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【感染対策マニュアル】介護職員が知っておくべきポイント

利用者の健康を守るためには、日々の体調管理に気を付けることだけでなく、感染症を広げないことも大切です。感染症には、さまざまな特徴がありますが、基本的な予防・対策方法は同じです。

今回では、厚生労働省のマニュアルに基づき、わかりやすく感染症への対策方法を解説していきます。

感染症対策についてのよくある疑問にも答えていきますので、是非参考にしてみてください。

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目次

介護施設で注意すべき感染症

介護施設は、多くの人が行き来したり、入居して生活したりする場であり、人が集まる場所であるといえます。

人が集まる場であるため、さまざまな感染症が広まるリスクは切っても切り離せません。また、介護施設には抵抗力の弱い多くの高齢者が集まっており、感染症を広めないことも大切です。

感染症対策を考える上で、まずは介護施設に発生することが多い感染症について学んでいきましょう。

ここからは、介護施設で注意すべき感染症を紹介していきます。

インフルエンザ

インフルエンザは、気道感染症であり、症状が重くなりやすい疾患です。

インフルエンザには、主に以下の種類があります。

  • A型インフルエンザ
  • B型インフルエンザ
  • C型インフルエンザ

上記のうちA型とB型のインフルエンザは季節性のものであり、日本では1~2月に多く流行する感染症といわれていますが、実際には毎年11月~4月頃まで流行しています。

インフルエンザにかかると、38度以上の熱が出て関節に痛みがでたり、全身に倦怠感を感じたりといわゆる「風邪」と比べて症状が重いことが特徴です。

ノロウイルス

ノロウイルスは胃腸炎の原因の一つです。ノロウイルスに感染すると、非血性の下痢や嘔吐、胃痛などの症状がでます。発熱や頭痛も併発する可能性もあります。

通常ノロウイルスに罹ると12~48時間で発症。回復は1~3日以内であることが一般的です。高齢者がノロウイルスに罹ると、脱水症状を起こす危険もあります。

疥癬

疥癬はダニの一種である「ヒゼンダニ」がヒトの皮膚に寄生しておこる皮膚の病気です。

感染すると、

  • 腹部
  • 頭部
  • 大腿部

などに激しいかゆみを伴います。

疥癬には「通常疥癬」と「角化型疥癬」の2種類があります。通常疥癬より角化型疥癬のほうが感染力が強いのが特徴です。いずれの場合も、ヒトの肌から他のヒトの肌へダニが移動することが感染経路となります。

MRSA

MRSAは一般的なブドウ球菌による感染と同じです。

通常は健康な人にも存在する無害な菌ですが、高齢者など抵抗力の弱い人が感染すると重症感染症の原因となります。肺炎や腹膜炎、敗血症などに罹るなど、重症化してしまったり、抵抗力が低下していると抗菌薬が効かないことが多く治療が進まなかったりするため、高齢者は特に感染を防ぐための注意が必要です。

C型・B型肝炎

B型肝炎はHBVウイルス、C型肝炎はHVCウイルスによって起こる肝臓の病気です。

B型肝炎は感染しても比較的合併症を発症しにくいのに対し、C型肝炎は慢性肝炎や肝硬変、肝がんといった病気になりやすいため特に注意が必要です。

感染経路としては血液感染であることが大半で、例えばC型肝炎患者の採血の後に、看護師が誤って自分に針を刺してしまった場合に感染してしまうこともあります。

血液感染であるため、感染者本人に傷口がある場合などは、直接触れることがないよう特に注意しましょう。

基本的な感染予防方法

まずは基本的な感染予防方法から学んでいきましょう。

以下では、日常的に実践可能な感染予防方法を紹介していきます。

手洗い・うがいを徹底する

感染経路を遮断するために大切なのは、手洗いやうがいの徹底です。

以下では手洗いとうがいの効果的な方法を厚生労働省「介護職員のための感染対策マニュアル」を下に解説していきます。

【手洗いの方法】

液体石けんを約2-3ml手にとり、よく泡立てながら、爪、指の間、親指、手首をしっかりもみ洗いし、さらに流水で流します。水を止めるときは手首か肘で止めます。

蛇口の形状によっては、ペーパータオルをかぶせて栓を締めます。手洗い後はマスクや自分の顔、髪をさわらないにしましょう。

【利用者の口腔ケア・うがい方法】

  • うがい時はむせないように注意します
  • 顔や周りを拭きとったティッシュなどは、唾液などが付着しているため、手袋を装着したまま処理します

引用:厚生労働省「介護職員のための感染症対策マニュアル(施設系)」

手洗いうがいは、介護者であるスタッフと利用者の両者行うことが大切です。

上記のような効果的な方法で手洗いうがいを行いましょう。

マスクやガウンを着用する

ノロウイルスなど、空気感染するウイルスを広めないためにマスクやガウンを着用する必要があります。

厚生労働省「感染対策マニュアル」より引用したマスク着用方法は以下です。

  • マスクは鼻と口を覆うように着用しましょう
  • マスクにはウイルス等がついている可能性があるため、紐をもってそっと外しましょう
  • マスクの外側を下にして清潔なティッシュ等の上に置いて保管します
  • 次に使用するときも、紐を持ってマスクの外側や内側に触れないようにしましょう
  • 使った布マスクは一日一回洗いましょう
  • 水を飲む場合もマスクのゴムをもって、マスクの外側や内側に触れないようにしましょう

引用:厚生労働省「介護職員のための感染症対策マニュアル(施設系)」

マスクは、ノーワイヤーが上に来るように着用すると効果的です。

部屋の換気を定期的にする

ウイルスを部屋に留まらせないためにも、定期的な換気は大切です。忘れてしまいそうな時は、換気の時間を決め、徹底して行うようにしましょう。

換気表などを作り、やった時間を記入するのもおすすめです。

ケア前後は消毒液を使用する

ケア前後は、手洗いをした後、消毒用エタノールなどの消毒液を使うようにしましょう。

消毒用エタノールなどのワンプッシュは約2~3mlです。手の底に溜まる程度の量で消毒効果が発揮できます。

手だけでなく、消毒液を使用し、物品の菌を減らしていくことも大切です。

【更に詳しく】感染症対策についてのQ&A

感染症対策についてよくある質問とその回答をまとめました。

以下で質問と回答を紹介していきますので、是非参考にしてみてください。

消毒液の作り方は?

消毒液はアルコールの他に、次亜塩素酸ナトリウムも有効です。

感染症対策によく使われる次亜塩素酸ナトリウム液の作り方は以下になります。

【材料】

  • 手袋
  • 水500ml
  • 塩素系漂白剤5ml

【作り方】

  • 部屋を換気する
  • 手袋を装着
  • 水と塩素系漂白剤を混ぜます

塩素系漂白剤はメーカーによって濃度が違う場合があるため、詳細は裏の説明をよく確認するようにしましょう。

漂白剤が手などに付着してしまった場合は速やかに水で洗い流すようにしてください。

ガウンはどうやって着脱したり管理したりすればいいの?

感染の危険から守るためにガウンやマスク、手袋などを適切なタイミングで着用し、正しい方法で外すことが重要です。

ガウンの着脱方法は以下になります。

【着用方法】

  • 手洗いをする
  • 手袋とマスクを装着する
  • 服の上にガウンを着る(後ろの紐をしっかりと結ぶ)

【外す方法】

  • 手袋を外す
  • 外側の面に触れないようにそっと外す
  • 外側の面が内側になるようたたんで捨てる

ガウンの場合、着用は、普通にすれば問題ありませんが、大切なのは外す時です。

外す時の手順や方法を間違えると、菌を飛散させてしまう恐れがあります。

理想的なのは、毎回紙のガウンを使用し、使うたびに捨てることです。管理方法としては、必要時にすぐ使えるよう、ガウンを置いておく場所をスタッフ同士で共有しておくことが大切です。

ガウンと一緒に手袋や消毒液なども用意しておくといいでしょう。

ノロウイルスの吐瀉物の処理方法は?

ノロウイルスで嘔吐してしまった場合、吐物の中に入ったウイルスを空気中に広めないことが大切です。

以下では、厚生労働省の「感染対策マニュアル」を引用した吐物の処理手順を解説していきます

<処理手順>

  •  窓を開けて換気を行います。
  •  近くにいる利用者を移動させ、処理を行う職員以外は立ち寄らないようにします。
  •  嘔吐物・排泄物の処理の手順を徹底し、速やかに処理します。
  •  マスク、使い捨てエプロン(長袖ガウン)、使い捨て手袋を着用します。
    ※ノロウイルスは飛沫感染や空気感染(塵埃感染)も指摘されているので、マスクを必ず着用します。
  • 嘔吐があった場合には、周囲 2 メートルくらいは汚染していると考えて、まず濡れたペーパータオルや布等を嘔吐物にかぶせて拡散を防ぎます。
  • ペーパータオルや布等で、外側から内側に向けて静かに拭き取ります。汚染を拡げないために、一度拭き取ったペーパータオルは捨てます。
  • 最後に次亜塩素酸ナトリウム液(0.02%)で浸すように拭き取り、その後に水拭きします。

引用:厚生労働省「介護職員のための感染症対策マニュアル(施設系)」

吐物が空気中に飛散しないよう迅速で適切な対応が大切です。

疥癬やMASAなど季節が関係ない感染症のケアの注意点は?

疥癬やMASAなどは、季節関係なく常に感染リスクのあるものです。

以下では疥癬やMRSAについての感染症対策やケアの注意点を紹介していきます。

【疥癬の対策と注意点】

疥癬は「ヒゼンダニ」がヒトの皮膚に寄生しておこる皮膚の病気です。そのため、介護ケア上で注意すべきは清潔面です。

衣服やシーツ、布団を定期的に洗濯し、清潔を保つように心掛けましょう。また、疥癬が発生した利用者が施設内に居る場合は、同室で布団を並べて寝ないようにしたり、肌に直接触れるものの共用を避けたりなどの対策を徹底することが大切です。

【MRSAの対策と注意点】

MRSAは体液や血液などから感染する恐れがあります。そのため、体液が飛散する可能性がある入浴時などにはエプロンやマスク、手袋などを着用する必要があります。また、介助前後には手洗いを徹底するようにしましょう。

疥癬とMRSAの感染対策で大切なのは、清潔を保つことや感染経路を遮断するための道具を活用することです

季節性がないことで常に注意する必要がある感染症ですが、適切な対策を行っていれば、不用意に恐れることはありません。

対策を知り、介護施設内での感染を抑えよう!

感染症対策はもちろん大切ですが、介護スタッフや利用者自身が健康状態が良好であることも、感染症を広めないためのポイントです。

個々の健康管理を徹底し、抵抗力を向上させることも感染症対策になるということを念頭に置いておきましょう。また、感染症対策で重要なのは早期発見や対策です。利用者やスタッフの様子が「少し変だな」と思ったら常に感染症を疑う姿勢でいましょう

利用者の健やかな日常を守るために、必要な対策を徹底するように心掛けることが大切です。

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