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看護の日に考える、医療現場の英雄たちの役割とは?
毎年5月12日は「看護の日」、またこの看護の日を含む週の日曜日から土曜日までを「看護週間」と言います。
2022年の看護週間は、5月8日から14日です。今年度のテーマは「いのち、暮らしを、まもる人」となっており、各都道府県で看護に関するイベントが数多く開催されます。
具体的には、どのようなイベントが開催されるのでしょうか?そもそも看護の日とは、なぜ制定されたのか由来ってなんだろう?
看護の日って何の日?
まずは、5月12日に制定されている「看護の日」の由来や趣旨についてご紹介します。さらに、看護の日にはロゴマークやキャラクターに関してもお伝えします。
看護の日の由来
看護の日である5月12日は、近代看護を築き上げた「フローレンス・ナイチンゲール」の誕生日です。日本だけで制定されているわけではなく、「国際看護師の日」という国際デーでもあります。
国際看護師協会が「看護師の社会への貢献を称える」ことを目的として、国際看護師の日が制定されました。日本で看護の日が制定された年は、1990年です。旧厚生省によって正式に看護の日が制定されました。
「国民の間に看護の心や扶け合いの心を育むきっかけを」という願いのもと市民や有識者による運動が起こり制定へと繋がりました。
看護の日のロゴマーク
看護の日が広く認識されるようにと、ロゴマークが作成されています。
ロゴマークに「看護の心をみんなの心に」という言葉が記されています。この言葉は、看護の日が制定されるきっかけとなった「看護の日の制定を願う会」のメインテーマでもあります。
日常生活の中でも見かけることがあるかもしれません。特に、看護師の方は勤務先でも目にすることがあるでしょう。看護師としては覚えておきたいマークです。
看護の日のキャラクター
看護の日には、ロゴマークだけでなくキャラクターがいます。名前は「かんごちゃん」です。2021年9月~11月で募集をかけたところ、746件もの作品が集まりました。
かんごちゃんは、その746件の作品の中から厳選されたキャラクターです。コンセプトは「看護の未来への懸け橋となり、看護職を目指す若年層の皆さまの夢を叶えるキャラクター」です。名前も覚えやすく、若い人受けが良さそうな可愛らしいキャラクターとなっています。
https://www.nurse.or.jp/home/event/simin/character/index.html
看護の日の由来:ナイチンゲールについて
看護の日である5月12日は、ナイチンゲールの誕生日です。
こちらでは、看護の日の由来となっているナイチンゲールについてご紹介します。
世界中の看護師の象徴
フローレンス・ナイチンゲールは、世界中の看護師の象徴とされています。
イギリスの看護師として働いていた彼女が特に有名になったのは、1853年~1856年に起こった「クリミア戦争」での貢献です。戦争中で不衛生で劣悪な環境のなか、自ら衛生な環境に整える行動を起こし、傷を負った兵士たちのために働き続けました。
ランプの明かりを持って兵士の見回りを行っていたので、「ランプの貴婦人」と呼ばれていたそうです。他にも「白衣の天使」や「クリミアの天使」と呼ばれていたそうですが、そう呼ばれることにナイチンゲール本人はあまり喜んでいなかったとのことです。ナイチンゲールの働きによって、多くの兵士の命が救われました。
統計学の母としても有名
実は、ナイチンゲールは看護師としてだけでなく統計学の母としても有名です。統計の知識から、クリミア戦争での死因を突き止めました。その結果をグラフを用いて国会議員や役人に対してプレゼンも行っています。
さらには、統一的な病院統計のためのモデル形式を国際統計会議のロンドン会議で提案し、各国政府に送付する決議が下されました。統計に関する活躍が認められ、女性として初の王立統計協会の女性会員に選ばれました。その後にも、米国統計学会の名誉会員にもなるなど統計学の先駆者として刻まれています。
ナイチンゲールが考案したシステム
ナイチンゲールは看護に関するシステムを数多く考案しています。現代の病院にも使用されているシステムとなっています。
例えば、ナースコールはナイチンゲールが考案した「弁付き呼び鈴」が原型です。他にも、病室に窓を設置し換気を行うというように、現代では当たり前の感染症予防・対策のためのシステムを数多く発明しています。
看護の日に開催されるイベント
看護の日には、様々なイベントが開催されます。近年はコロナの影響もあり、オンラインでの参加も可能となっています。
興味のある方は、ぜひこちらのイベントに参加してみてください!
「忘れられない看護エピソード」の表彰式
現在看護師として勤務している方や勤務経験がある方から募集した「忘れられない看護エピソード」の表彰式が行われます。
最優秀賞となった作品は、賞金が授与され、アニメーション化されます。毎年、胸を打たれる素晴らしい作品が募られています。
日本看護協会のホームページに過去の作品や作品に対する講評が掲載されていますので、ぜひ一度ご覧になってみてください。2022年に発表される分は既に締め切られていますが、毎年応募がされますので、自身の体験を送ってみてはいかがでしょうか。
著名人によるトークショー
著名人をゲストに迎えたトークショーが開催されます。2022年のゲストは、女優・タレントの岡田結実さんです。
トークショーでは、実際に医療現場で活躍している看護のスペシャリストや看護学生と共に看護の魅力について対談が行われます。
さらに、アーティストによるスペシャルライブもあり、盛り上がるイベントが数多く予定されています。直接会場に行けない方でも、オンラインで参加することができます。
ふれあい看護体験
看護の日に関するイベントは、東京のみならず全国各地で開催されています。
ふれあい看護体験は、地域住民のために保健医療福祉施設が見学や簡単な看護体験などを行うイベントです。地域とのコミュニケーションの場となり、これからの保健医療福祉について学べる貴重な場となっています。
看護の出前授業
日本教育新聞社と都道府県看護協会が共同で開催しているイベントです。中学校や高等学校に看護職が出向き、「いのちの大切さ」や「看護の仕事」について授業を行います。
補聴器や血圧測定などの簡単な看護体験も行い、看護に対する興味・関心を持ってもらおうと働きかけています。参加する看護師にとっても、改めて自分の仕事の重要性や魅力について気付ける素敵な機会となるでしょう。
各地域で開催されているので、もしかすると自分が担当する場合もあるかもしれませんね。
「看護の日」をきっかけに看護の在り方を考えよう
5月12日に制定されている「看護の日」は、看護師の象徴であるフローレンス・ナイチンゲールの誕生日に由来があります。
「看護の心をみんなの心に」というメインテーマに則って様々なイベントが開催されます。全国各地の看護師または看護職経験者による「忘れられない看護エピソード」の表彰やトークイベントなどが行われ、改めて看護に対する意識を高めることができるでしょう。
また、各地で開催されるふれあい体験や出前授業で、看護師や医療従事者と地域の方の交流を図れる場も設けられます。
看護の日をきっかけとして、看護の在り方について考えてみてください。