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看取り介護で大切なことって?流れや留意点なども解説
その方の最期を彩る「看取り介護」は奥深く、最期に過ごす時間はかけがえのないものです。しかし、看取り介護の責任の重さから、まだ経験したことがない方やこれから行う方は、「わからないことが多く不安」と感じているかもしれません。
看取り介護の重要なポイントを理解していれば、過度の不安を感じる必要はありません。
看取り介護(ターミナルケア)とは
- 看取り介護と聞いたことはあるけど、実際にどのようなものかわからない
- 看取り介護に関わることを考えると不安に感じる
上記のように思う介護スタッフは多いのではないでしょうか?
看取り介護は、やるべきことを正しく理解していれば不必要に怖がることはありません。
まずは、看取り介護への理解を深められるよう、その定義や流れなどを以下で解説していきます。
看取り介護の定義
看取り介護、別名ターミナルケアとも呼ばれますが、これは余命わずかと判断された方に対して、人生の最期を穏やかに過ごせるようにケアしていくことを指します。
看取り介護は、医師の判断により開始されることが多いです。本人やご家族の意思を尊重しながら、それに寄り添うようにケアしていく形が理想的だと言われています。
看取り介護の流れ
看取り介護がどのような流れで始まるのか気になる方も多いでしょう。
こちらでは、「看取り介護が始まる?」と思ったときに適切な対応ができるよう、その手順を紹介していきます。
- 利用者の状態変化に気付き、介護記録などに細かく記入し、看護師に相談する
- 看護師から医師に相談する
- 医師が状態を判断し、ターミナルケアを開始する
- ご家族に連絡する
- 介護スタッフや看護スタッフでターミナルケアに向けてのカンファレンスを実施する
- カンファレンスを基に看取り介護を実施していく
看取り介護は、介護スタッフだけでなく、医師や看護師と連携しながら行います。また、施設入所から看取り介護までには段階があり、それに適したケアが必要です。利用者やご家族から見た入所から看取りまでの段階は以下のとおりです。
- 適応期:施設に慣れる中で、最期の過ごし方について理解を深め、最期の希望を確認する
- 安定期:施設や環境に慣れた状態
- 不安定期:疾患の進行や老衰などにより、虚弱傾向が見られる状態。今後予想される状態をご家族に理解してもらうことが必要
- 終末期:病気の末期状態などで、回復が見込めない状態。ご家族への連絡や細かな利用者の状態観察が必要
- 看取り:最期の段階。利用者やご家族の希望や気持ちに寄り添ったケアが大切な時間
利用者やご家族が状況を理解し、気持ちの整理がつくまでには段階があります。それを理解し、その段階に寄り添ったケアが理想的だと言えます。
看取り介護で大切なこと
看取り介護をする上で大切なことは多いです。 そこで、ここからは看取り介護で大切なことを解説していきます。
家族へのケア
看取り介護を行う上で、利用者へのケアはもちろん大切ですが、家族との関わりも重視すべきです。
利用者の最期の時間は、家族がそれを受け入れるまで非常に神経を尖らせることが多いです。そのような家族の気持ちに寄り添い、安心していただけるような関わりを持つことを心掛けましょう。
面会の際に、利用者の様子を伝えることも、家族へのケアの重要な一部です。
利用者の状態確認
看取りケアの際は、利用者の状態が急に変化しやすいです。
急変にも対応できるように、利用者の状態観察を怠らないようにしましょう。バイタルサインの測定などは、1日中規則的に行い、それを徹底することが大切です。
表情や肌の状態、呼吸の仕方など、細部までの状態観察を行いましょう。
利用者への清潔保持
看取りケアを受けている利用者の方は、免疫力が低下していることが多いです。そのため、わずかな細菌に対しても注意が必要です。
ケアの実施時には、顔や身体をこまめに清拭するなど、清潔状態を保つ努力が求められます。
環境整備
看取りケアの際だけでなく、常に環境整備の重要性を認識しましょう。特に居室の清掃、つまり汚れの除去や整理整頓は、徹底的に行われるべきです。
清潔な環境は、さまざまな細菌から利用者を守るだけでなく、家族に安心感を与えます。「ここは清潔で、大切にされている」と家族に感じてもらえるような環境整備を目指しましょう。
好きなことをしてあげる
最期に、可能な限り利用者が望むと思われることを提供しましょう。
- 一度家に帰る
- 本人が好きだった服に着替えさせる
- 食事が困難な状態でも、好きだった飲み物の味を綿棒で味わってもらう
スタッフ同士でアイデアを出し合えば、利用者が喜びそうなケア方法が見つかるかもしれません。
かけがえのない時間を大切にし、利用者と共に過ごすという感覚を大事にすることが、より良い看取りケアにつながります。
記録
看取りケアでは、記録業務も重要な要素となります。利用者の微細な反応や状態、行ったケア内容などを詳細に記録しましょう。
丁寧なケア記録は、家族が安心できるだけでなく、スタッフ間のケアに対する士気も高めます。
看取り時の介護ケアの留意点
看取り介護で過ごす時間は、利用者やご家族にとってかけがえのないものです。
それ故に、最期に関わる介護スタッフが大きな責任を背負っているのは事実です。しかし、留意点をしっかりと守りつつ看取り介護を行えば、安全を確保できます。不必要に怖がることはありません。
留意点を理解し、それを守ることによって看取り介護を適切に実施しましょう。
こちらでは、看取り介護の留意点について解説します。
身体介助は慎重にする
看取りケアの段階にいる利用者さんには、身体の負担を最小限に抑えることが求められます。
少しの刺激が負担となる可能性もあるため、身体介助はゆっくりと丁寧に行いましょう。特に、体位交換やオムツ交換、入浴介助など、体への負担が高まりやすい行為は、2人での介助が理想的です。
訪室回数を増やすようにする
看取りケアで大切なことは、本人に孤独感を与えないことです。
自分が最期にあたった場合、どのような看取りケアを希望するかを想像し、その視点から接しましょう。
訪室回数を増やし、本人とのコミュニケーションを重視するようにしましょう。
記録は細かく記入する
看取りケアの記録は大切です。
ターミナル加算に関わる可能性もありますので、記録は確実に残すようにしましょう。細かなケアの記録を残しておくことで、それを参照した他のスタッフが同じケアを行うことも可能になります。
ケアの一貫性を保つためにも、記録は詳細に、そしてわかりやすく残すことが重要です。
ご家族への配慮をする
看取りケアでは、ご家族への配慮も重要です。
大切な人の最期を見守る彼らは、緊張や不安になっている可能性があります。そのため、言葉遣いに十分注意し、家族に寄り添ったケアを心掛けましょう。
「声をかけたら目を開けてくれた」「訪室したら少し反応があった」など、些細な変化でも伝えることで、家族は安心感を得られるかもしれません。
定期的にスタッフ間で話し合う
看取りケアについては、定期的にスタッフ間で話し合う時間を設けましょう。このような会議を通じて、ケアの方針を共有し、看取りケアの一貫性を保つことが可能になります。
スタッフ同士が協力し、一丸となって看取りケアを進める姿勢が求められます。
心のこもった看取りケアをしよう!
看取り介護は、介護スタッフにとって重責ともなる一方で、利用者の人生の最期に関われる素晴らしい時間でもあります。
注意点や実施にあたっての大切な事柄を理解し、利用者やそのご家族に寄り添った看取り介護を提供しましょう。
利用者やご家族が安心し、穏やかな最期を迎えられるように、心を込めてサポートすることが大切です。