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ICIDHとICFの違い:障害分類の比較と意義を明らかにする

ICFとは、聞いたことがあるものの、具体的に何をすることなのかわからない方も多いと思います。介護現場でも活用できるICFをより良い介護ケアに繋げるためにしっかりと理解しておきたいものです。

今回では、ICFの概要やICIDHと違う点、介護現場での活用方法などを解説していきます。

ICFを理解し、介護ケアの中に取り入れられるようにしましょう。

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目次

ICFの概要

まずはICFの概要を把握し、理解を深めていきましょう。

ICFは介護現場で活用できるものですが、より効果を発揮させるためには、一つひとつの構成や項目を正しく理解しておくことが大切です。

ここからは、ICFの特徴やその目的について詳しく解説していきます。

ICFとは

ICFとは利用者の情報を多方面から見ることで、その人の本当のニーズを導き出すことができるものです。

ICFは、世界保健機構で作られたものであり、「生活機能」と「障害」に関する状況を把握することを目的としています。また、ICFはその前に作られた「ICIDH」の改訂版でもあります。

ICFの目的

ICFの目的を簡単に表現すれば、「その人の人物像を総合的に把握すること」です。

社会的な背景やその人の性格・疾患、取り巻く環境など、その人に関するさまざまな情報を項目に当てはめ、整理して考えるというものです。それにより、その人が本当に困っていることや求めていることを理解できるようにします。

多方面から総合的な情報を眺めることで、その人のニーズを導きだすことができます。

意思疎通が困難な方対象だとしても、他者がICFを活用することで、その人の心情や背景を想像しやすくなります。

構成要素

ICFは、大きくわけて3つの構成要素から成ります。

ICFの構成要素は以下の3つです。

  • 生活機能
  • 背景因子
  • 健康状態

ここからは3つの構成要素についてさらに詳しく解説していきます。

生活機能

生活機能は、「心身機能と身体構造」「活動」「参加」の3つに分類されます。

以下では、その3つの特徴について詳しく解説していきます。

【心身機能と身体構造】

心身機能と身体構造は、手足の働きや精神状態、またはそれらの一部のことを指します。視覚や聴覚機能に異常があったり、手足に麻痺があったりする場合には、この項目にそれらを記入するのです。

【活動】

日常生活上で必要となる行為を指します。

ここでの活動は主に以下のことです。

  • 家事
  • 趣味
  • 仕事

上記のことについて「できること」と「していること」を分けて捉えます。

【参加】

ここでの参加とは、その人が他者との関わりや役割のことをいいます。

家庭や職場・地域住民との関わりの中で、その人がどのような役割を果たしているのか、または趣味活動や宗教活動はどのようなものかを知り、その人の社会的な関わりについてを把握します。

背景因子

背景因子は、環境因子と個人因子の2つの構成要素から成り立ちます。

以下ではそれぞれの因子について更に詳しく解説していきます。

【環境因子】

環境因子は、物的環境と人的環境など日常生活上で個人を取り巻く環境のことを指します。

また、環境因子は、

  • 個人的な環境因子(職場や家庭など直接関わる環境)
  • 社会的な環境因子(就労環境やルールなど個人に影響を与えること)

と2種類にも分類されます。

【個人因子】

個人的因子とは、性格・人種・ライフスタイルなど、生まれながらの特徴や価値観などのことを指します。

健康状態

ICFにおける健康状態は、病気や怪我などのことを指します。肥満や妊娠、精神的なストレスなども健康状態に含まれます。

介護現場でICFを活用する場合であれば、利用者の健康状態はどうなのかをこの項目に記載するのです。記載することで、客観的にその人の健康状態を改めて把握することができます。

ICFとICIDHの違う点

ICFは、簡単に言えばICIDHの進化系です。

ICFができるまでは、ICIDHの考え方をもとにしたアセスメントが主流となっていました。ICFとICIDHには、大きく違う点が3つあります。

ここからは、3つの違いについて更に詳しく解説していきます。

用語

ICFとICIDHの違いは、使われる用語にも表れています。

ICIDHはマイナス面を表す、

  • 機能障害
  • 能力障害
  • 社会的不利

のような言葉が多いのに対し、ICFは中立的な考え方の下、

  • 心身機能
  • 活動
  • 参加

などの言葉を使います。

これは、ICFとICIDHの視点の違いに関係しています。

ICIDHはマイナス面に着目した考え、ICFはプラス面とマイナス面の両方からの視点でその人のニーズを総合的に判断する考え方です。

構成要素

ICFとICIDHは、構成要素にも違いがあります。

ICFの構成要素は、上記で説明した通り個人だけでなく環境や社会性といった背景因子も考慮したものとなっています。一方で、ICIDHの構成要素は疾患や能力低下など、個人の中で完結させているのが特徴です。

多方面から総合判断したい場合は、ICFの活用が適切であるといえます。

介護現場での具体的な活用方法【3選】

ICFのことがわかったら、介護現場で活かしてみることが大切です。利用者のニーズを解決するために、ICFの活用は有効である可能性が高いです。

介護現場での具体的な活用方法は以下の3つです。

  • 利用者の全体像を把握し分析
  • 分析から課題や問題点を考える
  • 多職種で情報共有する

ここからは、活用方法について更に詳しく解説していきますので、介護現場で是非実践してみてください。

利用者の全体像を把握し分析

まずは利用者の情報を収集し、ICFの記載項目を記入しましょう。

項目ごとに必要な情報を確認しながら、記載していくことが大切です。記載できたら、利用者の全体像を把握することができます。

分析から課題や問題点を考える

利用者の情報を整理した後は、そこから課題や問題点を想像してみましょう。

多くの情報から、さまざまなニーズが挙がることがあります。困ったときには、他スタッフと相談してみるのも一つの手です。

多職種で情報共有する

ICFで利用者のニーズが浮かびあがったら、情報を多職種と共有し、その解決に向けた案を話し合いましょう。

さまざまな専門家からの意見を出し合うことで、ニーズの解決に繋がります。定期的に会議などを開くと良いでしょう。

ICFを介護現場で活用し、利用者により良い介護ケアを提供しよう!

ICFを活用することで、利用者の全体像を把握することができます。その人がどのような状況に置かれているのか理解することで、問題や課題が見え、そこから解決策を導き出すことも可能です。

ICFを介護現場の中で上手に活用し、それをきっかけに利用者の生活の質が上がるような意識をしてみましょう。

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