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介護士で腰痛になる原因は?予防のための対策法や退職後の働き方を紹介
「最近、腰に違和感がある」「これ以上、腰痛を悪化させたくない」と正しい姿勢や動作を心がけていても、慢性的な腰痛に悩まされる介護士は少なくありません。腰痛を放置しておくと、仕事のパフォーマンスが低下するだけでなく、日常生活にも支障が出てしまいます。
この記事を読めば、腰への負担を軽減しながら仕事ができるようになり、日々の介護業務をより快適に進められるようになるでしょう。
介護士に多い腰痛の原因
なぜ介護士は腰痛になりやすいのでしょうか。
介護職員の腰痛有訴率は57.5%~78.9%と半数を超えています。また、厚生労働省の「介護事業における労働災害」の実態調査によると、腰痛は介護事業で発生した方が84%であることが明らかになっています。
ここからは、介護士に多い腰痛の原因を紹介していきます。
正しい介助方法ができていない
正しい方法で介助を行わないと、介護者が腰痛を引き起こしやすくなります。例えば、移乗介助の際に力任せに利用者さんを抱える、または持ち上げると、腰痛を引き起こす原因になります。
一方で、移乗介助などの身体介助では、介護者が身体全体を使って利用者さんを支えるようにすると、腰への負担が軽減されるでしょう。
正しい介助方法を実践することが、腰痛予防につながります。
よく中腰になって作業をしている
中腰で作業をすると、腰痛を引き起こす原因になります。特に、長時間にわたって中腰の姿勢を続けると、腰に大きな負担がかかります。
介護職には、掃除や皿洗いなどの生活支援も含まれます。家事の多くは下を向いて行う作業が多く、どうしても中腰になりがちです。
その影響で、慢性的な腰痛につながる恐れがあります。
介助負担を減らす道具が揃っていない
福祉用具が揃っていないことも、腰痛の原因になります。
最近では、介助を補助する福祉用具が多く開発されており、使用することで腰や体力への負担を大幅に軽減可能です。しかし、これらの用具が揃っていなければ当然使用できず、介助時の負担も軽減されず腰痛が起こりやすくなります。
腰への負担を軽減する福祉用具には、リフトやスライディングボード、スライディングシートなどがあります。
また、介護職員の負担を軽減するための介護ロボットも多く開発されていますので、このような福祉用具を積極的に活用すると良いでしょう。
トイレや浴室などが使いにくい
トイレや浴室などが使いにくいと、腰痛の原因になります。利用者さんに協力動作を促したり、全介助を行う際には、動きやすい生活環境が重要です。
例えば、トイレなどの場所が狭く、手すりがつかまりにくい位置にあると、立ち上がりの際に利用者さんの協力を得るのが難しくなります。また、スペースが狭いため、介護職員も十分に体を動かせず、結果的に腰に負担をかける姿勢での介助になってしまうでしょう。
このように、介護施設の職場環境が整っていないと、腰痛のリスクが高まります。
人手不足で一人の職員の負担が大きい
人手不足によって、一人の職員にかかる負担が大きくなると、腰痛のリスクが高まります。人手不足の介護現場では、協力して作業することが難しくなり、その結果、一人の介護士にストレスや負担が集中してしまうためです。
例えば、本来2人で行うべき利用者さんの介助を1人で対応したり、連続して負担のかかる入浴介助を行ったりしている場合は、腰痛につながる他、ストレスから健康を害するリスクもあるため、注意してください。
しかし、現状は人手不足が介護業界での大きな課題です。介護現場の人手不足は、介護士の腰痛を引き起こす一因となるため、根本的な対策や管理が重要です。
育児や寝方などでプライベートでも腰に負担をかけている
介護業務以外の要因も、腰痛の原因になることがあります。普段の私生活で腰に負担をかけると腰痛の引き金となり、介護の仕事でさらに悪化してしまうでしょう。
例えば、育児中の抱っこや、前かがみの姿勢での家事は、腰痛を引き起こす恐れがあります。
最近、腰や背中に違和感を覚える方は、一度私生活の習慣を見直してみるとよいでしょう。楽な姿勢で家事等できる方法を探してみるのがおすすめです。
介護士の腰痛を予防するための対策法
介護士の職業病ともいえる腰痛への不安を抱えるのは、皆さん同じです。誰もがその予防法を知りたいと思うでしょう。
そこで、ここからは介護士の腰痛を予防するための対策法を紹介していきます。
ボディメカニクスを意識する
腰痛を予防するために、正しい方法で介助を徹底することが大切です。
ボディメカニクスを取り入れた介助が行える等の介護技術のスキルやコツを身に着けると、腰の負担を軽減した介助ができるようになるため腰痛につながりにくいです。
ボディメカニクスの8原則は、以下になります。
- 介助者の支持基底面を広くする
- 介助者の重心を低くする
- 介助者と高齢者の身体をできるかぎり近づける
- てこの原理を活用する
- 大きな筋群を使う
- 介助者は身体をねじらない
- 水平に移動する
- 高齢者の身体をコンパクトにまとめる
正しい姿勢・体勢で介助を行えば、腰痛予防になるだけでなく、安全性が高まり、利用者さんに安心感を与えられます。
介護職員にまだ浸透していないという事業所があれば、ぜひ研修等の実施を検討してみてください。
ベッドの位置を合わせる
排泄介助や移乗介助の際、ベッドの位置を正しく調整することは、腰痛予防に効果的です。ベッドの位置が不適切だと、姿勢が崩れ、腰に負担がかかるからです。
例えば、ベッドが低すぎると中腰になり、逆に高すぎると不自然な姿勢を取ることになります。腰の負担を軽減するために、ベッドの位置を適切に調整しましょう。
利用者さんに協力動作を仰ぐ
利用者さんに協力動作を促すことは、介護者の腰痛対策に役立ちます。全介助では介護職員に負担が集中しますが、利用者さんに協力動作をしてもらうと、一部介助となり負担が軽減されます。
例えば、立位保持が可能な利用者さんには、立ち上がりのみを手伝い、手すりにつかまって立位を維持してもらいましょう。利用者さんに筋力を使って協力してもらうことで、介護職員の負担が軽減されるだけでなく、利用者さん運動不足を解消し、残存能力を刺激する自立支援にもつながります。
このように、可能な範囲で利用者さんに協力をお願いすることが大切です。
一人の負担が大きいときには上司や同僚に相談する
一人の負担が大きいことが原因で腰痛につながりそうなときには、上司や同僚に相談してみるのも手です。組織や仕事内容が原因で職員の負担が大きくなっている可能性があるため、一人では解決しにくく、上司の協力が必要となるからです。
仕事の負担が大きいと感じたら、早めに相談するための時間を確保してもらうようにしましょう。相談する際には、ご自身がどれくらいの範囲の仕事ができるのかも明確に話しておくと良いでしょう。
一人で溜め込まず、時には上司や同僚を巻き込んで解決の道を探していくことも大切です。
コルセットや介助用の福祉用具を活用する
コルセットや介助用の福祉用具を活用することもおすすめです。
ボディメカニクスを意識した介助方法でも、短時間で複数人の介助を行うと介護職員の体に負担がかかり、膝の痛みや腰痛を引き起こす可能性があります。また、体格差がある利用者さんの介助も同様です。
人力だけで複数人、または大柄の利用者さんの介助を行うには限界があります。そのため、スライディングボードやリフトなど、最新の福祉用具を積極的に活用するべきです。
また、コルセットや腰痛予防のベルトを使うことも効果的です。便利な福祉用具を導入し、介護の負担を減らしていきましょう。
介護士さんにおすすめの腰痛ベルトの選び方
腰痛の負担を軽減したいなら、腰痛ベルトの着用がおすすめです。しかし、種類が多すぎて、どの腰痛ベルトを選べばよいか迷う方もいるでしょう。
そこで、介護士の方におすすめの腰痛ベルトの選び方を解説します。
自分の症状に合っているか
腰痛ベルトの選び方として、自分の腰痛の症状に合っているものであるかが大切です。腰痛ベルトには色々なタイプのものがあり、商品によって強みとしている部分が異なるからです。
例えば、腰のどの部分が痛いのか、また痛みの強さはどの程度のものかによって選ぶ基準が違ってきます。
まずは、自分の症状を明確化し、そのうえで合ったものを探すようにしていきましょう。
目立たないタイプであるか
腰痛ベルトを選ぶうえでデザインも大切です。介護現場で使用するとなると、利用者さんやそのご家族に見られる可能性もあるからです。
腰痛ベルトが見えないようなデザイン、または万が一見えたとしても目立たないようカラーがおすすめです。白や黒で、かがんでも見えにくいデザインのものが良いでしょう。
機能性は高いか
腰痛ベルトを選ぶ際は、機能性にも着目すると良いでしょう。機能性が低い腰痛ベルトを着用しても、負担の軽減しにくいからです。
例えば、以下のような腰痛ベルトがおすすめです。
- 通気性が良い
- アシスト機能つき
- 骨盤をしっかり固定してくれる
通気性が良いと衛生的に安心ですし、骨盤を固定してくれるタイプだと安定感があって使いやすいでしょう。特にご自身が使いやすいことが一番ですので、症状に合った機能がついている商品を選ぶようにしましょう。
介護士が腰痛になったらどうすれば良いか
介護職で働いている中で、実際に腰痛になってしまったらどうしようと不安に思う人もいるでしょう。万が一、腰痛になってしまった時のために、すべき行動を理解しておくことも大切です。
ここからは、介護士が腰痛になってしまった場合にすべき行動を解説していきます。
整形外科に受診して診断書を発行してもらう
腰痛になったら、まずは整形外科を受診しましょう。休職や業務変更など、職場に配慮を求める前には、腰痛であることを示す客観的な証拠が必要です。
傷病手当金を申請する際にも、診断書が必要です。万が一、診断書がもらえなかったケースでも、医師から改善方法を提案される可能性があるため、受診して医師の指示を仰ぎましょう。
休むか業務を変更してもらうかの相談を上司にする
腰痛になったら、上司に報告し、今後の対応について相談しましょう。診断書の有無に関わらず、上司に先に相談しておくことが必要です。
言いにくいからと腰痛を抱えたまま無理を続けると、事故につながったり、腰痛が悪化したりするリスクがあります。現在の状況と自身の希望を伝えれば、上司も相談に応じてくれるでしょう。
万が一、上司が対応してくれない場合は、さらに上の施設長などに相談しましょう。
業務を続ける場合も、他の人に仕事やシフトを交代してもらい、腰に負担がかる入浴介助や夜勤はしばらく外してもらう、または時々休憩を入れるなどの配慮を求めましょう。
医師の指示のもと、湿布や鎮痛薬を使用する
整形外科を受診したら、診断内容に応じて医師から指示が出ます。その指示に従って日常生活を送りましょう。
また、湿布や鎮痛薬が処方された場合は、用法・用量を守って使用しましょう。
介護士が腰痛で退職した後におすすめの働き方
腰痛にかかってしまったことが原因で結果的に退職になった場合、その後の働き方に迷うでしょう。転職して、介護以外の仕事をする道ももちろんありますが、介護業界内でも働き方によっては継続可能かもしれません。
そこで、ここからは介護士が腰痛で退職した後におすすめの働き方を紹介していきます。
介助量が比較的軽めな施設で介護士
腰痛を経験した方が再び介護の仕事をするなら、介助量が比較的少ない介護施設を選ぶとよいでしょう。介助量が少なければ、腰痛を再発するリスクが低くなるからです。
例えば、小規模デイサービスや住宅型有料老人ホーム、ケアハウスなどには、要介護度が低い利用者さんが多く、比較的介助量が少ない傾向にあります。ただし、これはあくまで介護サービスの種類による傾向であり、実際の介助量は施設によって異なるため、就職前に必ず確認しておきましょう。
またケアマネジャーなどの資格を取得して、介助中心ではなくケアプラン作成が主な仕事となるように職を変えても良いかもしれません。
自分に合う方法で、腰痛から身を守っていきましょう。
短時間勤務のパート職員
腰痛の再発を防ぐためには、短時間勤務を検討する方法もあります。勤務時間を短くすれば、1日の体への負担が軽減されます。
例えば、正社員の場合、多くの人が8時間勤務になることが一般的です。一方、パート職員であれば、勤務時間をある程度自由に設定できます。
ただし、勤務時間の調整には職場との話し合いが必要です。短時間勤務を希望する場合は、求人情報に「短時間勤務OK」と記載されている職場を選びましょう。
求人情報に記載がない場合は、面接等で相談してみましょう。
フリーランス介護士として単発バイトをする
腰痛の再発を防ぐ方法として、フルーランス介護士として単発バイトをする方法もあります。単発バイトなら連続勤務する必要がなく、自分のペースで働けるため、体の負担を軽減できるからです。
例えば、単発バイトなら、介護・看護業界で今話題のカイテクがおすすめです。
カイテクについての詳細は、次の章で詳しく解説していきます。
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介護士の腰痛に関するよくある質問
介護士の腰痛に関する悩みや不安の声は多いものです。知らないことが多いと、万が一腰痛になってしまった際のことを考えて心配になってしまうこともあるでしょう。
そこで、よくある質問を元にその回答をまとめました。さまざまな情報を集めて質問と回答を以下に記載しましたので、気になる目次があれば、ぜひご覧ください。
介護士が腰痛になった時はどこの病院にいけばいいですか?
介護士が腰痛になった場合は、個人開業の整形外科クリニックを受診するのがおすすめです。総合病院では紹介状がないと診察を受けられない場合があるため、まずはクリニックを受診してみましょう。
予約が先まで埋まっていると言われた場合は、当日受診が可能かどうか電話で確認してみましょう。
介護士の腰痛は労災認定されますか?
介護士の腰痛が労災認定されることもあります。
ただしそれは、医師の診断により、療養が必要と判断され、さらに以下の条件を満たした場合のみです。
- 腰の負傷またはその負傷の原因となった急激な力の作用が、仕事中の突発的な出来事によって生じたと明らかに認められること
- 腰に作用した力が腰痛を発症させ、またあ腰痛の既往症・基礎疾患を著しく悪化させたと医学的に認められること
- 突発的な出来事が原因ではないが腰に過度に負担のかかる仕事に従事する労働者に発症する腰痛で、作業の状態や期間などから見て仕事が原因で発症したと認められるもの
例えば、利用者さんが転倒しそうになって、それをかばうために突発的に体で支えた結果、介護士が転んでその衝撃で腰痛を発症した場合には、災害性の原因による腰痛として労災認定をされる可能性があります。
一方で、日常的な動作による「ぎっくり腰」などの腰痛は、仕事中に発生しても労災と認められない場合があります。
労災認定について詳しく聞きたい場合は、都道府県労働局や労働基準監督署に問い合わせてみましょう。
介護士の腰痛は休みをもらうことはできますか?
介護士が腰痛を理由に休みを申請した場合、休暇の取得が認められる可能性があります。腰痛で業務の遂行が難しい場合、職場の承諾が得られる可能性が高いでしょう。
医師の診断書があれば手続きがスムーズですが、病気休暇や傷病手当金の受給には必須ではありません。
よく間違えられるのですが、病気休暇や傷病手当の対象となるのは業務内で起こる怪我・事故のみではありません。労災と異なり、病気休暇や傷病手当金は業務外での疾病やケガでも申請できます。
そのため、診断書がない場合でも、職場に相談してみるとよいでしょう。
介護の腰痛を治す方法はありますか?
介護の腰痛を治す方法を知りたい場合は、まず整形外科に受診しましょう。腰痛の原因は人それぞれ違うため、治療方法も異なるからです。
腰痛を緩和する方法としては、ストレッチやマッサージがおすすめです。こちらもプロからの指導を受けることが確実ですので、腰痛を緩和させたいと思ったら接骨院などを受診すると効果が期待できるかもしれません。
介護職で腰痛によるドクターストップがかかった場合はどうすれば良いですか?
医師からドクターストップが出た場合は、まず会社の職場の上司や管理者に報告しましょう。報告せず無理をしていると悪化する可能性があるので、医師から指示されたその日か翌日くらいに上司に伝えるのがおすすめです。
ドクターストップがかかった時には診断書の発行が可能か医師に確認し、発行してもらえるようなら上司に提出しましょう。
そこからは一定期間お休みをもらうか、軽度な業務に切り替えて勤務を続けるか相談しましょう。
適切な腰痛対策をして楽しく介護職を続けよう!
介護の仕事を続けるうえで、腰痛のリスクはつきものですが、適切な対策を行い防ぐことは可能です。介護職を長く続けていくためにも、記事を参考に腰痛予防を実施していくようにしましょう。
また、介護職で腰痛に対して不安を抱えている、すでに腰痛に悩まされていて介護の仕事が続けられないと思っているという人にはカイテクの活用がおすすめです。
便利なサービスをうまく活用し、自分に合った働き方で腰痛への不安を吹き飛ばしましょう!
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