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【行きたくない!】訪問介護職員が感じる利用者の特徴と対処法を解説!
訪問介護の仕事は、利用者の居宅に訪問し、介護サービスを提供する仕事です。また、それらのサービスを提供する介護士を「ホームヘルパー」と呼びます。
訪問介護は一人ひとりに寄り添った丁寧なケアを行うことができ、大変やりがいのある仕事といえます。しかし、たくさんの利用者と接していると、ときには「この人と合わないな」「行きたくないな」と思うこともあるのではないでしょうか。
そこで、本記事では以下の点を解説していきます。
- 利用者宅へ行きたくないと思ってしまう理由
- 利用者と良好なコミュニケーションを取るコツ
- うまくいかないと感じた時の対処法
- 訪問介護の仕事を続けるメリット
本記事を読み「悩んでいるのは自分だけではない」と感じるとともに、利用者と良好な関係を築くためのヒントを見つけていただければ幸いです。
利用者宅へ行きたくないと思ってしまう理由
利用者の自宅に赴き、介護サービスを行う訪問介護の仕事。
やりがいがとてもあり、感謝されることがモチベーションとなる方もいるでしょう。しかし、訪問介護の仕事をしていると「あの家には行きたくないな」「今日の利用者さんとうまくいかないんだよな」と悩むことも多いのではないでしょうか。
訪問介護の仕事における悩みは大きく以下の3つに大別されます。
- 介護拒否される
- 利用者と性格が合わない
- 利用者の家族とうまくいかない
- できないことを要求される
それそれの項目について解説していきます。
介護拒否される
「入浴介助をしようとしたら断られ、仕事が進まない」
「ごはんがまずいといわれ、食べてくれない」
など、利用者に介護を拒否されることは「介護士あるある」なのではないでしょうか。
介護を拒否されると、自身のやってきたことや人格を否定されたように感じてしまい、精神的にもキツく感じてしまいます。
では、利用者はなぜ介護を拒否をするのでしょうか?
利用者が介護を拒否をするとき、以下のような理由が考えられます。
- 介護そのものへの抵抗感
- 認知症で状況がわからない
- 体の変調や薬が合わない
介護拒否をされた際は、まず本人の意思を否定せず尊重しながらも、しっかりと介護の必要性を伝え、時間をかけて緊張状態を解いていきましょう。
体の変調や薬に対して抵抗されている場合は、医師にも相談し、専門家の意見を聞くことが大切!
利用者と性格が合わない
利用者さんとの相性が合わないために、訪問介護に行きたくないという方もいるでしょう。
ホームヘルパーが行うサポートは、食事や入浴の介助、買い物、掃除、調理など、生活の細部にまでおよびます。しかし、生活に対する考え方が異なり、うまく利用者さんとうまく関係が築けないことも。
たとえば…
- 「料理の味付けに毎回不満をいわれる」
- 「買い物の際、細かい注文が多すぎる」
- 「掃除の仕方を毎回注意される」
など。
特に神経質な利用者さんやこだわりが強すぎる利用者さんと関わることは訪問介護員の負担が大きくなり、ホームヘルパー自身も「行きたくない」と感じてしまうようです。
出来ないことを要求される
ヘルパーにはできること・できないことが明確に決められています。
ケアの内容についてはケアマネージャーが決めたケアプランに基づいており、プランに明記されていないサービスは提供できません。また、利用者以外の家族向けのサービスや、医療行為、更に金銭の授受などは基本的に断る方が多いでしょう。しかし、利用者や家族によっては「これもやってほしい」など要求が増えることもあります。
感情に流されてしまうのは禁物です。職員間で情報を共有し、できないことを要求された際の断り方やマニュアルをしっかりと決めておきましょう。
訪問介護でできること・できないことの詳細は以下の記事をご覧ください。
無理なことをお願いされたら断る勇気を持つ
無理なことをお願いされたら断る勇気を持つ
訪問介護の現場では、利用者やその家族と密な関係になることもあります。
また、提供するサービス内容が似ていることから、利用者のなかには、ホームヘルパーを家政婦と勘違いしている人も少なからず存在します。しかし、無理なことをお願いされたら断る勇気を持つことも必要です。
ホームヘルパーは介護のプロであり、ケアプランをもとに業務を行なっています。また、介護保険が適用されるサービスの範囲で提供できるのは利用者の「日常生活における必要最低限のサポート」であり、日常生活の範囲を超えたサービスの提供はできません。
「1回きり」のつもりでも、その「1回」がスタンダードになり、以降も要求されることは介護やサービス業でよくあることです。しかし、自分の負担が大きくなるだけでなく、介護の目的でもある「利用者が自立して生活できるような基盤を築く」ことができなくなってしまう可能性もあります。
ケアプランに含まれていない業務内容については「ルール上、できません」ときっぱり断ることが重要です。
もし自身だけで解決できない時は、サービス責任者や管理者など上司に相談し、対処するよう努めましょう!
利用者と良好なコミュニケーションを取るコツ
上記では利用者宅へ行きたくないと思う理由について解説してきました。しかし、利用者や家族だけでなく、自身に非がないのか常に見直すことも大切です。
以下では利用者や家族と良好なコミュニケーションを取る方法について解説をしていきます。
自身の行動・言動・身なりを見直す
利用者や家族に対し、自身でも知らないうちに以下の行動を取っていないか見直していきましょう!
- 言動や表情に態度が出る
- 荒い行動が見られる
- 余裕がない
- コミュニケーション・距離感の取り方が下手
- 介護技術に自信がない・未熟・遠慮がある
- 自分中心の介護サービスになっている
上記は数ある中の一例です。自身が気づいていないだけで、サービスの受け手は些細な変化で印象が変わります。
職場内でサービスの内容を振り返ったり、外部研修など他社からフィードバックを受ける機会を通じて、自身に非がないかしっかりと確認していきましょう。
挨拶や何気ない言葉を意識する
コミュニケーションの取り方というと難しく聞こえるかもしれません。しかし、シンプルに考えれば挨拶や、何気ない一言を言えるか言えないかで大きく変わります。
挨拶であれば目を見て笑顔で挨拶をするだけで、相手の印象は変わります。また「今日はいつもより元気そうですね」「今日は寒いですね〜」など何気ない一言を契機に会話が始まることもしばしば。アイスブレイクと言って天気や時事ネタから会話の糸口を探る手段も一般的です。
上記は利用者だけでなく、上司や職場の人の間でのコミュニケーションでもとても大切です。
多くの職種の方と関わる介護職の方は是非覚えておきましょう。
同じミスを繰り返さないようにする
訪問介護の仕事は介護技術に慣れた方だけが行うことはありません。資格さえあれば若くても現場で実務を行います。
また、初めて訪問する利用者となるとついつい緊張してしまうのは仕方がないことです。しかし、いくら緊張していたとしても、介護の現場ではミスは禁物です。ましてや、一度注意されたことや、掴んだ利用者の特性・性格の特徴などはしっかりメモを取り忘れないようにしましょう。
同じミスを繰り返すと、「この人 大事丈夫か?」と利用者の不安を煽るだけでなく、自信のメンタルにも緊張を与えることとなり、より悪循環になってしまいます。
基本的なことですがメモを取り、しっかりフィードバックを行い実際の介護に臨みましょう!
うまくいかないと感じた時の対処法
介護の現場において大きな問題となるのは「人間関係」です。育った環境や価値観が違う以上、折り合いがつかないことは致し方ないことです。
もちろんやり取りの中でアンガーマネジメントが難しい時もたくさんあるでしょう。怒りに身を任せるのではなく、しっかりとセルフマネジメントしましょう!
考え方は人それぞれと解釈する
一つの方法や良い意味で自身に「諦観」を持つことです。
人は育った環境や人生経験も違います。二つ折りにしてピッタリ重なる人生は家族含めても一人としてありません。どこかで重ならない部分から歪みが生じるのは致し方ないことではないでしょうか。
「人は人、自分は自分」として考え込まずに諦めることは一つのセルフマネジメントと言えます。
大事なのはどこかに諦めに近い余裕を持つことです。
相手に対して尊敬を示す
介護の現場では、自身が苦しい中でも生活の維持のために一生懸命に頑張る利用者の姿を見ることがたくさんあります。また、利用者の努力の裏には一丸となって支えている家族の存在があります。
仕事をしていると「今」「目の前」の「この時」を中心に物事を見てしまいますが、一歩引いて現在の状況を俯瞰してみると、「生」に対して一生懸命な姿はとても尊敬できるのではないでしょうか。
介護の現場では自身より年上の方をサポートすることが殆どです。
人生の先輩として、しっかりと敬う気持ちを持って接することで感情の爆発を防ぐ抑止力にもなるでしょう。
自身で解決できない時は職場へ相談する
一人で行う訪問介護のサービスは、とかくすると全てを一人で抱えがちです。
プロ意識を持ち仕事を行うことは大切ですが、自身で解決するべきことと、上司や職場へエスカレーションするべきことの区別はしっかりと行いましょう。
サービスの内容や利用者の健康に心身の関する事項はヘルパーだけでは解決できないことです。また、どうしてもコミュニケーションがうまくいかず、八方塞がりになってしまった際も、抱え込まずに相談して解決をする姿勢が大切です。
割り切ることが良い結果に繋がります!
別の事業所で働く
現在働いている事業所で手を尽くしてみたけど、解決できないという場合は、別の事業所で働くのも一つの手です。
事業所のよっては、2人体制での訪問や社用車での移動を義務化しているなどの体制を整えている場合もあります。また、新たな環境で働くことで心機一転、気持ちも前向きになり、仕事への不安やストレスの軽減に役立つことが考えられます。
訪問ではない介護士として働く
ホームヘルパーとして訪問介護で働いていたが、仕事内容や働き方が自分に合わないと感じることもあるでしょう。そのような場合には、訪問介護でない介護士として働くことも視野に入れてみましょう。
介護士が活躍する職場としては特別養護老人ホームをはじめ、介護老人保健施設、デイサービス、デイケア、病院などさまざまです。施設介護では1人の利用者に対し、日勤や夜勤などのシフト制で入れ代わり立ち代わり、介護を提供します。
利用者と適度な距離感を保ちながら、ほかの介護士と一緒にサポートを行うことができます。
訪問介護の仕事を続けるメリット
訪問介護はさまざまな点で施設介護との違いがあります。
ここでは訪問介護の仕事を続けるメリットをお伝えします。
利用者一人ひとりに適した介護を行うことができる
訪問介護の最大の特徴として、利用者の生活空間でサポートを行うことが挙げられます。
そのため、利用者一人ひとりに適した細やかな介護を提供することができます。また、利用者の生活に寄り添って、それぞれのペースで介護を行うと、少しずつ利用者自身にも変化が表れています。
たとえば、少しずつ立ち上がれる時間が増えたり、利用者本人が着替えでボタンをスムーズに掛けられるようになったり。昨日よりは今日と、利用者の暮らしぶりが変化していく様子をそばで見守ることができるのは、訪問介護の仕事での大きなやりがいといえます。
利用者との信頼関係を築きやすい
訪問介護での仕事は、複数の利用者を担当する介護施設での仕事とは異なり、利用者一人ひとりに向き合うことができます。
そのため、利用者とその家族との信頼関係を築きやすいといえます。
はじめはなかなか心を開かなかった利用者さんも根気強くサポートを続けていくうちに打ち解けることも。そういったなかで、利用者がホームヘルパーの来訪を楽しみにしてくれたり、ときには「ありがとう」などと言葉をかけてもらえたりすることで、仕事へのモチベーションはぐっとアップするはずです。
働き方の自由度が高い
ホームヘルパーは、利用者の予約時間に合わせて業務を行うため、その働き方はさまざまです。
ホームヘルパーも例外なく、正社員や契約社員、パート・アルバイトなど、自分に合った雇用形態を選択することができます。それだけなく、派遣ヘルパーや登録ヘルパーなどの働き方であれば、ダブルワークが可能なことも。さらに、自分のライフスタイルに合わせて、短い時間で働くことも可能です。
訪問介護の仕事は働き方の自由度が高く、育児や家族の介護に重点を置きながらも働きたい人に人気のある仕事です!
利用者や家族と良好な関係を築くことができれば、やりがいのある仕事
本記事では、主に訪問介護の利用者との問題や解決法について解説をしてきました。
人と人の付き合いの中で、上記のように割り切れない問題もたくさんあると思います。しかし、一人で抱え込んで自己嫌悪に陥るのではなく、「仕方がないこと」と割り切ることも大切です。
そうして少しでも利用者や家族と良好な関係を築き、双方にとって実りのある介護になることを期待しています。