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【徹底解説!】看護におけるコミュニケーションの重要性やポイントとは?
これから看護師として働くにあたり、必要な知識や技能はたくさんあります。しかし専門的な知識や技能だけでなく、コミュニケーションもとても重要です。
看護師が関わる人には、患者さんやその家族だけでなく、医師や同じ看護師、更には他職種の人たちなど多岐に渡ります。多くの人と関わり、良好な関係性を築きながらより良い看護に向けて協力を図っていくことも看護師としての大切な仕事と言えます。
コミュニケーションと言っても、なぜコミュニケーションが重要なのか、具体的にどのようなポイントを抑えておけば良いのかわからない方も多いのではないでしょうか?
看護師のコミュニケーションを学ぶにあたり、ぜひ参考にしてみてください!
コミュニケーションに苦手意識のある看護師は多い
看護師になるにあたってコミュニケーションに苦手意識を抱えている方もいるでしょう。ここでは、X(旧Twitter)の声から、看護師がコミュニケーションになぜ苦手意識があるかを確認していきます。
自分は看護師なのにコミュニケーションがかなり苦手。7年間で師長さんやお局様の機嫌を損ねないように戦ってきたが、コミュ力は上がらなかった。だって師長さんもお局様も自分の話を一方的に話すから自分はほとんど口を開かなくていい。ほんと助かる。でも、たまにくる質問系は辛い。笑
https://twitter.com/muulifens/status/1613813277594877953
看護師さんの教育課程って良くできていて、マネジメントに必要なものは身につくようになってる。
https://twitter.com/KMat74562541/status/1360710338837155842
対象が患者になってるだけ。
一方、看護師さんは葛藤の強い場面や問題解決の場面でのコミュニケーションが苦手と言われてる。
多分「看護活動の経済性」の実践で、一番障害になる部分でもあると思う
感情を出す事や他人とコミュニケーションが苦手なASD、確実に看護師には向かないけど、もうなってしまったのでASDでも生き残れる方法を知りたい。
https://twitter.com/mou_kietai_/status/1333389702070640643
コミュニケーションに苦手意識がある看護師は多いようです。患者さんだけではなく医師やリハビリ職など多くの方とかかわるため、コミュニケーションを改善したいと考えている方もいるでしょう。
看護師がコミュニケーションに苦手意識を抱えている理由
看護師がコミュニケーションに苦手意識を抱えている理由は以下のとおりです。
- 緊張や不安で話しかけられない
- 自己主張の低い方が多い
それぞれ解説します。
緊張や不安で話しかけられない
看護師のなかには、緊張や不安で話しかけるタイミングを逃してしまう方が多いようです。
緊張をすると、頭の中が真っ白になり会話をうまくまとめられません。看護師の経験が浅いととくに「これを言ったら問題になるのではないか」と考えてしまい、会話を進められなくなるのでしょう。
自己主張の低い方が多い
看護師は他者貢献の思いが強いあまり、自己主張をする傾向が低いといわれています。
他者を受け入れる気持ちは、看護師には大切な能力です。しかし看護師がコミュニケーションに苦手意識を抱える原因は、性格特性も大きくかかわっています。
看護におけるコミュニケーションが重要な理由
看護におけるコミュニケーションはなぜ重要なのでしょうか。
答えは以下の2つになります。
- 患者との信頼関係が築ける
- 周囲との情報共有ができる
詳細について解説していきます。
患者さんと信頼関係が築ける
患者さんは病院に来るにあたり、精神的に不安を抱えてくることが殆どです。病気そのものに対してや、治療、さらに治療に伴う経済的な面など原因は様々です。
患者さんが不安を抱えている中、頼れるのは医師や看護師のみであり、コミュニケーションを図ることで不安感の解消に繋がります。不安感を解消させることで、患者さんとの信頼関係を構築し、円滑な治療をもたらすことにつながります。
周囲との情報共有ができる
看護師は多くの人と関わりを持つポジションです。医師をはじめ、薬剤師や栄養士、さらに作業療法士や理学療法士など多くの方と関わります。
皆が患者さんのために団結して動いています。そのため、気になる点や些細な変化でもしっかりと情報共有し、より良い看護を目指していくことは不可欠となります。
職場内でのコミュニケーションを積極的に図ることは職員間の細かな連携につながり、それが良い看護をもたらすことになるのです。
看護コミュニケーションの大切なポイント
コミュニケーションの大切さや重要性を学んだところで、具体的ポイントを解説していきます。
良好なコミュニケーションを行うには、以下のポイントを踏まえた上で患者さんとしっかりコミュニケーションを取ることが大切です。
- 時間をしっかりと取る
- オープンクエスチョンで会話させる
- 傾聴・共感する
時間をしっかりと取る
患者さんと良好なコミュニケーションを図るにあたり、看護師側でできる限りの配慮(時間や場所・話題など)を行い、環境を作ることが大切です。
もちろん看護師側の都合で一方的に場を設けてはいけません。患者さんの気分や体調に合わせて、無理を強いることがないよう常日頃から目を配っておきましょう。
ながら作業では患者さんも気持ちよく多くを語れないもの。決して多くはない時間を、患者さんとしっかり向き合いましょう。また、業務を止めることになるので、周囲への伝達も忘れずに行うと良いです。
周囲に伝えることで、共通認識を持つことと同時に、職場内のコミュニケーションを図ることにも繋がります。
オープンクエスチョンで会話させる
患者さんを相手にする際、「本音が聞き出せない」と悩む方も多いのではないのでしょうか。そんな時知っておきたいのは質問における2つの特性の違いです。
クローズドクエスチョンは「はい」「いいえ」で答えられる質問であり、回答内容に制限がある際に用いられます。しかし患者さんが気持ちよく話してもらうには、回答内容に制限のないオープンクエスチョンが適切です。
あくまでも患者さんに語ってもらいながら本音を引き出すことがメインです。できるだけオープンクエスチョンを心がけ、患者さんが話す時間を意図的に作ることが大切です。
話題に関しても治療のみでなく、家族や仕事などその人に関するあらゆる情報を語ってもらうように努めましょう。
傾聴・共感する
傾聴するにあたり、敬語などコミュニケーションのマナーを守ることはもちろん、目を見て話を聞くなど当たり前の部分を実行することが大切です。
また、話の内容について、積極的に共感の姿勢を示すことも大切です。共感するためには、相手の話をしっかりと聞かなければなりません。
看護師は患者さんの不安や恐怖を理解し、立場に立って考えて回答することが求められます。共感を示すにあたり、細かな相槌を打ったり、話の内容に応じて表情に変化を加えるなど、会話以外の要素が大事であることも注意が必要です。
会話内容だけでなく、動作などあらゆる点で、患者さんが話しやすい雰囲気を維持するように努めましょう。
笑顔で接する
看護師は笑顔で接することを心がけましょう。患者さんのなかには病状が芳しくなく、元気のない方もいます。そのため看護師が笑顔で話してくれると、安心感を与えられます。
笑顔で接することは患者さんの精神的な支えになり、信頼関係を構築していくうえで大切です。
声のトーンに気をつける
看護師は相手の状況を考えて声のトーンに気をつける必要があります。看護師の声によって、患者さんの心が変化する可能性があるからです。たとえば、病状を伝える際は落ち着いた声で話しましょう。
明るいトーンで話すと、患者さんに不快感を与えてしまう場合があります。また挨拶やリハビリなどの声掛けは元気よく行うと、患者さんに元気を与えられます。
看護師は、患者さんの状況や場面に合わせた声のトーンを意識しておくのをおすすめします。
看護師に必要な具体的なコミュニケーションスキル
看護師には患者とのコミュニケーションにおいて幅広いスキルが求められます!
まず、優れたコミュニケーション能力は欠かせません。患者の話を注意深く聞くこと、適切な質問をすることで、患者の抱える問題や症状を正確に把握し、的確なケアを提供することができます。
また、共感力も非常に重要です。患者が抱える心理的な苦痛や不安に対して理解を示し、彼らの立場に立った丁寧な対応が求められます。
さらに、明確な情報提供能力も欠かせません。看護師は患者に対して治療やケアに関する情報を適切に伝えることで、彼らとの信頼関係を築き、不安を軽減することができます。
そのほかにも、臨機応変な対応力やチーム内での円滑なコミュニケーション能力も必要です。臨床現場では状況が刻々と変化するため、柔軟かつ効果的なコミュニケーションスキルが不可欠となります。
言語的コミュニケーションスキル
患者との円滑なコミュニケーションを図るためには、適切な言葉遣いや表現が求められます。
まず、明確かつ分かりやすい言葉で患者との対話を行うことが重要です。専門用語をできるだけ避け、患者が理解しやすい言葉で状況や治療について説明することが大切です。また、聞き手の立場に立ち、患者が理解しやすいように情報を提供することを心がけることも必要です。
さらに、言語的コミュニケーションスキルには聞く力も含まれます。患者の話に対して丁寧に耳を傾け、適切なフィードバックを行うことで、患者が自分の意見や不安を述べやすくなります。そして、そのフィードバックをもとに、より適切なケアプランを立てることができます。
言語的コミュニケーションスキルは患者との信頼関係を築き、質の高いケアを提供するために欠かせない能力と言えるでしょう。
非言語的コミュニケーションスキル
患者とのコミュニケーションにおいて、身振り手振りや表情、姿勢などの非言語的なサインは、しばしば言葉以上に重要な意味を持ちます。
まず、適切な目線や姿勢で患者に接することが大切です。患者と同じ目線になることで、彼らに対する尊重と理解を示すことができます。
やさしい表情や自然な笑顔は、患者に安心感を与えることができます。
さらに、適切なタッチも重要です。的確なタッチは患者の心を癒し、心理的な安定感をもたらすことができます。たとえば、手を握ることや肩を軽く叩くことで、患者との距離感を縮め、信頼関係を築くことができます。
また、姿勢や身振り手振りも重要な要素です。穏やかな姿勢や適切なジェスチャーは、職業的な自信と専門性をアピールするだけでなく、患者との関係性を築くのに役立ちます。
コミュニケーションスキルを高める方法
看護におけるコミュニケーションスキルを高めるためには、さまざまな方法があります。
まず、良好なコミュニケーションを築くためには、相手に対する共感の姿勢が重要です。患者や同僚と対話する際には、相手の立場や感情に寄り添うことで、より信頼関係を構築することができます。
また、聞く力を養うことも大切です。相手の話を注意深く聴くことで、彼らの本当のニーズや不安を理解し、適切な対応ができるでしょう。
さらに、明確な情報伝達能力を身につけることも欠かせません。正確でわかりやすい言葉で情報を伝えることで、誤解や混乱を避け、円滑なケアが提供できます。
ストレスや感情のコントロールも重要です。プレッシャーの中で冷静に対応することで、より効果的なコミュニケーションが可能となります。
ロールプレイでの実践練習
看護におけるコミュニケーションスキルを向上させる一つの方法として、ロールプレイでの実践練習があります。ロールプレイは、仮想のシチュエーションを演じることで、実際のケア現場でのコミュニケーションに活かすための訓練を行う手法です。
まず、ロールプレイでは臨床ケースを想定し、それに基づいた患者や同僚の役割分担を行います。その後、参加者はそれぞれの役割になりきり、リアルな会話や状況を演じます。これにより、実際のケア現場で遭遇するであろう様々な場面に対して、適切なコミュニケーションスキルを養うことができます。
さらに、ロールプレイではフィードバックを受けることが重要です。参加者同士や指導者からのフィードバックを通じて、自分のコミュニケーションスキルの強みや改善点を確認し、成長の機会とすることができます。実践的な練習を通じて、自信を持って患者や同僚とのコミュニケーションに臨めるようになります。
ロールプレイを通じて学んだスキルや知識を実際の実務に活かすことで、より質の高いケアを提供できるでしょう。
継続的な教育とトレーニング
看護におけるコミュニケーションスキルを磨くためには、継続的な教育とトレーニングが欠かせません。日々の実践の中で培った経験をもとに、自身のコミュニケーションスキルを振り返り、向上させることが大切です。
また、専門的なコミュニケーションスキルトレーニングを受けることも有効です。さまざまなコミュニケーション手法や臨床シナリオを学ぶことで、実践で即座に活かすことが可能となります。
さらに、チームでのロールプレイやシミュレーション演習を通じて、実践的なスキルを磨くことも重要です。
継続的な学びとトレーニングを通じて、自身のコミュニケーションスキルを向上させ、質の高い看護ケアを提供できるよう努めましょう。
「患者や家族」とのコミュニケーションで意識すること
患者さんや家族とのコミュニケーションで意識することを紹介します。
- 信頼関係を構築する
- 観察する
それぞれ解説します。
信頼関係を構築する
看護師は、スムーズにコミュニケーションを取れる関係性を作りましょう。患者さんが希望を言えるよう笑顔で接したり定期的に要望を聞いたりすることで、徐々に信頼関係を構築できます。また看護師は正しい情報を伝えることも大切です。
患者さんからいつ病状について聞かれてもいいように、担当する方の情報はすぐに答えられるようにしておくのをおすすめします。
患者さんが求めている情報を丁寧に伝えることで、看護師に対して心を開いてくれます。
観察する
患者さんの状態を常に観察することが信頼につながります。不安を抱えているのか、何か伝えたいことがあるかを表情や態度から察しましょう。不安そうな様子を感じ取ったら挨拶や雑談をしてから、患者さんの話を聞いてみてください。
患者さんの意向や希望が優先されているかを聞き、必要であれば主治医との関係調整をします。
「職場」でのコミュニケーションで意識すること
職場でのコミュニケーションで意識することを紹介します。
- 素直に聞き入れる
- できないことは伝える
- わかったふりをしない
それぞれ解説します。
素直に聞き入れる
上司からの意見は素直に受け入れましょう。先輩の看護師は自分の仕事があるにもかかわらず、アドバイスをしてくれています。その気持ちを受け取る意味でも、まずは素直に意見に耳を傾けるのをおすすめします。
意見を伝えるときは反論するのではなく、「私は〇〇だと思っているのですがどうでしょうか?」のように提案しながら意見を言うと、相手にも不快な気持ちをさせずにすみます。
できないことは伝える
新人や若手の看護師は、先輩からさまざまな仕事を指示されます。仕事を任されたら、自分の現在のスキルから本当にできるのかを判断する必要があります。業務範囲を聞き、できないと感じたら断ることも重要です。できないことを伝えたうえで、謙虚に教えてもらう姿勢を持てば悪い印象は与えません。
患者さんに安全な看護を提供するためにも、できないことを伝えるようにしてください。
聞き逃しのないようにする
先輩からの指示は、聞き逃さないようにしましょう。病院では患者さんの看護を24時間体制で行うため、申し送りと呼ばれる引き継ぎ業務があります。
申し送りでは前任者が患者さんに対して感じたことや、実施した処置などを説明します。後任者が業務をする際の重要な情報を伝えるので、聞き逃してはいけません。
万が一聞き逃してしまった場合は、わかったふりをしないで聞き直すよう心がけてください。
忘れてしまったときのためにメモをしておくと、何度も聞き返すことが減ります。
よくある質問
看護師のコミュニケーションについてよくある質問は以下のとおりです。
- 患者さんの本音を聞き出せないときの対応は?
- 不安を抱えている患者さんへの対応は?
- 怒っている患者さんへの対応は?
ぜひ参考にしてみてください。
患者さんの本音を聞き出せないときの対応は?
看護師のなかには、患者さんの本音を聞き出していいのかと悩んでいる方もいるでしょう。
本音は無理に聞き出そうとせずに、患者さんが話をしてきたら傾聴するのをおすすめします。
聞くことも大切なコミュニケーションです。患者さんの不安に共感することで、徐々に心を開いてくれます。
不安を抱えている患者さんへの対応は?
不安を抱えている患者さんへの対応は、まず話を聞きそこから具体的なアドバイスをしていきます。手術後の体調について不安を抱えている方を例に取ります。
患者さんが手術のどのような部分に不安を抱えているか具体的に聞いたうえで、看護師が説明できることを伝えましょう。
悩みに対する解決策を具体化すると、患者さんの不安を和らげられます。
怒っている患者さんへの対応は?
怒っている患者さんは、まず怒りが収まるまで傾聴する必要があります。怒りがおさまってきたら解決策を提示していきましょう。
怒っている理由を聞かずに、解決しようとするのは患者さんをかえって怒らせてしまいます。複数人で対応することも大切です。
真剣に対応しようとしている姿勢が患者さんに伝わり、怒りが収まる場合があります。
まとめ
本記事では看護におけるコミュニケーションの必要性から、コミュニケーションのポイントやシチュエーション別の留意点について解説をしてきました。
多くの職種や患者さんと関わる看護師の仕事は、コミュニケーションのポイントをしっかりと抑えて、連携を模索していくことが大切です。
本記事がコミュニケーションに悩む看護師にとって、判断の一助や参考となれば幸いです。