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【介護の見守り】不快感を与えずに安全を守る方法とは?注意点や便利なツールを紹介!
介護施設や在宅介護において、自分の見守り介助が適切なのかどうかと悩む方も少なくないでしょう。
介護をするうえで、大事な介助の1つで、注意点を抑えておかなければ対象者が不快に感じてしまうことがあります。
どのような点に注意して、見守りを行うべきなのでしょうか?
介護における見守りの目的
介護をするにあたって、なぜ見守り介助が必要なのかについてご紹介します。
対象者を危険から守る
施設で働いている場合でも自分の家族の介護をしている場合でも、要介護者の安全を守ることはとても大事になります。
高齢になると思うように体を動かすことが難しくなり、室内であってもケガをしてしまう可能性はゼロではありません。また、見守りが行われていないと、ケガや体調の変化の原因が分からないということも起きてしまうでしょう。
高齢者のケガの原因として、転倒によるものが非常に割合が高いです。万が一、骨折をしてしまうと、介護度数が高くなってしまったり、命の危険性もあります。
事前に、高齢者がケガをしてしまう原因となるものを避けることで、より安全に過ごすことができます。
求めていることを察知する
要介護者のなかには、自分の体調の変化を他者に上手く伝えられない人もいます。見守りを行うことで、ちょっとした変化に気付くことができるので、対象者が快適に過ごすことができるでしょう。
体のどこかに痛みや違和感を感じている場合もあれば、トイレに行きたいと思っていることもあります。特に、排泄や入浴に関しては、要求をしづらいと感じている人が多いです。
介護者は対象者が感じている違和感を察知することで、より適切な介護を提供することができます。
対象者の能力を引き出す
見守りを行うことで、対象者の能力を引き出す意味合いもあります。介護は全ての行動に対して手を差し伸べるのではなく、自立を促し見守ることも大切なことです。あえて見守ることで、自分の力で行動できる範囲を増やすことができます!
対象者は、安全に見守ってくれる人がいる環境のなかで、日常生活で行う動作の練習ができるということになります。
介護が必要になった高齢者は、「もう元気に動けない」と諦めた気持ちが生じることも多いです。しかし、支援によって心身の機能維持や向上の効果が生じます。
見守りを行うことで、自分でできることがあると発見があり、対象者の心を晴れやかにする効果も期待できます。
介護における見守りを上手く行うコツ
介護における見守りを上手く行うためには、いくつかコツがあります。
どのようにして見守りを行えばいいのかわからないと、悩んでいる方は次の4点を参考にしてみましょう。
対象者の見守り目的を把握する
対象者によって必要な介助や状況が異なります。そのため、見守りを行う目的を把握しておくことが大事です。
例えば、歩行時にふらつきがある場合は、移動時に見守りを行います。認知症を患っており、水分補給のタイミングが少なくなりがちな方には、脱水にならないように見守りや声がけで支援します。
誰のどの動作に対して、どのような目的で見守りが必要なのかを把握することを心がけましょう。
対象者の状態を理解する
同じ介護施設に多くの介護を必要とする方が過ごしています。一人ひとり心身の機能状態や動作能力が異なります。
自立して椅子から立ち上がり、座ることができるのか、歩行時のふらつきの有無、スムーズに食べ物を飲み込めるのかなど一人ひとりの状態を理解することも重要です。
対象者の状態を理解することで、適切な見守りが行えます。また、一人ひとりの状態を職員間で共有し、情報交換しておくことも大事なことです。他のスタッフと情報を共有し合うことで、より見守りが効果的になります。
1人で全ての対象者の状態を把握することは難しいので、職員同士で情報交換をして適切な見守りを行いましょう。
動きを予測しながら見守りをする
対象者の動きを予測しながら見守りを行うことで、思わぬ事故が起きにくくなります。日頃の習慣や動きからある程度の予測を立てておきます。
例えば、フラつきやすい方向から見守りをすると、その方向から支えることができるので、転倒を防止できます。また、服薬や食事、水分補給のタイミングで声をかけるなども対象者の安全を守るうえで大切なことです。
動きを予測することで、事故を先回りして防止することができ、適切な介助を行えるようになります。
日頃から対象者をよく観察し、習慣や動作の特徴を掴んでおきましょう!
事故や急変時の適切な対処法を学んでおく
慎重に見守りをしていても、介護現場では思わぬ事故が起きたり、高齢者の体調が急変することもあります。万が一、事故や急変時に遭遇した場合でも適切に対応できるように、日頃から対処法を学んでおくことが大事です。
事業所によって、医療従事者が常駐している所とそうでない所があります。
介護職員のみで対応しなければならないケースもありますので、緊急時対応のスキルを身につけておきましょう。
施設の利用者が急変した場合の適切な対処法や、緊急時対応への不安を取り除く方法については、こちらをご覧ください。
介護の見守りを行う際の注意点
介護における見守りを行うにあたって、注意すべきことについてご紹介します。
行動を先読みして障害となるものを避ける
ケガをしないように、障害となるものを避けなければなりません。
車いすや歩行器を使用しているときに進行方向に障害物となるものがあると、躓いてしまったり、強打してしまう恐れがあります。また、車輪に何か挟まってると転倒の恐れもあり、危険です。
介護者は、このような障害物を事前に撤去しておく必要があります。
できるだけ床に物を置かないことや、角があるものにはカバーをしておくなど日頃から対策を取っておくと良いでしょう!
監視にならないように必要以上に見つめない・声を掛けない
要介護者がケガをしないように守らなければという思いから、つい長時間見つめてしまっていたり、声を掛ける回数が増えてしまうかもしれません。しかし、それでは対象者は監視されていると感じてしまいます。
見守りを行うにあたり、要介護者の尊厳や自立を守ることも大事です。そのため、自分の見守り介助が監視になっていないか、ということを振り返る必要があります。見守りが監視になってしまうと、不快に感じてしまい、関係性にも大きく影響してしまいます。
対象者の行動を制限するのではなく、寄り添う気持ちで見守りを行いましょう!
対象者との距離に気をつける
常に近距離にいたり、移動のときにどこにでもついて行ってしまうと、不快感が増してしまいます。適度な距離感を保つことが大事なポイントです!
介護は全てを手助けするのではなく、できないことをサポートするという考え方が、対象者の尊厳や自立を守るということに繋がります。
見守り介助においても、対象者の尊厳やプライバシーを守り、自立をサポートすることが大切な考え方になります。距離感が大事な理由は、近すぎることで見落としてしまうこともあるからです。
常に近距離で見守るのではなく、対象者が過ごしている空間を全体的に見るようにしましょう。
認知症の対象者を上手く見守るコツ
介護施設には、認知症の高齢者も多く暮らしています。なかには、コミュニケーションを取ることが難しい方もいますので、認知症の対象者を見守る際にはコツが必要です。
こちらでは、認知症の対象者を上手く見守るコツを3点ご紹介します。
付き添いながら適宜声をかける
認知症の方は、日頃行っている作業や直前に行っていた作業を忘れてしまうことが多いです。
適度な距離で付き添い、適宜声をかけながら見守るようにしましょう!
声をかけることで、何をすべきなのかわからないと不安になる気持ちを和らげることができます。対象者が穏やかな気持ちで過ごせるようになります。
認知症の方の見守りにも、上記の注意点を把握して行いましょう。
本人の意思や意向を尊重する
認知症の方で、見守りをされることに不快感を感じる方もいます。
監視されていると感じてしまうと、介護拒否をされる恐れもあるでしょう。そのため、本人の意思や意向を尊重することが大切です。見守りをすることで、事故を防ぐ効果があります!
本人の気持ちに寄り添って、見守りを行うことを心がけましょう。
必要に応じた環境整備を行う
認知症の症状によって、判断力や理解力が低下します。1人で行えない作業が増えることで、危険行動に繋がるケースもあります。見守りだけでは充分にケアできないことも起こり得ますので、環境整備を行いましょう。
必要に応じた環境整備を行うことで、認知症の方の危険行動を制御し、思わぬ事故を防止できます。
介護の見守りはツールの活用も大事
人材不足の問題や介護者の負担を考えると、常に見守りを行うことは難しい部分もあります。そこで、おすすめしたいことは見守りツールの活用です。
こちらでは、介護の見守りに活用できるツールをご紹介します。
マットセンサーやベッド柵センサー:対象者の体重が掛かると動く
マットセンサー
床に敷くツール
ベッドから降りる場所の床に敷くことで、対象者がベッドから移動することを検知することができます。
ベッド柵センサー
ベッドの柵に巻き付けるタイプの見守りツール
センサー部分に触れることで介護者にコールが届くので、同じように対象者が移動するということを察知します。
このようなツールを使用すると、対象者がベッドから転倒してしまったり、徘徊した場合にもすぐに駆け付けることができます。
マグネットセンサー:ドアや扉を開けたときに動く
このツールは、磁気が使われており、ドアや扉を開閉するとコールが鳴ります。防犯に使われることも多いですが、介護においても便利なツールとなっています。
部屋の出入りで使うドアや部屋内にある窓に設置することで、報知されるため介護者が同じ部屋にいなくても把握することができます。
超音波センサー:対象者の動きを検知する
超音波の照射範囲に人が入ると、コールが鳴る仕組みになっています。ベッド周りやドア付近に設置しておくと、上体を起こしたり部屋から出ることを把握することができます。
また、就寝している部屋だけではなく、施設や住宅内の廊下や日中過ごす場所にも設置が可能です。どこに移動しているのかが分かるので、夜間も安心できます。
赤外線センサー:対象者の体温を検知する
人の体温に反応して動く仕組みとなっており、対象者が移動したことをすぐ把握することができます。超音波センサーと一緒で、各所に設置することで、対象者の安全が守られます。
また、超音波センサーと赤外線センサーの両方の機能を合わせているツールも販売されています。
介護施設に見守りツールを導入するメリット
マットやベッド柵、赤外線センサーなどの見守りツールを導入することで、様々なメリットが生まれます。
こちらでは、介護施設に見守りツールを導入するメリットを3点ご紹介します。
事故防止・急変時対応に備えられる
見守りツールの導入によって、思わぬ事故を防止し、対象者の急変時対応がスムーズに行えるようになります。24時間365日ずっと見守りをすることは困難です。
ツールを使用することで、転倒によるケガや急変時のタイムラグを防止する効果があります!
高齢者は心身機能や免疫力が低下します。転倒によって骨折をすると、長期間の安静が必要になり、場合によっては寝たきりになるケースもあります。見守りツールは、人の動きに反応するので最悪のケースを避けることができます。
介護職員の負担が軽減される
介護業界は、人手不足の職場も多く、少ない人員で見守りを行わなければならないというケースも少なくありません。そこで、見守りツールを導入することで、介護職員の負担を軽減できるというメリットもあります。
特に、職員が手薄になる夜間時は、ツールを導入することで見守り業務が効率化されます。
センサーによって職員に知らされるので、常に見守っていなければならないという精神的なプレッシャーも軽減されるでしょう。
定着率向上・人材確保に繋がる
見守りツールの導入によって、職員の負担が軽減されるということは、職場環境の改善という効果もあります。 結果的に、職員の定着率が向上し、人材確保に繋がるでしょう!
より働きやすい職場になるので、実力のある職員を確保しやすくなります。人手不足が懸念される昨今において、大きなメリットであると言えるでしょう。
ツールも活かして適切な距離で見守りを行おう
介護における見守り介助は、対象者の安全を守り、要求を察知する目的があります。 また、全ての作業に対してサポートするのではなく、あえて見守りを行うことで本人の能力を引き出す効果もあります。
なかには、体を思うように動かせなかったり、自分の体調の変化を上手く伝えられない高齢者もいます。介護者は行動を先読みして、危険なものを避ける必要があります。
適切な距離で見守りを行うためには、ツールの活用がおすすめです。見守りのツールには、マットタイプや超音波・赤外線によって動きを検知するものまで様々あります。
ツールを導入することで、思わぬ事故を防止し、急変時対応もスムーズになります。 職員の負担が軽減され、定着率向上や人材確保にも繋がるでしょう。
用途に合わせて必要なツールを選択してみてください!