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「准看護師廃止」の影響と今後の展望、日本の医療業界に変革の波
- 准看護師が廃止になると聞いたことがあるが本当?
- 准看護師が廃止になったら仕事ができなくなるのではないか
- 准看護師で働いているが今後はキャリアアップを目指したい
准看護師として働いていて、このような不安や疑問を持っている人はいませんか?
准看護師廃止について耳にしたことがある人もいるでしょう。廃止論は本当なのでしょうか?
准看護師制度の現状を知らずにいると、看護協会や医師会の思惑を知らずに自分のキャリアアップができなかったりチャンスを逃してしまうかもしれません。
准看護師として働いている人も、准看護師を目指している人も是非この記事を参考にしてみてください。
准看護師廃止とは?
准看護師制度が廃止されると耳にしたことがある人もいらっしゃると思います。ここでは、以下の項目について解説しています。
- そもそも准看護師とは
- 看護師との違い
- 准看護師廃止へ向かう動き
- 准看護師の現状
- 准看護師は需要があるのか
それぞれみていきましょう。
そもそも准看護師とは
准看護師とは、医師、歯科医師、または看護師の指示のもと、療養上の世話や診療の補助を対象者の安楽を配慮し安全に実施する人のことを言います。
准看護師になるためには、准看護師の養成学校に進学し、2年間必要な知識・技術を身につけ、都道府県知事が発行する免許を取得することが必要です。
免許を取得した後は、病院やクリニック、施設などで働けます!
看護師と比較すると、看護学校や養成所の学費は比較的安く、仕事をしながら通学する人が多いのが特徴です。
看護師との違い
看護師とは、国家試験を受けて合格し、厚生労働省が発行する免許を取得した国家資格の一つです。
- 自己判断で看護業務を行う
- 他の看護師に指示を出す
- 管理職への昇進
- 看護計画に立案
- リーダー業務
准看護師は、自己判断で看護業務を行うことや他の看護師に指示を出すことはできません。保健師助産師看護師法にあるように、医師又は歯科医師、看護師の指示のもと業務を行う必要があるからです。
看護計画とは、患者の入院から退院までの療養生活の過ごし方や目標などを計画・立案したもので、入院患者全員に対して作成されます。看護師は、看護学校や大学で看護計画の立案やアセスメントについて学びますが、准看護師は看護計画に関する教育を受けていないため、実務で作成することはできません。
准看護師廃止へ向かう動き
第二次世界大戦後、当時蔓延していた結核による病院の増加で看護婦不足が叫ばれるようになりました。
昭和26年に当面の間として、准看護婦教育制度が開始となりました。それ以降は、看護の質を向上させるために准看護師から看護師を目指せる養成所の措置や教育形態が進んでいきました。
当面の措置とされていた准看護婦制度ですが、現代においても看護師不足は解消されておらず、なかなか廃止にはできない状況でもあります。
准看護師の現状
日本看護協会によると、准看護師学校養成所数は減少しており、ここ20年間で入学者は約4分の1程度になっています。
看護職養成全体の中でも准看護師要請の占める割合は大きく減少し、その数も全体の12%と少ないです。給料においても、看護師と比べると准看護師は低く、2012年以降の5年間で見ると、准看護師の就業者は3万人減少しています。
准看護師養成所も准看護師として就業している人も減少していることがわかります。
准看護師は需要があるのか
准看護師は需要があります!
その理由は、超高齢社会となった現在で看護師不足が続いており、慢性的な看護師不足です。地方においても看護師の確保は難しいこともあり、そういった地域で医療を支えているのが准看護師でもあるのです。
病院だけではなく、クリニックや介護施設、デイサービスなどで准看護師が活躍できると言えます。
看護協会や医師会の思惑とは
准看護師制度廃止について、看護協会や医師会の思惑とはどういうことがあるのでしょうか?
ここでは、以下の項目について解説しています。
- 地域への密着度が高い准看護師
- 自立してケアできる看護師を養成したい
- 卒後教育の負担増のため
それぞれみていきましょう。
地域への定着度が高い准看護師
日本医師会は、准看護師の減少を危惧しています。
2016年8月10日に発表された「助産師・看護師・准看護師学校養成調査」によると、准看護師学校養成所への応募者が減少していることから、准看護師は地域への定着率が高いとみています。また、日本看護協会の就業状況から見ると、施設や居宅サービスなどで働く准看護師が過去10年で34%増加しています。逆に、病院での勤務が過去10年で25%減少しています。
日本医師会は准看護師が減ることで地域医療に人手が足りなくなるのではないかと主張しています。
自立してケアができる看護師を養成したい
厚生労働省は、地域医療体制の充実に向けた看護師養成のため、「准看護師を含めた看護職員の養成は重要であり、このような中で、自立してケアを実践する看護師の必要性は高い」と明記しています。
准看護師は、「医師、歯科医師、または看護師の指示のもと、療養上の世話や診療の補助を対象者の安楽を配慮し安全に実施する人」のことを指しますので、自立してケアは禁止されています。
先述した通り、看護師にできても准看護師にできないこともあるためです。
卒後学習の負担増のため
看護学校、看護師養成所では、患者の全身をアセスメントして、自立的に判断し先を予測する能力を身につけることが求められます。
これに対し、准看護師養成所では「医師、歯科医師、または看護師の指示のもと、療養上の世話や診療の補助を対象者の安楽を配慮し安全に実施する人」といった、指示のもとに働くことを前提としています。
准看護師として働き出して、卒後教育を受けることが各自の負担になっていることもあるようです。
看護師と一本化と今後
これまで解説した准看護師と看護師との一本化ですが、今後はどうなるのでしょうか?
准看護師の人も今後どうすべきと悩んでいるかもしれません。ここでは、以下の項目について解説しています。
- 准看護師が看護師と一本化されたらどうなるのか?
- 看護師を目指す
- 看護師として働き続ける理由
それぞれみていきましょう。
准看護師が看護師と一本化されたらどうなるのか?
准看護師廃止となっても、准看護師として働けなくなるわけではありません。先述した通り、超高齢社会となった現在において、准看護師が看護師不足の解消や地域医療に貢献しています。
准看護師の需要もあり、今後は准看護師が看護師へ進むこともできます。
看護師を目指す
准看護師として働くだけではなく、
- 認定看護師や専門看護師を目指したい
- 管理職への昇進・昇格を目指したい
- もっと患者さんのことを深く知り学びたい
と考える人には、看護師を目指すことをおすすめします。前述した通り、准看護師で学んだこと以上に看護学校ではアセスメントや看護計画など学ぶことがたくさんあります。
看護師になることで就職の幅が広がり、専門性が求められる環境で働くことで認定看護師や専門看護師への道に進められます。
看護師としてのキャリアアップとして看護職のマネジメントや業務計画や人材採用などの管理を行う管理職への昇進・昇格を目指したいと考える人にもおすすめです。
准看護師として働き続ける場合
准看護師として働き続けることもできます。病院、クリニック、介護施設、デイサービスなど活躍の場も多数あります。また、准看護師以外の資格を取得することも良いでしょう。
ケアマネージャーや精神保健福祉士、3学会合同呼吸療法認定士などの資格を取得して働くことで、准看護師の経験も活かせます。
准看護師の経験を活かして看護師へのキャリアアップも目指しましょう!
准看護師廃止制度と聞くと、すぐに働けなくなると不安になる方もいるでしょう。
しかし、准看護師の需要はたくさんあります。准看護師として働きながら資格を取得することも可能ですし、准看護師の経験があるからこそ看護師を目指して、その後も活躍ができるのです。
是非、この記事を活かしてキャリアアップを目指しましょう!