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処遇改善手当で介護パート職員はいくらもらえる?対象者やもらえない理由を解説!
パートの処遇改善手当がいくらになるか気になる方は多いのではないでしょうか。介護職は正社員からパート職員まで雇用形態が広く、対象者や支給額がいくらなのか意外と知られていません。
具体的な支給額や条件はもちろん、最新の情報も手に入るのでぜひ参考にしてみてください。
処遇改善手当は介護パートでももらえる!
介護パート職員であっても、処遇改善手当をもらうことは可能です。これは、2024年6月から始まった「介護職員等処遇改善加算」制度により、雇用形態にかかわらず対象になることが明文化されているためです。
ただし、実際に手当が支給されるかどうかは、以下のような複数の条件に左右されます。
主な条件 | 内容 |
---|---|
勤務先が加算を取得しているか | 加算を算定しない施設で支給対象外 |
勤務時間や契約形態 | 週の労働時間や契約年数で配分対象が決まることも |
職種と職務内容 | 介護職員としての従事が前提 (事務・清掃等は対象外のことも) |
つまり、「パートだからもらえない」のではなく、施設の加算取得状況や内部ルールによって差が生まれているのが実情です。まずは、勤務先が加算を取得しているか、給与明細に手当が含まれているかを確認することが第一歩です。
【介護パート職員必見】処遇改善手当はいくらもらえる?

処遇改善手当はパート職員も対象者であると紹介しました。では、実際パート職員はいくら支給されるのか、具体的な数字をもとに見てみましょう。
支給額は定められていない
パート職員の処遇改善手当の支給額に規定はありません。分配ルールの決定は行政ではなく、事業者に託されているからです。 そのため、介護事業所によって同条件でも支給額が異なる場合があります。
正社員とパート職員で支給額に差をつけているケースも少なくないでしょう。
パート職員の平均給与額は1年間で13,130円増となっている

処遇改善加算により、パート職員の平均給与は増加傾向にあります。以下は、令和6年と令和5年の介護職員(非常勤)の方の平均給与です。
- 令和6年:196,060円
- 令和5年:182,930円
つまり、令和5年と比較すると、13,130円の差があることがわかります。
介護報酬は国費と介護保険で賄われているため、介護職の給与は今後も上がっていくかは未定です。しかし、過去の調査を見ても、介護職の時給は着実に上がっている状況なので、今後の給与アップも期待できます。
カイテクでは、実際に介護職として働く方にアンケートを取ってみました。
Q:介護福祉士の給与に対する満足度と、改善すべき点を教えてください。
A:介護福祉士の給与は年々増加傾向にあり、3年で約2万円上がっています。給与が上がっている点では希望が持てるかと思います。改善点は、施設によって資格手当に差があることです。勤める職場で資格手当が左右されてしまうのは1つの課題です。
現場で働く方がおっしゃるとおり、やはり給与はアップしているようです。しかし、施設によって左右されるのが実情なので、施設選びは念入りに行う必要があるでしょう。

加算の届出をしていない施設はもらえない
処遇改善加算の届出をしていない施設には手当は支払われません。実際に、「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護職員処遇改善加算を取得(届出)していない事業所は4.5%となっています。
しかし、令和4年度の同調査における介護職員処遇改善加算の取得(届出)していない施設は5.5%となっています。着実に処遇改善加算を支給しない事業所が減ってきているのがわかります。
参考:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」
介護パート職員が処遇改善手当を受けるために必要なこと

処遇改善手当を確実に受け取るためには、「加算を正しく取得している施設に勤務しているか」「自分が対象となる条件に該当するか」を確認することが大切です。加算制度は国の介護人材確保策として設けられており、2025年時点でも継続中です。
ただし、手当の支給方法や配分は各事業所に委ねられているため、施設ごとにルールが異なります。これらを事前に把握しておくことで、「もらえると思っていたのに支給されなかった」といったトラブルを防ぐことができます。
加算を取得している事業所に勤務する
処遇改善手当を受け取るための最も基本的な条件は、加算を取得している事業所で働いていることです。加算を取得していない事業所では、制度上処遇改善手当は支給されません。
そのため、勤務前の面接時や就業前の説明で、加算の取得状況や職員への支給方針を確認するのが理想です。不明な場合は「この施設は処遇改善加算Ⅰを取得していますか?パート職員への配分実績はありますか?」と質問してみましょう。
施設によっては勤務時間で支給可否がわかれる
介護パート職員の場合、週の勤務時間によって処遇改善手当の対象となるかが変わるケースがあります。
これは、事業所が配分の優先順位を「勤務時間が長い職員」に置いているためです。事前に就業規則や契約書で「支給対象となる勤務時間ライン」があるかを確認しておくと安心でしょう。
経験年数や視覚の有無で手当て額が変動する
処遇改善手当の額は、経験年数や保有資格によって大きく変わることがあります。特に「特定処遇改善加算」の要件を含む現在の加算制度では、以下のような重点配分が義務付けられています。
職員の属性 | 配分の優先度 |
---|---|
介護福祉士かつ経験10年以上 | 高(優先的に配分) |
初任者研修修了・経験中程度 | 中(バランス型) |
無資格・未経験のパート | 低(少額・対象外もあり) |
このように、同じパート勤務でもスキルやキャリアにより手当額に差が生じるのが現状です。資格取得やスキルアップを目指すことで、今後の支給額にも影響を与える可能性があることを理解しておきましょう。
カイテクでアンケートを取ってみましたが、介護職の方も資格取得の大切さについては言及していました。
Q:給与アップにつながった経験や資格、スキルはありますか?
A:給与アップにつながった資格は介護福祉士です。多くの事業所では介護福祉士を取得すると、資格手当が付与されます。施設によるものの、1〜2万円の資格手当が給与に含まれるので、給与が上がります。
ほかの介護系資格でも資格手当が付与されますが、介護福祉士が最も高く設定されている事業所がほとんどです。そのため、給与アップを目指すなら介護福祉士がおすすめです。
介護福祉士の資格で給与は大きく変わるようなので、資格を所有していない方は、取得を目指してみてもよいかもしれません。
介護パートで処遇改善手当をもらえないときの対処法
処遇改善手当が支給されていない、あるいは金額が少なすぎると感じた場合は、まず冷静に状況を整理し、段階的に対処することが大切です。具体的には、以下の5つのステップで確認・行動を進めることが推奨されます。
- 自分の勤務先が加算対象の事業所か確認する
- 給与明細や契約内容に不備がないか確認する
- 管理者に支給基準や理由を尋ねてみる
- 支給が不十分・不透明なら単発バイトも検討する
- 明らかなピンハネは公的機関に相談する
自分の勤務先が加算対象の事業所か確認する
処遇改善手当が支給されない原因としてもっとも基本的なのが、勤務先の事業所がそもそも加算を取得していないケースです。加算を取得していない場合、制度上パート職員に処遇改善手当を支給する義務はありません。
特に「加算Ⅰ」を取得していない施設では支給額が少ない、あるいはゼロという可能性もあります。働く前・働いた後のどちらでも確認可能なので、まずは事実を把握しましょう。
給与明細や契約内容に不備がないか確認する
処遇改善手当が“もらえていないように感じる”場合、実は時給や賞与に含まれていて、明細に明記されていないだけというケースも多く見られます。そのため、給与明細や雇用契約書を見直すことは非常に重要です。
チェックポイントは以下のとおりです。
- 基本給に手当が含まれているか
- 雇用契約書に手当支給の記載があるか
不備があった場合は、記載の修正や説明責任を求めることができます。特に最低賃金を下回るようなケースは法的に問題があるため、注意が必要です。

管理者に支給基準や理由を尋ねてみる
処遇改善手当の支給基準は、各施設が独自に定めているため透明性に欠けることも多いです。そのため、もらえていない理由が曖昧な場合は、管理者や人事担当者に直接尋ねることが大切です。
こうした質問を通して、「そもそも制度の対象なのか」「施設が恣意的に除外しているのか」が見えてきます。聞きにくい内容ではありますが、納得して働き続けるためにも必要な確認です。

支給が不十分・不透明なら単発バイトも検討する
もし現在の施設で処遇改善手当が「極端に少ない」「説明が不十分」「今後も改善が見込めない」といった状況であれば、単発バイトや他施設での勤務も選択肢に入れるべきです。
特に「カイテク」などの介護単発単発バイトアプリを使えば、加算に頼ることなく給与アップが図れます。さらに、加算取得施設を絞って求人検索も可能なので、転職の際にも活用できるでしょう。
長期的な不満を抱えながら働くよりも、環境を変えて自分の労働価値を適切に評価してもらえる職場を探す方が建設的です。
介護職の方にアンケートを取ってみたところ、本業以外での収入アップを図っていることがわかりました。
Q:将来的に年収を上げるために、どのようなキャリアプランを考えていますか?
A:介護だけでなく、副業をして市場から収入を得ることも検討しています。自分で事業を持つことで、収入は青天井になるからです。安定している介護の仕事をしながら副業にチャレンジをして年収を上げていきたいと考えています。
処遇改善加算や資格手当など、政府に求めることも重要ですが、自身でも給与を上げる方法を考えていくことも大切だと思います。
明らかなピンハネは公的機関に相談する
処遇改善手当の中には、本来支給されるはずの金額が施設側の都合でカットされていたり、使用用途が不明確だったりする「ピンハネ」的な事例もあります。そうした不正が疑われる場合は、公的機関に相談することが推奨されます。
相談先の一例は以下のとおりです。
- 労働基準監督署
- 介護労働安定センター
- 都道府県福祉課
匿名でも相談できる場合が多く、記録(給与明細・契約書)があると有利です。“自分だけの問題”と捉えずに、制度の趣旨に反する不正は正しく訴えていく姿勢が大切です。

【おさらい】処遇改善手当とは?

ここでは、処遇改善手当の基礎知識を紹介します。パートでも受け取れる理由やポイントを押さえましょう。
介護職の処遇を改善するための手当
一定の条件を満たした事業所に対して、公費と介護保険制度の財源から報酬が支払われます。介護職の給与額が他の業種に比べて低いので、それを埋めるために生まれた制度です。少子高齢化社会が進む日本において、介護職員の人材確保は重要です。
介護職の給与面の処遇を改善し、人材不足の解消につなげようと多くの事業所で導入されています。
パート職員も対象
一方で厚生労働省が定める対象者は「介護従事者として勤務する者」としています。そのため、たとえば介護事業所に勤務する栄養士や理学療法士が対象外です。
また直接介護に携わらない管理者やケアマネージャーも処遇改善手当を受け取れません。しかし介護現場では、他職種が介護ケアを行う職場もあります。
自治体への実績報告が必須
手当を職員へ支給せず、他の目的で使用する行為は違反です。違反が発覚した場合、事業所は介護報酬の返還や一部効力の停止などの行政処分を受けます。
提出期間や方法などは、各自治体のホームページや窓口から確認しましょう。
処遇改善手当の金額
処遇改善加算は設定された要件によって、加算率が5つの区分に分けられています。加算1から加算5まであり、それぞれ職員1人あたりの月額支給額が異なります。
具体的な区分は以下のとおりです。
加算1:職員1人あたり月額37,000円相当
加算2:職員1人あたり月額27,000円相当
加算3:職員1人あたり月額15,000円相当
加算4:職員1人あたり月額13,500円相当
加算5:職員1人あたり月額12,000円相当
加算1から5までどのように区分されるかは、賃金体系の整備や研修の実施、昇級の仕組みなどで区分が変わります。
職場環境の改善に関する取り組みも要件に含まれているのです。

処遇改善手当の支給方法
処遇改善手当の支給方法は、各事業所に委ねられています。毎月の給与にプラスして支給されたり賞与や一時金として支払われたりします。
気になる方は、就業規則や管理職に聞いて確認してみましょう。
特定処遇改善加算について
対象者は以下のとおりです。
「経験・技能のある介護職員」
「その他の介護職員」
「その他の職員」
支給する際は介護職員を3つに区分します。
平均賃上げ額は「経験・技能のある介護職員」が一番高くなくてはいけません。「経験・技能のある介護職員」は、基本的に勤続年数10年以上の介護福祉士が該当します。
ただし配分ルールは事業所に委ねられているので、経験・技能のある介護職員を区分する方法は事業所内で自由に設置できます。
特定処遇改善加算を導入することで、長年介護現場で勤務する職員には処遇改善金に加えてさらに手当が支給されるのです。

職場の就業規則を確認する
職場の就業規則に処遇改善手当についての記載があるか確認しましょう。 就業規則には、基本給や賞与とは手当の支給額を記載しなくてはいけません。
処遇改善手当の支給額を確認するために、就業規則を見るのはおすすめです。
就業規則は自由に閲覧できるので、職員一人ひとりに配布していたり、確認しやすい場所に掲示されていたりします。気になる方は処遇改善に関する内容を確認してみてください。
【最新】2025年の処遇改善手当の動向

介護職員に対する処遇改善策は、2025年も引き続き強化されています。2025年度も賃金引き上げの継続を方針としており、物価高騰への対応や人材定着を目的としたベースアップ支援の予算措置が検討されています。
処遇改善傘の一本化は2025年も継続中
2024年6月に「介護職員処遇改善加算」「特定処遇改善加算」「ベースアップ等支援加算」が一本化され、「介護職員等処遇改善加算」として新設された制度は、2025年もそのまま継続されています。
- 介護職員処遇改善加算:月6,000円~の上乗せ
- 特定処遇改善加算:経験のある介護福祉士に月8万以上の上乗せ
- ベースアップ等支援加算:月額9,000円相当の引き上げ
これらが統合されたことで、「賃金改善効果の一元管理」「取得手続きの簡素化」「配分ルールの透明化」が実現されました。ただし、パート職員への配分は各事業所の裁量に委ねられているため、今後も「もらえる・もらえない」の差は継続する可能性があります。
2025年は2.0%のベースアップが検討されている
2025年度には、処遇改善加算とは別枠で、「賃上げ促進税制の活用」「公定価格の見直し」「報酬単価アップ」などを通じた2.0%のベースアップが政策的に検討されています。これは、賃金上昇が物価上昇に追いついていないという現場の声を踏まえた対応です。
制度が実施されれば、月額平均で約6,000円~8,000円の賃金上昇が期待できます。これにより、介護パート職員も恩恵を受けられる可能性が高くなりますが、配分方法や施設の運用ルールによって実際の手取り額は変わる点に注意が必要です。

介護パートの処遇改善手当に関するよくある質問
パートの処遇改善手当に関するよくある質問は以下のとおりです。
- 資格を保有していなくても処遇改善手当は受け取れる?
- 処遇改善手当は賞与で受け取れる?
- 処遇改善手当の問題点は?
それぞれ解説します。
資格を保有していなくても処遇改善手当は受け取れる?
処遇改善手当は資格の有無を問わずに受け取れます。介護未経験でも国家資格を保有していなくても問題ありません。
処遇改善手当は賞与で受け取れる?
処遇改善手当の受け取り方法は事業所によって任されています。そのため賞与で受け取れる施設もあれば、給与に上乗せされる場合もあるでしょう。支給方法は職場によって異なるので、賞与で受け取れるかは職場によります。
処遇改善手当の問題点は?
具体的な制度内容は以下のとおりです。
「経験・技能のある介護職員」は月額8万円、または役職者を除く全産業平均水準(年収440万円)を設定すること
「経験・技能のある介護職員」は「その他の介護職員」より処遇改善額を高く設定すること
「その他の職種」は「その他の介護職員」の処遇改善額の2分の1を上回ってはならない
配分ルールにより、勤続年数や保有資格によって支給される金額が変化します。そのため、職員によって支給される手当に差が出てしまうでしょう。
処遇改善加算でパート職員の年収が上がる!
処遇改善手当は、正社員だけでなくパートも支給対象です。実際に介護職員(時給・非常勤)の平均給与額を見ると、1年間で13,130円増という報告がされています。
介護職員の人材不足が懸念されているので、今後も処遇改善手当が増加する可能性は高いでしょう。正社員やパート問わず介護の現場で勤務されている方は、処遇改善加算について定期的に確認をしてみてください。
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