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【介護職で大切なことは?】仕事の魅力ややりがい、大切な4つの姿勢
これから介護の仕事をするにあたり、期待や不安など様々な感情に駆られていると思います。
では、介護という言葉の定義を改めて整理すると共に、介護職において、仕事をする上で大切な姿勢やコミュニケーションの取り方について解説をしていきます。
是非本記事を読んで実務に活用していきましょう!
介護とはどのような仕事なのか
介護職で仕事をするにあたり、大切なことを解説する前にそもそも「介護って何だろう」と疑問に感じている人もいるのではないでしょうか。特に新人の方や、未経験から介護の業界に飛び込んできた方にとって、介護という言葉の指す範囲に疑問を感じている方もいると思います。
そこで、以下で介護という言葉の定義について、似たような言葉との違いを解説し定義を明確にしていきたいと思います。
介護の定義
介護という言葉について、法律で厳密に意味が定義されているものではありません。
辞書的な意味はたくさんありますが、概ね「高齢者や身体が不自由な方の人の行為を助けるもの」というイメージが一般的ではないでしょうか。
介護の基本理念
介護保険制度全体の理念として、厚生労働省は以下のように述べています。
- 要介護者が尊厳を持って、自立した生活を営めるようにサービスを給付
- 国民は、要介護状態となることを予防するための健康保持増進、要介護状態となった場合にも、介護サービスを利用して能力維持向上に努める
出典:https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/kaigi/060609/dl/25.pdf
また、介護業界で大切な理念とされている「介護の三原則」という言葉もあります。別名「高齢者福祉の三原則」「アナセンの三原則」とも言われ、世界的に福祉国家として有名なデンマークにて提唱されました。三原則の内容は以下となります。
- 生活の継続
- 自己決定の原則
- 残存能力の活用
介護の仕事というと、施設や家族の方の意向が中心となってサポート内容が決められることもありますが、あくまでも大切なのは「本人の希望に寄り添って、利用者本人が選択・決定をすること」です。
どちらの理念も介護職に従事する人にとって、胸に刻んでおきたい基本理念と言えるでしょう。
介助や看護との違い
介護と似たような言葉として、「介助」や「看護」があります。
介護が高齢者や身体が不自由な方の生活をサポートし、自立支援をすることだとすれば、介助は「付き添って動作などを手助けする・介添え」と定義されており、介護という大きなカテゴリーの中にカテゴライズされているのが介助という概念と言えるでしょう。
また、看護は「怪我人や病人などの手当をし世話をすること」と定義されています。世話をするという点は両者共通ですが、手当や治療という側面がより強いのが「看護」と言えるでしょう。実際、両者の資格内容や仕事内容も異なっているのが現状です。
介護の仕事の魅力ややりがい
介護職は、日々やりがいを感じられる魅力的な仕事です!
こちらでは、介護の仕事の魅力ややりがいについてご紹介します。
介護職の働き方として、施設介護の他にホームヘルパーとして働く方法もあります。
施設介護とは違った業務内容であり、やりがいやメリットなどが少し異なる部分がありますので、訪問介護に興味がある方は「ホームヘルパー(訪問介護員)のやりがいって何?仕事内容やそのメリットもあわせて紹介」の記事をご覧ください。
利用者やその家族に直接感謝されることが多い
介護の仕事のやりがいとして、直接感謝されることが多いという声がよく聞かれます。介護を必要とする人にとって、日常生活のあらゆる場面をサポートしてくれる介護職員の存在が非常に大きいです。
直接介護サービスを受ける利用者だけでなく、その家族や周囲の方の負担を軽減してくれる存在でもあります。
自分が行った仕事で、「ありがとう」と言われると、この仕事をやっててよかったと実感できるでしょう。
経歴や年齢、性別問わずキャリアアップしやすい
基本的に、介護の仕事はこれまでの経歴や年齢、性別を問わずキャリアアップが実現しやすい業種です。業務上、介護に関する資格が必要な場合がありますが、未経験から資格取得を目指すことも可能です。
キャリアアップすると、責任も大きくなりますが、収入アップも実現します!
景気や経済状況によっては、不安定になりがちな業種がある一方で、長く働き続けられることも介護職の魅力です。
活躍できる現場が多い
介護施設は様々な種類があり、介護職が活躍できる場所は数多く存在します。
有料老人ホームやデイサービス、ホームヘルパーが所属する訪問介護事業所も就職先の一つです。また、介護に関する資格が増えると、行政や医療、学校などというように携われる現場も増えます。
興味がある分野で活躍することもできます!
ただし、施設によって業務内容や勤務体制などが異なりますので、希望する働き方に合う職場を選びましょう。
人生における学びを得られる
介護の仕事を通して、人生の大先輩からあらゆる学びを得られることも魅力の一つです。
高齢者の方は、これまでの人生で私たちが経験していないような貴重な体験をしておられます。日々のコミュニケーションを通して、昔の話を聞いたり、おおらかな態度に学びを得られるでしょう。
人生の教訓や学びを得て、人としての成長を感じられる場面も多々あることでしょう!
介護の仕事で大切な4つの姿勢とは?
上記では介護という言葉の定義や理念、更に似たような言葉との違いについて述べてきました。では、介護の仕事で必要になる姿勢とはどのようなものがあるのでしょうか。具体的には以下の3つとなります。
- 思いやりを持つこと
- 広い視野を持つこと
- 常に理想を高く持つこと
- ポジティブに気持ちを切り替えること
それぞれについて解説をしていきます。
① 思いやりを持つこと
介護は上記原則にも謳われているように、利用者の生活を継続させ、主体的に選択・決定させることに意義があります。そのため施設や訪問など事業者の業態を問わず、常に利用者のことを思いやりながら仕事に励んでいくことが必要です。
② 広い視野を持つこと
介護の現場では、転倒や徘徊などちょっとした動作に危険が及ぶことがたくさんあります。訪問介護ではヘルパー1人で利用者の居宅に赴くことも多いため、より責任は重大と言えます。
至る所にリスクが存在するため、しっかりとリスクを予見しながら、「いつもと違う」という事態いち早く気づく観察力が必要です。
③ 常に理想を高く持つこと
介護業界は、試験制度の改定など知識・技能が日進月歩で進んでいる業界です。常に新しい知識をキャッチアップしていく向学心と同時に、見失いたくないのが「自身の理想の介護の姿」ではないでしょうか。
自身の理想をしっかりと据えていれば、辛い時に支える糧になってくれるでしょう。そうした介護観の見つけ方については以下の記事で解説をしているので、参考にしてみてください。
④ ポジティブに気持ちを切り替えること
やりがいや魅力が大きい介護の仕事ですが、大変なことも多々あります。
体力的・精神的に疲れを感じることもありますが、大事なことはポジティブに気持ちの切り替えを行うことです。
ストレスが蓄積すると体調に変化が表れ、仕事どころではなくなってしまいます…
自分のなりの気持ちの切り替え方を身につけたり、プライベートと仕事のオン・オフをはっきりつけるといった工夫を行うことが大切です。
気持ちをポジティブに向かないときは、笑顔を意識的に作ったり、軽くストレッチをして体と心を落ち着かせてみましょう。
介護のコミュニケーションで大切なこと
介護の仕事は、利用者だけでなく、利用者家族や他職種の方など多くの方とコミュニケーションが必要です。そのため、しっかりとコミュニケーションの基本を抑えることはとても大切です。
また、コミュニケーションには幾つかの種類があります。しっかり理解することで、良好なコミュニケーションを図る事につながります。以下に解説をしていくので、しっかりと理解していきましょう。
コミュニケーションの基本
コミュニケーションは一方的なものではなく、双方で取り合うものとなります。そのため、会話をする中で「話し上手」と「聞き上手」の両方になれることが大切です。
両者を上手に使い分けるために、必要になるのが以下3つの姿勢です。
傾聴
相手の話に相槌を打つなど、「聞いている」という姿勢をしっかりと表現する形です。
共感
相手の話していることや状況を感じ取るために働かせる想像力が必要となります。
受容
相手のありのままを受け止める姿勢です。いずれも上記3つの姿勢を基本としながらコミュニケーションを図っていくことが必要と言えるでしょう。
言語的コミュニケーション
言語的コミュニケーションとは、言語によってコミュニケーションをとる手段を言います。例えば、挨拶や気配り、更に肯定的な言葉の投げかけなどは良好な関係性を築くために必須と言えるでしょう。
また、言語に付随する口調や話す速度、そして声の大きさなどは「準言語的コミュニケーション」と言われ、高齢者と話す際に必要な要素となるため、是非意識しておきたいポイントです。
非言語的コミュニケーション
言語によるコミュニケーションに対して、表情や身だしなみなど言語以外のコミュニケーションの手段を「非言語コミュニケーション」と言います。「人は見た目が9割」と言われるように、話す以前の印象が大きく評価を分けます。
具体的には身だしなみや表情、更に姿勢などが代表例です。無意識に癖の出やすい部分ですが、多くの方の印象を左右するため、癖がある方は意識して改善に取り組むべきでしょう。
介護職のコミュニケーションで大切な姿勢や対応
上記で、介護の仕事で必要なコミュニケーションの基本や種類についてご紹介しました。
介護現場では、コミュニケーションの基本を踏まえて、利用者に対する姿勢や対応を心がけることが大切です。
こちらでは、介護職のコミュニケーションで大切な姿勢や対応について3点ご紹介します。
利用者個人に寄り添う姿勢
介護の現場では、利用者1人ひとりに寄り添う姿勢が大切です。
業務に慣れてくると、日々同じような流れで作業を行い、機械的な対応になってしまいがちです。しかし、利用者によって考え方や好みなどが異なります。
忙しくて大変なこともあると思いますが、個人に寄り添うことを忘れてしまうと利用者は不快感や不安を抱いてしまいます。利用者との間に距離ができてしまい、適切な介護サービスが提供できなくなることも考えられます。
個人に寄り添う姿勢で、コミュニケーションを取ることを忘れないようにしましょう。
利用者が安心感を抱ける対応
利用者とコミュニケーションを取るうえで、相手が安心感を抱ける対応を心がけることも大切なことです。
なかには、介護職員に対してなかなか心を開いてくれない利用者もいます。
介護拒否に悩まされるケースもありますが、コミュニケーション不足により信頼関係が構築されていないことが原因であることも少なくありません。しかし、コミュニケーションを通して信頼関係を築くことができれば、利用者の心を開くことができます。
利用者が安心して介護を受けられるように、意見を否定せずに優しく受け入れる対応を心がけてみましょう!
利用者との間に信頼関係ができ、利用者が介護に協力的な姿勢を見せてくれるといった効果も期待できます。
利用者の尊厳を尊重する対応
介護サービスを提供するにあたり、介護を受ける側の人の尊厳を尊重することを忘れてはいけません。
業務のなかには、排泄介助や入浴介助など利用者にとってデリケートな部分も多々あります。利用者が恥ずかしいと感じ、精神的に苦痛を感じてしまう恐れもあるためコミュニケーションが大切になります。
丁寧な言葉遣いで優しい口調で話しかけ、プライバシーを尊重する対応を心がけるようにしましょう。
介護の現場は接遇も大切!
介護の現場では、コミュニケーションや姿勢・対応の他に、接遇面も重視されます。
こちらでは、介護の現場で接遇が大切な理由についてご紹介します。
接遇のマナーについては、「【接遇マナーの5原則とは?】介護現場で求められる接遇について解説!」の記事を参考にしてみてください。
身だしなみを整えることで利用者の安全が守られる
接遇マナーには、身だしなみを整えることも含まれます。介護職員が身だしなみを整えることは、利用者の安全を守るために大切なことの一つです。
例えば、爪が伸びていると利用者の身体を傷つけてしまう恐れがあります。また、制服をルール通りに着衣していないことで、服が物に引っかかり倒してしまうリスクもあります。
ルールに則って身だしなみを一律に整えることで、より安全な環境で介護サービスを提供できます。
業務上、利用者の身体に直接触れる機会も多いため、髪型から足元まで細かい部分の身だしなみを注意しましょう。
利用者やその家族、他スタッフとの信頼関係が築ける
接遇マナーを身につけている介護職員は、利用者やその家族からより高い信頼を得ることができます。介護現場では、信頼関係の構築が重要ですが、大変な部分でもあります。
相手に不快感を与えない身だしなみや対応を心がけていることで、「話しかけやすい」「あの人なら信頼できる」と感じてもらえます。さらに、他のスタッフとの間にもより深い信頼関係を構築されます。
職場全体の雰囲気が良くなるため、働きやすい環境になるというメリットもあります。
自身のスキルアップに繋がる
接遇マナーを身につけることで、より信頼される介護職員として成長することができます。
介護の仕事を長く続けるうえで、接遇マナーは必須です!
他の職員からも信頼を得られるようになるため、職場で欠かせない存在となります。
自身のスキルアップに繋がり、より介護の仕事に対してやりがいを感じられるでしょう。
まとめ
本記事では介護の基本的な意味合いから理念、また仕事姿勢やコミュニケーションにおける大切なことについて解説してきました。
仕事の姿勢やコミュニケーションについては、介護職に限らずあらゆる場面で大切な姿勢です。利用者だけでなく関係する職種の方も多い介護職では、コミュニケーションの取り方はとても大切です。
利用者個人に寄り添い、安心感を与えることや尊厳を尊重することを重視して対応するように心がけましょう!
また、仕事の姿勢については、新人の時はしっかりと行うものの、年次が上がるにつれ薄れていくこともあります。本記事を読んだ方は是非いつまでも介護職としての初心を忘れず、実践するよう努めていきましょう。