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作業療法士が直面する精神科の厳しさと向き合う方法とは?
作業療法士といえば「身体機能にアプローチしたリハビリ」を仕事としているイメージが強いと思います。しかし、それだけではなく精神的な病気を抱えた人に対し、社会復帰できるようなリハビリを促す役割も担っているのが作業療法士になります。
精神科作業療法の種類から「きつい」理由、そしてその対処法まで紹介していきますので、是非ご覧ください。
精神科作業療法の種類
精神科で働く作業療法士の仕事とはどのようなものがあるのだろうかと気になる方もいるのではないでしょうか?
そこで、ここからは、精神科作業療法の種類を3つ紹介していきます。
児童思春期領域の作業療法
精神面になんらかの疾患がある子どもに対しリハビリを通して自分らしく生きることをサポートするのが、児童思春期領域の作業療法です。
幼児や児童など、児童思春期領域の中でも幼い年齢の子どもには、関心が持たれやすいように遊び要素を取り入れたリハビリを中心に行っていきます。またリハビリは、症状や発達段階を確認しながら実施。
復職支援
作業療法士が、精神疾患が原因で休職中の方の社会復帰をサポートする「復職支援」を行うこともあります。この場合は病院勤務ではなく、デイケアや就労支援などの職場であることが多いです。
精神障がい者の就労支援における作業療法士としての主な役割は、
- 作業遂行機能の評価
- 起業での職務や個別の作業分析
- プログラム立案
- 職場適応指導
などがあります。
失業から回復し、新しい起業で仕事ができるようにプログラムを立てながら訓練をしていくというのが主な流れです。
引きこもり支援
精神科の作業療法士が精神障がい者を対象に地域生活支援を行うケースも。その中の一つが引きこもり状態の方を対象とし精神作業療法を用いる「引きこもり支援」です。
引きこもり状態は、精神的な疾患や家族や社会とのこじれによって引き起こるもの。
作業療法士が担当する精神作業療法の一つとしては、自宅に訪問し、家族のケアも行いながら本人のペースに合わせて徐々に社会復帰を促していくような仕事もあります。
引きこもり状態の方の社会復帰を目指すことは、難易度が高い場合もあり、リハビリと同時に丁寧なメンタルケアが必要になります。
作業療法士が精神科勤務をきついと感じる3つの理由
精神科に勤務する作業療法士の中でも仕事が「きつい」と思う人はいます。その理由はどのようなものなのでしょうか?
ここからは、作業療法士が精神科勤務をきついと感じる理由を3つ紹介していきます。
精神領域は正解がなくアプローチ方法を導くのが難しい
精神領域のリハビリは、身体的なリハビリに比較し答えを導きだしにくく、それが作業療法士にとっての負担になってしまうこともあります。
効果がわかりにくい場合は方向性に迷ってしまうことも…
難しさを「だから楽しい」とポジティブに考えられる人ならいいのですが、それがストレスになっていまい、仕事を「きつい」と思ってしまうのです。
リハビリのメリットが理解されにくく他職種と対立しやすい
精神科の作業療法士は、他職種と対立しやすい傾向にあります。
効率的な仕事を求められ、個別リハビリより集団リハビリを求められたり、個別リハビリのメリットがわかってもらえなかったりと職場によっては複雑な意見の違いに挟まれながら仕事を行わなければなりません。
その結果、自分の想いと違うリハビリ内容に変更せざる得ない状況になり、それが続くとストレスで「きつい」と思ってしまうのです。
古い体質の精神科が多く独特の雰囲気が合わない
精神科は、まだまだ古い体質の病院も多いのが現状です。独特の文化についていけず「きつい」と思う作業療法士も少なくないです。
医師が理不尽な要求をしてきたり、看護師がキツすぎる言葉を患者さんに浴びせたりと居るだけで違和感を感じるような職場に当たると、心が悲鳴を上げてしまいます。
精神科作業療法士がきついと思った時の4つの対処法
精神科作業療法の仕事が「きつい」と思った時には、「我慢して仕事を進めるしかない」と思っている方もいるのではないでしょうか?しかし、それは違います!
適切な方法で対処すれば、「きつい」と思う状況を変えることが可能です。
そこで、こちらでは精神科作業療法士がきついと思った時の対象法4つを紹介していきます。
上司に相談してみる
精神科で仕事がきついと思ったら、まずは上司に相談してみるのも一つの手です。しかし、正しく解決に導いてくれるかは上司によるため、相談することを躊躇ってしまうもの。
上司によっては解決するどころか、悩みを言いふらしたり、相談したことで説教してきたりととんでもない態度で問題を更に大きくしてしまう可能性もあります。
上司に頼れない気がしたら、相談は辞めておき、次の項目からの別の方法を試してみましょう。
SNSで同じ境遇の人と仲良くなる
自分の友達に話を聞いてもらうのも一つの手ですが、友達が同業や同じ境遇でない場合、話に共感してもらえないこともあります。
そんな時におすすめなのが、SNSで仲間を作ることです!
Twitterなどの大規模なSNSであれば、多くの人が利用しているため精神科の作業療法士として同じ悩みを抱える人に巡り合える可能性が高いです。
見ず知らずの人でも、同じ境遇の人であればあなたの悩みを理解してくれる可能性があります。
同じ精神科作業療法士として働く仲間として、時に適切なアドバイスがもらえるかもしれません。
他の職場に転職する
きついと思ったら他の職場への転職を検討してみるのも一つの手です。
- 介護施設
- 訪問リハビリ
- 整形外科
- 精神科以外の病院
- 一般企業
など、活躍する場はまだまだたくさんあります。
自分が「なぜきついと思っているか」をまずは具体化し、働く上でどこを重視すべきか自分と向き合ってみましょう。
漠然とした転職では同じ失敗を繰り返してしまう可能性もあるため、自分とじっくり向き合うことが大切です。
気分転換する時間をつくる
仕事がきついと感じたら気分転換し、自分だけの時間を作ることが効果的です。休日や仕事終わりの時間など、ゆっくりと好きなことができる時間を作るようにしましょう。
一人でカフェに出掛けてみたり、友達と自然いっぱいのパワースポットに行ってみたりするのもおすすめです。
上手く息抜きできるような環境をつくりましょう!
精神科作業療法がきついなら自分に合った対処法を試してみよう!
精神科の作業療法は、向き不向きがあり、人によっては「きつい」と感じてしまうことがあります。しかし、精神科作業療法は人の心を支えながら社会復帰を促す、とても大きな仕事。
見方を変えれば人の人生に大きく影響を与える仕事であり、とてもやりがいある素晴らしいものです。
「きつい」と行き詰った時は、記事の対処法などを実践し、自分がやりたい作業療法を実現できる環境にしたり、職場を変えたりしてみてほしいと思います。人の支援は、自分が安定してなければきついものになってしまいます。
まずは自分を大切にして、仕事を前向きに楽しめるようにしましょう!