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【どう対応している?】介護施設での家族対応や関わり方について
介護施設で働いていると利用者のご家族と関わる機会があります。
ご家族とのコミュニケーションが苦手という方も中にはいるかと思います。しかし、利用者の状況を伝えたり、何気ない会話をしたりすることでご家族に安心してもらうことも、介護職員としての大切な仕事です。
ご家族とのコミュニケーションが大切である理由
介護ケアを行う上で、本人だけでなくご家族とコミュニケーションを取ることも大切です。
その理由は以下の3つになります。
- 信頼関係を築くきっかけになる
- ご家族に安心感を与えられる
- お互いの状況を把握しやすい
ここからは、この3つの理由について更に詳しく解説していきます。
信頼関係を築くきっかけになる
良好なコミュニケーションを積極的にとってくれる介護スタッフはご家族に信頼感を持たせます。信頼関係を築きたいなら、まずはコミュニケーションを取ることが大切といえるでしょう。
ご家族と一緒になって利用者を支える姿勢でいれば、自然と信頼関係が築けるものです。
ご家族に安心感を与えられる
ご家族は離れているからこそ、利用者本人が「淋しい思いをしていないか」「辛いことはないか」と心配してしまうものです。その心境を理解し、些細なことでも利用者の状況を伝えてあげられるとご家族は安心できます。
安心感を与えてくれた介護施設やスタッフに感謝の気持ちを持つようになり、ご家族との関係も良好になります。
お互いの状況を把握しやすい
ご家族に介護施設での生活状況を知ってもらい理解されることで、大きなトラブル回避にも繋がります。
例えば、利用者が転倒などで怪我をしてしまった場合でも、利用者の行動や生活環境などが事前に伝わっていれば、「なぜ転倒してしまったのか」を理解してもらいやすいメリットもあります。また、介護施設側もご家族の考え方や背景を理解していることで、それに対する配慮をすることが可能です。
良好な関係を築く上で、お互いを理解することは不可欠なことであるともいえるでしょう。
【事例別】家族とのコミュニケーション方法
介護施設でコミュニケーションが必要なのは主に以下のようなシーンです。
- 手紙を送る時
- 電話をする時
- ご家族が施設来訪した時
3つの事例別に家族とのコミュニケーション方法や適切な言葉がけなどを紹介していきます。
手紙を送る時
ご家族に手紙を送る介護施設は多いものです。毎月送る施設もあれば、季節ごとにはがきを送ることもあります。
手紙を送る時のポイントは、不安を煽るようなマイナスなことは書かないことです。
以下は手紙の記載例です。
【手紙の記載例】
拝啓〇〇様(ご家族に向けて)
おだやかな小春日和が続いております。
ご家族の皆様にはますますご清祥のことと存じます。
このたびは、〇〇様(利用者)の日常生活の様子についてご報告したく手紙を書かせて頂きました。
〇〇様は、最近お花見に出かけ、素敵な笑顔をたくさん見せてくださいました。
昔の生活や様子のお話などを笑顔で話して下さり、私達スタッフも楽しくお話を聞かせて頂きました。
また、ご面会に来られる際は、是非気を付けてお越し頂けたら幸いです。
末筆ながら、ご自愛のほどお祈り申し上げます。
手紙では、利用者の様子やよかったことを書くようにしましょう。手紙の目的は、ご家族に安心感を与えられることであることを忘れてはいけません。
電話で報告する時
電話で利用者の様子を報告する時もあります。
以下では、電話でコミュニケーションを取る時の例を紹介します。
【電話でコミュニケーションを取る例】
お世話になっております、〇〇法人〇〇施設〇〇の△△と申します。
□□様(利用者)の日常生活のご様子と、月末のイベントについて連絡させて頂きましたが今お時間よろしいでしょうか?
今月〇日〇時から施設イベントで「納涼祭」を行います。
ご家族にも参加して頂けるイベントとなっておりまして、是非ご都合合えばご参加頂きたいと思います。
また、□□様の最近の様子ですが、先月の体調を崩された時から徐々に食事量が増えてきまして、現在は完食される日がほとんどとなっております。
あれから、体調を崩すことなく、穏やかに過ごされております。
また、ご都合良い時に状況説明もしたいので、是非ご来訪ください。
電話での連絡は、手短に要点を伝えることが大切です。
ご家族が忙しい場合もあるため、長くならないように心掛けましょう。
家族が施設に来訪した時
ご家族が来訪した時には、ゆっくりとコミュニケーションを取るチャンスです。
利用者の日常生活の様子を伝え、必要物品や変更事項などがあれば、このタイミングで伝えるようにしましょう。手紙や電話よりも状況を丁寧に説明でき、ご家族もしっかりと理解した上で対応してくれる可能性が高いからです。
【施設来訪でのコミュニケーションを取る例】
介護スタッフ:「こんにちは、お世話になっております。今日はご来訪頂き、ありがとうございます。〇〇様の最近の様子ですが、昨日レクリエーションでおはぎづくりを行ったところ、男性の〇〇様が率先してタネを丸めてくださいました。すごく上手だったのですが、もしかして奥様のお料理をいつもお手伝いされていたのですか?」
ご家族:「そうなんです。お父さんは、料理が上手で。母といつも一緒に作っていたのですよ。昔の夫婦では珍しいですよね。だから私達にも昭和の父という感じではなくて優しいちょっと女性性を持った感じのお父さんで。優しくて少し気が弱いんです、昔から」
上記のように、対面で普段の様子を伝えることで、ご家族から利用者の昔の話を引き出すこともできます。また、ご家族の表情を見ながら話せるため、反応を確認できることもメリットです。
対面で話せる場合は、ご家族の差支えない範囲で、さまざまな話を持ち掛けるようにしましょう。
ご家族への対応で気を付けること
ご家族へ対応する時に気を付けるべきこともあります。
それは以下の4つです。
- 不安を与えるような発言はしない
- ご家族の状況を把握しデリケートな話題の時は慎重に言葉を選
- わかりやすく伝える
- 曖昧な情報は伝えない
これから、4つの注意点について詳しく解説していきます。
不安を与えるような発言はしない
利用者の状態・状況によっては、ご家族に不安を与えてしまう可能性があります。
生死彷徨うシビアな状況であれば、ある程度はっきり伝えることも大切ですが、そういった状況でない場合に不必要に不安を与えてしまうのは考えものです。
日常生活の報告はできるだけ良い面を思いだして、それを報告するようにしましょう。
ご家族の状況を把握しデリケートな話題の時は慎重に言葉を選ぶ
ご家族には触れてほしくない話もあります。
ご家族のプライベートな話を知り得たとしても、それをそのまま本人に伝えてしまうのはもちろんNGです。スタッフのデリカシーのない失礼な発言で、ご家族を不快にしてしまうかもしれません。
ご家族の心情に配慮した発言を心掛けましょう。
わかりやすく伝える
ご家族は時間に余裕がある時ばかりではありません。
スタッフが長々と話した挙句、「よくわからない」と思われてしまったらご家族の時間を不必要に奪ってしまったことになります。
ご家族に何かを報告する時は、要点を予め把握し、自分の中で整理してから伝えると効果的です。
曖昧な情報は伝えない
不確定な情報をご家族に安易に伝えるのはNGです。
曖昧なことを伝え、事実と違うことが後に発覚した場合、ご家族からの信頼を損なってしまうことにもなりかねません。
事実確認をしっかりと行った後、適切なタイミングで伝えるようにしましょう。
ご家族とのコミュニケーションを大切にしよう!
ご家族と信頼関係を築く上で、良好なコミュニケーションは大切です。安心感を与え、信頼してもらえるようなコミュニケーションを取ることを心掛けましょう。
利用者をご家族と一緒にサポートしていく姿勢が、より良い介護ケアに繋がります。