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老健で働く看護師は大変?業務内容やスケジュール、給料についても解説
「老健で働くなんて大変だよ!」
あなたもそのようなことを言われたことがあるのではないでしょうか。
確かに、これまで病院に勤務していた人が老健に移ると業務が大きく異なるため、最初は戸惑ってしまうかもしれません。また看護師としての経験が浅ければ大変だと感じてしまうこともあるでしょう。
良い面も悪い面も全てお伝えしますので、ぜひ参考にしてくださいね。
老健とは
老健とは介護老人保健施設の略で、介護が必要な高齢者を対象とした自立や在宅復帰を目指す施設です。
公的な施設のため、介護保険が適用されます!
介護の他にも、以下のようなサポートが受けられます。
- 医師による医療行為
- 作業療法士や理学療法士によるリハビリテーション
- 夜間の対応
- 在宅復帰支援
- 栄養管理
老健は在宅復帰を目的とした施設であるため、自立を支援するサービスが多いのが特徴です。
老健の配置基準
老健では、以下の通りに人員の配置基準が設けられています。こちらの配置基準は入所定員100人当たりの数値となっております。
- 常勤医師1名
- 看護職員9名
- 介護職員25名
- 理学療法士、作業療法士もしくは言語聴覚士1名
- 介護支援専門員1名
また、上記以外にも相談員などを雇っている施設もあります。
老健の勤務体制
老健では、ほとんどの場合、24時間いつでも施設に看護師がいる状態を作っています。そのため、日勤担当と夜勤担当に分かれているところが多いです。またシフト制を取っている所もあります。
自分に合った働き方ができる施設を探してみましょう!
老健の看護師のリアル
まずは老健について、基本的な事柄をお伝えしました。
ここからは業務内容や収入など、よりリアルなことをお伝えしていきます。
役割
老健と似た施設として特養(特別養護老人ホーム)がありますが、両者には大きな違いがあります。それは、特養が終身利用なのに対して老健は自立や在宅復帰を目指す施設であるということ。老健の入居期間は原則3か月です。
1人の利用者と長く付き合うというよりも、入れ替わり入ってくる利用者の自立を促すことが老健の看護師の役割だといえます。
業務内容
老健の看護師の業務内容には、以下のようなものが挙げられます。
- 利用者の栄養管理・健康管理
- 点滴やインスリン注射など医療関係の行為
- 服薬管理
- 医師や介護士、作業療法士、理学療法士などとの連携
- 診察やリハビリの補助業務
勤務スケジュール
老健の看護師の1日の勤務スケジュールはおおむね決まっています。ただし、日勤の場合と夜勤の場合がありますので、別々に紹介していきます。
日勤の場合
施設によって1日のスケジュールは異なりますが、日勤の場合は以下のようなスケジュールが基本となります。
09:00 出勤・利用者の状態を確認
10:00 利用者の状態に合わせた医療行為(必要に応じて)
11:00 入浴前後の健康チェック・入浴
12:00 服薬準備、食事介助の補助
14:00 口腔ケア、検温、巡回
15:00 記録や物品補充などの準備
17:00 胃ろうの対応、申し送り
18:00 引継ぎ・退勤
必要なことを引き継いで、退勤時刻には帰宅できます。
夜勤の場合
夜勤の場合は日勤とは違い、あまり細かいスケジューリングはされていません。
日勤担当者から引継ぎを行った後は、まずは夕食時のサポートや着替え、排せつの手伝いなど、就寝準備を進めます。利用者が寝ている間は緊急時に備えてナースルームで待機(多くの場合は事務作業があります)しているか、見回りなどもあるところはあります。
朝は起床時の点呼、状態確認や朝食のサポートなどを行い、日勤担当者に引き継いで、交代する形で退勤となります。
収入事情
老健の看護師の収入は、常勤か非常勤かで変わってきます。それぞれの平均年収は次の通りです。
- 常勤の場合:月448,962円
- 非常勤の場合:月362,987円
施設によっては日勤と夜勤で異なる場合もあります。
入所を希望している施設のホームページなどでチェックしてください。
老健と他の施設の違い
老健は他の施設(特養など)とは目的が異なります。
老健:利用者の自立・在宅復帰を目指す
⇒原則3か月の入居期間の間にリハビリや医療ケアを行う
特養:要介護者の生活支援や身体介護を行う
目的によって業務内容や利用者との付き合い方も変わってきますので、転職の際はどの職場が自分に合っているか、考えながらそれぞれの特徴を見比べてみてください。
老健で働くメリット4つ
老健は他の施設とは違うポイントがいくつかあります。そのため、他の施設ではなく「老健で」働くメリットというものもあるのです。
ここでは老健で働くメリットを4つ紹介します。
体力的な負担が少ない
老健で働くメリットとして、病院での勤務と比べて体力的な負担が少ないということが挙げられます。
残業がほとんどない
病院での勤務と比べて残業が少ないこともメリットの1つ。
事前に希望の時間帯を伝えるようにしましょう!
入居者との関係が短期間で終わる
老健は自立、在宅復帰を目指す施設ですので、何年も何年も施設に入居する人は稀です。そのため、入居者との関係が短期間で終わります。
深い人間関係を築くのが苦手な人にもおすすめです!
看護師としてのスキルを身に付けられる
定期的に新しい利用者が入ってくるため、その都度やるべきことが変わってきます。そうすると同じ人と長く寄り添う場合と比べてより多くの業務を経験することになります。
他の職場よりも早く、看護師としてのスキルを身に付けることができるのです!
老健に向いている人の特徴3選
これまで見てきたように、病院での勤務と老健での勤務には大きな違いがあります。一口に看護師といっても求められるものは異なります。
ここでは老健に向いている人の特徴を3つ紹介します。
自分に当てはまっていると感じたら老健での勤務をおすすめします。
高齢者とのコミュニケーションが得意
まずは「高齢者とのコミュニケーションが得意である」ことが挙げられます。老健の利用者は高齢者ですので、高齢者とのコミュニケーションを避けて通ることはできません。
職場のメンバーとだけでなく、利用者ともスムーズに関係を築いていけるスキルが求められます。
チームで働くことが得意
1人の利用者を自分だけでみるわけではありません。複数人で協力して看護業務を行います。そのため、ほうれんそう(報告・連絡・相談)や引継ぎなどがスムーズに行う必要があります。
チームメンバーとのコミュニケーションも取れることが必要です。
性格が穏やか
利用者の中にはわがままな人や性格の悪い人もいます。そういった人たちと関わるときにはトラブルにならないよう、怒ったり嫌な顔をしないよう、常に穏やかでいることが求められます。
老健の看護師が辞めたいと思う理由5選
老健での勤務は良いことばかりではありません。人によっては合わないと感じることもあるでしょう。
ここでは、老健で働いていた人が辞めたいと思う主な理由を5つ紹介します。
職場での人間関係でのトラブル
老健の看護師が辞めたいと思う理由の1つ目は「職場の人間関係でのトラブル」です。
特に、老健には医師や介護士、作業療法士、理学療法士、相談員などさまざまな立場の人がいます。そのため、自分とは考え方や価値観の違う人がいてもおかしくありません。狭い空間で嫌悪な関係になってしまうととても働きづらいです。
職場内では穏便に人間関係を構築することが求められます。
入居者との関わり方の違い
老健は病院のように治療中だけ入院させる施設でもなければ、居住施設として長期滞在するところでもありません。そのため、他のところでの勤務、人間関係の築き方に慣れているとその違いに戸惑ってしまうことも。
老健への転職を検討している人は、そもそも老健は他の施設とは違うものなんだ、という認識を持っておきましょう。
働くことに対する価値観の違い
老健の目的は利用者の自立ですので、看護師は利用者が自立できるように動くことが求められます。しかし、他の職員の中には自分の仕事をこなすことだけを考える人もいるかもしれません。
また、利用者の中には自立や在宅復帰を目指していない人もいるでしょう。そういった人たちともうまく付き合っていかなければならないため、大変だと感じる人もいるのです。
重い責任
看護師は利用者の命、健康に携わる仕事です。そのため、重い責任感を持つことが求められます。看護師の中には、その責任感に負けてしまい、仕事を辞めたいと思う人もいるのです。
利用者とのトラブル
看護師は職場の仲間だけでなく、利用者との人間関係も良好にしなくてはなりません。とはいえ、自分とは合わない利用者もいます。
万が一、利用者とのトラブルが起きるとメンバーに迷惑をかけてしまったり、他の利用者に避けられてしまうこともあります。そうなるとたった一度の失敗であっても、居心地が悪く、その職場を辞めることになりかねないのです。
メリット・デメリットを知って、自分に合った職場で働こう
老健にも他の施設にもそれぞれ特徴があります。施設の目的によって業務スタイルや利用者との付き合い方も変わってきます。
それぞれの特徴と自分の性格や能力を見比べて、ぜひ自分に合った職場を見つけてくださいね。