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【インシデント事例あり】看護師が落ち込んだ時に立ち直る方法とは?
- インシデントを続けて起こしてしまった。
- インシデントを起こしそうで怖くて処置ができない。
- インシデントを起こした経験が頭から離れなず立ち直れない。
このような不安で悩んでいる人はいませんか?
インシデントを起こすことを恐れて新たな行動が取れずにいると、別のインシデントを起こしたり、何も行動が取れないことで看護師としての経験を積んでいけなくなってしまいます。
看護師として働く際に、インシデントを起こしやすい事例があるのはご存知でしょうか?実は、誰でもインシデントを起こしてしまう可能性があるんです。インシデントを起こす前にヒヤリ・ハットを活かしていないという状況に気付いていないこともあります。
インシデントを起こさないために是非とも参考にしてみてください。
インシデントを起こしやすい事例
インシデントを起こしやすい事例はどのようなことがあるのでしょうか?
ここでは以下の事例について解説しています。
- 与薬、薬剤管理
- ドレーン、チューブ
- 転倒、転落
- 医療機器
- 検査
それぞれみていきましょう。
与薬、薬剤管理
看護師のインシデント報告で一番多いのが、与薬・薬剤管理です。
与薬、薬剤管理で起きやすいミスは以下の通りです。
- 与薬時間の間違い
- 与薬量の間違い
- 薬剤内容の間違い
- 患者さんの取り違え
- 点滴滴下速度の間違い
- 輸液の順番の間違い
これらの間違いを起こさないためには、「与薬原則の6R」を確認しましょう。
- 正しい患者(Right patient)
- 正しい薬物(Right drug)
- 正しい目的(Right purpose)
- 正しい用量(Right dose)
- 正しい方法(Right route)
- 正しい時間(Right time)
ドレーン、チューブ
次に、ドレーンやチューブによるインシデントも起きています。
患者さんの移動や体位変換時に接続部が外れたり、抜けたりすることもあれば、患者さん自身が自己抜去することも考えられます。また、ドレーンやチューブが折れ曲がって閉塞したり、切断されたりなどの危険性も高いため注意して観察が必要です。
- 患者さんのベッドを移動するとき
- 患者さん自身がせん妄や意識障害を起こしていないか、ドレーンやチューブが入っていることを理解しているか
- 接続部の外れはないか
- ドレーンやチューブの長さが適切か、固定は確実にできているか
- ドレーンやチューブの屈曲や切断はないか
- ドレーンやチューブが閉塞していないか
- 滲出液によるスキントラブルはないか、滲出液の量や性状はどうか
- 感染兆候の有無
患者さんのケアにあたる際には必ず確認するようにしましょう!
転倒、転落
転倒・転落も非常に多いインシデントの一つです。
患者さんが転倒や転落を起こすことで、骨折や頭部打撲により全身状態の悪化を起こす危険性もあります。
車椅子や歩行介助をする際につまづき転倒したり、患者さんがナースコールを押せず自分の訴えもできないことで自ら動いてベッドサイドで転倒することもよくあります。
認知面が低下している高齢者の場合は、排泄時の転倒も多く頻尿による不眠や下肢筋力低下での転倒も多いです。また、術後のせん妄でも転倒や転落を起こしてしまう可能性があります。
患者さんの精神面や睡眠状況、治療内容を理解し環境や薬剤の管理を慎重に行なっていく必要があります。
医療機器
医療機器においては、人工呼吸器を装着した際の回路の接続ミス、リーク、抜管、点検管理が不十分でインシデントを起こす可能性があります。他には、輸液やシリンジポンプにおいては設定忘れや電源の入れ忘れ、設定確認ミスも挙げられます。
医療機器はエラーになればアラーム設定で知らせてくれるのですが、そもそも設定ミスや接続ミスなど医療機器のアラームだけでは対応しきれないこともあります。
検査
採血時の患者間違えや検体採取のスピッツなどの間違えもインシデントで多い項目です。検査をする前に患者さんに自分の名前と生年月日を名乗っていただいて、検体スピッツや検査項目も併せて確認する必要があります。
インシデント発生後の対処項目
インシデントを起こしてしまった後の行動も重要です。
ここでは、以下のインシデント発生後の対処について解説します。
- 患者さんに影響がないか確認する
- リーダーや上司への報告
- インシデント報告書を書く
- チームでインシデントを振り返る
それぞれみていきましょう。
患者さんに影響がないか確認する
まずは患者さんに影響がないか確認します。
患者さんに大きな影響がある場合には、次の処置を行う必要があります。
リーダーや上司へ報告
インシデントを起こしたら、すぐにリーダーや上司に報告しましょう。
次の行動を起こすためにも必ず報告する必要があります。
インシデント報告書を書く
インシデント報告書を書きます。
報告書は、患者さんの対応が終わってから記入しますが、インシデントを起こしたことで動揺して何をしたか覚えていない状況になる可能性もあります。
その都度、メモに記載していくようにすると良いでしょう!
各施設での書式に従って記入し、医療安全の担当者へ報告します。
チームでインシデントを振り返る
自分が起こしてしまったインシデントは、他の誰かがまた起こす可能性はゼロではありません。
起きてしまったインシデントについては、チームで振り返りをしましょう!
なぜインシデントが起きてしまったのか…
- 多忙だったからか
- 初めての処置だったのか
- 自分の精神的余裕がなかったからか
その時のことを振り返ってまた同じことを起こさないようにすることが大切です。
インシデントの再発防止項目
これまでの事例と発生後と対処項目をもとに、再発生防止のための行動が重要です。
ここでは以下について解説しています。
- 自分のしたことを理解し、行動や思考を整理する
- 気持ちを整理し、切り替える
- 報告・連絡・相談ができているか
- ヒヤリ・ハットは活かされているか確認する
- 看護技術の振り返りをする
- 自分自身の体調管理
それぞれみていきましょう。
自分のしたことを理解し、行動や思考を整理する
インシデントを起こしてしまうと、自分自身を責めたり他の人の評価を気にして落ち込んでしまいますよね。しかし、なぜインシデントを起こしてしまったのかを理解して、行動や思考の整理をすることが大切です。
インシデントの報告書を書きながら、起こしてしまったのは
- 業務が煩雑だったからか
- 自分の経験不足からか
- 誰にも相談できない状況だったのか
など、冷静に振り返るようにしましょう。
気持ちを整理し、切り替える
インシデントを起こしたからは気持ちの落ち込みがあって前向きになれないで嫌になってしまう人もいるでしょう。インシデントは誰でも起こしてしまうミスでもあります。
気持ちを落ち着かせ、気持ちを切り替えられるように自分の好きなリラックス法をやってみるのも良いでしょう。
報告・連絡・相談ができているか
インシデントを起こしてしまったのは、「報告・連絡・相談」ができていたかを振り返ることも大切です。職場の人間関係や業務の忙しさによってはこれらができない状況もあるかもしれません。
ミスを起こさないためにも「報告・連絡・相談」ができるように普段からコミュニケーションを図っていくようにしましょう。
ヒヤリ・ハットは活かされているか確認する
インシデントを起こす前には、ミスを起こしてしまいそうな「ヒヤリ・ハット」が多く隠れている場合があります。この気付きを明確にして、他の看護師と情報の共有を行うことでインシデントを未然に防ぐことができるようになります。
「ヤバい。ミスしそうだった。」といった気付き「これはミスしそうな状況だ。」と感じた時には、すぐにヒヤリ・ハットの提出と情報の共有をしていきましょう。
看護技術の振り返りをする
インシデントを起こしたときの自分自身の看護技術はどうでしたか?
不慣れや未経験もあるかもしれません。また、ルーティーンワークであってもミスを起こしてしまうことがあります。
どの看護技術においても、基本的なことを忘れずに一つひとつこなしていくようにしましょう。
自分自身の体調管理
インシデントを起こしてしまう原因には、自分自身の疲労や不眠も合わさってしまう場合があります。日頃から自分自身の体調管理にも注意しましょう!
インシデントは事前防止、発生後の対処が重要!
人は誰でも失敗はするものです。インシデントを起こしてしまったら落ち込むし、嫌になってしまうのもわかります。しかし、その失敗を次に活かせるかが重要なんです。
看護師の仕事は、患者さんの命に関わることが多くて緊張もするし看護師自身の負担も大きいですよね。患者さんへの心身の負担をかけてしまう可能性もありますので、インシデントは事前に防止することと発生後の対処を必ず行いましょう。