ジャンル別記事
施設長を辞めさせることは可能?企業側と職員側の視点から解決!
施設長の方針により、現場の運営や体制は大きく変わります。その中には、施設長のやり方に共感できず、「辞めさせることはできないか」と考えている方もいるかもしれません。
「現在、困難な施設長のもとで働いている」や「施設長の評価を判断したい」と考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
施設長を辞めさせることは可能?実際に施設長を解任した事例
2014年に奈良県で発生した事例では、会社側が人事権を行使し施設長を解任しました。
企業は、要件に沿って人事権を行使することができます。そのため、正当な理由があれば、施設長の解任も可能です。
施設長を解任させる人事権とは?行使するための要件
人事権を適用するためには、以下の要件が必要となります。
- 就業規則に明示されていること
- 権利濫用に該当しないこと
施設長を解任する場合には、これらの要件をしっかりと確認しましょう。
就業規則に明示されている
人事権を行使するには、就業規則に事前に明示されていることが必要です。契約書に異動や配置転換の可能性を示すことで、人事権を行使できます。
ただし、就業規則や契約書に人事権について明示されていない場合、解任はできません。
人事権を行使する可能性がある場合は、事前にその旨を就業規則に記載しておくべきです。
権利濫用に該当しない
人事権には役職解任の権利も含まれていますが、従業員に大きな不利益を与えるような配置転換は権利濫用にあたります。社会生活が大幅に不便になるような配置転換を行うことは避けるべきです。たとえば、突然の異動や解雇を伝える行為は権利濫用に該当します。
権利濫用の範囲の判断基準は難しく、家族の看病や介護など、やむを得ない理由で人事権を行使する場合もあります。
施設長を辞めさせられないときの対処法
企業側は人事権を行使すれば施設長を解任することができますが、職員にはその権利がありません。
ここでは、職員が施設長を辞めさせられない状況における対処法を紹介します。
- 上司に相談する
- 現場を改革する
- 転職する
それぞれについて具体的に解説します。
上司に相談する
施設長への不満がある場合は上司に相談しましょう。自身が施設長に対して感じている問題を上司に話し、直接伝えてもらうことがおすすめです。運営会議やミーティングの際に、その問題を報告してもらう機会があるかもしれません。
施設長の解任はできませんが、現場の不満を伝えることで改善の機会が生まれるかもしれません。
現場を改革する
施設長に現場の改善点を伝えても変化がない場合は、職場の改革に取り組むべきです。
感じている不満や不安に対して、解決策を率先して提示し、実行に移しましょう。周りの職員から反感を買うこともありますが、これは根気のいる行動となります。
自身で現場を改革することは、問題解決の一つの手段です。
転職する
施設長や上司に不満を伝えたり、自身で改革を試みたりしても変化がない場合は、転職を検討することもあります。転職すれば施設長を辞めさせずとも自身の状況を変えることができます。ただし、転職先のリサーチは重要です。急いで別の施設に入社すると、転職先の施設長の方針に不満を感じる可能性があります。
施設長や職場の評判を調査し、それから転職を考えましょう。
入社前に判断!危険な施設長がいる職場を見極める方法
る職場の特徴を理解する必要があります。以下に、危険な施設長がいる職場の見極め方を示します。
- 職場見学を実施する
- 口コミサイトを確認する
- 介護職の友人や知人に意見を聞く
これらのチェックリストは、職員が危険な施設長から適切に距離を取るためのものです。就職または転職前に十分な調査を行うことをおすすめします。
職場見学をする
職場見学は入社前に行うべき重要なステップです。施設の現状を直接把握でき、職員や利用者の様子から施設長の介護方針や職場の特性を理解することができます。
見学後に施設長と直接対話する機会があれば、その人物が危険な施設長かどうかを評価する上で役立ちます。
口コミサイトを見る
インターネット上には、介護施設の口コミを掲載したサイトが数多く存在します。これらの口コミサイトは、現場で働く職員や見学をした人々の意見を閲覧できます。他人の経験を通じてリアルな情報を得ることが可能です。
口コミサイトを活用し、危険な施設長がいないかどうかを確認してみてください。
介護職の友人や知人に聞いてみる
介護職に従事する友人や知人がいる場合は、積極的に意見を求めてみましょう。現場で働いている人からは、具体的な情報を得られます。友人や知人がいない方は、研修先や資格講座で一緒だった人に話を聞いてみてください。
研修や資格講座は同業者が集まる機会でもありますので、自身の職場や評判の良い施設長についての情報を仕入れることができます。
こんな施設長なら転職しよう!気をつけるべき特徴
すでに危険な施設長の下で働いている方もいるでしょう。そのような方々に、「これらの兆候があったら転職すべき」というポイントを5つ紹介します。
具体的には以下の通りです。
- 独裁的な考え方を持つ
- 考え方が頻繁に変わる
- 不満や問題点を伝えられない
- 現場の状況を理解していない
- パワハラ・モラハラが横行している
これらの特徴を持つ施設長がいる場合は、早めに転職を検討することをおすすめします。
独裁的すぎる考え方
自身の方針を強引に推進する施設長がいる職場は危険です。現場の意見を無視して突然介護方針を変更する施設長は特に危険です。
例えば、排泄の時間を一方的に変更したり、入浴のシステムを大幅に変更したりすると、現場に大きな負担がかかります。
現場の意見を無視して一方的な提案を実行する施設長からは早めに距離を置くことをおすすめします。
考え方がすぐに変わる
考え方が頻繁に変わる施設長は危険です。
介護現場に新しいシステムや方針が浸透するには時間がかかります。それにもかかわらず、すぐに別の方法を試すと現場は混乱します。
新しいアイデアを試すことは重要ですが、現場との相談なしに考え方を変更する施設長であれば、早めに転職することをおすすめします。
嫌なことを伝えられない
施設長は、時には職員に厳しい事実を伝える必要があります。
例えば問題行動を起こしている職員に対しては教育的指導が必要です。しかし、自身の保身のために注意喚起を怠る施設長もいます。
問題行動を繰り返す職員に対して施設長が注意をしない現場は、他の職員の気持ちを考慮していない可能性が高いので危険です。
現場の状況を知らない
現場を理解せずに指示ばかり出す施設長がいる職場は、転職を検討するのがおすすめです。
現場の状況を把握せずに提案ばかりする施設長がいると、実際の問題から逸脱した改善点ばかりが強調されます。その結果、現場はさらに混乱する可能性があります。
現場の状況を理解していない施設長がいる場合は、早めに転職を考慮することをおすすめします。
パワハラ・モラハラがひどい
パワハラやモラハラが酷い施設長の下で働くのは論外です。そういった環境にいる場合は、一刻も早く職場から離れることを推奨します。
特に社会福祉法人に勤めている方々は、早めの転職を考慮すべきです。社会福祉法人では、施設長が理事長であるケースがあり、その任命は理事会の承認が必要となります。しかし、理事が施設長となるケースが多く、施設長が変わる可能性は低いです。
精神的なダメージを受けると転職活動が困難になることもあります。したがって、パワハラやモラハラが酷い施設長のいる現場からはすぐに離れるべきです。
一般企業が運営する介護事業所でも、施設長を交代させるのに時間がかかるため、精神的な苦痛を感じている場合は早めの転職を推奨します。
施設長を辞めさせたい場合は弁護士に相談を!
施設長を解任する企業側の方法と、職員が危険な施設長を見抜くためのポイントを紹介しました。
企業側が人事権を行使すれば、施設長の解任は可能です。しかし、職員が施設長を辞めさせるのは非常に難しいです。そのため、危険な施設長の特徴を事前に把握し、対策を立てておくことで、そのような職場に足を踏み入れるのを防ぐことができます。