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【特定処遇改善加算】勤続10年以上の介護福祉士として認められるには?
一般的に介護業界は給料が低く、離職率が高いといわれています。そのため人材が安定せず、高いスキルや豊富な経験を持った人材が少ないのです。
これらのことから、2019年10月に特定処遇改善加算というものが作られました。介護業界で長く働いている人や高いスキルを持った人に高い報酬を支払い、離職を止めるためのものです。
資格こそ必要ですが誰でも給料を上げられる可能性があり、興味を持っている人も多いのではないでしょうか。
特定処遇改善加算とは
特定処遇改善加算とは、豊富な経験や高いスキルを持っている介護福祉士に高い報酬を支払うことで離職率を減らす仕組みです。
特定処遇改善加算が作られた背景
近年、介護業界の離職率が高いことが大きな問題になっています。
介護を必要とする高齢者は増えているのに対し、介護業界を志望する人や高いスキルを持った人材が少ないのです。その理由として、過酷な労働と報酬が釣り合わないということが挙げられます。
介護業界、とくに介護現場で働くためには必要なものが数多くあります!
介護現場で働くために必要なもの
- 高齢者とスムーズに意思疎通ができるコミュニケーション力
- 長時間の肉体労働に耐えうる身体・体力
- 効率的に業務を進める要領の良さ
- 書類作成などに必要な最低限の事務能力
- チームで働くためのコミュニケーション力
介護業界では多くのスキルを求められているのに対し、報酬がそれほど高くないということが理由で人材がなかなか安定していません。そこでできたのが特定処遇改善加算です。
豊富な経験や高いスキルを持っている人材に対して報酬を加算することで、離職率を下げることが目的なのです。
勤続10年以上の介護福祉士として認められる3つの条件
特定処遇改善加算の対象者になる1つの目安として「介護業界で10年以上勤続している」というものがあります。しかし、後述するように実際はそれぞれの事業所に委ねられています。
ここでは特定処遇改善加算の対象者になるための条件を3つ紹介します。
1.介護福祉士の資格が必須
特定処遇改善加算の対象者になりたい人はまず介護福祉士の資格を取得する必要があります。特定処遇改善加算は介護福祉士を対象とした制度であるためです。また、介護福祉士にはいくつか受験資格があります。
受験を検討している人は受験のタイミングだけでなく、受験資格となる研修を受けるタイミングも考えておきましょう。
2.「勤続10年」の基準は事業所に委ねられている
勤続10年はあくまでも目安であり、実際の基準はそれぞれの事業所に委ねられています。
経験が長くてもスキルがなければ認められなかったり、逆に経験年数は10年未満であっても高いスキルを持っていれば認められたりすることもあります。あるいは特定の職種での経験はカウントされるが、他の職種ではカウントされないということも。
事前に事業所のルールを確認しておきましょう!
3.パートでも受けられる可能性はある
介護業界は正社員ではなく、パートやアルバイトで働いている人もいます。そういった人も特定処遇改善加算を得られるかどうかも事業所によって異なります。
有資格者であればパートやアルバイトでも受け取れるところはあります。
事前に事業所のルールを確認しておくようにしましょう!
加算率の計算方法
特定処遇改善加算における見込みの金額は次の計算方法で算出できます。
各事業所の通常の報酬額×各サービスの新加算ⅠまたはⅡ=特定処遇改善加算における見込みの金額
各サービスによって加算率は異なり、同じ新加算Ⅰであっても、事業所によっても加算率が違うのが特徴です。
特定処遇改善加算の申請方法
特定処遇改善加算は「事業所」が「各自治体」にする仕組みになっているため、介護福祉士本人が手続きをする必要はありません。
支給方法については各事業所に委ねられているため、あらかじめ事業所の担当者に確認しておきましょう。
特定処遇改善加算の2つの問題点
残念ながら、特定処遇改善加算の制度にも問題点はあります。
ここでは特定処遇改善加算の主な問題点を2つ紹介します。
1.配分バランスが難しい
特定処遇改善加算は対象者や支給方法などを(いくつか細かいルールはあるものの)基本的には事業所が決められることになっています。そのため「何人に支給するか」「誰を対象者にするか」「いくらずつ支給するか」などを考えなくてはなりません。
複雑な配分のバランス調整が難しいと感じてしまい、あまり普及が進んでいません。
2.対象となる介護福祉士が少ない
そもそも対象となる人材が少ないことも問題の1つです。
介護業界では6年以内に離職・転職する人が多く、10年以上勤続している人材はほとんどいません。そんな中、改めて独自の基準を作るとなると先の配分バランスの調整と合わせて事業所の負担を増やす要因に。
なかなか普及していかないのが現実です…
介護福祉士資格を取得する3つのルート
特定処遇改善加算の受給を狙う人のために、最後に介護福祉士になるための3つのルートをご紹介。
いずれのルートでも介護福祉士試験を受けるためには受験資格を満たしている必要があります。主な受験資格としては「介護業界で3年以上働いている」「介護福祉士実務者研修を受講・修了している」などがあります。
自分が条件を満たしているかどうか、改めて確認しておきましょう!
1.養成所で勉強する
介護福祉士資格を取得するルートの1つ目は「養成所で勉強する」です。時間やお金はかかってしまいますが、資格取得に関して最も効率的だといえます。
資格取得やその後、介護福祉士として働くことを目的としたカリキュラムが組まれているためです。
2.福祉系高校で勉強する
あなたが学生であれば福祉系の学校(高校や大学、専門学校など)で勉強するという手もあります。福祉系の学校は介護・福祉業界で働く人材を育てるための場所ですので、幅広い知識やスキルを学べます。
3.実務経験を積む
すでに介護業界で働いている人であれば、実務経験を積むという手もあります。
ただし、体系的に知識を身に付けられるわけではないため、職場の人間関係や業務内容によって偏りが出てきてしまいます。そのため、3つのルートの中では最も難易度が高いといえるでしょう。
どうしても通えない事情がある場合を除き、養成所で勉強することをおすすめします。
収入アップのために、まずは資格取得・スキルアップをめざそう!
特定処遇改善加算はこれまでの報酬額に加えて毎月8万円ほど多く受け取れるようになる魅力的な制度。
収入が8万円も上がったら自分のため、家族のために使えるお金がかなり増えることになります。しばらく手を付けていなかった趣味も再開できるかもしれません。しかし、そのためには介護福祉士の資格が必要です。
まずは先行投資として、お金をかけて介護福祉系の養成所に通うことを強くおすすめします。