない領域をサポートすることで、相手の立場を理解することが可能となります。

何のためにどのような仕事をしているのかを理解するだけでも、職場内の業務が円滑に進行します。

挨拶や感謝など基本的なコミュニケーションを大事にする

一人ひとりが、日頃から挨拶や感謝の言葉などの基本的なコミュニケーションを大切にしましょう。些細なことかもしれませんが、職場内の人間関係を円滑に進めるためには重要な要素です。

職場の雰囲気が良くなれば、いざという時に適切なサポートをし合える環境が整います。

職員間の良好な関係性は、利用者やその家族にも伝わり、「あの施設は良い施設だ」と評判が広がるでしょう。

理想のケアについて話し合う

看護師と介護職、それぞれが理想とするケアについて話し合うことも大切です。

利用者へのケアの理想が異なると、対立しやすくなります。共通の目標に向かって業務を進めていくことが理想的です。

視点が異なる看護師と介護職だからこそ、話し合を通じてケアの内容を調整することが重要となります。

利用者さんを第一に考えることを忘れない

異なる立場であっても、利用者を第一に考えることが大事です。看護師と介護職、どちらも利用者のことを思ってケアにあたっています。

意見が衝突することがあっても、利用者のことを第一に考えて行動しましょう。

「あの看護師は気が合わない」「あの介護士は嫌い」というような個人的な感情が中心になると、大事なことを見落としてしまいます。

介護施設に勤めるプロとして、それぞれの業務を全うすることが大切です。

お互いの役割を理解し合い、最高のケアを提供しよう

介護施設で働く看護師と介護職は、相互の役割や業務内容を理解し合うことが大切です。それぞれ異なる職種であり、利用者に対する視点も異なりますが、利用者のために業務を行っているという点は共通しています。

看護師と介護職がお互いを理解していれば、「あの人は使えない」というような言葉は出てこないはずです。看護師にしかできない業務が多く存在し、介護施設における看護師の役割は重要です。

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