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【准看護師が看護師と名乗るのはなぜ?】その違いと資格取得方法を解説
- 准看護師も看護師も同じなのではないか
- 准看護師なのに自分は看護師だと名乗っている人がいるがそれは違法ではないのか
- 准看護師と看護師は同じことをしているのに何が違うのか
医療機関やクリニック、施設で働いている准看護師が看護師は同じ業務をしているのに何が違うのかと思ったことはありませんか?
患者さん側から見たら、同じような業務をしているので違いは全くわからないですよね。しかし、准看護師は看護師ではありません。
今回では、准看護師としても活動の場はさまざまあり、今後看護師を目指して給与もキャリアもアップできる方法を解説します。
准看護師と看護師の違いって何?
准看護師と看護師の違いは何があるのでしょうか?
同じ職場で同じように働いているため、違いを知らない人も多いと思います!
准看護師と看護師についての疑問は以下のようなことがあります。
- 准看護師とは
- 看護師とは
- 准看護師が看護師と名乗るのは違法なのか
- 准看護師が看護師になる方法
ここでは、これらについて解説します。
准看護師とは
准看護師とは、医師、歯科医師、または看護師の指示のもと、療養上の世話や診療の補助を、対象者の安楽を配慮し安全に実施する人のことを言います。
准看護師になるためには、准看護師の養成学校に進学し、2年間必要な知識・技術を身につけ、都道府県知事が発行する免許を取得することが必要です。
免許を取得した後は、病院やクリニック、施設などで働くことができます!
看護師と比較すると、看護学校や養成所の学費は比較的安く、仕事をしながら通学する人が多いのも特徴です。
准看護師の活躍の場は、病院だけではなく施設やクリニックなど多岐にわたります。しかし、看護師と比較するとできないこともあるため、給与は低くなってしまいます。
看護師とは
看護師とは、国家試験を受けて合格し、厚生労働省が発行する免許を取得した国家資格の一つです。
看護師養成の専門学校もしくは大学を卒業し、国家試験を受けることになります!
国家試験を受験した後、合格発表は約1ヶ月後です。看護師として就職が決まったとしても、看護師免許を取得できるのはその合格発表後になりますので、免許がないので就職先で看護業務に従事することはできません。しかし、准看護師になった後に看護師国家試験を受験した人は、合格するか、不合格だったとしても准看護師として働くことが可能です。
看護師になれば、総合病院や大学病院などへの就職先の選択肢が増えたり、認定看護師や専門看護師へのキャリアアップが可能となります。
准看護師が看護師と名乗るのは違法なのか
准看護師と看護師は、基本的には仕事内容は変わりません。
自分は准看護師なのに看護師であると名乗ることは違法になるのでしょうか?
保健師助産師看護師法(保助看法)第5章の規定では、「この法律において看護師とは、厚生労働省の免許を受けて、傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は補助を行うことを行とする者をいう。」第6章では、「この法律において准看護師とは、都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、前条に規定することを行うことを業とする者をいう。」とされています。
免許の発行元が異なるため、准看護師は「国家資格ではない」のです。
准看護師が看護師になる方法
准看護師から看護師になることができれば、給与のアップが望めます。
- 准看護師を取得して夜間の看護科がある看護学校に進学
- 2年制又は定時制の専門学校へ入学
- 4年制大学に進学し国家試験を受けて合格
厚生労働省が発行する免許を取得すると看護師になれます。
准看護師の資格に加えて7年以上の実務経験があれば通信制の専門学校を受験することも可能です。
働きながら看護師を目指したい、学校に通学する時間が確保できない人にとっては通信制の専門学校もあります。ナースケ
自分の環境に合わせた学び方の選択をしましょう!
准看護師にできること
准看護師と看護師の業務はほぼ変わりはありませんが、准看護師にできることとしては何があるのでしょうか?
准看護師の業務には、以下のようなことがあります。
- バイタルサインの測定
- 点滴の作成や投与
- 薬のセット、配薬
- 手術や処置の補助
- 食事や入浴介助
- カルテ入力
ここでは、これらについて解説します。
バイタルサインの測定
准看護師は、患者の全身状態把握のためのバイタルサイン測定をすることができます。これは看護師も同じくできます。
点滴の作成や投与
医師の指示のもと処方された点滴の作成や投与も、准看護師ができることの一つです。
薬のセット、配薬
医師の指示のもと処方された薬のセットや配薬も准看護師であればできます。患者一人ひとりに渡したり、直接飲んでもらえるような援助をすることが可能です。
手術や処置の補助
准看護師は、手術室での機械出しや補助、病棟や外来などでの処置の補助も可能です。その際には、必ず医師と看護師の指示のもと実施されます。
食事や入浴介助
患者の食事介助や入浴介助も准看護師の資格があればできます。しかし、医療の資格のない看護補助者でも食事介助や入浴介助をすることは可能です。その際には、看護師の指示患者の状況把握の下に実施されます。
カルテ入力
准看護師の資格があれば、電子カルテの入力や紙カルテの記載も可能です。その際に、准看護師はアセスメントを専門学校で学んでいないため不十分になってしまう場合があります。
准看護師にできないこと
逆に、看護師ができても准看護師にはできないことがあります。
具体的には、以下の業務があります。
- 自己判断で看護業務を行う
- 他の看護師に指示を出す
- 管理職への昇進
- 看護計画に立案
- リーダー業務
ここでは、これらについて解説します。
自己判断で看護業務を行う
准看護師は、自己判断で看護業務を行うことはできません。保健師助産師看護師法にあるように、医師又は歯科医師、看護師の指示のもと業務を行う必要があるからです。
他の看護師に指示を出す
准看護師は、他の看護師に指示を出すことはできません。法律上、あくまで准看護師は医師や看護師から指示を受けて業務を行う立場であるため、指示は出せないのです。
管理職への昇進
准看護師は、基本的には管理職への昇進もできないとされています。准看護師としての経験年数が長かったとしても、看護師や准看護師を管理する能力を学ぶ機会も設けられていません。
看護計画の立案
看護計画とは、患者の入院から退院までの療養生活の過ごし方や目標などを計画・立案したもので、入院患者全員に対して作成されます。看護師は、看護学校や大学で看護計画の立案やアセスメントについて学びますが、准看護師は看護計画に関する教育を受けていないため、実務で作成することはできません。
チームリーダー業務
准看護師は、他の看護師に指示を出せないのと同様にチームリーダーとしてチームメンバーへの指示を出したり指導したりはできません。医師の指示を受けることは可能ですが、チームリーダー業務を行えないのです。
このことから、准看護師として働く以上は、看護現場での活躍が求められるのです。
今後の准看護師制度
准看護師の資格では、大学病院や総合病院への就職は難しく、管理職へのキャリアアップ、専門看護師や認定看護師といった資格を取得することができません。
准看護師制度は、戦後の急激な病院増設により看護師の需要が大きくなる中で、当時女子の高校進学率が低く、看護師を十分に増やすことが難しいため、中学校卒業を要件とし看護師を補助するものとして発足しました(日本看護協会ホームページ参照)。
以前より、准看護師制度の廃止が議論されてきました。それは、業務を行う上で医師や看護師の指示が必要であり、法的な決まりにより准看護師は自律的に業務が行えないために看護師と一本化すべきという理由からです。
看護師が不足している状況下でも業務を円滑に行うためにも看護師と准看護師の両者を配置して機能分担が必要という考えもあり、准看護師制度が守られている側面もあります。
准看護師としても活躍の場はさまざま!看護師を目指して給与もキャリアもアップ
准看護師と看護師の違いをご理解いただけたと思います。免許の違いはありますが、准看護師は医療従事者としてさまざまな場所で活躍ができます。
今後も准看護師として看護現場での活躍も期待されています!
准看護師だけではなく、看護師を目指して給与もキャリアもアップすることでのご自身のやり甲斐も満足度もアップするでしょう。