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認知症介助士の資格は役に立たない?介護職での取得方法・メリット解説
「認知症介助士は役に立たないというのは本当かな?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。役に立つのか不安で取得を迷っているままでは、せっかくの機会を逃してしまうかもしれません。
記事を読むことで、資格取得の判断ができ、自信を持って介護の現場で活かせる道が見えてくるでしょう。
また、「認知症介助士」における取得方法・メリットに関しては下記の記事でもまとめているのでチェックしてみてください。
▶︎認知症介助士とは?取得メリットや資格試験内容・役立つ介護職場を徹底紹介
認知症介助士の資格は役に立たないのは本当?
結論、認知症介助士の資格が役立つかどうかはその人の置かれた状況によりますが、世間で誤解されている部分も多いのが実情です。一部の人々の中には、「認知症介助士の資格は役に立たない」と考える方もいるかもしれません。
しかし、認知症介助士は、認知症の方との関わり方や介助の方法を理解し、実践できるプロフェッショナルな介助者・支援者を育成するために設けられた介護系の資格です。
次に、認知症介助士が「役に立たない」と誤解される理由について詳しく解説します。
認知症介助士の資格は役に立たない3つの理由

認知症介助士の資格が役に立たないと思われてしまう理由を大きく3つにまとめました。ここからは3つの理由を解説していきます。
民間資格になるため給料アップにつながりにくい
まず、認知症介助士は介護福祉士などの国家資格とは違い、民間資格であることが挙げられます。民間資格であるがゆえに、初任者研修や実務者研修などといった公的資格よりも認知度が低いと思われている傾向にあります。
また転職する際に、給料アップなどの優遇は受けづらいのが現状ですので、そこを期待されている方は注意が必要です。資格を取得して介護事業所に勤務しても、資格手当として給料に上乗せされる事例が少ないため、「役に立たないのかもしれない」と思っている人が多いようです。
加算の算定対象外となる資格のため、介護事業所では評価されにくい
介護系資格にはさまざまな内容のものがあります。一般的に介護系の資格を取得している人が働いていると加算などの対象となり、介護事業所側に喜ばれることが多いですが、実は認知症介助士は加算の対象外です。
そのため、「加算の算定対象外であるから介護事業所に喜ばれない、または優遇されない」と思っている人も多いでしょう。
しかし、加算の対象とはならなくても「認知症ケアに理解がある」と認識されることが多く、事業所に喜ばれないということはありません。
認知症ケアは他でも学べるため
認知症ケアを学べる講座や研修、本などは、世の中に多数存在します。そのため、認知症介助士でなくても認知症のことは学べると思われてしまう傾向があります。
認知症についての動画等もよく公開されているため、わざわざ民間資格を取得する必要はないと思っている人も一定多数います。
認知症介助士は現場で評価されている?
認知症介助士は役に立たないという声がありますが、ここでは実際の現場でどう評価されているのかを紹介します。
介護・看護の現場で活かされる場面
認知症介助士は、認知症の方との接し方や心理的理解を学ぶ民間資格です。現場では以下のような場面で活かされています。
- 認知症対応型通所介護やグループホームでの声かけ・不安緩和
- 一般デイサービスでの軽度認知症(MCI)高齢者への配慮
- 訪問介護や病院内での接遇・対応判断の質向上
特に新人介護職や未経験者にとって、「なぜ暴言や拒否が出るのか」「どうすれば安心してもらえるのか」という初歩の理解と実践に直結する知識が得られる点が現場で評価されています。国家資格のように制度的な効力はありませんが、認知症ケアの“土台作り”として現場の即戦力になるケースもあるのが実情です。
求人票に記載されている例
認知症介助士は国家資格ではないため、必須資格として求人に記載されることは基本的にありません。しかし、「歓迎資格」「あれば尚可」として記載されている求人は存在します。
「認知症ケアに理解がある=即戦力の可能性がある」とみなされ、書類選考や面接でポジティブな加点評価になることがあります。特に軽度認知症利用者が多い施設では、接遇スキルとして評価されやすい傾向にあるでしょう。
採用担当者から見る資格の重要性
採用担当者にとって、認知症介助士は「実務経験の証明」ではなく、対人スキルや学ぶ姿勢の指標として見られることが多いです。特に未経験者やブランクがある応募者が資格を保有していると、次のような印象を与えます。
- 認知症ケアに関心がある=入職後の教育がしやすい
- 接遇マナー・心理理解をすでに学んでいる=トラブルが起きにくい
- 勉強熱心・自己研鑽の姿勢がある=育てやすい
一方、資格保有=即戦力としての評価にはならないことが多いため、「介護福祉士や実務者研修と組み合わせて補足的に評価される」位置づけです。履歴書に書くだけでなく、面接時に“どんな学びを現場に活かしたいか”を語れるかどうかが、採用評価を左右します。
認知症介助士を取得するメリット

認知症介助士の検定試験に合格し、資格登録をすることで得られるメリットは多いです。まだ認知症介助士のことがよくわからない方は、資格取得の前にメリットを確認しておきたいところでしょう。
そこで、ここからは認知症介助士を取得するメリットを5つ紹介していきます。
認知症の方の心理や行動を理解できる
認知症介助士の取得のための勉強をする過程で、認知症の方の心理や行動などを学習することができます。学んだ知識を活かし適切な関わりができるようになれば、認知症の方の生活の質向上に役立てることも可能です。
また、認知症の方についての理解が深まるため、介護現場でも、リーダーシップを発揮できる可能性があります。
認知症ケアに自信がない人、または家族が認知症でその関わり方が知りたい人には特におすすめの資格になります。
介護職として働く私自身も、認知症についてはもっと学びたいと思っています。高齢者ケアをしていると、認知症の方とかかわる機会が多く、対応方法もそれぞれ異なります。
質の高いサービスが統一できないことがあるので、認知症のメカニズムやケアの方法などをもっと深く学びたいです。認知紹介助士は今も今後も役立つ資格といえるのではないでしょうか。
就職時のアピールポイントになる
認知症介助士の資格は、就職活動や仕事の現場で大きなアピールポイントとなります。
この資格を取得することで、「認知症について学び、適切な対応ができるようになりたい」という意欲を示すことが可能です。これにより、雇用主や面接官に自分のスキルや知識を証明する手段となります。
例えば、介護施設だけでなく、接客業やサービス業でも認知症介助士の資格が役立つ場面は多くあります。
認知症の方やその家族への理解が深まることで、より良いサービスが提供できるでしょう。
この資格を持っていることを履歴書に記載し、面接でも積極的にアピールすれば、採用の際の評価に繋がる可能性が高まります。
認知症介助士の資格を活かし、就職や職場での自己アピールに役立てましょう。
認知症予防関連の情報を把握できる
高齢者と一緒に暮らしている方にとって、特に気になるのは認知症の予防かもしれません。認知症介助士取得のための講座では、認知症の予防に関する正しい知識を学ぶことができます。
これにより、家族やご自身のために適切な予防対策を講じることができるという大きなメリットがあります。
認知症の方の関わり方を理解することができる
認知症の方と適切に関わるには、知識や技術が不可欠です。
例えば、認知症の方が直前に食事をしたのに『食べていない』と言った場合、知識がなければ対応に困ってしまうでしょう。認知症介助士の検定試験に向けて学習を進めることで、認知症の方と適切に関わる方法を身につけられます。
知識があれば冷静に対応できるため、認知症の方も安心し、双方にとって安心感をもたらします。
幅広いジャンルで活かすことができる
認知症介助士のための勉強で学んだ知識は介護・福祉サービス以外の分野でも活かすことができます。
例えば、商業施設や金融機関などの一般的なサービス業をしている場合でも、認知症の方が来店されるかもしれません。
そんなときに対応方法を知っていれば適切にコミュニケーションをとることができるでしょう。それ以外にも、地域等のコミュニティ等で認知症の方がいても対応に悩むことなく接することが可能です。
認知症介助士を取得するデメリット

資格を取得する前にデメリットも把握しておきたいところではないでしょうか。認知症介助士の取得メリットが多い一方でデメリットも多少あります。
そこで、ここからは認知症介助士の資格取得に関するデメリットを2つ紹介していきます。
給料アップなど直接的な待遇改善は期待できない
認知症介助士の資格は、直接的な給料アップや昇進などの待遇改善には結びつかないことが多いです。その理由は、認知症介助士の資格が、介護福祉士や実務者研修のような国家資格とは異なり、主に知識やスキルの向上を目的とした資格であるためです。
例えば、介護福祉士の資格を取得すると給料が上がるケースはよくありますが、認知症介助士の資格が昇給や昇進に直結することは少ないです。
しかし、この資格を取得することで、認知症の方と適切に接するスキルが身につき、現場での信頼を高めたり、質の高いケアを提供するための基盤を築くことができます。
取得に費用がかかる
認知症介助士の試験は無料ではなく、受験料として3,300円程度の費用が必要になります。民間の機関が運営する民間資格であるため、公的資格の初任者研修等の受講で受けられるような資格取得のサポート制度はありません。
実務者研修等の他資格の取得費用と比べたら、そこまで高額ではありませんが、全額実費負担という点をデメリットと感じる人もいるようです。
認知症介助士の取得に向いている人

認知症介助士には受験資格が必要なく、誰でも取得を目指せる資格ですが、特に取得に向いている人はどのような特徴があるのでしょうか。
ここからは、認知症介助士の取得に向いている人を紹介していきますので、ぜひご覧ください。
介護現場働いている人・これから働きたい人
認知症介助士は、介護や医療の現場で働いている人にももちろんおすすめです。これまでの経験と合わせて、さらに認知症ケアの知識を深めることができます。
また、これから介護職で働くつもりで転職を検討しているけど、まだ介護系の資格を取得していない人にも比較的簡単な内容となっているので、気軽に取得を目指すことが可能です。
在宅介護者で家族の認知症予防をし始めた人
在宅介護者にとって、認知症介助士の資格取得は家族の認知症予防に役立ちます。独学では限界がある専門知識やケア方法を体系的に学ぶことで、家族を効果的にサポートできるようになります。
例えば、認知症の初期症状に気づき、適切な対処を行うことで進行を遅らせることが可能です。
資格取得により、家族全体が安心できる環境を整えられ、自分自身も適切なケアに自信を持てるでしょう。
金融機関・商業施設・公共交通機関の関連の仕事をしている人
介護系以外のサービス業や接客業の仕事をしている人にも認知症介助士の資格取得はおすすめです。
昨今、高齢化社会と言われ、各地域で高齢者はますます増えてきています。
そういった背景から、金融機関や商業施設、公共交通機関でサービス業をされている人も認知症の方と接する機会があるかもしれません。
接するタイミングになったときに、認知症の正しい知識を持っていれば適切なコミュニケーションや対応がしやすくなるはずです。
企業によっては取得者がいることで喜ぶ可能性もあるため、取得したら積極的にアピールを行うと良いでしょう。時間がなくセミナーの受講までは難しい人は、通信テキストなどを利用して独学で試験対策してみるのも良いかもしれません。

認知症介助士を資格として活かす方法
認知症介助士は活かす3つの方法を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
面接・履歴書で効果的にアピールする
認知症介助士は国家資格ではありませんが、履歴書に記載可能な民間資格として、介護・福祉業界では一定の評価があります。重要なのは、「ただ持っている」だけでなく、どのように学び、どう活かしたいかを明確に伝えることです。
アピール時の具体例は以下のとおりです。
- 履歴書には「認知症介助士 取得(2024年3月)」と明記
- 面接では「拒否反応の背景理解や声かけの工夫を学んだ」と具体化
- 「認知症の方との接し方を体系的に学び、実務に生かしたい」という姿勢を言語化
特に、未経験やブランクのある方の場合、勉強意欲や現場理解の準備ができている人材として好印象を与える要素になります。現場での即戦力というよりも、“育てやすい人”として採用担当者に映ります。
資格取得後もスキルを活かし続ける
認知症介助士の学習は、取得して終わりではなく、現場で実践して初めて意味を持つ資格です。以下のような方法で、取得後も知識を更新・定着させていくことが大切です。
- 日々の業務で、BPSD(認知症の行動心理症状)対応時に学びを意識
- 事業所内研修で学んだ知識を共有・発表
- 地域の介護職向け認知症セミナー・勉強会に継続参加
- 認知症ケア専門士や認知症対応型サービスの実地研修と組み合わせる
実務では「認知症の方と上手に関われる職員」は重宝されます。知識の有無がケアの質やご家族対応に直結する場面も多いため、学んだ内容を“日々の観察力や対応力”として可視化する工夫が重要です。
他の学習や資格と組み合わせて幅を広げる
認知症介助士は、他の資格と組み合わせることでキャリアの幅を広げやすい民間資格です。特に次のような組み合わせがおすすめです。
組み合わせ例 | 特徴・相乗効果 |
---|---|
初任者研修 | 実技スキル+認知症への理解=即戦力に近づく |
実務者研修 | 国家資格へのステップアップ+現場の対応力強化 |
認知症ケア専門士 | 現場経験+高度知識で評価が上がる |
サービス介助士 | 公共機関や商業施設勤務者におすすめの接遇強化資格 |
また、利用者や家族と関わる中で、認知症ケアに特化した資格を持っていることは大きな信頼感に繋がります。民間資格ではありますが、“学び続ける姿勢”を示すひとつの証明としても有効です。
認知症介助士と他資格の違い
認知症に関する資格は複数存在し、それぞれ対象者・難易度・実務性・評価のされ方が異なります。ここでは、特に比較されやすい「認知症ケア専門士」と「介護福祉士」との違いを明確に解説します。
認知症ケア専門士との違い
認知症ケア専門士は、公益社団法人「日本認知症ケア学会」が認定する上位資格です。認知症介助士との違いは、主に以下のとおりです。
比較項目 | 認知症介助士 | 認知症ケア専門士 |
---|---|---|
資格種別 | 民間資格 (誰でも受講可) | 民間資格 (実務経験と推薦が必要) |
難易度 | 易しい (講座+簡単な確認テスト) | 難関 (筆記+実務経験+口述試験) |
主な学習内容 | 認知症の理解・接し方の基本 | 認知症の行動心理・論理・支援計画の策定など |
対象者 | 初学者・未経験者 | 中堅~ベテランの介護職など |
実務評価 | 軽い | 高い |
つまり、認知症介助士は入門資格としての位置づけで、認知症ケア専門士はキャリア中・後期のステップアップ資格です。「まずは基礎から学びたい」という方には認知症介助士が適しています。
介護福祉士との違い
介護福祉士は国家資格であり、介護職における最上位の資格の1つです。認知症介助士との違いは資格の目的・評価・報酬への影響に大きな差があります。
比較項目 | 認知症介助士 | 介護福祉士 |
---|---|---|
資格の種類 | 民間資格 | 国家資格 |
対象領域 | 認知症対応の基本知識 | 介護全般 |
給与や加算評価 | 基本なし | 処遇改善加算の対象 給与アップに直結 |
現場での立場 | 補助的な位置づけ | リーダー職・中核職として配置されやすい |
認知症介助士はあくまで「補助的な知識習得資格」であるのに対し、介護福祉士は法的責任と待遇改善が伴う実務資格です。現場で昇格・昇給を目指す場合は、介護福祉士取得を前提にしつつ、認知症対応力の補強として介助士を活用するのが効果的です。
介護の現場で給与アップにつながった資格は介護福祉士です。多くの事業所では介護福祉士を取得すると、資格手当が付与されます。
施設によるものの、1〜2万円の資格手当が給与に含まれるので、給与が上がります。ほかの介護系資格でも資格手当が付与されますが、介護福祉士が最も高く設定されている事業所がほとんどです。
そのため、給与アップを目指すなら介護福祉士がおすすめです。

認知症介助士が役に立たないことに関するよくある質問
「認知症介助士が役に立たないかもしれない」と感じていた人は、まだまだ疑問が解決できていないかもしれません。
認知症介助士のことについて、さらに深く知りたい人のために、ここからはよくある質問とその回答を解説していきます。
認知症介助士と認知症ケア専門士の違いはなんですか?
認知症介助士は、認知症ケアの基礎知識を学ぶ初心者向けの資格です。
一方、認知症ケア専門士は、より専門的な知識と技術が求められる資格で、2005年に一般社団法人日本認知症ケア学会が認定した民間資格です。認定試験の合格率は約50%で、資格の維持には定期的な研修が必要です。
認知症介助士に比べて、取得が難しく、より高い専門性が求められます。
認知症介助士は履歴書に書けますか?
認知症介助士は民間の資格ではありますが、履歴書に記載することも可能です。記載するときの名称はそのまま「認知症介助士」でOKです。
特に老人ホーム等介護サービス事業所への就職を目指すときには、積極的に記載していきたいところです。認知症介助士を持っていることで、面接等で好印象を与えられる可能性もあるためしっかりアピールしていきましょう。
認知症介助士は国家資格ですか?
認知症介助士は民間資格です。
介護業界の中で唯一の国家資格は介護福祉士になります。さらに徹底してプロフェッショナルな知識や技術を磨きたい方は、介護福祉士と認知症介助士の両方の取得を目指すと良いかもしれません。
認知症介助士は更新料がかかりますか?
認知症介助士は更新の必要がない資格です。もちろん、更新料もいらないため気軽に取得を目指せる資格と言えるでしょう。
認知症介助士の合格率はどのくらいですか?
認知症介助士の合格率は約80%と高く、これは受験者にとって大きなメリットです。この資格は、介護系資格の中でも比較的難易度が低いとされており、認知症の基本を学びたい初心者でも学習に取り組みやすい特徴があります。
そのため、介護の知識を基礎から身に付けたい方にとって、取得を目指しやすい資格です。
認知症介助士を取得して活かしていこう!
認知症介助士は、活かし方で十分役に立つ資格です。記事内の情報を参考に、ぜひ資格取得を検討してみてください。ご自身に合った方法で、認知症への理解を深め、学んだことを今後の人生に幅広く役立てていきましょう。
また、単発バイトで実際に経験を積むと、認知症介助士としてもスキルアップが期待できます。
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